う、うわぁっ、マシュと廊下を歩いていただけなのに、なんか急に警報が鳴り出したっ。俺、別に悪い事してないよ!?
「落ち着いてください先輩、これは……」
『大変だ藤丸くんっ!』
この声は、ダヴィンチちゃん!
『どうやら何者かがカルデアの召喚術式に干渉してきたようなんだ。
こちらの観測によると、藤丸くんとなんらかの縁故を起点に時空連続体を膨張現象によって不透過障壁の隙間を拡大、遠隔から未来における既定召喚事象を確定させる事によって現在のカルデアの召喚という起点を成立させようとしているみたいなんだ!』
ごめんダヴィンチちゃんっ、何言っているか全然わかんない!
「つまり、誰かがカルデアに来ようとしているという事です、先輩!」
おお、さすがマシュ分かりやすい!
『とにかく、だ。二人には召喚ルームに急行して欲しい!』
分かったよダヴィンチちゃん!
「と言いますか、実はわたしと先輩は丁度召喚ルーム前にいます!」
『おおっとそれは話が早くて助かる。ただ、内部の様子がこちらで上手く観測出来ないから突入後は口頭でいいから内部の様子を教えて欲しい!』
「了解しましたっ、マシュ・キリエライト、突貫します!
……どうやら既に召喚は完了済みのようです。召喚陣の上に人影があります。その姿は人というには流線型のシルエットで全体は金の色彩……」
というかORTだこれーっ!?
『はぁっ、ORT!? ナンデ!?』
いや分かんないけど、めっちゃORTだよっ。むしろORTだよ!
「先輩っ、動揺する気持ちはわかりますがちょっとORTと連呼し過ぎです!」
『ああ、ごめん私も動揺していたようだ。びーくーる、びーくーる……。
よしっ、それで現状の様子はどうだい? こちらでは知らない内にカルデア所属になっているし敵性反応も出ていないわけなんだけど』
「はい、とりあえず暴れたりする様子はない……あ、待ってください、何か動きがあるようです!」
『なんだってっ、現状だはORTと対峙するには圧倒的にデータと時間が足りない、いったいどうすれば……』
ここは俺に任せて!
「先輩!?」
『藤丸くん!?』
脳裏を駆け巡るサムズアップしているバーサーカーのみんなっ、俺に力をわけてくれ!
『そうかっ、言語機能を失ったバーサーカーとも雰囲気で仲良くしてきた経験を生かそうという事か!』
よーしどんと来い……ってなんか急に眩しッ!?
「ORTに謎の発光現象を確認っ。攻撃性は無いようですが、これは、えっ、そんな……!?」
『ちょっ、大丈夫なのかいマシュ!?』
「は、はいっ、光の中でORTのシルエット変わっていっています、コレは変身……、いえ、人間体への擬態!?」
そして光が収まるとORTが女の人の姿に!?
「■■■……、アー、アー、あー……」
「擬態に伴い、ORTに発声機能の獲得を確認。何かを喋ろうとしています!」
『くっ、言語で意思疎通が出来るのは助かるけど、語る内容が全然想像できないっ、一体何を言おうっていうんだ……!?』
「……ごはんマダー?」
いや第一声がそれでいいの!? それじゃあこれからはみんなに腹ぺこキャラで通っちゃうよ!?
「……?」
それの何が問題かって顔してるー!
「私にはORTは無表情からぴくりとも変化していないように見えるのに、読み取るなんて、流石です先輩!
とはいえどうしましょう、食事の用意なんて出来ていません」
「……ふっふっふ、どうやら私の出番のようだね諸君」
こ、この声はゴルドルフ新所長!
「そう、毎度私の昼食をあの小動物に横取りされては叶わないと逃げていたら予想外の場面にでくわしてしまった私だよ。
未だかつて無い程上手に出来たこのオムライスであるが、ORTを懐柔出来るのであれば安いモノ。さあっ、その能面顔をこのふわとろオムライスでにっこり笑顔に変えてやろう!」
「……えい、ピキーン」
「ああっ、ゴルドルフ新所長のオムライスが水晶に!?」
「私渾身のふわとろがーっ!?」
「パキン、キュオーン」
「そしてそのままお召し上がりに!? なんだかとても既視感のある食事風景です先輩!」
……迫る巨影、……増えるNO DATA。……うっ。
『いけないっ、トラウマを刺激されて藤丸くんの精神が不安定に! しっかりするんだ藤丸くん!?」
「……うん、水晶味」
そりゃあ食べたの水晶だもんね!
「精神ダメージを受けてなおツッコミを忘れないなんて、さすが先輩です」
◇
「それでお食事も終わったようなので改めて聞きますが、結局あなたはどうしてカルデアに来たのでしょうか?」
「……お祝い」
「えっとそれはどういう……?」
「ORTは性質的にイベントでの実装は難しいから、9周年の記念の特別実装という形をとってはどうだろうと思った」
「急に発言がメタいです!」
「サプライズ」
サプライズが過ぎるよ!
「と言いますか、9周年なんてまだ先(2023年3月時点)ですし、そもそもそちらへオファー行くとも限りませんよ!」
「……なん、だと……?」
今日一番のORTの表情変化なんだけどコレ!
「……なら仕方が無い。寝て待っているから実装したら起こして」
「えっ、ORT、さん……?」
「ZZZ」
うわ本当に寝たよ。というか寝るの早っ。
『こちらでもORTの休眠を確認した。出来ればこの内に対処したいところだけど、下手に刺激するわけにもいかないし、このまま様子を見ようか』
~一週間後~
「ZZZ……」
~一ヶ月後~
「ZZZ……」
~一年後~
「ZZZ……」
いや本当にずっと寝てるの!?
術が全体統括、騎が対粛正防御で水晶化をレジスト、槍が汝はローマで地上概念の適応範囲内に、殺が死の概念付与、弓と狂が物理防御剥がし、剣が露出したコアを破壊。
なんて対応を予想していたけど、そんなものを余裕で上回るやべー奴だったORTくん。
ネコアルクのギャグ補正もぶち抜くなんて話もあるけど、実はボーボボ並時空出身で、ギャグを真面目に考察しようとして理解不能になった結果がアレ説が頭から離れない今日この頃。
アラレちゃんは地球を割る。
ORTは地球を砕く。
そこに何の違いもないだろうが!
ついでにこのお話の脳内設定のORTは、「何者かが見たORTという夢がサーヴァントという枠に当て嵌められたモノ」です。
実際に対峙して「なんかこう……すごかった!」という認識が元になっているのでこのORTも性質や性格もなんかふわっとしているし、異聞帯での能力も持たない。
その存在の本質は、異聞帯で成立してしまったORTという英霊の座に先に居座る事で人理への浸食を瀬戸際で堰き止める“誰とも知れない英雄”。
三臨はシルバリーな異形の姿。一臨が擬態した女性体、二臨は男性体で、姿のイメージはぐだに天性の肉体持ちのアルテラとエヴァのロング綾波を加えた感です。