この度はお騒がせしました。
返事は来ませんでしたが、みっともなく続きを投稿していくことにしました。
今後はこのような問題行動を起こさないよう猛省し、慎重に行動する所存です。
それでは、臨時投稿の完全版です。
「おぉぉ〜……おかえり『スーパーウルトラ酒呑童子EX』ぅ……無事だったかぁぁ…………ていうかむしろ、ライブ前より綺麗になってない?」
「酔い過ぎですね」
「そうかなぁ……」
──内心、舌を巻いた。
愛機を置き忘れた時点で、オレの彼女に対する心証は最低近くまで落ち込んでいたが……まず回収したベースを診て、評価を改めた。
驚くほど、傷が無かったのだ。彼女自身には、あちこち打撲や擦り傷があったのに。
件の居酒屋は、走ればすぐの場所にあった。*1つまり彼女の拠点である新宿から
廣井さんは、ちゃんと
「……というか後藤さん、結局しじみ汁買ってたのね」
「あっ、一応……」
「その優しさは尊敬するけど、あまりベーシストを甘やかさない方がいい……エサを貰った野良猫の如く、取り憑かれることになる……」
「ベ、ベーシストで一括りにしなくても……」
「オレ、
「や、山田くんとリョウさんはマトモだと思いますけど……」
「ええ娘じゃ……
「え、あっ、ありがとうございます……」
しかし、姉貴がマトモ……? 後藤さんの前でどんだけ深い猫を被ってるんだか。
「うぇーい遠回しに私だけ『マトモじゃない』って言われた……ヤケ酒しよ──」
「いやどんだけ持ち歩いてんですか。没収です」
「うぼぁー」
「……で、もう自力で帰れそうですか?」
「あー、うん。それは大丈夫だけど……キミたち、これから路上ライブするんでしょ?」
「えぇ、まぁ、そうですけど……?」
「──私も手伝うよ?」
「えっ、あっ、だだだ大丈夫ですよ!? ベースなら山田くんがいるので……!」
「いや後藤さん、待って。
廣井さん、今日演る曲……オリジナルなんですけど」
「──そこは問題じゃないかな。曲そのものの難易度は?」
「アナタなら問題ないかと」
「うぇぁっ、山田くん!?」
「大丈夫だよ後藤さん。奏者としての廣井さんは、信頼していい」
「え、えぇ……?」
「それに、いざとなったらオレが止めるから」
「まぁ、それなら……」
「へっへっへ、ひとりちゃんの疑心暗鬼に染まったその目──羨望に染め上げちゃうからね〜?」
渦巻の瞳は既に、舞台上のカリスマ性を取り戻していた。
*
昔から、何度も同じ夢を見ている。
目覚めると、忘れてしまうのだけど。確かに同じ夢を見せられている。そういう確信があった。
──〝あんまり『自分の正体』なんて気にしない方が良い〟
言われるまでもない。
だが
本来、オレと後藤さんの共演は保留だった。*3
コレは『結束バンド』の宣伝ライブだ。メンバーではないオレが共演するのは、あまりよろしくない。
では何故、廣井さんの飛び入りを許したのか。
それは『ソロなら最強』『合わせは最弱』な後藤さんに、
あぁ、そうだとも。
──そんな
解っている。この行動は合理的じゃあない。
姉を、想い人を、友人達を大切に思うなら、矛盾しているとさえ言える。
今からオレは、彼女らの心を折ろうとしているのだから。
「──機材の設置、終わったよ〜」
「……あ、あの、えっと、山田くん……大丈夫、なんだよね?」
「任せて」
廣井さんの伝手で追加してもらったマイクの高さを調整し、頷く。
オレは今回
「普通に弾くだけでも、結構難易度高めに作られてると思うんだけど……」
「大丈夫。
「???」
「…………」
「──山田くんが、ボーカル……?」
「恭助、何を……?」
……案の定、虹夏ちゃんだけじゃなく姉貴と喜多さんも来てるな。好都合だ。
「後藤さん、今日は思いっきり先走っていいよ。
「────。ついて来れるんですか?」
「違うね。今日はキミが追う側だ」
「ちょっと、二人共? 敵を見誤ってない?」
「どうせ見誤るなら、突っかかっても問題無い奴にした方がイイでしょう?」
「──ふぅん、敢えてね? ならもう、演っちゃおうか」
「MCはダレないよう簡潔に。その後足踏み4拍。5拍目から演奏開始で」
「準備はできてます。山田くん、MCお願いします」
「OK。じゃあ──」
〝クレイジーダイヤモンド〟
────