ゾンビ世界で元研究者の女と共依存しながら退廃的な生活を送る話   作:POTROT

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そーじ

 洗い終わった洗濯物を干してゆく。

 服のタグは全部お釈迦になっていたので、下着と同じく全部室内干しだ。

 いや、タグがあったところで読めたかどうかは別の話だが。

 俺の服なんて、どれもこれも適当に洗濯機にぶち込んで、適当に天日干しして、適当にアイロンかければそれで終わりだったからな。

 タグをまともに読んだことなんてほぼ無いぞ。

 一応、押入れに中学時代の家庭科の教科書があったはずだし、寝る前辺りに読んでおくとしよう。

 

 何はともあれ、これで全部干し終えた……む、白衣の脱水が足りていなかったか。

 白衣の裾からポタポタと水が滴っている。下に風呂桶────は、全て埋まっているので、新聞紙を重ねて置いておく。

 まぁ、恐らくこれで大丈夫だろう。これで洗濯は終わりだな。

 

 さて、となると……他に何かやることはあっただろうか。俺の記憶では特に何も無かった気がするが。

 うーむ……あぁ、そうだ、部屋の掃除をしておこう。

 思えば、随分と長い間掃除なんてしていなかった。

 俺が独りでいた間は、本を読むか、飯を食べるか、外で探索するかくらいしかやっていなかったからな。

 両親がああなったのが、定期的な掃除の日だったから……最後にしたまともな掃除は、一週間以上前になるのか。

 そうなって来ると……やはり、かなり埃が溜まっているな。

 拙い。これは拙い。埃アレルギーの俺としては、早急に対処しなければ割と死ねる。

 というか、マスクを着けていなかったら死んでいたまであるのではなかろうか。

 

 折角孤独から解放されたと言うのに、こんなくだらない理由で死ぬわけにはいかない。さっさと掃除を始めるべきだ。

 しかし、俺が掃除を行うとなると、それ相応の装備が必要になる。

 目に埃が入らない為のゴーグルと、マスクの上から鼻と口を覆う布だ。

 これが無いと、鼻が詰まりまくって夜が眠れなくなってしまう。

 

 ……ああ、ずっとビニールのままというのもかぶれそうだし、この際手袋か何かでも付けておこう。

 そうだな……おお、ゴム手袋がある。これにしよう。というか、最初からこれにしておけばよかった。

 

 まぁ良い。兎に角、装備が出来たのなら、いよいよ掃除に入るとしよう。

 まずは窓を密閉してから、押し入れの中にしまってある羽箒を取り出す。掃除機では無い。

 最初はこれを使って、色々な物の上に溜まった埃を落とすのだ。

 この時、特に気を付ける場所はエアコンや箪笥、棚などの上、普段は目につかない場所だ。

 普段は目に入りにくいということで気付かない事が多いが、こう言うところによく埃は溜まる。

 溜まった埃はちょっとした衝撃で降って来てしまうので、ここを丁寧にやっておかないと、埃アレルギーである俺は死んでしまうのだ。

 

 そして、埃をある程度払い終えたら、埃が床に落ちて来るまで待つ。

 この時間で下手に動き回ると埃が舞い散り、色々と面倒な事になるので、ここは大人しく待たなければいけない。

 

 十分から二十分程待てば、やっと埃が床に落ちる。

 ここで活躍してくださるのがお待ちかねの掃除機様だ。

 ただ、掃除機を使う時は、部屋の奥から手前に向けて、後退りするようにかけるのが最善とされている。

 詳しい事はよく分からないが、掃除機とは引く時に埃を吸収する物だから、と言う事らしい。

 

 床一面の掃除機がけが終われば、次は拭き掃除だ。

 我が家の拭き掃除は、基本的にクイックルワイパーで行われる。

 正直、拭き掃除はこれが一番効率的だと思う。隅の埃も取れるし、壁と天井にも余裕で届くし。

 未だ拭き掃除は雑巾が一番とか言っている者もいるが、そんな物はもう既に過去の遺物。

 今の時代、拭き掃除はクイックルワイパー一択だ。

 

 しかし、クイックルワイパーの先の部分は、消耗品なんだよな。

 残りはかなり少ないようだし、明日の突入の時に補充出来ればいいんだが……

 

 ……っと、このくらいでリビングは大丈夫だろうか。

 うむ、綺麗になった。見違えるようだ。

 これならばマスク無しで生活しても何ら問題はないな。

 まぁ、現状だと埃よりももっととんでもない物が空中を漂っているかも知れないので、これを外す訳にはいかないが。

 

 さて、時間は……昼過ぎと言ったところか。

 ふむ……まだ腹は減っていないし、他の部屋もやっておくとしよう。

 

 まずは俺の部屋。

 

 

 

 ………………次は風呂場。

 

 

 

 

 ………………次、書斎。

 

 

 

 

 ………………両親の部屋は今、彼女が寝ている。風呂場をやるか。

 

 

 

 

 ………………ついでだ。トイレもやっておこう。

 

 

 

 

 ………………さて、これで大体の場所は終わったか。

 結構時間をかけてしまった。で、今の時間は……7時だと?

 何と言う事だ。夏で日の入りが遅いと言うのもあるが、つい掃除が楽しくなってしまって、時間の感覚を忘れていた。

 まぁ、やってしまったものは仕方がない。取り敢えずまずは飯を食うとして……いや、その前にまずは日記をつけておくか。

 今日は色々とあったからな。色々と書く事はありそうだ。

 

 

 

 

 

 20XX年 8月20日 天気:雨 気温:28℃

 

 女を拾った。

 どうにも、近くにあるあの病院でゾンビの研究をしていたが、そこで他の研究員達と意見が食い違い、追い出されてしまったらしい。

 大量のゾンビに追われているところを発見し、そこを保護した。

 しかし、まさかあの病院が原因という俺の考察が当たっていたとは。

 兎にも角にも、これで俺は孤独から解放されたという訳だ。

 

 だが、どうにも彼女、男のことを性欲の化身だと思っているきらいがある。

 足を怪我していたようだったので包帯を巻こうとしたら、「好きに使ってくれ」なんて言われた。

 何をどうしたらそんな事になってしまうのだろうか。

 もしかしたら、過去にそう言う事があったのかも知れないが、流石の俺もリスクの管理くらいはできる。

 こんなゴムも無い状況だ。子供なんて出来てしまえば、どうなるか分かったものではない。

 

 あと、少々怪我をした。

 彼女の着ていた服を洗濯していた時、ガラス片が刺さっていたようで、それで手を怪我してしまったのだ。

 まぁ、そこまで深い傷というわけでもないので、適時消毒して包帯を替えれば大丈夫だろう。

 しかし、洗濯する際に、あまりにも返り血が多い事が少し気になった。

 俺が彼女を発見する前に、幾らかゾンビと戦っていたのかもしれない。

 

 もしそうだとしたら、後で話を聞いておくべきだろう。

 と言うのも、俺は明日、隣の家に突入する事に決めたのだ。

 そうなればゾンビとの戦闘は避けられないだろうし、もしゾンビと正面きって戦う時の注意点があれば、知っておくべきだ。

 

 しかし、やはり孤独から解放された喜びが大き過ぎる。

 彼女さえいてくれれば、俺は生きる意味を保っていられるだろう。

 言い方は良くないが、彼女を引き留める為には、手段を選ばないつもりだ。

 




 はい、主人公にも若干片鱗が見えてきましたね。
 皆さんもうお分かりでしょうが、主人公は現在の時点で既に割と狂っています。
『死なない事』と『彼女を手放さない事』の二つの為になら、本当に手段を選びません。
 それこそ、四肢の一つや二つくらいなら、苦痛に顔を歪めこそしますが、躊躇せず切り落とします。
 つまりそう言う事です。

 さて、これで次回から日付が変わりまして、彼女視点も少ししたら復活します。
 まぁ、少々強引すぎた気もしますが。彼女視点が書きたかったんや。許せ。
 というわけで、次回は主人公視点です。楽しみって人は是非評価と感想をお願いします。
 
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