引き篭もりアーカイブ   作:有機栽培茶

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いっぱいもらえた評価にほくほく。
便利屋イベント始まりましたね。私は溜め込んだ石を全て突っ込んで爆死しましたよ。ええ。星3一人も出ませんでしたよ。ええ。


情報戦

 

 薄暗い部屋の中、唯一の光源であるパソコンからのブルーライトを浴びながら一人少女は画面を睨みつけていた。

 

 

「…便利屋68…むぅ…わからない。」

 

 

 しばらく画面に映る資料を覗いていた彼女は姿勢を直し、すぐそばに置いてあった飲みかけエナジードリンクを口につけ飲み干した。

 

 

「…情報によれば…依頼人を爆破したり…オークション会場を爆破したり……ついには自分たちの事務所さえも…爆破……依頼の成功率は、控えめに言っても…高くは、ない。」

 

 

 マウスホイールを回して画面をスクロール。

 

 

「…一見すれば、ただのペーパーカンパニー……ヘルメット団以下……自分たちの、武器の扱い方すらわからない…素人の集まり……家賃すら払えず、テント生活をしていたという情報も…ある。」

 

 

 そこに彼女は「でも」と付け加え眉間を揉む。

 

 

「別の情報では…凄腕の傭兵…どこかのヘルメット団を壊滅させ……噂に聞く、シャーレの先生と快談している姿も……そして、ゲヘナの風紀委員を打ち負かしたという、噂も…」

 

 

 彼女、コモリはそれらの情報を素早くパソコンに打ち込んでゆく。

 

 

「そして…前回の依頼での接敵から考えると…」

 

 

 カタンッとエンターキーを押した。

 

 

「つまり…前者の情報は…フェイク……つまり、奴らが流した、偽・情・報……そして後者が、本物……!」

 

 

 そしてその顔に笑みを浮かべた。

 

 

「予想以上の大物…!おそらく…受ける依頼が少ないのは…本物の、情報にたどり着いた者からだけ…受けているから……?!依頼失敗が多いのは…依頼主がグルで返り討ちにしたから……?!なる、ほど…!情報が、情報がほしい……たぶん、後者の情報にもフェイクは入っている…私なら…そう、する…」

 

 

 すぐ横で鳴り響く依頼受付用の端末を叩きつけて黙らせる。ますます早く、そして大きくなっていくキーボードを叩く音が、彼女の気分の高揚を表していた。

 

 

「情報……ゲヘナのネットワークをハッキング……いや、リスクが大きすぎ問題……風紀委員長は、怖い……敵に回すのは下策……」

 

 

『はぁ…めんどくさい』

 いつか聞いた熱を感じさせないその声を思い出して震える。

 

 

「…チートキャラ反対………ならシャーレ……?あそこなら全生徒分の情報があるはず……でも、不可能……あそこのセキュリティは、異常……同じ理由で、連邦生徒会も、却下……」

 

 

 あの時は逆探知されて居場所がバレかけてビビったことを思い出す。

 

 

「…………なら、自分で集めれば、解決?」

 

 

 少女は天才的な発想だと得意げに笑った。

 

 

 

 

 

 

「や。みんな元気?」

 

「先生!」

「あ!せんせー遊びに来たのー?」

 

 

 場面は打って変わって便利屋達の事務所に変わる。

 便利屋としての収入に似合わないほど豪華な、しかしよく見ると、ところどころにボロが出る彼女達便利屋68の事務所に一人の大人が訪ねてきた。

 

 具体的に言えばぼさついた髪に過労の影響であろう目の下の隈。そして細めの目にメガネという、なんというかこのキヴォトスにおいて非常に珍しい人間の男性という見かけに驚く以前に『なんかこいつ裏切りそうだな。』という印象を受けさせるような見た目である。あと一部の人たちに刺さりそうな見た目である。

 

 しかし、なんとこの方こそ噂に聞く“シャーレの先生”であり、彼女たち便利屋68の経営顧問…とされる人物である。学園を問わず生徒たちからの信頼も厚く、彼と面識のある者に『このキヴォトスにおいて最も信用できる人物は誰?』と聞けば100人中100人が『先生』と答えるだろう。たぶん。知らんけど。

 

 つまり彼、先生は見た目の割に立派な大人というわけである。やつれているのは多忙なシャーレの仕事に追われていたせいだと思われる。

 

 

「そういえばモモトークですごい依頼が来たって言ってたけど、大丈夫?」

「あ!そうよ!そのことについて話さなきゃ!」

「だね〜!アルちゃんが珍しく活躍してたもんね。」

「珍しくって何よ!?」

「あ、アル様はいつも凄いです!」

「はぁ…でもアレは本当にすごかったと思うよ。」

「へー?」

 

 

 彼女たち、主にアルが熱心に自分たちの活躍を語った。とは言ってもくしゃみの部分を自分の“勘”で依頼主を守ったということにしたが。というかその部分を変えたら活躍の大部分が変わってしまうのだが、先生もその部分が誇張されたり事実と違ったりすることは後ろに控える二人の反応から察していたようだが。

 

 

「掃除屋…ね。」

「そうよ!先生も聞いたことあるでしょう?あの伝説の傭兵の名を!そして!私たちはそれを見事撃退したのよ!」

「狙撃を一発防いだだけだけどね〜」

「しかもたまたま。」

「…そ、それでも撃退したのは事実よ!」

 

 

 その話を聞いて先生は少し考えるようなそぶりを見せる。

 

 

「掃除屋…彼のことは私も知ってるよ。というか、シャーレで追っている要注意人物の1人だ。生徒たちの中からも被害が出てるからね。アルも次彼に出会ってもそんな無茶はしちゃダメだよ。私はアルに危険な目にあって欲しくないからね。」

「う……わ、わかったわ…」

「それはそれとして、よく頑張ったね。」

 

 

 はわわわ!と目をきらめかせる彼女を横に先生は考える。掃除屋と言えば金さえ積めばどんな違法な依頼も受けてくれ、その達成率は驚異の100%。姿形も不透明。風紀委員長とも一戦を交えたこともあり、彼女でさえも捕えることはできなかったという。

 そんな人物が、『依頼達成率100%』という看板を壊されて黙って見逃すだろうか?

 

 …看板とは商売道具だ。彼らの扱う武器と同じように、それも客を集めるための大事な物だったはず。

 

 十中八九、彼女たち便利屋68は目をつけられたと考えていいだろう。掃除屋という危険人物に。そして、彼を撃破したという事実に注目する裏社会の大物たちに。

 

 先生はしばらく彼女たちの周りに注意してみよう。そう考えた矢先だった。

 

 

 ピンポーン

 

 

 事務所のインターホンがなった。

 

 

「あら?お客様かしら?」

 

 

 その音を聞いてまた依頼が来たのかとアルが真っ先にかけて行く。

 

 

「…嫌な予感がする。」

「待ってアル。外の様子を確認してから───

 

 

 それに危機感を感じた先生が止めに入った。いきなり襲撃など、そんな派手なことを噂の人物がするとは思えないが万が一のこともある。彼女たちは今狙われる立場にあるのだから。

 しかしそんな先生の思いも、間に合わず──

 

 

「へぁ?」

 

 

 すでに彼女がドアノブに手をかけ、思いっきり開けたところだった。

 

 そして、それと同時に銃撃が彼女を襲う───なんてことはなく、何かに扉がゴツンッとぶつかる音が鳴った。

 

 

「あぅ…!?」

 

 

 そして続くバタンという何かが倒れる音。

 

 急いで駆け寄ってきた先生たちが目にしたのは少し変形したドアと廊下に倒れ目を回す、サイズの合わないシャツとフード付きの上着を身につけた小さな黒髪の少女だった。

 

 

 

「……とりあえず部屋の中に運んであげようか。」

 

 

 

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