引き篭もりアーカイブ   作:有機栽培茶

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久しぶりです皆様。(生存報告)
どうしてやりたいことが多いと逆にやる気がなくなるのか…あとエデン条約編はキャラ多いしストーリー読み返したりで描くのが難しい…(言い訳)
あとブルアカ新イベきますね。みなさんはどうしますか?私は有り金全部溶かします。


同じ屋根の下

 

「コモリちゃん…挨拶くらいは…」

「…………よろしく。」

 

 

 そう言って黒髪ダウナー系美少女引き篭もり地上最弱生物な少女は苦笑いをする先生の後ろに隠れた。補習授業部と言う名の括りに属する彼女たちの前に姿を現した時間は秒数にしてわずか4秒。あまりにも短すぎる。

 

 

「…この前お友達が欲しいって言ってた子は誰かなー?」

「む…む、無理…って力つよ…!?ま、待って、心の準備…というか、何で先生が知って…じゃない!そんなこと言ってない…言ってない……!そもそも…!先生が生徒の嫌がること、するのは、ダメだと思う…!」

「それもそうだね。」

「わ、急に離……へぶっ!?」

 

 

 べちゃっ

 唐突に終わった先生との攻防の影響で、そんな擬音と共に前に倒れ伏した少女が一人。

 

 諸君、久しぶりだな。私だ。

 

 一体今、私の身に何が起きているのかだって?

 

 …地獄だよ。ここはまさしく地獄だ。

 諸君は私が今日からシャーレの一室という名のエデンから追放され、先生共々トリニティのとある施設に住み込むことになったのは知っているだろう。ん?私が行くとは言ってなかった?ああ、先生が行くんだ。もちろん私一人シャーレに残るなんてできるわけないだろう?知り合いも誰一人いないんだぞ。私は先生が向こうに行ってから、用意とかなんやらで2日遅れで向かうことになったのだが……その間はひどく恐ろしかった。

 知り合いもいない、唯一顔見知り程度の存在であったミレニアムの女も、よく私の生息域に踏み込んでは勝手に掃除していき、不摂生が過ぎると怒る恐ろしい存在……私の命綱は今や先生が握っていると言っても過言ではない。

 

 で、そんなこんなでやって来たトリニティのとある施設。先生の担当する補習授業部とやらのために提供された今はもう使われていない旧校舎にきていると言うわけだ。いやあ、すごいな。トリニティは。流石はマンモス校等と呼ばれるだけあって、こんな立派な、それもまだ使えそうな施設をたかが1部活に貸し出すなんてな。まあ、不穏分子の監視と隔離にはもってこいと言ったところか。

 

 閑話休題。

 

 

 本題に戻るが、私と先生は補習授業部という現在ゲヘナトリニティ間の和平条約における不穏分子の欲張りセットのような者達が集められた魔境へと放り込まれたわけだ。

 

 もちろん、先生は彼女たちの安全性を保証してくれたし、私も独自の情報網を使ってそこに混ざっても殺されるようなことはないだろうと言うことは知っている。

 

 

 だが、重要なのはそこじゃない。

 

 

 そう、私が真に恐れているのは────

 

 

「じゃあその子も今日から一緒に補習授業部として勉強するってことですか?」

 

 

 ───既に出来上がっているグループに入ることのハードルの高さだ。

 

 

 諸君!君たちも一度は経験したことはないかな?クラス替え、もしくは進学で。新しいクラスなのに同じ学校だった、同じクラスだったと言うくだらない理由で既に組み上げられていたグループたち。そしてそこからはみ出し、除け者にされたもの同士でもなかなか会話が弾まず、結局休み時間は寝たふりをして過ごすことになると言う…あの地獄のような経験を───!!!

 

 

 …そう、まさにこの状況こそがソレ、だ…

 あ?なったことないからわかんない??さてはコミュ力強者か?てめぇ…

 

 

 あああああ、そうだぁ…きっとそうなんだ…既に組み立てられたこの5人のグループに馴染めず、私は一人寂しく引きこもることになるんだぁ…しかも普段の引きこもりとは違って、自分にコミュ力がなくグループに馴染めなかったと言う惨めな事実を背負って引きこもることになるんだぁ…

 

 

 そうやって私が床にディープキスしたまま目を濡らしていた時のことだった。

 

 

「ええっと…大丈夫ですか?」

 

 

 差し伸べられた小さな色白い手。

 顔を上げたそこには、クリーム色の髪をたなびかせるローツインテールの天使がいた。

 

 

「私は阿慈谷ヒフミって言います。あなたは?」

「…あ、新戸…コモリ…です。」

「これからよろしくお願いします!コモリさん!」

 

 

 ひっふみ〜ん

 そんな謎すぎる擬音が脳内に鳴り響くほどに、目の前の少女は光り輝いていた。

 …古い文献で目にしたことがある。魑魅魍魎のひしめく陽キャの国、キョウシツに…稀に現れると言う、あの、伝説の存在…

 

 オタクに優しいギャルの原点とも言える存在────陰キャに優しい陽キャは存在したのか!

 

 

「へぁ…あ、あの…よ、よろしく…おねがいしましゅ…」

「あのっ」

「ひゃい!?」

「コモリさんの着てる服なんですけど…」

「は、はいぃぃ…」

「数量限定火を吹くペロロジラTシャツじゃないですか!?」

 

 

 ………

 ………ふふ

 ふはははははははは!

 

 

「よく、ぞ…よくぞ気づいた…阿慈谷ヒフミ……否…同志、ヒフミ…」

 

 

 同じ志しを持つ者と書いて、同志…

 くくく…まさか簡単には見つからぬようにあえて大きめのパーカーの下に着ていたこのTシャツに気づくとは…やはり彼女は情報通り、いや!私の見込み通り私の同志たり得る存在だ!

 

 

「…ペロロジラ限定Tシャツ……可愛すぎる、このTシャツは…とあるイベントで、数量限定で売りに出される予定だったモノ……でも、ソレを狙った集団に工場を襲撃され一時期行方知れずに……その後業者の依頼によって現品は取り戻せたものの、既に複数はブラックマーケットに流され…残ったものは数枚のみ…」

「今やその価値はあり得ないほど高騰し、ソレを手に入れたものは全てを手に入れたも同然と言われるほどの────!!」

「その…とーりー…!」

 

「ふふふ、もうすっかり仲良くなってますね♡」

「…あれって、前の…」

「……っ」

 

 

 ばさぁ!と上着を脱いでその限定Tシャツを見せつける。

 ちなみにこれは確かにプレミア化はされてるが、そこまでの価値は……まあ、その場のノリというやつだ。私もこれ買ったわけじゃないしね。

 

 

「そんな…一体どうやってソレを…!」

「ふふふ、昔、仕事でね……でも、同志ヒフミ…貴方も、いいものを揃えてる…」

「え?」

「ペロロ様バッグに…ぬいぐるみ…キーホルダー…そこまで揃えるのは、大変、だっただろう…」

「で、でも…私はコモリさんのように限定品を手に入れることができませんでした…」

「確かに…同志のグッズは、全部、コモン…普通、is、ふつー……でも、重要なのは限定か否かじゃない……貴方の持つペロロ様グッズたちからは、ちゃんと、愛情を感じる…どれだけ、大切にされてきたのかが、わかる……私は…それこそが、真の価値に繋がるのだと、思ってる…」

「コ、コモリさん!!」

 

 

 がっしり!二人は強くお互いを抱擁した。これこそ同じ志を持つ同志を見つけた瞬間であった。

 

 

「同志ヒフミ……貴方に会えただけでも、私が、わざわざここにきた甲斐が、あった…だから、これを…」

「……こ、これは!限定ペロロジラTシャツ2枚目!?」

「そう…使用用と、保管用……流石に布教用と、護身用は貰えなかったけど、2枚は貰えた……そして、それを貴方にあげる…」

「…ええ!?だめですよ!それはコモリさんが頑張って手に入れたものなんですよね!?受け取れません!」

「構わない…これ、貰い物、だし……ペロロジラも、タンスの中にいるより、ちゃんと着てくれる人のとこにいた方が、幸せ……それに、私は、ウェーブキャット推し……これは、ペロロ様推しの貴方が、持つべき…」

「───!コモリさん!」

「う、ぐ…苦し……」

「そ、そうだ!私も今ウェーブキャットのぬいぐるみを持ってるんです!これと交換にしましょう!」

「そ、それは、良い考え……でも、その前に、離して……」

「あ!ご、ごめんなさい!」

 

 

 ごほっごほっ!

 死ぬところだった。本当にこの肉体は異常なほどか弱い。本当にキヴォトス人かと疑ったし、検査もしたけど…異常は見られなかったんだよな。

 

 

「……」

 

 

 しかし、こんな所でこれほどまでに素晴らしい同志を見つけることになるとはな。モモフレ好きに悪い奴はいない。ナギサのやつも愚かなものだ。こんな善人を疑うなど…

 

 

「……」

 

 

 そういえば、モモフレって結構有名なはずだよな…?かつての仕事仲間にも勧めてみたことはあったが、どうも皆好みではないと言ってな……なんなら知らないとまでいう奴もいる始末。…とある黒服野郎は知っていたが、まあそれは置いておいて…

 ……女子高校生という生き物はこういうものが好きなのではないのか?元男の私でも一撃で惚れたんだ。彼女達なら一発KOだと思ったんだが…

 

 ……それはそれとして

 

 

「…あの、同志ヒフミ……あの子は…?じっと見つめられるのは、怖い…」

「え?あ、アズサちゃん。」

「…あ、あずさ…?」

「…白洲アズサだ。よろしく頼む。」

 

 

 瞬間、私は素早い動きで先生の足の影に隠れた。

 白洲アズサ。記憶に新しい名だ。それもそのはず。ナギサの集めた不穏分子ーズの一人であり、その中でも、私視点最も怪しいと踏んでいる存在なのだから。

 

 ああくそ。油断していた。ここはトリニティの裏切り者とやらがいる可能性のある魔窟。先生とモモフレファンのヒフミさんがいるからと言って油断していいはずがない。

 ほら見ろ!あの瞳を!今にも襲いかかりそうな、獲物を見定めるような目を!

 

 こ、殺され……ん?なんか、見ているところが私じゃなくて…

 

 

「可愛い…」

「…へ?」

「可愛すぎる…!」

 

 

 なん…だと…?

 

 

「ペロロ様なのか?いや、だがペロロ様は鳥…炎なんて吐かないはず……まさか!ペロロ様は可愛いだけでなく鳥という枠組みを超越したと言うのか──!?」

 

「……まさか、同志ヒフミ…この者、も…」

「そうです!アズサちゃんもモモフレンズの良さを知った…コモリさんの言うところの同志です!」

「お、おお…おお…!!」

 

 

 そうか…そうだったのか!!

 

 

「それなら、早く言ってくれれば……モモフレ好きに、悪い奴は、いない…!」

 

 

 はあ、びびって損した!それどころか失礼にあたる行為ではないか!同志を疑い恐れるなどあってはならないと言うのに。

ナギサのやつも疑心暗鬼で目が曇っているらしい。こんないい子達を疑うなど。愚かとしか言いようがないな。まったく…私の中の脳内ナギサ株価はこの頃ずっと右肩下がりだ。

 

 

「…白洲、アズサ……いや、同志アズサ……これは、ペロロジラという…背中のトサカを見ればわかるように…ペロロ様とは、別物……だが、誤認するのも無理はない。ペロロジラもまた…ペロロ様同様に、最高に可愛いのだから……!」

「おお…これは、他のグッズはないのか?」

「あるにはある……だが、とても希少…このシャツのように、限定品が多い……」

「そう…か……それは、残念だ…」

 

 

 うぐっ!?そ、その顔は反則だろう!?

 …それなりに大切な宝物なのだが……仕方がない。同じ道を歩むことになるのなら、新人には優しくせねばなるまい。こう言ったものは、元からいるファンの性質もまた、新たなファン獲得の手がかりとなり、時にはそれを妨げる害悪なものとなってしまうのだから。

 

 それに、先ほども言ったが推しのグッズは、ちゃんとそれを推している者が持つのが一番だ。

 

 

「…仕方がない。」

「コモリ…?」

「コモリさん!?」

「あらあら…」

「!?!?!?!?」

 

「……ごめん…あいにく、持ち合わせが、この2枚だけしかない…だから、私のをあげる……やはり、推しのグッズは、それを推している人が、持つべき─────むっ!?」

「コモリちゃん!!人前で服を脱ぐのはやめようか!?」

「む、大丈夫……今はちゃんと下着を着てる…それに、この場で唯一の男である先生は私の裸体くらい、もう見てる……だから、問題───

「あるよ!?」

「えっち!変態!死刑!」

「コ、コハル!待って、これは誤解…!」

 

 

 なぜか先生の上着で包まれた。別に女同士で裸体を見せ合うことは問題ないはずだろう?便利屋のみんななんて夜の公園で、みんなでドラム缶風呂に入ったくらいだ。それに先生はシャーレで私の裸体くらい見慣れてるはずだ。シャワーの時何度か下着を更衣室に持っていくのを忘れたことがあるからな。まあ、もちろん怒られたが…

 

 

「ん、ああ、そうか…ごめん…汚いものを見せた……同志アズサ、この服も、ちゃんと洗ってから、翌日渡す…」

「いや、構わない。ただでさえこんな貴重なものをくれるというのに、さらに洗わせるなどできるはずがない。」

「そう…じゃあ、これを……」

「ダメーーー!!!」

 

 

 む、今度は何だ。

 

 

「変態!露出狂!あげるにしても洗ってからにしなさいよ!そもそも!こんなところで服を脱がないで!」

「…?どうして…?別に、ここはトリニティだし、ブラックマーケットみたいに、襲ってくる外敵もいない…先生もそんなこと、するはずがないし、問題ない……違う?」

「確かに、そうですよね?」

「全然違うし!あんたも混ざってこないで変態!」

「む、むぅ…」

 

 

 …まあ、確かに、いきなり服を脱ぐのは悪かったかもしれないと、くどくどと文句を垂れ流す目の前の少女、下江コハルとそれを私と一緒に聞く浦和ハナコを見つめる。正義実現委員会はいつから風紀委員会になったんだ?

 んー…これから彼女たちと一緒にこの施設で過ごすことになるのだから、裸なんていつかは見られるんだ。問題ないだろうと思ったのだが……まあ、情報上異常な変態として結論づけている浦和ハナコが私の行動に肯定的な態度を示す以上、これはいけない行動なのかもしれない。

 

 

「…ごめん、私が…間違ってた…」

「わ、わかればいいのよ!」

「次からは、人目のつかないところで裸になる…」

「そうじゃない!」

 

 

 ならどーすりゃいいんだ。

 

 

「…はぁ、まあいいわ。私は下江コハル。あんたも今日からここで勉強するんでしょ?まあ正義実現委員会のエリートである私はこんなとこすぐに抜け出しちゃうから、少しの間だけどよろしくね。」

「すでに知っているかもしれませんが、私は浦和ハナコです。まさかこんな所で貴方のような人にあえるなんて…これからよろしくお願いしますね♡」

 

「…え、あ、よ、よろしく…お願いします。」

 

 

 

「そういえばあんたは前回の試験受けたのよね?どうだったの?まあ?失敗したからここにいるんでしょうけど?」

「え…九十…八点、です…」

「………え?」

 

 

 ああ、そうか。自己紹介を忘れていたな。

 

 

 

「えと……と、トリニティ総合学園、3年生…新戸、コモリ……今日から、先生の補佐として、みんなのサポートをする、予定です……でも、めんどくさいから、わからないところは私以外のわかる人に聞いて……以上、です…」

 

 

 

 

「「……え、えええええええええええええ!?!?」」

「ふふふ」

「……可愛い」

 

 

 ……うるさい。




先生
トリニティの別館に住み込みへ。ストーリーは大体ミカから裏切り者について聞いたくらい。コモリの裸体を見た。コモリのことは手のかかる娘くらいの認識。

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