先生しゅき
お外怖い
えー…こんにちは。いや、こんばんは?
どちらが正しいのかわからないが、とりあえず初めまして観測者諸君。
貴方達がどのような手段でこの記録を覗き見ているのかは私の知るところではないが、そのようなことはどうでも良い。
私のこの悲惨たる現状が、どうか他の誰かに伝わってくれさえすればソレで良いのだ。
まずは自己紹介と行こう。
と言っても名前や体重といったキャラ設定のような詳細なものではない。ただ、
思ったよりも細かかった?別にソレはどうでも良いのだ。
さて、その情報を踏まえた上で、今の私を見てほしい。
伸びに伸びた黒髪。運動のできない私でも驚くほど細く白い腕。状況が状況なら惚れていたであろう可愛らしいお顔。あまりにも小さなお体。
そして何より、背中についた白い羽と、頭の上にふよふよと浮かぶ不可解な輪っか。なんだこれは!?理解できぬ。
嗚呼そうだ。勘のいい皆様ならとっくにわかっていることだろう。いや、そもそもこの記録を読み始めた時点で勘付いているかも知れない。
私はどうやら異世界転生というものをしたようだ。そう最近流行りのアレだ。
ああ、安心してほしい。憑依ではない。これは断片的にだが頭の中に残る幼少期の記憶が保障してくれている。こんなかわい子ちゃんの体を乗っ取っていたなんて知れたら私はどうしていたかわからない。
さあ困った。私とてオタクの端くれ。転生物など飽きるほど目にしてきた。無論、今の私の現状にピッタリと会う『TS転生』など大の好物だ。主食と言っても過言でないほどに。
だが、だが!だからといって実際になってみたいかと言われるとそうではないのだ!
私はTS転生して、女子の体に困惑しながら頑張る転生者の姿や、登場キャラクターに嫌がりながらもメスを教え込まれる転生者の姿が見たいのだ!無論!曇らせも大好物である!
だが、ソレを自ら体験してみたいなど、私がいつ言った!?いや、言っていない。そうだろう。嗚呼神様。これがもし貴方の仕業だとするならば能力の無駄遣いです。もっとTS転生に適任な人材がいたでしょうに……
閑話休題
さて、話が少しずれてしまったが、問題はもう一つある。ソレは私がこの世界を知っているかも知れないということだ。
ソシャゲをしている者なら一度は聞いたことがあるだろう。ブルーアーカイブという名を。そうだ、Twitterに度々現れる叡智な絵などに描かれるキャラクターたちの登場するゲームだ。
おっと?君たち今『原作知識あるんか。余裕やんけ。』と思っただろう?そうはいかないのが現実だ。
…私は人間の記憶というものがいかに不確実なものか思い知ったよ。
ああそうさ!忘れたんだよ!プレイしたという記憶はある!だが!何が起こったのか!どんなキャラが推しなのかすらも忘れてしまった!私はもうオタクとして生きてゆけないのかも知れない…
……これも全て私を転生させた神様とやらのせいだ。そもそも記憶の取り戻し方がもう少しまともだったらちゃんと残っていたかも知れないのに。なんだよベッドからの落下で記憶を取り戻すって!ショック療法かよ!雑なんだよ!!!
…Be cool、Be coolだ私。落ち着け。貴方達にあたっても意味はないことは理解しているのだから。
ふぅ…すみません。取り乱しました。
そう、だな。うん。話に戻るけど、別にこれまでのことはそこまで問題になるようなことではなかったんだ。いや大問題ではあるんだけれども。
問題は別にあった。
ブルーアーカイブというゲームを知っている方はご存知の通り、学園×青春×物語なRPGである。詳しくは覚えてないが、学生達がなんやかんやする物語というわけだ。
……そう、学生達が、だ。
つまり学校生活!悪夢の青春!机に突っ伏して過ごした昼休み!トイレから戻ったら占領されている椅子机!大声で騒ぐ陽キャに集まって何やら女子トークを繰り広げる女子達!先生の発する二人組という恐怖の言葉!
ああそうだ……青春という二文字は、私のコンプレックスを刺激するには十分すぎるものだったのだ。
ああ、本当に勘弁してくれ。私は一人静かに暗闇の中ブルーライトと共に生きてゆきたいのだ。だがそうはいかないのがまたまた現実。この体は案の定学生らしく、学校に通わなければならない。それもあの高校にだ!
ああ、これは何かの罰なのか?そうであると言ってくれ。もしこれが善意によるものだとしたら私は気が狂ってしまう。
とはいえ、私はここで諦めるようなことはしなかった。
せっかくの二度目の人生。それも今世の私がここまで頑張って生きてきたものを台無しにするほど人でなしではない。それに今世の私は超絶美少女。この見た目で前世のような道を歩むことはないという下心もあった。
故に私は制服を身につけて、鞄片手に重い家の扉を開けたのだ。
待っていたのは地獄だった。
サンサンと降り注ぐ太陽光。そして教室内に響く話し声という騒音。静寂が存在するのは、私の座る教室の一角にしか存在しなかった。
ああそうさ!当たり前のことだった!私がいるのは高校だ!小中学校ならまだしも高校なのだ!皆中学の頃からの友人がいて当たり前ではないか!そこに私が入り込む余地がないのもまた考えずとも分かること。
ああああ!最悪だ。神頼みの代わりに今世の私頼みと自分の記憶を辿って私も中学からの友達がいないかを探ってみたが…検索結果ヒット数ゼロ!!くそっ!今世の私も出席日数は最低限。授業が終わったらすぐ家に帰りゲーム三昧といういかにも陰の者の生活を送っていたようだ!道理で肌が白いわけだ!色白美少女っていいよねと呑気に考えていた過去の俺を殴りたい!というかこの世界の顔面偏差値が高すぎるだろ!今世の俺の取り柄を返せ!!
…こほん。申し訳ありません。また取り乱してしまいました。
とにかく、こうして私の高校デビューは失敗してしまったのでした。話しかけようとした子達はみんな既にグループを形成しているようで、唯一私に話しかけてくれたピンク髪の子は陽キャオーラが凄すぎて逆にこちらが逃げ出してしまった。あの子には少し申し訳ないことをしたと思っている。…謝りに行くことはできそうにないが。
ただ、これだけなら私はぼっち飯を食べながら
そうだ。問題はまだある。むしろこちらが本命と言っていいだろう。
この世界の元ネタであろうブルーアーカイブというゲーム。謳うのは学園×青春×物語RPGだが……このゲームには銃が登場する。
「は?」となったブルアカ無知勢の諸君。そう思うのは正しいと思う。だって私も思ったもん。銃。明らかにそれらの謳い文句とは程遠い存在じゃん、と。
でも存在する。なんなら学生達が街中でこれをブッパするような世界だ。ふざけてんのか。
だが、それを扱う学生達も撃たれた程度では死なないくらいには身体能力化け物なため喧嘩道具としてはちょうどいい…のか?いや良いわけないだろ。
とまあそんなわけで?登校中は運良く出会わなかった銃を気軽にブッパするような不良生徒達。それに運悪く帰宅中に遭遇してしまった私は─────
まあ普通にボコボコにされたよね。というかそんなものが存在するなんて忘れてたし想像もできなかったし、抵抗手段──銃を私がその時持っていたとしても無理だ。元日本人陰キャオタクにそんな物騒なものが扱えるわけないだろいい加減にしろ!
こうして私は痛みを知った。そして学びを得たのだ。
お外怖い
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