上諭
朕、議会の議決を経て国土総合開発法を裁可し茲に之を公布せしむ。
内閣総理大臣
国務大臣
宮内大臣
司法大臣
外務大臣
内務大臣
文部大臣
農林水産大臣
国務大臣
郵政大臣
産業経済大臣
厚生大臣
国務大臣
運輸大臣
大蔵大臣
労働大臣
国務大臣
建設大臣
国土大臣
防衛大臣
児童家庭大臣
第一章 総則
第1条(目的)
この法律は、国土の自然的条件を考慮し、経済、社会、文化等に関する施策の総合的見地から、国土を総合的に利用し、開発し、及び保全し、並びに産業立地の適正化を図り、あわせて社会福祉の向上に資することを目的とする。
第2条(定義)
この法律において「国土総合計画」とは、国又は地方公共団体の施策の総合的かつ基本的な計画で、次に掲げる事項に関するものをいう。
一 土地、水その他の天然資源の保護及び利用に関する事項
二 水害、風害その他の災害の防除に関する事項
三 都市及び農村の規模及び配置の調整に関する事項
四 産業の適正な立地に関する事項
五 厚生、国防、電力、運輸、通信その他の重要な公共的施設の規模及び配置に関する事項
六 文化に関する保護及び利用、並びに観光に関する施設の規模及び配置に関する事項
第二章 基本原則
第3条(国土利用の原則)
国及び地方公共団体は、国土を総合的に利用し、開発し、及び保全するにあたり、将来の世代にわたって豊かな国土を引き継ぐ責務を負う。
第4条(環境保全の原則)
何人も、環境の状態を配慮し、自らの活動によって生じた環境の悪化に対し責任を負うものとする。
2 国及び地方公共団体は、国民が健康な環境を享受する権利を保障し、生活環境の保護及び改善に努めなければならない。
第5条(国民生活の質の向上原則)
国及び地方公共団体は、国民の健康の増進、十分な居住機会の確保、並びに社会的及び文化的発展のための条件を創出しなければならない。
2 国民が社会活動に参加し、自らの生活環境に関する決定に影響を及ぼす機会を促進することは、公権力の責務とする。
第6条(農林畜水産業の振興原則)
国及び地方公共団体は、農林畜水産業が、国民経済の健全な発展と環境との調和に配慮しつつ、その多機能的な役割を維持し、発展させるための施策を総合的に講じなければならない。
第三章 国土総合計画
第一節 計画の種類及び審議会
第7条(計画の種類)
国土総合計画(以下「総合計画」という。)は、全国総合計画、都府県総合計画、地方総合計画及び特定地域総合計画とする。
第8条(国土審議会)
総合計画及びその実施に関する重要事項を調査審議するため、内閣に国土審議会を置く。
2 国土審議会は、関係各行政機関の長に対し意見を述べ、又は必要な勧告をすることができる。
3 国土審議会は、調査審議した結果の要旨を公表するものとする。
第9条(地方審議会)
都府県は、条例で、都府県総合開発審議会を置くことができる。
2 二以上の都府県は、その協議により規約を定め、地方総合開発審議会を置くことができる。この場合において、当該都府県の議会の議決を経なければならない。
第二節 計画の策定
第10条(全国総合計画の策定)
政府は、国土審議会の調査審議を経て、全国の区域について、全国総合計画を作成しなければならない。
2 全国総合計画は、他の総合計画の基本となるものとする。
3 政府は、作成した全国総合計画の要旨を公表するものとする。
第11条(都府県総合計画の策定)
都府県は、その区域について、都府県総合計画を作成することができる。
2 都府県は、都府県総合計画を作成したときは、これを国土大臣に報告しなければならない。
第12条(地方総合計画の策定)
二以上の都府県は、その協議により、地方総合開発計画区域を設定し、地方総合計画を作成することができる。
2 前項の協議については、当該都府県の議会の議決を経なければならない。
第13条(特定地域の指定)
国土大臣は、資源の開発、災害の防除又は特別な建設若しくは整備を要する地域について、関係都府県の同意を得て、かつ国土審議会に諮問した上で、特定地域として指定することができる。
第14条(特定地域総合開発計画の策定)
特定地域の指定があったときは、関係都府県は、特定地域総合開発計画を作成しなければならない。
2 政府は、前項の計画に基づき、根幹となる事業計画を決定し、閣議の決定を求めなければならない。
3 政府は、経済事情等の著しい変化に対応するため、閣議の決定を経て、前項の計画を変更することができる。
第三節 計画の実施及び調整
第15条(国の援助及び調整)
国は、都府県が総合計画を作成するための調査に要する経費の一部を補助することができる。
2 国土大臣は、関係各行政機関の長に対し、総合計画に関する調査の結果について報告を求め、必要な調整を行うことができる。
3 国土大臣は、都府県に対し、その作成した総合計画について必要な勧告又は助言をしなければならない。
第16条(事業計画の調整)
関係各行政機関の長及び都府県は、毎年度、総合計画の実施に関する翌年度の事業計画を作成し、国土大臣に提出するものとする。
2 国土大臣は、提出された事業計画について、公共事業関係資金計画との調整を含め、必要な調整を行うものとする。
第17条(特定地域計画の財源措置)
政府は、特定地域総合開発計画の実施に必要な経費について、国の財政の許す範囲内で予算に計上するよう努めなければならない。
2 国は、地方公共団体が実施する特定地域総合開発計画の事業について、法律の定めるところにより、経費負担の特例又は補助金の交付その他の措置を講ずることができる。
第18条(実施上の調整)
関係各行政機関の長は、やむを得ない事情により、総合計画の円滑な実施に支障を及ぼすおそれがある事業等を行おうとするときは、国土大臣に対し、調整を要請しなければならない。
2 国土大臣は、前項の要請があった場合、国土審議会の意見を聴いて必要な調整を行うものとする。
第19条(個別振興計画との調整)
千島、北海道、沖縄及び台湾の振興に関する個別計画と、この法律に定める総合計画との調整は、国土大臣が内閣総理大臣及び国土審議会の意見を聴いてこれを行うものとする。
第四章 国土保全及び都市計画
第20条(無秩序な開発の抑制と都市計画)
政府は、国土保全及び都市計画に関する法整備を通じて、無秩序な開発を抑制しなければならない。
2 地方公共団体は、法律に基づき、都市計画を作成し、これを施行しなければならない。
第21条(生活基盤の維持と人口分散)
国及び地方公共団体は、自然的な生活基盤の維持、風景の保存、及び国土における適切な人口分散に寄与するよう配慮しなければならない。
第22条(山間農漁村の振興)
国及び地方公共団体は、定住の促進等による山間農漁村の振興を図り、その多様性と収益性の両立に配慮しなければならない。
第23条(有害物質からの保護)
国及び地方公共団体は、肥料や薬品の濫用による侵害から国土と住民を保護し、有害物質による環境汚染及び住民の健康被害を未然に防止するため、必要な法令を定め、その適正な運用に努めなければならない。
第五章 農林畜水産業の振興
第24条(基本計画と推進)
国及び地方公共団体は、その区域の諸条件に応じた農林畜水産業の振興に関する基本計画を策定し、実施する責務を有する。
第25条(資源の管理と増殖)
国及び地方公共団体は、資源の適切な保存及び管理、並びに動植物の増殖及び養殖を推進しなければならない。
第26条(生産形態の促進)
国及び地方公共団体は、経済的な刺激策により、特に自然と調和し、環境及び動物に配慮した生産形態を促進するよう努めなければならない。
第27条(従事者への所得補償)
国及び地方公共団体は、生態学的な要求を満たすこと等を条件として、農林畜水産業従事者に対し、提供された給付に見合う報酬を支払い、その収入を補完することができる。
第28条(産品の保護及び表示)
国及び地方公共団体は、生産地、品質、生産方法等を明示するための法令を定め、地域の伝統に基づいた産品等を保護するよう努めなければならない。
第29条(研究及び教育の促進)
国及び地方公共団体は、農林畜水産業に関する研究、相談及び教育を促進し、関連する投資を支援するよう努めなければならない。
第30条(消費者及び事業者の役割)
消費者は、食料、農林畜水産業及び農山漁村に関する理解を深め、消費生活の向上に積極的な役割を果たすものとする。
2 食品産業事業者は、国及び地方公共団体が実施する施策に協力する責務を有する。
第六章 財政及び雑則
第31条(財源)
政府は、この法律の目的を達成するため、農林畜水産業分野の資金及び一般財源を、使途を特定して用いることができる。
第32条(委任規定)
この法律の実施のための手続きその他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附則
この法律は、昭和二十五年六月一日から施行する。