少しだけ起こった奇跡があったお盆の後も、日常を過ごしていて、月日が経過した。
その間、豚頭族から進化した猪人族達は、カイジン達の指導の下、あっという間に技術を覚え、頼れる労力になっていた。
ゲルド達の頑張りのおかげで、街の発展が進んでいく。
徐々に発展していく村を、俺たちは丘の上から見ていた。
家や服とかも出来て、上下水道や道路とかも出来てきた。
これは、リムルの前世のゼネコン時代の知識を使ったそうだ。
リムル「それにしても、お前、色んな物を作るように頼んだんだってな?」
エボル「まあな。」
そう。
カフェを作る様に頼んだのだ。
名前はもちろん、nacitaだ。
カフェでバイトをした事があるので、その経験を活かしてみようかと思ったのだ。
こうして、安住の地、俺たちの町が出来た。
………のだが、そうは問屋が卸さないのだった。
俺たちの所に、蒼影がやって来る。
蒼影「リムル様、エボル様。緊急事態です。」
リムル「え?」
エボル「どうした?」
蒼影の報告に、俺たちは首を傾げた。
それは、ペガサスに乗った騎士団が、この町にやって来たとの事だった。
どうして、そうなったのか。
それは、少し前、武装国家ドワルゴンでは、暗部からの報告を、ガゼル王が聞いていた。
そして、その報告書を、蝋燭の炎で燃やす。
ドルフ「王よ、暗部は何と?」
ガゼル「…………豚頭帝は討伐され、戦争が終結したそうだ。」
ガゼルのその言葉に、ドルフは驚く。
ドルフ「何ですと!?」
ガゼル「13万の豚頭族は、暴走する事も無く、各地に散ったらしい。しかも、猪人族に進化してな。」
ドルフ「そんな事が………!?」
ガゼルの言葉に、ドルフは再び驚き、ガゼルは考えていた。
ガゼル(複数の上位魔人の参戦により、戦争は終結。魔人達は、例のスライムとスライムと一緒にいた存在の配下であると思われる………か。魔人を従え、魔物に進化を齎す者たち。此度の件、対応を誤れば、国が滅ぶやもしれぬ。)
ガゼルは、複数の上位魔人………鬼人勢………を従えているのが、スライムとスライムと一緒にいた存在………リムルとエボル………である事を見抜き、口を開く。
ガゼル「あのスライムと男の正体、余自らが見極めてやろうではないか。」
そうして、ガゼル王とペガサス・ナイツは、俺たちの町に向かって来ていたのだ。
そんな事を知る由もない俺たちは、すぐに着陸するであろう場所へと向かう。
向かっているのは、俺、リムル、シズさん、紅丸、蒼影、黄歌、紫苑、リグル、リグルド、嵐牙、カイジンだ。
ちなみに、俺は人間としての姿で向かっている。
俺たちは、上空を見上げると、そこには、かつて見た、ガゼル王の姿が。
カイジン「まさか………!」
リムル「ドワーフの英雄王………。」
エボル「ガゼル・ドワルゴ………!」
何であの人が。
すると、紅丸が質問して来る。
紅丸「リムル様、エボル様。いかが致しますか?」
リムル「出来れば、争うのは避けたいんだが………。」
エボル「相手の出方によるか。」
紫苑「問題ありません!蹴散らせば良いのです!」
黄歌「蹴散らしたら、面倒臭い事になりそうだけどね。」
エボル「まあ、いざ戦闘になったら、住民たちを避難させる。」
リムル「その間、俺たちで時間を稼ぐぞ。」
紅丸「はっ!」
俺たちがそう話している間、旋回していたペガサス達は、一斉に地面に降り立つ。
カイジンは、ガゼル王の下に向かい、跪く。
カイジン「お久しぶりでございます。」
ガゼル「…………久しいな、カイジン。」
カイジン「はっ!」
俺とリムルは、前に出る。
ガゼル王は、俺たちを睥睨する。
ガゼル「スライムに人間か。」
リムル「最初に名乗っておく。俺の名はリムルで………。」
エボル「俺の名はエボルだ。人間呼ばわりはやめて欲しい。俺はブラッド族だ。」
リムル「これでも一応、俺たちはジュラの森大同盟の盟主なんでね。」
リムルは、そう言って、人間としての姿になる。
リムル「こっちの方が、何かと話しやすいだろう?」
エボル「………で、何の用だ?」
俺の質問に対して、ガゼル王が答える。
ガゼル「…………単刀直入に言おう。リムル、エボル。貴様らを見極めに来たのだ。」
リムル「………見極め?」
ガゼル「俺の剣で、貴様の本性を見抜いてくれるわ。」
エボル「なるほど………。」
ガゼル「この森の盟主になったなどとホラを吹く貴様らには、分という物を教えてやらねばなるまい。その剣が飾りでないというのなら、俺の申し出を受けるが良い。」
ガゼル王はそう言って、剣を抜刀しようとする。
部下達も、驚いたのか、声をかける。
ドルフ「王よ、まさか………!?」
ガゼル「ふん。本気で戦ってみるのが、手っ取り早いであろう?」
リムル「よし、その申し出を受けよう。」
エボル「ホラ吹き呼ばわりした事、後悔させてやるよ。」
そうして、まずはリムルとガゼル王との一騎打ちとなった。
ガゼル王が口を開く。
ガゼル「俺の一連の攻撃を防ぎ切ったら、貴様の勝ちで良い。それは、後にやるお前も同じだ、エボルよ。」
エボル「ああ。リムル、負けんなよ。」
リムル「ん?ああ!」
ガゼル「ただし、この俺、剣聖ガゼル・ドワルゴの剣を甘く見ない事だ。」
リムル「分かった。」
すると、風が吹いて来て、トレイニーさんが現れる。
エース「トレイニーさん。」
トレイニー「それでは、立ち会いは私が行いましょう。」
ガゼル「ん?」
ドルフ「まさか、
トレイニーさんの姿を見たガゼルは、突然鼻で笑った。
ガゼル「貴様らをホラ吹き呼ばわりした事は、謝罪するぞ。それに、事情も朧げながら読めたわ。」
リムル「じゃあ………!」
ガゼル「だが、貴様らの人となりを知るのは、別の話だ。」
エボル「ですよね………。」
ガゼル「立会人も決まったならば、あとは剣を交えるのみ。」
リムル「ああ、そうだな。軽く勝利して、今回の件をきっちりと説明してもらうとするわ!」
ガゼル「フフ………!俺に勝てたなら、答えてやるさ。」
そうして、トレイニーさんの開始の合図と共に、リムルが駆け出す。
最初の攻撃は防がれるが、すぐに走って、別の方向から仕掛ける。
ガゼルは、リムルを突き飛ばすが、すぐに着地する。
ガゼル「貴様の力は、そんなものか、リムルよ!」
リムル「うるさい!まだ本気を出していないだけだし!慌てんな。」
ガゼルの挑発に、そう答えるリムル。
ガゼルの攻撃で、リムルは大きく下がる。
すると、ガゼルはある構えをする。
エボル(あの構えは………。)
ガゼル「行くぞ、リムル!朧・地天轟雷!」
そう叫ぶと、ガゼルが消え、リムルは、下からくる攻撃を躱し、上から来る攻撃を、刀で受け止める。
ガゼル「ふん。フフフ………ハハハ!俺の剣を受け止めおったわ!」
リムル「え?」
トレイニー「それまで!勝者、リムル=テンペスト!」
トレイニーの宣言と共に、ガゼル王は、剣をリムルから退かす。
だが、納刀はしていない。
ガゼル「リムルは分かった。次は、お前だ、エボルよ。」
エボル「ああ。」
今度は、リムルの代わりに俺が出る。
俺はガゼル王に話しかける。
エボル「ガゼル王。本気で行かせて貰っていいか?」
ガゼル「ふっ。本気を出してもらおうではないか。」
エボル「じゃあ、遠慮なく。」
俺がそう聞くと、ガゼル王はそう答える。
俺はコブラロストフルボトルを振り、キャップを閉めて、トランスチームガンに装填する。
『コブラ!』
装填すると、待機音が流れてくる。
俺は、姿を変える際の言葉を言う。
エボル「蒸血。」
そう言って、トリガーを引く。
すると、トランスチームガンから煙が出てきて、俺を包み込む。
『ミストマッチ!』
『コ・コッ・コブラ………コブラ………!』
『ファイヤー!』
俺は、ブラッドスタークに変身する。
俺はトランスチームガンを仕舞い、スチームブレードを取り出す。
多分、トランスチームガンを使った小手先の技は効かない。
気配が物語っているからだ。
ガゼル王が口を開く。
ガゼル「ほう。貴様は短剣を使うのか?」
エボル「これが俺の本気だ。短剣だとダメなのか?」
ガゼル「ふっ。良いだろう。甘く見ない事だな。」
俺とガゼル王は、そんな風に話す。
俺の意識は、ガゼル王のみを捉えていた。
トレイニー「始め!」
トレイニーさんのその声と共に、俺は駆け出して、スチームブレードで攻撃する。
ガゼル王は、剣でこれを受け止める。
少しの間、鍔迫り合いとなり、お互いに離れる。
ガゼル「ほう。やるではないか。だが、それが貴様の本気か?」
エボル「うるさい。俺は徐々に上げていくタイプなんだよ。」
ガゼル王の挑発に、俺はそう返す。
今度はガゼル王が仕掛けて来て、俺はスチームブレードで剣を受け流す。
そして、俺は少し離れる。
さて、一気に行きますか。
俺は、スチームブレードのバルブを回転する。
『アイススチーム!』
ガゼル「ほう……………来い!」
俺が動くと見たのか、ガゼル王はそう言う。
俺はスチームブレードを振るう。
それと同時に、氷のミストが発生して、そのミストがガゼル王の足に付くと、凍りつく。
ガゼル「何っ!?」
エボル「ふっ!」
ガゼル王が足に気を取られる中、俺は一気に迫って、スチームブレードをガゼル王の首筋に当てる。
エース「こんなもんかな。」
ガゼル「…………ふっ!やりおるわ!」
トレイニー「それまで!勝者、エボル=テンペスト!」
トレイニーの声と共に、ガゼル王は、部下に剣を持たせた。
俺は、変身を解除する。
そして、俺とリムルを見ながら言う。
ガゼル「剣を交えて、よく分かった。お前達は邪悪な存在ではない。」
黄歌達「うんうん。」
ガゼル王の言葉に、黄歌達は後ろで頷く。
リムル「何でだよ………。」
ガゼル「それにしても、よくぞ俺の朧・地天轟雷を見切り、俺を倒したものよ。見事だったぞ、リムル、エボル。」
エボル「偶然だ。何せ、その技をよく使う師匠が居てな。俺もリムルも、訓練でよく打ちのめされたんだよ。」
ガゼル「なんだと?まさか、その師匠というのは………。」
ガゼル王がそんな風に驚いていると、白老が前にやって来る。
ガゼル「ああっ………!」
リムル「お?」
エボル「白老。」
白老「ほっほっほ。お見事でしたな、リムル様、エボル様。」
ガゼル「おおっ………!剣鬼殿!」
えっ?
2人って知り合いなの!?
俺がそう驚いていると。
白老「森で迷っていたあの時の小僧が、見違えましたぞ。………いや、失礼、ドワーフ王。わし以上の剣士へと成長したようで、重畳ですじゃ。」
ガゼル「剣鬼殿にそう言っていただけるとは………。」
どうやら、白老が師匠って事か。
世界って、意外と小さいもんだな。
すると、ガゼル王が俺たちに話しかけてくる。
ガゼル「さあ早く案内してくれリムル、エボル。上空から見たかぎりじゃ美しい町並みだったぞ?美味い酒くらいあるのだろう?」
リムル「…………まああるけど。」
エボル「裁判の時と比べて軽すぎない?」
ガゼル「なぁに。こっちが素よ。」
そんな風に話しながら、町へと戻る。
その夜、宴をしながら、俺たちは、ガゼル王の話を聞いていた。
リムル「なるほど。」
エボル「豚頭帝を倒した、謎の魔物集団の調査だったと。」
ガゼル「それが敵となるか、味方となるか、見極めにな。」
まあ、そうするのが、正しい判断だろう。
すると、ガゼル王が真面目な顔で、俺たちに聞いてくる。
ガゼル「リムル、エボルよ。聞きたい事がある。」
リムル「おう。」
エボル「何だ?」
ガゼル「俺と盟約を結ぶつもりはあるか?」
リムル「あっ。」
ガゼル「お前達がもしも、この広大な森を全て掌中に出来たならば、我が国をも上回る富と力を手に入れる事が出来よう。その時に、後ろ盾となる国があれば、便利だぞ?」
確かに。
後ろ盾があった方が、何かと良いしな。
リムル「願ってもない事だが………。」
リムルはそう言うと、紅丸達の方をチラリと見て、聞く。
リムル「良いのか?それは、俺たち魔物の集団を、国として認めると。そう言っているのと同じだぞ?」
ガゼル「無論だ。それとこの話、我らにとっても、都合が良い。」
エボル「………と、言いますと?」
ガゼル「お互いに利益があるからな。」
俺とリムルは、お互いをチラリと見て、答える。
エボル「断る理由はないね。」
リムル「喜んで、受けたいと思う。」
ガゼル「よし。…………で、お前達の国の名前は何と言うのだ?」
エボル「………お。」
ヤッベェ。
国の名前とか、一切考えてなかった。
豚頭帝討伐後、色々と忙しかったからな。
すると、リムルが口を開く。
リムル「ジュラ・テンペスト連邦国だ。」
ガゼル「ジュラ・テンペスト連邦国。」
紅丸「おおっ!」
紫苑「さすが、リムル様です!」
黄歌「さすがです。」
リグルド「では、国の名はジュラ・テンペスト連邦国!この町の名前は、リムルと致しましょう!」
エボル「お?良いね!」
リグルド「中央都市、リムルです!」
リムル「おいおい!それはちょっと恥ずかし………。」
ガゼル「決まりのようだな。」
リムル「………ああ。」
こうして、国の名前はジュラ・テンペスト連邦国、首都は中央都市リムルに決まった。
だが、この時の俺たちは気づいていなかった。
俺たちに興味を示す者達がいる事を。
そして、それをきっかけに、テンペストに嵐が巻き起こる事も。
今回はここまでです。
今回は、ガゼル王がやってきた話です。
エボルも、ブラッドスタークに変身して応戦しました。
しれっと、nacitaを作っていました。
その為、カフェのマスターとして、エボルが働きます。
そしていよいよ、最古の魔王の1人が来襲して、エボルの力が解放されます。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
予約したエボルドライバーが届くのが楽しみです。
エボルXも。