引き篭もりアーカイブ   作:有機栽培茶

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水着シロコどこ…ここ…?

アイム君には後々原作キャラにはさせられない重要な役目を担ってもらいたいからね。交流を深めて仲良くなってもらうね。


分断と発見と爆発と

 

「す、すごい…!本物の戦艦だ!でっか!アロナ写真を…ってそうだ。奪われてたんだった。カンナちゃんカメラってない?」

「…すみません。残念ながら…」

「アイムちゃん!」

「なーいですねぇ…」

「そんなぁ…」

 

 

 地面に半分ほど埋没した、アニメなどに登場するような戦艦にジェットを付けた空を飛ぶことができる『飛行戦艦』の、ようなものの周りをハイテンションで走り回るのは大の大人である先生。

 

 大人のくせに子供っぽい…と、馬鹿にすることは私にはできない。なぜなら、この私、新戸コモリもまたこのようなロマンには弱いのだから。

 何せこの飛行船を見つけて最初に思ったのが『これを使えば帰れる』だとか『これを売れば何円になるんだろう』などではなく───

 

 

「すごく……おお、きい……です……っ!」

 

 

 ──だったのだから。

 

 全長約400M。前世に存在した世界最大級の戦艦ミズーリ270Mの約1.5倍なのだから。でかいとしか言いようがない。外見は戦艦にスペースシャトルのようなアフターバーナーを後ろにブッ刺し、でかい戦艦を飛べるような形状に装甲で囲い、さらに砲台を増設したような形状。まさにロマン。なんでこんな頭の悪い形状で空を飛べるのか──そもそも埋没した状態のため本当に飛べるかどうかは不明だが──と言ったような外見だが全てはロマンが解決してくれる。はずだ。

 

 

「…いい加減に話を進めましょー?なーにが飛行戦艦ですか。ただのガラクタ。鉄の山じゃないですか。ほらぁ、カンナさんも暇そうにしてらっしゃる。さっさと通信機がないか探しましょー?」

「わ、私は別に暇してなど…」

 

「…ガラクタ、だと?鉄の山、だと?」

 

「ええ?そうでしょう?何を怒ってるんです?」

 

 

 …この雌犬が。

 

 

「お前には…わからないのか…!この、ロマンが!この戦艦が、空を駆け、あの太い砲台で撃ち合う……かっこいい、そうでしょ…!?」

「いやわからないですけど。」

「……このっ!わからずや…!」

「いた!?ちょ、叩かないでくださいよ!?」

 

 

 何でわからないんだこのかっこよさが!戦艦はかっこいいだろ!?主砲から放たれる極太ビームに主人公の駆る機体を圧倒するデカさ!突艦してもよし!T字有利をとって一斉射撃をしてもよし!なんなら墜落する様すらかっこいい!全てがかっこいいというのに!

 

 

「…まあ、いい。そろそろ話を進めないと時間がない。」

「うわぁ!?急に冷静になるな!?」

 

 

 側頭部をポンポンっと軽く叩くとカアっと熱くなっていた思考が冷めてゆき怒りに狭まっていた視界がクリアになる。

 

 びーくーる。冷静に行こう。

 

 まずこの飛行戦艦だが、外装の様子からこの廃都市のように何十何百年前のものというわけではなく、数年前に作られたものだということがわかる。大体私が“私”になる前…そして私が完全なる「ぱーふぇくと引き篭もりすと」になる前にこの船は作られ、そして墜落したというわけだ。

 

 ……なのだが、私はこの船の情報を全くと言っていいほど持っていないのだ。これほどまでに大きな船、それも従来の技術とは全く異なった形態のものが使われているような船がなんの情報もないなんてあり得るだろうか。それも墜落…つまり行方不明になっているにも関わらずだぞ?

 

 秘密兵器という線もない。もうみんな忘れてるかもだけど私はただの引きこもりではなくプロの傭兵だ。そう言ったものに関する情報は世間一般的な情報以上に知り尽くしていたはずだ。

 

 にも関わらず…なのである。

 

 

「まあ確かにかっこいいとは思いますけど…」

 

 

 それに、隣で呑気に見上げているアイムは情報屋を自称するだけあって私と同等かそれ以上の情報収集能力を持っている。だというのにこの船のことを見た感じ知らないようだ。

 

 

「……キヴォトスの外から降ってきた…?」

「はい?」

 

 

 確かにそれなら知らないのも無理はない。と考えたところで思考を止める。これ以上考えていても仕方がない。今重要なのはこの船に通信設備が残っているか。そして動くのかである。この船自体が生きているのならそれに越したことはないがひとまずは既存の任務からこなしてゆこう。

 

 

「……カンナさん、は…先生を連れてきて。」

「わかりました。」

「コモリさん?」

 

 

 私はその黒く聳え立つ外壁に近づき、扉も何もないその壁に手を置き─────

 

 

 

「縺イ繧峨¢縺斐∪」

 

 

 

 ────その手を置いた地点に幾何学的模様が広がり、そしてまるで私を招き入れるが如く亀裂が走り扉が開かれた。

 

 

「なにしてるんだ?早く行こう。」

 

 

 私は後ろで呆然とこちらを見つめる少女に手を伸ばして、そして───

 

 

 

 

「…貴方、何を……?」

 

「……?何?私の顔に、何かついてる?」

 

 

 なぜかアイムが私の顔を変な表情で見つめてくる。何その顔面白。顎外れてない?

 

 

「は、はぁ?顔に何かって、貴方ねぇ…!」

「…え、なに、怒ってる、の?私何か……ってうわ!?」

 

 

 ズカズカと大股でこちらに近づいてくるアイムに驚いて一歩後ろに足を下げたが、何かにぶつかってそのまま体勢を崩してしまう。そのまま私はのけぞるように後ろ側へと倒れてゆき───頭と地面がゴッツンコする前にアイムによって手を掴まれて引き戻された。

 いてっ。なんだこれ鉄板か?いや胸か。

 

 

「あ、ありがと……」

「貴方今失礼なこと考えてませんでした?」

 

 

 硬すぎんだろ…これまじ?下半身に対して上半身貧弱すぎない?下半身も言うほどないか。

 

 

「それが助けてあげた人に他する態度ですかねぇ!?」

「ええ…いったじゃん…お礼……」

「そうじゃなくて……はぁ、もういいです!」

 

 

 そ!れ!よ!り!も!、と苛立ちを隠そうともせず彼女は私に詰め寄った。

 

 

「貴方今何したんですか!?この飛行船のこと知っていたんですか!?」

「え…私、なんかやっちゃい……ぇ?あれ…ここって…飛行戦艦の、なか…?開いたの…?」

「ええ!ええ!開きましたよ!貴方が開けたんですけどねぇ!?」

「……いつの間に…?」

「はぁ!?いつの間にってついさっき…───

 

 

 

 ────…まさか、貴方記憶がない?」

 

「……うん。」

 

 

 

 途端にアイムは抱きしめた状態の私から飛び退くように離れ、ズザザザと擬音がつきそうなほど慌てて後退した。

 

 

「ホッ、ホホホホ、ホラー展開はやめてもらっていいですかねぇ!?!?」

「ほ、え、なに?」

「なに?じゃねーんですよ!じゃあなんですか!?さっき私に話しかけてきたのって誰なんですか!?幽霊!?幽霊なの!?呪われてるの!?」

「お、落ち着いて…」

「わ、私のそばに近寄るなぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」

 

 

 完全なパニック状態である。

 

 

「おーい二人ともー!」

 

 

 そこに登場する、随分と遠くまで行っていた様子の先生と疲れた様子のカンナさん。対照的に先生はツヤツヤしている。

 先生、先生──それは生徒の味方であり拠り所。どんな人間でも生徒である限り彼は必ず味方であってくれると言うのはかなり有名な話であり、原作知識抜きにしても裏社会の私の耳にすら届いてきた噂話。

 

 つまり、恐慌状態の情報屋の耳にそれが届いているのも必然で。

 

 

「せ、先生!!助けてください!!」

 

 

 当然助けを求め駆け出そうと立ち上がる。

 

 ──瞬間、私に電流が走る。もしくは“嫌な予感”とでも言い表せるものがよぎった。

 

 

「まって!」

 

 

 走り出そうとしたアイムのワイシャツの裾を思いっきり掴み、それによってアイムは体勢を崩してそのまま倒れ─────ることはなく。

 

 

「んぎゃ!?」

 

 

 びたーんと目の前の壁に顔面から衝突した。

 

 そう、“壁”である。

 

 

「いてて…な、何をって暗!?」

 

 

 そこに先ほどまであった穴はない。正確に言えばなくなってしまった。丁度いいアイムが外に逃げ出そうとしたその瞬間、元の形に戻ろうとするように窄まりただの壁となってしまったのだ。

 

 つまり、彼女がそのまま走り出そうとしていればその壁に体を両断されていたわけである。

 

 

「…ん。」

「は、はぁ?」

「…感謝、は?」

「はぁ!?!?するわけないじゃないですか!?貴方のせいで閉じ込められたも同然なんですよ!?ほら!さっき言ってた変な言葉でまた開けてくださいよ!?」

「……こ、言葉?」

「う、嘘ですよね!?」

 

 

 嘘だと言ってくれと体をものすごい勢いで揺すられる。が、しょうがないだろ。知らないものは知らないんだ。そもそも記憶がないんだ。私が開けた?この船を?こちとら初見さんなのにどうやって開けるんだ。

 

 

「ああああ…なんで、なんでこんなことにぃ…」

「お、落ち着いて…?まずは、明かりを確保、しないと…何があるかわからない…」

「そうですね…ちょっと待って、うきゃ!?」

 

 

 ガッシャーンと何かにぶつかってこける音がした。ほら言わんこっちゃない。

 

 

「うぅ…コモリさん、ハンマーとかってあります?」

「ない、よ?貴方たちにぼっしゅーされたから…」

「ま、そうですよね…痛むかもしれませんが銃底でいいか…」

 

 

 ガンっという金属音と同時に一発の破裂音が艦内に響く。と同時に生まれる火種と照らし出される周囲の光景。どうやらアイムは銃底で銃弾を叩いた衝撃で発火させ、集めた布切れなどに火をつけたようだ。後はそれをその辺に落ちていた棒の先にくくりつければ即席の松明の完成である。

 正直人間業じゃないと思うが…神秘に包まれた怪力キヴォトス人だからこそできる芸当である。ちなみに多分私じゃ無理。

 

 

「…ひとまず、どこかに出口がないか探しましょうか。」

「ん…りょーかーい…」

 

 

 靴底を鳴らしながら進むアイムの後ろについて私も歩く。進むうちに気づいたが、艦内には至る所に銃痕や何かの引っ掻き傷、大きく破壊された箇所まで見受けられ、なんらかの戦闘行為が行われていたことが分かった。

 北極…とはいかないまでもこんな極寒の地に遭難して、食糧も物資も碌にない。ドレッ◯ハンガーみたいな奪い合いでも怒ったのだろうか?

 …そうだとしたら本当にアイムが言った通り幽霊がいてもおかしくはないかもしれない。幽霊さんがこの寒さに耐えかねて素直に成仏してくれていることを祈るばかりだ。

 

 

「………ぜぇ…はぁ…つ、疲れた…」

「そろそろ休憩しますか?…そんなに歩いてないはずなんですけどねぇ…」

「休憩…そうしよう。今すぐ、しよう…!」

 

 

 息が上がる。もう何百メートル歩いただろうか。私はもう死ぬのかもしれない、と思ったところで差し伸べられる救いの手。あれ…こいつこんないい奴だっけ…?

 チョコバーが美味しい…非常用で食感も味も普段なら微妙に感じるであろうこれが、極限状態にあった身体に染み渡る…

 

 

「…うめ…うめ……」

「おかわりもありますよ。」

「優しさが身に染みるぅ……」

 

 

 うめぇ…うめぇよぉ……モッモッと口に次々と差し出されるチョコバーを含んでゆく。その時だった。少し遠くに、ぎりぎり松明の光が届かないあたりに何か光るものが見えたのは。

 

 

「んむ…ね、あれ……」

「んー?なんでしょうか。ただの瓦礫じゃないですか?」

「…気になるから、ちょっと見てきて…」

「私が行くんですね…」

 

 

 よいしょっとなどとおじさんくさい掛け声とともにたちあがったアイムがそちら側に歩いて行き……背後に置かれたきゅうりに気づいた猫のように飛び上がった。

 

 

「こっここっこっこここここ!!!」

「にわとり…?」

「違います!コモリさん!これって…!」

 

 

 異様に焦っているアイムの様子が気になって、私は食べかけのチョコバーを口に咥えたまま立ち上がってそちらに向かった。

 

 そして、目にしたのは壁に背を預け動かなくなったボロボロのオートマタの残骸であった。

 

 

 ────ようは死体である。

 

 

「あー…死体…?だね…?」

「なんでそんな落ち着いてるんですかぁ!?」

「いや…まあ、見慣れてるし…?」

 

 

 それに前世の価値観を持つ私からすればロボットの残骸なんて“わーかっこいい”程度にしか思えない。今だってそこら辺を歩いてるロボットが“大人”として振る舞うことに違和感を持つくらいなのだから。

 ロボ差別?口に出してないんだからいいだろ別に。

 

 

「…形状、は……カイザーPMC製のものに酷似…でも、違う…?カイザー製ではない。」

 

 

 残骸に残された情報からこの機体の正体を探っていく。もしかしたらこの飛行戦艦の正体がわかるかもしれない貴重な情報源だ。

 

 武装はおそらくAK-47。有名な銃だな。壊れてはいるが私も使ったことのある優秀な銃だ。機体の形状は一般的な、それこそ元理事が連れていたような兵士に酷似している。だが内部構造が明確に違う。PMC製の単純な量産を目的とされ、軍として扱うことを前提としたようなものではなく、一体一体がまともな戦力として使えるような性能。かなり優秀なエンジニアが作り上げたように見え───

 

 

「…いや、まて……」

「コモリさん?」

 

 

 …私は、この構造を見たことがある。否。正確に言えばこの内部構造から見える“製作者の癖”が、別のどこかで見たことがあるのだ。いつの記憶だ?思い出せ。私は、これを、いつ、どこで、誰が────

 

 

「…そう、じや…?」

 

 

 

 ───私、なのか?

 

 

 

「コモリさん!!」

 

 

 アイムの鋭い呼び声が響く。思考の渦から無理やり引き上げられ、そして気づく。立ち上がっている、残骸だと思っていたロボットとその手に握られたアーミーナイフ。その切先が私へと真っ直ぐに向けられていることに。

 

 

「うわっ!?」

 

 

 私が手で頭を守ろうと動くと同時に、ロボットの頭に叩きつけられるマークスマン。アイムだ。

 彼女はそのまま体勢を崩したロボットへ馬乗りになり、腰から取り出した拳銃──ピースメーカーの引き金を引く。

 

 鳴り響く銃声に立ち上がる硝煙。

 ロボットはビクンと大きく痙攣をして、今度こそ正真正銘の残骸へと成り果てた。

 

 

「ふぅ…」

「あ、ありがと…」

「ええ。油断なんて貴方らしくない。」

 

 

 差し伸べられた手を取って立ち上がる。

 

 

「…意外と、動けたんだね…?非戦闘員仲間だと思ったのに…」

「ええ。これでも元SRT所属でしたからね。…くっくっく。今はなき“ウルフ小隊”のスーパーハッカーとは私のこと…!あの日、私は…」

「長くなりそう?残骸…まだ情報が残ってるといいけど…」

「あ、興味ない…そう…」

 

 

 頭部を撃ち抜かれて完全にぶっ壊れてしまったロボット。これじゃあコンピュータに繋いで情報を抜き取ることもできなそうだ。だがまだそれ以外から得られる情報はある。例えば首元にあるパーツ。もし、予想通りであるのなら、そこに数字が書かれているはずだ。

 

 …ほらな。あった。

 

 

「ん?なんですかこれ?」

「…製造された年と、月に、日にち。」

「ああなるほど。………は?いや、いや…待ってください?」

 

 

 

 それはおかしい。彼女は冷や汗をかきながらこう言った。

 

 

 

「だってこれ…」

 

 

 

 ────未来の日付じゃないですか。

 

 

 

 

 その時だった。鼓膜が破れるような爆発音に吹き飛ばされそうになるほどの爆風。そして艦内へと吹き込んでくる凍えるほど冷たい外の風。そして今度こそ爆発によって残骸すら無くなってしまったロボット君。

 

 

「ちょ、ちょっと!中に入る手段を探そうとは言ったけど爆破したら寒さを凌げないじゃない!?」

「ひぅ!?ご、ごごご!ごめんなさい!この命を持って償いを…!」

「やめなさ───ってコモリ!?それに情報屋のアイゼン!?」

「アイムです。」

 

 

 開けられた穴の向こうには、私が会いたくて仕方のなかった人々の影が四つ、立っていた。

 その姿に私は先ほどのシリアス展開すら忘れてしまうほど興奮、そして視界が涙で歪むほどに感動することとなるのだった。

 

 

 

「ア゛、ア゛リュさまぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 




やっと主役の登場だぁぁぁぁアル様ぁぁぁぁぁ!!!
ほらオリキャラなんてどっかいけ!これは二次創作なんだよ!おら!

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