ゾンビ世界で元研究者の女と共依存しながら退廃的な生活を送る話   作:POTROT

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とつげきようい

 窓から差し込んで来る光を浴びて目を覚ます。

 まさに最高の寝起きだ。スッキリと爽快で、心も晴れ渡っている。

 昨日までのような陰鬱な朝とは大違いだ。

 それもこれも、偏に彼女の存在のおかげだろう。

 やはり孤独というものは、人の精神を侵す毒であったらしい。

 

 もし昨日、彼女を見つけることができていなかったら、俺はどうなっていたことか。

 たった三日間ですらあれだけ辛かったのだ。今この瞬間にとは言わないが、数日後、数週間後ともなれば、少なくとも、まともな精神状態のままではいない事だろう。

 本当に、彼女を保護することができて良かった。

 

 布団を畳み、慎重に押し入れへと突っ込む。

 ……しかし、そろそろ、布団を干す頃合いだろうか。

 昨日の掃除の時、ついでにやっておけば良かった。布団に巣食うダニ共は、埃アレルギー患者たる俺には正しく天敵だ。定期的に殲滅する必要がある。

 ……だがまぁ、これについては後でだな。

 

 取り敢えず、まずは洗面して、その後は朝食か。

 まだ昨日の野菜炒めが残っているから、それを温めて食べるとして……彼女は、もう起きただろうか。気づいたら死んでいたとかないだろうか。

 一旦顔を洗ってから、部屋の扉をノックする。

 

「起きているか?」

 

 そう問いかけてから数十秒間ほど待ってみるが、一向に返事の声は聞こえない。

 まさか本当に死んでいるのでは無いかと心配になって、ほんの少しだけ扉を開けて中を覗いて見るが、彼女は布団の上で穏やかに寝息を立てていた。

 しっかりと胸も上下している。これで死んでいるとい言うことは、まず無いだろう。

 

 しかし、これでもう彼女は丸一日近く眠っていることになるのか。

 まぁ、仕方が無いと言えば、仕方が無い。

 文字通り、死に物狂いでここまで逃げてきたのだ。

 昨日の彼女の様子から考えれば、それこそ三日間くらいずっと寝ていてもおかしくないだろう。

 会話が出来ないと言うのは少々残念だが、孤独では無いと言うだけでも有り難い。

 まぁ、首を長くして待っておくとしよう。

 

 扉を閉め、キッチンへと赴く。朝食だ。

 換気扇のスイッチを入れてから、火をつけて温める。

 そして、油の音が良い感じになってきたら火を止め、皿に移し、食べる。

 …………うん。美味い。

 今後野菜炒めを食う機会が何度あるかもわからないのだ。味わって食べなければ。

 そう思いつつ、たっぷり十分ほどかけて皿を空にする。

 

 さて、朝食も終わったし、それでは予定通り、襲撃のための準備に取り掛かるとしよう。

 ……しかし、他人の家への襲撃に必要な物とは何なのだろうか。

 当然のことだが、俺は他人の家に襲撃に行ったことなど無い。

 

 まぁ、取り敢えずゾンビとの戦闘用に木刀は確定として、他に何がいる?

 ……一旦、シミュレーションをしてみるか。

 

 まずベランダに出て……俺の家のベランダ、サンダルしか無ぇ。

 サンダルで襲撃とか舐めてるのか。素人の俺でも阿保だって分かるぞ。

 よし、靴だ。まずは靴が必要だな。

 

 えーと……それで、壁を蹴破って隣の家のベランダに侵入、そして窓から家の中へ……

 いや、窓に鍵がかかってる可能性があるな……どうだろうか。

 ここからは角度的に見えないが、エアコンをつけるために窓を閉め切っていた、と言う可能性は十分考えられる。

 

 そうなると無理矢理破って侵入することになるわけだが、木刀で……は、無理か。

 ダンベルあたりで殴れば割れるか?

 ……いやしかし、殴って割るとなると、破片が心配なんだよな……

 ふむ……どうするか……何か良い案は……あ、そうだ。

 確か、ドライバーを使って侵入する手法があったはず。

 三角割りとか言うのだったか? よし、それにしよう。

 ドライバーと……あと、それだったら軍手も必要だな。用意するか。

 

 で……多分、ゾンビとの戦闘があって、木刀で突き殺して……後処理用の油とマッチか。

 まぁ、これはベランダのところに置いておくだけで良いな。

 それで、ゾンビを処理した後は……特に何も要らないか。

 どうせ部屋は隣だし。

 

 さて、それでは今出たものを準備しよう。

 まず靴を玄関から持って来て、ベランダに置く。

 ……しかし、こうして見ると、この靴もだいぶ色が着いたな。

 まぁ、しっかりと消毒しておけば大丈夫か。

 

 靴を置いたら、次に戸棚からマッチと工具箱を引っ張り出して、工具箱からドライバーを取り出し、ポケットに突っ込む。

 プラスでは無く、マイナスのドライバーだ。

 そして、そのまま工具箱の中に入っていた軍手を装着。

 他に要りそうなものが無いかと念の為に確認した後、工具箱を仕舞う。

 

 そうしたのならば、次は油だ。

 先日使った油がコンロの近くに置いてあるので、それを持って行く。

 菜種油なので、燃焼性に問題は無い。両親もこれで焼いた。

 

 油とマッチをベランダに置けば、最後は木刀を持って、準備は完了だ。

 ……いや、念のため、軽く厚着して行くか。

 多少暑くなるが、防御力は少しでもあった方が良いだろう。

 野球部時代に使っていたジャンバーを着て、チャックを閉める。

 

 さて、これで本当に準備完了だ。

 行って来ますと彼女の方に言ってからベランダへ。

 靴を履き、木刀を握りしめて蹴破れる壁の前に立つ。

 

 ……ふぅ。

 深呼吸をして、気を落ち着ける。

 そして軽く後ろに下がってから、壁を目掛け────

 





 はい、突入します。
 彼女が起きるのは、まぁ次ですかね。
 そして彼女視点は次の次、と言ったところでしょうか。
 まぁ、取り敢えず大惨事は確定ですよ。

 さて、そんなわけで次回も主人公視点。楽しみって人は是非評価と感想をお願いします。
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