本作での虹リョウ及び恭助くんの口調について。
リョウさん:原作で10歳時点の様子が少しだけ描かれているのですが……そこでの台詞を見る限り、彼女の内面はかなり早い段階で成熟していたのではないかと予想しております。なので9歳時点でもかなり大人びた口調をイメージ。
虹夏ちゃん:特別編時点で9歳。原作での口調、態度は年相応なイメージでした。ただ展開の都合上、どうしても本作ではリョウさんに引き摺られて精神年齢高めな描写になってしまっております。己の力量不足が憎い……
恭助くん:三人の中では最も(良い意味でも悪い意味でも)子供らしい存在。意地悪な大人に強引な方法で精神を揺さぶられて、馬鹿正直に成長しようと背伸びしている少年。この時期は『不安定さ』をイメージしております。
それはそうと伊地知母生存if増えろ。増えて(泣)
詳細は原作五巻特別編をば。
私には、12歳年の離れた姉がいる。
ぶっきらぼうで、冷たくて。でも本当は、すっごく優しい。そんな姉は──『バンド』を始めて、変わってしまった。
家には滅多に帰ってこないし、帰ってきても遊んでくれなくなった。こないだなんて約束をすっぽかした上、謝らないどころか『知らん』と言い放たれた。
そして何より、『目』だ。
心の底から『邪魔』と言いたげな、恐ろしい目を向けてくるようになった。
だからもう、私の家族は母しか残っていなかった。
『祖父母』も『叔父叔母』も
母だけだったのだ。私を『家族』として見てくれたのは。だから、だから──
母が『玉突き事故の巻き添え』で救急搬送されたと聞いて、血の気が引いた。
意識不明の重態だと聞いて、頭が真っ白になった。
『助からないかもしれない』と聞いて──
『お願い恭助くん、お母さんを助けてッ……!!』
藁にも縋る気持ちで、彼に頼った。
──三日三晩の昏倒。
当時、思わず『え?』という声が漏れた。
子供だった私は、『力には代償がつきもの』という認識が無かったのだ。
彼は現実を生きる人間で、魔法使いでも神様でもない。都合良く、無償で全てを解決してくれる存在じゃあない。そんな当然のことを、理解していなかったのだ。
なのに彼は、目覚めてすぐに『ごめんね』と言った。気絶するまで頑張ってくれたのに、彼は彼自身を責めていた。
何一つ見返りなんて求めず、あまつさえ『絶対に治す』と。『待ってて』と──次は気絶で済むかどうかも分からないのに、誓ってくれたのだ。
……そんな彼に、私は何を返せるだろうか。
*
「だからね、恭助くんにお礼をしたいんだけど……何してあげたら喜ぶかな?」
その内容を、彼の姉であり、私の
「…………本人に直接聞いて」
「そんなこと言わずにさぁ、ちょっとは考えてよ……」
「考えてるよ。
「……もしかして、喧嘩でもした?」
「喧嘩っていうか……反抗期、みたいな」
「反抗期?」
「うん。私の前では比較的普通なんだけど、親に対する当たりが強くなった。あと、一人称もいつの間にか『オレ』になってたし」
「…………」
なんだろう、反抗期との関わりは解らないが……凄く心当たりがある。
具体的に言うと、彼の一人称が変わったタイミングを知っている。
「……ちなみに『当たりが強い』って、どのくらい?」
「親の作ったご飯に手を付けないで、野草を食べて凌ごうとするくらい」
「え……」
想像していた百倍くらい深刻な問題だった。
「一回それでお腹壊してからは、諦めて普通に食べるようになったけど……他にもあって」
「……うん」
「親からのお小遣いを『いらない』って拒否して、今までの貯金ごと全部私にくれた」
「……かなり本気だね」
「でも親が嫌いになったとか、そういうのじゃないみたいで」
「そうなの?」
「家事の手伝いとかは、むしろ前より積極的になった」
「それは……なんでだろ?」
「
「……うん。贅沢だね、ホントに」
「ごめん。でも恭助は私の比じゃなく苦しんでるし、焦ってる。まるで『
リョウちゃんの目が、言外に『誰のせいでこうなってるのか、分かってんだろ?』と告げていた。
「……『ごめん』は、私の方だったね」
「…………止めて。責めてるワケじゃない。虹夏と同じ状況になったら、誰だって同じ選択をする」
「でも、私のせいで……」
「〜〜っ、ああもう。ホントに責めてないから。私の目付きが悪いのはいつものこと。知ってるでしょ?」
「うぅ、でも……」
「ハイ『でも』って言うの禁止!
とにかく今、恭助は苦しんでる。両親と私じゃ、何をしても逆効果。だから虹夏が、直接何をして欲しいか聞いて、助けてあげて。以上!」
ぜぇぜぇと肩で息をして、『こんなに喋ったの、久しぶりだわ……!』と付け加える様子には、不覚にも少しクスリと笑わされてしまった。
私が笑ったのを見て、心なしかリョウちゃんも少しだけ、笑った気がした。
「──うん、やってみる」