期間開いた上にこんな話ですみません。テスト期間なんです。
以下キャラ崩壊注意です。繰り返します。キャラ崩壊注意です。
夏は海。
以前、私と先生が過労でテンションが限界突破し理性が消滅していたあの時に出した話題の通り、海は夏の季語でありなくてはならない存在である。何せ私のような引き篭もりでさえも連想ゲームで夏の次に海という単語が思い浮かぶほどだ。
だがしかし。
「想像してたのと…なんか、違う…」
氷山が漂う海は果たしてそのイメージにあったものなのだろうか。いや、違うだろうどう見ても。
「…うん。避暑地にも程があるね。」
「避暑地…と、いうか…遭難……」
唖然と立ち尽くす先生と共に、明らかに水に触れたらダメなメカメカしいPMC兵たちがどこからか引っ張ってきたのか小船に乗って釣りをしている様子を眺めている。ちゃんと防水加工されてるのだろうか。
あの後、やっぱり寒かったのかカンナ局長を混ぜて焚き火にあたる私たちのもとにやってきた調査隊のPMC兵が報告した内容は、周囲に2つの探索スポットがあるということ。
一つは捨てられた炭鉱都市の跡地らしき場所と、そしてもう一つ。同じく捨てられた漁村だったであろう場所だ。
下手に別行動をして逸れたらまずいというわけで飛行船墜落地点からここまでの地図を作成しながら皆でやって来た。
やってきたものの…
「…どーしよっか…」
「………どーしよ。」
やることがないのである。
「釣れないなぁ…」
「おいアイム!貴様の竿引っ張られてるぞ!?」
「なんですって!?うおおおお……お、おお…」
「…ててーん。黒晶アイムは空き缶を手に入れた。そうかそうか。お前はそんなにガラクタを釣り上げて、船を重さで沈めたいのか?」
「違うんすよホムラさん!?わざとじゃないんです!」
元理事と情報屋sは元気に釣りに出かけ、黒服さんは漁村跡に残っていた紙切れなどを集めて机の上で睨めっこ中。カンナ局長も多分別のところで漁業に勤しんでいるのだろう。
やることがない…否。できることがないのは生身な上ヘイローもなく、万が一海に落ちてしまったら凍え死ぬ可能性のある先生と、ヘイローはあるくせに先生以上に「こいつ落ちたら死ぬわ」という確信を抱かれ止められた私たち2名だけだ。
医療品も温まるための燃料も今は貴重だからな。故に命の危険のある私たちはこうしてただ景色を眺めることしかできないのである。
「わー…しぇんしぇー…うみ、きれぇー…」
「ゲームがなくてコモリちゃんの理性が限界に!?」
「失礼な…そこまでの限界廃人じゃない、よ…多分…」
なんか手が震えてるけどこれはきっと寒さのせいだ。カンナ局長から借りたコートの上に元理事のマフラーまで借りて装備しているがきっとそうに違いないんだ。
「…コモリちゃん。」
「…なー…にー…?」
「先生ね…夏は海行きたいって言ったけど…」
「うん…」
「絶対これじゃない。」
「…私も、夏イベがこれなのは、反対…」
夏イベなんて絶好の水着披露イベでなんでわざわざ寒い地域で漁業しなきゃならんのだ。
「はぁ…ぼうず、ですねぇ…このままじゃ食べ物が…」
「む。おいアイム!あっちを見てみろ!」
「ん?あ、ラッコちゃんですね。」
「わ〜貝殻割ろうとしてる〜」
「か〜わ〜い〜い〜!」
「……はぁ」カチャ
「え、ホムラさん?銃なんて…」
「あ!」
「ああ!」
「ラッコぢゃーーーん゛!!」
「…うるさい。大の大人が泣くな気持ち悪い。ほら、これで俺たちの一食分はできたな。」
「人の心とかないんか???」
…なんか楽しそうだ。
「どう、する…?私たちも釣りする…?」
「だめだよ。…よりにもよってあの黒服の忠告に同意するのも癪だけど、コモリちゃんが釣りなんてしたら魚に引っ張られて逆に釣られちゃうから。」
「待って待って待って。先生?黒服?貴方たち私のことなんだと思ってるの…?
「…?引き篭もりの小動物。」
「黒い毛玉だろ?」
うわびっくりした!?元理事急に後ろから話しかけてくるなよ。
「…まって?黒い毛玉って──
「何か釣れた?」
「先生?遮らな──
「ああ。ガラクタが沢山に、ホムラが撃ち抜いたラッコちゃんだ。」
「……せ──
「ラッコって食べれるの…?」
「……」
「……さあ?」
「……食べれた、はず、だよ…」
「本当か!」
やっぱ聞こえてんじゃねーか。私はガシガシと元理事の脛を蹴りながらラッコ料理の説明をする。脛硬いわふざけんな。
「ラッコ……聞いたことがあるのは、鍋料理……正直、どこで見たかは、忘れたけど鍋料理なら、突っ込むだけだし、多分大丈夫。」
んー…?何で読んだんだっけ?ラッコ鍋なんて結構特殊な料理なのに。前世?いや、前世の私はそこまでおかしな食事はしていなかったはずだ。なら今世?それこそないだろうに。食べる機会すらないよ。
「まあ、とりあえずこれで今日の分の飯はできたわけだな。」
「…ま、確かに、残り少ない食料を消費するよりはいいか…な…?」
しかし本当にどこで仕入れた知識なのか。
「とりあえずガラクタを運びに行ったアイムたちを呼んで───」
元理事が物置小屋らしき場所にガラクタを捨てに行ったアイムたちを呼びに行こうとした───その時。
遠方に、手を振りながらこちらに向けて何かを叫びながら走ってくるという普段の行動とはかけ離れた姿の黒服と────────
「───雪崩です!!」
白い、白い。雪の波だった。
「はぁ…はぁ…生きてる…?生きてる…」
大急ぎで私たちは近くにあったできるだけ頑丈そうな小屋に駆け込み扉を閉めた。瞬間ドアや木で閉められている窓に何かが叩きつけられる様な音と隙間から入り込む冷気の音が鳴り響く。
吹雪?吹雪じゃねーってあれ!雪崩だろもうこれ!
「ふぅ……“仮称:レッドウィンター領奥地”を襲う暴風雪。先ほど目を通してきた資料の中にありました。」
「…し、資料?」
スーツについた雪を払いながら黒服は語る。
「アビドスにて頻発する砂嵐。先生は覚えていますよね。」
「……」
「おそらく、この暴風雪もまた同じ様なものなのでしょう。記録によればかつてこの土地にレッドウィンターとは別の学園が存在していた時代から発生し出した様で、定期的に起こる暴風雪は全てを凍りつかせ雪の下に埋もれさせてしまった……現在のアビドス同様にかつての学園もまた荒廃し、最終的に誰にも知られることなく消滅してしまった…とのことです。」
「それは…」
窓に打ち付けられた木材の隙間から外の景色を覗く。しかしそこに先ほどまでいた漁村跡は見えず、ただ見えるのは一面が真っ白に塗りつぶされたキャンバスのみ。一寸先すら見えない。確かにこんなものが頻発していたのなら一つの学園が消滅するのも無理のない話だ。
───ぐ〜〜…
「……む。」
「コモリちゃん大丈夫?」
「………お腹が、空いた。」
お腹の音を先生に聞かれたのが少し恥ずかしいながらも、空腹には耐えられず食料を欲して泣き止まないお腹をさすって部屋の中を見回す。
室内にいるのは先生と黒服。そして私と元理事の4人。他の奴らが無事かどうかはわからないが、今は祈るしかないだろう。
それよりも、腹が減った。情報屋どもやPMC兵の安否以上に、腹が減って仕方ないんだ。
「…ごくり。」
「?」
私は、元理事の手に握られたラッコの死体に目を移した。
───ぐつぐつ
熱せられた鉄製の鍋の上。沸騰したお湯の中で踊る、かつては優雅に海を泳いでいたラッコちゃん。彼、または彼女はその優雅な肉体美で死してなお私たちを魅了す────
「くっせ。」
くっせ。いや、語弊があったかも。独特な匂いだ。食べれは…するんだろう。納豆とか匂いはすごいのに味は美味しいし。世の中にはシュールストレミングなるものもあるらしいし───と、この時の私は特に疑問を持たなかった。
だが、今思えばそれは間違いだったのかもしれない。
「っ…なんか、変、ですね…」
黒服が目(にあたるであろう部分)を擦る。彼は今自らの体に異常が起こっていることを自覚していた。しかしそれが吹雪に当たったせいなのか。はたまた別のものなのかはわからない。
…彼の名誉のため、前述しておくが、彼はかつて研究のために小鳥遊ホシノを罠に嵌めその身柄を拘束したが、目的はあくまで神秘の研究。彼は決して小柄な体型の学生に興奮するような、
にも関わらず────
(どう見ても、コモリさんが色っぽく見えてしまう…)
「…ふぅ……」
彼は再度目(にあたるであろう部分)を擦った。
さて、観測者諸君は知っているだろうか?ある一部の民族には“ラッコの肉”という食材に関する面白い言い伝えが伝わっていることを。
その内容は───ラッコの肉を食べるときは必ず男女同数で部屋にいなければならない。
「黒服、大丈夫か?」
なぜなら───
パァン!!!
「おっと…またボタンが…」
「ぁ…!」
(この元理事……すけべ過ぎる…!!)
ラッコの煮える匂いは欲情を刺激し一人でいては気絶してしまうから……だ、そうな。
胸元のボタンを自慢の胸筋(?)で弾け飛ばすカイザーPMC元理事と、「ムッワァァ」という効果音を放つその胸元を見てごくりと唾を飲み込む新戸コモリ。今この瞬間、部屋はラッコの肉の煮える匂いに包まれていた。
「く…頭がクラクラする…」
「先生…!?大、丈夫…!?」
「よ、横になるべきです!今すぐに!!」
熱にやられたのか、先生が頭を押さえる。「あぁ…」という妙に色っぽい声を出しながらふらつく先生の体を元理事がシャツを大きくはだけさせた立派な大胸筋で支え、ゆっくりと床に寝かせた。
「胸元を開けて楽にしたほうがいいのではないか!?」
「下も、脱がせよう…!いや……全部!全部脱がせるべき!そうしよう!!」
黒服と元理事が先生の体を包むワイシャツという名の羽衣を、ボタンを一つ一つ丁寧に、しかし溢れ出る謎の感情を抑えながらゆっくりと外してゆく。
顕になる肉体美。美しくも六つに割れた腹筋に、その体を滴る輝く汗。脇腹にできた銃痕でさえその肉体を美しく飾り付けている。
先生は「はぁ、はぁ」と浅い呼吸を繰り返していた。
その時であった。がらら、と木製の扉が開けられる。
「冷たっ…!?く、服の中に雪が………」
私に貸したのとは別のコートを脱ぎ、さらにワイシャツを脱ぎ捨てスポブラ一枚になった金髪長身の女性──
「…ふぅ…皆。無事、だったか。」
「カンナ、局長……ゴクリ。」
カンナ公安局長が立っていた。
「カンナさん。」
「PMC兵たちと釣りをしていたのだが、突然吹雪に襲われてな…彼らとも逸れてしまった。」
「そうか…あいつら、無事だといいんだが。」
突然のことで対応しきれなかったのであろう。カンナ局長は釣具もあの時遠目で見た獲物も持たず手ぶらだった。
「それより…」
ちらりとカンナ局長が黒服にじっとりとした視線を移す。
「黒服……貴方、少し見ない間に、男前になったか…?」
「よ、よしてください…」
(かわいい)
(…かわいい)
(かわいい)
どんな感情なのか体に入った亀裂から漏れる光を増減させながら顔を背ける黒服に3人はほおをあからめた。
「…カンナ局長も…なんか…前より、生き生きとしてて、かっこいい…です…」
「そ、そうか?…ふふ、どうだ?元理事…」
「ぬぅぅ!」
コモリの言葉に顔を綻ばせた局長は、その腕を曲げて鍛え上げられた上腕二頭筋を元理事長に晒す。その上腕二頭筋は美しく、女子高校生でありながらも過酷な訓練と日々の鍛錬によって生み出された神秘と肉体美の詰まったそれは、ゲヘナのヒノム火山が如き威光を放っていた。
(なんだこの感情は…!抑えきれん…!)
(はぁ…はぁ…おかしい……こんな感情…初めて……なに、これぇ……どうすれば……)
「……」
かの山の威光に照らされた私たちの胸に燻っていた謎の感情はさらにその存在感を主張し、膨れ上がる。
浅くなる呼吸。
加速する鼓動。
上がり続ける体温。
そしてまるで私たちの心象風景を再現するが如く沸騰し続けるラッコ鍋。
抑えきれなくなるほどに大きくなったそれを、私たちは発散させる方法もわからないまま、苦しみ続けていた。
「…だめです。もう、我慢できません…!」
「っ…!」
そんな空間を破ったのは、立ち上がりながらトレードマークでもある黒服を脱ぎ捨てた一人の“男”であった。
「相撲をしましょう!!」
──なるほど、そうか!!
ピシャリ。まさに鶴の一言。この場の誰よりも知略に長けた男は、見事この感情の発散方法を見出したのであった。
───ぱあん!!
「ぬぅぅおおお!!」
「ぬふぅぅぅ!!!」
───ぱあん!!
「うおぉぉぉ!!」
「んあぁっああ!」
───ぱあん!!
「んぅああああ!」
「ぅっふぅぅぅ!」
「「「「んあああああああああ!!!」」」」
繰り返し上がる肉と肉をぶつけ合う音と、その度に上がる愛嬌とも叫び声とも取れる声。外気とは相反して「ムッワァァ」と熱のこもった室内はサウナの如く。汗水が混ざり合い互いの吐息を交わし合う。
全てを発散させた彼らは部屋の中央に倒れ込み、そしてそろってこう呟くのだ。
「「「「ごっちゃんです…」」」」
「…ふ、吹雪。いつのまにか止んでいたようですね。」
「………今日のことは秘密にしておきましょうか。」
「…そうしてくれると助かる…」
「いぅ…腰が、体が、痛い……」
「コモリちゃん。その言い方はまずい。」
その後私たちは妙に気まずい雰囲気の中、なんとか別の小屋に避難できていたらしいPMC兵たちと、なぜか互いに目を合わせようとしない情報屋の二人と合流して飛行船の残骸に戻った。
随分と長いこと吹雪に足を取られていたようで、戻った頃にはもう日が沈んでいくところだった。高く聳え立つ雪山の向こうに沈みゆく真っ赤な夕日。私たちはソレに、それぞれの想いを抱きながら……そして気まずい雰囲気のまま寝床についたのだった。
「コモリさん。少し話が…」
──夜中に声をかけてきた黒服と私を除いて。
こんなアホな回に5000字以上使っていると言う事実。
ラッコ鍋。実際はどうなるかは知りませんが最近読み始めた漫画に影響された話でした。媚薬もどきとか言う、これが発禁小説だったらアレな展開確定演出な状況ですが、黒服ならそんなことしないだろうと言う謎の信頼と、すけべ過ぎる元理事がどうしても書きたかったのです。
カンナさんはあんなことしない?…す、ストレスがたまってたのかもしれないじゃないですか。
【挿絵表示】
おふざけ欲求を消費したので次回から真面目に書きます。
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