上諭
朕、議会の議決を経て生活維持保障基本法を裁可し茲に之を公布せしむ。
内閣総理大臣
国務大臣
宮内大臣
司法大臣
外務大臣
内務大臣
文部大臣
農林水産大臣
国務大臣
郵政大臣
産業経済大臣
厚生大臣
国務大臣
運輸大臣
大蔵大臣
労働大臣
国務大臣
建設大臣
国土大臣
防衛大臣
児童家庭大臣
第1条(目的)
この法律は、日本国憲法に定める基本的人権の理念に基づき、すべての国民が、人間の尊厳を保持しうる最低限の健康で文化的な生活を営める権利を保障することを目的とする。
2 この目的を達成するため、本法は、生活困窮者の自立を促進するための支援、労働条件の基本原則、及び住生活の安定確保に関する施策を統合的に定め、国民生活の包括的な維持及び向上を図る。
第2条(定義)
この法律において「生活困窮者」とは、就労、心身、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいう。
2 この法律において「要保護者」とは、現に生活に困窮し、この法律の定める保護を必要とする者をいう。
3 この法律において「被保護者」とは、現にこの法律の定める保護を受けている者をいう。
第3条(基本理念)
この法律の定める全ての保護及び支援は、生活困窮者が自らの意思と能力に応じて、その尊厳を保持しつつ、自立した生活を営むことができるよう、総合的かつ一体的に提供されなければならない。
第4条(無差別平等)
すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、差別されることなく平等に受けることができる。
第5条(最低生活の保障)
この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。
第6条(補足性)
この法律による保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
第7条(申請保護)
保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。ただし、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。
第8条(早期支援)
支援の開始は早期でなければならず、地方公共団体は広報や相談体制の整備など、生活困窮の予防に資する措置を講じるよう努めなければならない。
第9条(種類)
保護は、要保護者の需要に応じ、次に掲げる扶助を単給又は併給として行うものとする。
一 生活扶助
二 教育扶助
三 住宅扶助
四 医療扶助
五 出産扶助
六 生業扶助
七 葬祭扶助
第10条(他の制度との調整)
この法律による保護は、他の社会保障制度により、なお最低限度の生活を維持することができないと認められる者に対して、その不足分を補う程度において行われる。
第11条(他の法令による扶助)
国が他の法令に基づき実施する生活困窮者への扶助は、この法律の理念と整合性をもって運用されなければならない。
第12条(社会福祉事業との連携)
この法律の実施にあたっては、法律に定める社会福祉事業その他の関連施策との緊密な連携を図り、生活困窮者の多様な需要に総合的に応えるものとする。
第13条(国民皆保険との連携)
この法律による医療扶助は、国民健康保険その他の医療保険制度と連携して実施され、国民の医療を包括的に保障するものとする。
2 国及び地方公共団体は、公衆衛生の向上に努め、生活困窮者が適切な保健医療を受けられるよう配慮しなければならない。
第14条(同一労働同一賃金)
性別、雇用形態又は社会的身分を理由とする賃金の差別的取扱いは、これを禁止する。同一の価値の労働に対しては、同一の報酬が支払われなければならない。
第15条(最低賃金)
最低賃金は、労働者の健康で文化的な最低限度の生活を維持できるよう、生計費を考慮して定められなければならない。
2 最低賃金に関する基準は、別に法律でこれを定める。
第16条(労働条件の基準)
賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、労働者の人格の尊厳、安全及び健康が確保されるよう、別に法律でこれを定める。
第17条(居住の権利と基本計画)
すべて国民は、安全で安定した住居に居住する権利を有する。
2 国及び地方公共団体は、国民の豊かな住生活の実現を図るため、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する基本的な計画を策定し、これを実施しなければならない。
3 住生活の安定の確保及び向上の促進は、次に掲げる事業をいう。
一 一定の住居を持たない生活困窮者に対し、厚生労働省令で定める期間にわたり、宿泊場所の供与、食事の提供その他当該宿泊場所において日常生活を営むのに必要な便宜を供与する事業。
二 現に一定の住居を有する者、または現在の住居を失うおそれのある生活困窮者若しくは特定被保護者であって地域社会から孤立しているものに対し、厚生省令で定める期間にわたり、訪問による必要な情報の提供及び助言その他の現在の住居において日常生活を営むのに必要な便宜を供与する事業。
第18条(実施機関)
この法律の定める保護及び支援は、市町村長(特別区の長を含む。)が、その管理に属する行政機関をもって実施する。
第19条(指導及び指示)
厚生大臣は都道府県知事及び市町村長に対し、都道府県知事は市町村長に対し、この法律の施行に関する指導及び指示を行うことができる。
第20条(保護の決定と実施)
実施機関は、保護の申請があった場合、要保護者の資産、能力、扶養義務者の状況等を調査し、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、被保護者に対して書面をもってこれを通知しなければならない。
第21条(保護の停止及び廃止)
実施機関は、被保護者が保護を必要としなくなったとき、又は保護の要件を欠いたときは、速やかに保護の停止又は廃止を決定し、書面をもって通知しなければならない。
第22条(生活扶助)
生活扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの、及び移送の範囲内において行われる。
2 生活扶助は、金銭給付によって行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行うことができる。
第23条(教育扶助)
教育扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、義務教育に伴い必要な教科書その他の学用品、通学用品、学校給食その他義務教育に伴い必要なものの範囲内において行われる。
2 教育扶助は、金銭給付によって行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行うことができる。
第24条(住宅扶助)
住宅扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、住居、及び補修その他住宅の維持のために必要なものの範囲内において行われる。
2 住宅扶助は、金銭給付によって行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行うことができる。住宅扶助のうち、住居の現物給付は、宿所提供施設を利用させ、または宿所提供施設にこれを委託して行うものとする。
第25条(医療扶助)
医療扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、診察、薬剤又は治療材料、医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術、居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、移送の範囲内において行われる。
2 医療扶助は、現物給付によって行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、金銭給付によって行うことができる。現物給付のうち、医療の給付は、医療保護施設を利用させ、または医療保護施設若しくは別に定めた規定により指定を受けた医療機関(以下「指定医療機関」という。)にこれを委託して行うものとする。
第26条(出産扶助)
出産扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、分娩の介助、分娩前及び分娩後の処置、脱脂綿、その他の衛生材料の範囲内において行われる。
2 出産扶助は、金銭給付によって行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行うことができる。
第27条(生業扶助)
生業扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者又はそのおそれのある者に対して、生業に必要な資金、器具又は資料、生業に必要な技能の修得、就労のために必要なものの範囲内において行われる。ただし、これにより、その者の収入を増加させ、又はその自立を助長することのできる見込のある場合に限る。
2 生業扶助は、金銭給付によって行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行うことができる。現物給付のうち、就労のために必要な施設の供用及び生業に必要な技能の授与は、授産施設若しくは訓練を目的とするその他の施設を利用させ、またはこれらの施設にこれを委託して行うものとする。
第28条(葬祭扶助)
葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、検案、死体の運搬、火葬又は埋葬、納骨その他葬祭のために必要なものの範囲内において行われる。
2 前項に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。ただし、被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき、または死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないときに限る。
3 葬祭扶助は、金銭給付によって行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行うことができる。葬祭扶助のための保護金品は、葬祭を行う者に対して交付するものとする。
第29条(種類)
保護施設の種類は、救護施設、更生施設、医療保護施設、授産施設及び宿所提供施設とする。
第30条(基準)
保護施設の設備及び運営に関する最低基準は、厚生大臣が定める。
第31条(指定機関)
厚生大臣は、医療保護施設、又は社会保険各法による指定を受けた医療機関及び助産機関を指定し、医療扶助及び出産扶助を委託することができる。
2 指定を受けた医療機関及び助産機関は、この法律の定めるところにより、懇切丁寧に扶助を行う責務を負う。
第32条(住居確保給付金)
住居確保給付金は、生活困窮者のうち、離職またはこれに準ずる事由により経済的に困窮し、居住する住宅の所有権若しくは使用及び収益を目的とする権利を失い、または現に賃借して居住する住宅の家賃を支払うことが困難となった者であって、就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるもの、または収入が著しく減少した事由により経済的に困窮し、住居を失い、または家賃を支払うことが困難となった者であって、家計を改善するため新たな住居を確保する必要があると認められるものに対し支給する給付金をいう。
2 実施機関は、離職等により住居を失うおそれのある生活困窮者に対し、別に定めるところにより、家賃相当額の住居確保給付金を支給することができる。
第33条(進学準備給付金)
実施機関は、被保護世帯の子どもが高等教育機関への進学を希望する場合、その準備に必要な費用として、別に定めるところにより、進学準備給付金を支給することができる。
第34条(就労準備支援事業)
就労準備支援は、雇用による就業が著しく困難な生活困窮者及び特定被保護者に対し、厚生労働省令で定める期間にわたり、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う事業をいう。
2 実施機関は、雇用による就業が著しく困難な生活困窮者に対し、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う事業を実施し、又は委託することができる。
第35条(家計改善支援事業)
家計改善支援は、生活困窮者及び特定被保護者に対し、収入、支出その他家計の状況を適切に把握すること及び家計の改善の意欲を高めることを支援するとともに、生活に必要な資金の貸付けのあっせんを行う事業をいう。
2 実施機関は、生活困窮者に対し、家計状況の改善を支援するとともに、生活に必要な資金の貸付けの斡旋を行う事業を実施することができる。
第36条(子どもの学習・生活支援事業)
子どもの学習・生活支援は、次に掲げる事業をいう。
一 生活困窮者である子どもに対し、学習の援助を行う事業。
二 生活困窮者である子ども及び当該子どもの保護者に対し、当該子どもの生活習慣及び育成環境の改善に関する助言を行う事業(生活困窮者自立相談支援事業に該当するものを除く。)。
三 生活困窮者である子どもの進路選択その他の教育及び就労に関する問題につき、当該子ども及び当該子どもの保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言をし、並びに関係機関との連絡調整を行う事業(生活困窮者自立相談支援事業に該当するものを除く。)。
2 実施機関は、生活困窮世帯の子どもに対し、学習の援助、生活習慣の改善に関する助言、及び進路に関する相談を行う事業を実施することができる。
第37条(国の責務)
国は、総合的な支援制度の整備、財源の確保、自治体への助言・監督等を行う。
第38条(広域的支援)
都道府県は、市町村の実施する保護及び支援が円滑に行われるよう、助言、情報提供、及び関係機関との連絡調整を行う責務を負う。
第39条(人員配置)
地方公共団体は、この法律の実施に必要な知識及び技能を有する専門的人員を配置するよう努めなければならない。
第40条(事業の認定)
都道府県知事は、生活困窮者の就労訓練を目的とする事業について、別に定める基準を満たすものを、生活困窮者就労訓練事業として認定することができる。
第41条(権利の保護)
被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることはない。
2 保護金品を標準として、租税その他の公課を課せられることはない。
第42条(義務)
被保護者は、常に、勤労に励み、支出の節約を図り、その他生活の維持、向上に努めなければならない。
第41条(審査請求)
保護の決定又は実施に関する処分に不服がある者は、都道府県知事に対して審査請求をすることができる。
2 前項の審査請求に、なお不服がある者は、厚生大臣に対して再審査請求をすることができる。
第43条(費用の支弁)
この法律の実施に要する費用は、国、都道府県及び市町村が、別に定める割合に基づき、これを支弁する。
第44条(費用返還義務)
資力があるにもかかわらず、偽りその他不正な手段により保護を受けた者は、その保護に要した費用の全部又は一部を返還しなければならない。
第45条(個別の状況への配慮)
保護及び支援の実施にあたっては、要保護者の年齢、性別、健康状態等、その個人的かつ具体的な状況に最大限配慮しなければならない。
第46条
本法施行後における詳細な運用基準、扶助額、指定施設要件、自治体間の負担調整等については政令又は省令で定める。
第47条(罰則)
偽りその他不正な手段により保護を受け、又は他人に受けさせた者は、別に定める刑罰に処する。
第48条(施行期日)
この法律は、公布の日から施行する。
因みにこの日本、日本國憲法第2章第11条の影響で付帯私訴の制度は残っていないが、おそらく国家が被害者に代わって補償と取り立てを行う制度が存在している。
なぜなら、この法律で国民の生活を包括的に支える福祉国家である事を謳っているので、犯罪被害という理不尽な形で生活困窮に陥る国民を放置するはずがないし、できない。憲法でも謳っているし。
犯罪被害者補償制度は多分こんな感じ(ぶっちゃけ北欧諸国の被害者救済制度。国が立替えた賠償金は税金や保険料と同じ非免責債権だろうな)
①被害者が民事訴訟で勝訴し、賠償額が確定。
②被害者自身による加害者への請求・強制執行が困難、または不可能な場合、被害者は国に申請(①と同時に行われそう……)
③国(専門の機関)が、確定した賠償額を速やかに被害者に全額立替払。
④③の後、国が加害者に対する債権者となり、国税の徴収などと同様の強力な権限で、加害者の資産から賠償金を徹底的に回収。
そして、この制度を実効あらしめるために、国民総背番号制が間違いなく導入されている。
なぜなら、この日本では
①全国民の投票義務の管理
②国民発案の資格の管理
③国土防衛の役務(徴兵制)履行の招集と名簿管理
③生活維持保障基本法(この法律)に基づく給付と支援
④公平な税の徴収
を行わないといけないので、これら全てを効率的かつ公正に運営するためには、出生と同時に全国民に固有の番号を割り振り、納税情報、社会保障、国家資格の免許、旅券・査証の発行、銀行口座の開設に紐付ける制度が不可欠。
国民総背番号制があるから、加害者の「財産隠し」は極めて困難となるはず(破産しても非免責債権は払い続ける必要があるから財産隠す意味ないけど、免責債権がねぇ)
国による被害者への立替払いと、加害者からの確実な回収というシステムもこれで成立。
加害者から賠償金を取り立てられる犯罪被害者等支援法みたいなの書けるか主に北欧あたりの資料探しているけど見つからない……。