もしもこんな日本だったら   作:fire-cat

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諸々
国民の休日及び祝日に関する法律を巡る遣り取り(概略)①


国民の休日及び祝日に関する法律(案)

 

 

第一条

 自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。

 

第二条

 「国民の祝日」を次のように定める。

新年     一月一日から一月三日 

七草の日   一月七日

小正月    一月十五日

紀元節    二月十一日

桃の節句   三月三日

天長節    四月二十九日

招魂祭    四月三十日

労働運動の日 五月一日

憲法記念日  五月三日

菖蒲の節句  五月五日

七夕の節句  七月七日

盆祭     八月十六日

平和記念日  九月二日

菊の節句   九月九日

明治節    十一月三日

新穀祭    十一月二十三日

年末     十二月二十九日から十二月三十一日

春分の日   春分日

夏至の日   夏至日

秋分の日   秋分日

冬至の日   冬至日

 

第三条

 国民の祝日の趣旨を次の様に定める。

新年 新年を祝う。

七草 古来からの七草の風習を祝う日

小正月 小正月を祝う。

紀元節 建国をしのび、国を愛する心を養う日

桃の節句 古来から祝われていた上巳節を祝う日

天長節 天皇の誕生日を祝う日

招魂祭 国のためになくなった人々を追憶する日

労働運動の日 労働運動の国際的記念日

憲法記念日 憲法の施行を祝う日

菖蒲の節句 古来から祝われていた端午節を祝う日

七夕の節句 古来から祝われていた七夕節を祝う日

盆祭 祖先を偲ぶ。

平和記念日 平和を祈念する日。

菊の節句  古来から祝われていた重陽節を祝い家族の健康や長寿を祝う日

明治節 近代日本の礎を築いた明治時代を記念する日

新穀祭 新穀の収穫に感謝する日

年末 一年を振り返り、心健やかに新年を迎える。

春分の日 先祖に感謝し、五穀豊穣を願う日

夏至の日 暑気を払い、無病息災を祈願する日

秋分の日 五穀豊穣を感謝し、先祖に感謝する日

冬至の日 冬の寒さを乗り越え、無病息災を祈願する日

 

第四条

 国民の祝日は休日とし、国民の祝日が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い国民の祝日でない日を休日とする。また、その前日及び翌日が国民の祝日で、当日が国民の祝日でない場合は、当日を休日とする。

 

第五条

 公安、交通、医療、その他の現業を除く公的機関は、次の日を休日とし、その執務を原則として行わないものとする。

一、日曜日

二、第四条に規定される休日

三、当該地方公共団体において特別な歴史的、社会的意義を有し、住民がこぞって記念することが定着している日

 

第六条

 この規定は、公的機関が休日に権限を行使することを妨げるものではない。

 

附 則

一、この法律は、公布の日からこれを施行する。

二、昭和二年勅令第二十五号は、これを廃止する。

 

 

◇◆◇◆◇

◇◆◇◆◇

◇◆◇◆◇

 

 

「祝祭日に関する世論調査を踏まえ以上の様に祝日を提案するものである」

 

 

―衆議院 大委員会―

 

「新年は元旦だけで良いのではないか?」

「正月は三が日と決まってるだろうが! 一日だけでは足りぬ」

「いや、地元の市場は初売りが二日に開かれているが……」

「我が党も新年は三日間取ることに異議はないが、いっそのこと七草と併せて七日間は取れないのか?」

「流石に七日間もとると国民生活に影響が生じる懸念がある」

「そうですな」

「三日で仕方ないか」

「新年は三日間で宜しいですな」

「異議なし!」

 

「つぎに七草ですが」

「世論での要求は低いが、これを定めた理由は?」

「言わずともわかるであろうに、意地の悪い」

「人日の節句か」

「う~ん、私個人としては休みが増えるのは構わないが、党としては……」

「古来からの風習として賛成する」

「ま、五節句を廃止したことが間違いだったと」

「なんだと!」

 

 ―(略)― 

 

「では、五節句を尊重するという事で宜しいですな。表向きは七草の習慣を大事にするという事で」

「……まあ仕方なかろう。積極的な賛同はしないが反対もしない」

 

「次に小正月ですが」

「新年が休みなら女正月のこの日も休みにしてよかろう?」

「異議なし。それと名称は小正月が良い」

「元々名称に異議はない。うちの地域でそう言っているだけだ」

(あっさりと決まった……)

 

「建国をしのぶ日で」

「反対! 紀元節は廃止すべきではないか!」

「世論は望む声が多いようですが」

「せめて日付を変えろ!」

 

 ―(略)―

 

「ではこの可否は後に持ち越しましょう」

「……良かろう」

 

「次に桃の節句ですが」

「五節句はまとめて採用としてはいかがか」

(……確かに。もうめんどくさい)

「良いんじゃないですか。そちらは?」

「反対はしない」

「では、節句は全て採用します」

(ここまでで何日かかったんだ? 次は……あ、これ、またもめるな)

 

「天長節ですが」

「我が党は反対する」

「同じく」

「困りましたな……」

 

 ―(略)―

 

「この可否も後に持ち越しましょう」

「次に労働運動の国際的記念日についてですが」

「我が党は賛成する」

「同じく」

「我が党は反対する」

「同じく」

「今度は賛否反対になりましたな」

 

 ―(略)―

 

「では、天長節の名称を変更し天皇誕生日とする代わりに労働運動の国際的記念日は労働記念日として制定することで宜しいですな?」

「良いでしょう」

「反対はしない」

「仕方がない」

「ああ、我が党は建国の記念日についても紀元節の名称を用いず日付を国民の意思にゆだねるのであれば反対は行わないことにした」

「なっ! 裏切るのか!」

「裏切るわけではない! 休日が増えるのは良い事だからな」

「おのれ……」

「では建国の記念日についても定めるとして宜しいでしょうか?」

「我が党は断固反対する」

「反対はしない」

「賛成」

「同じく」

「賛成多数で決定ですな」

 

「次に春分の日ですが」

「それについて、提案する。春分、夏至、秋分、冬至があるが、まとめて祝日に採用して良いと思う。春分、夏至、秋分、冬至は反対する理由もない」

「我が党も賛成する」

「賛成」

「問題なし」

「では異議なしという事で宜しいですな」

「異議なし」

(久々にあっさり決まったな)

 

「次に新憲法施行の日ですが」

「公布の日も祝日で良いのでは?」

「公布の日は別の祝日候補になっている」

「あの名称であれば我が党は断固反対する!」

「まあまあ、それは後程。いまはこの施行の日について決めましょう」

「我が党は賛成します」

「我が党も賛成しよう」

「同じく」

「異議なし」

「では異議なしで採用します」

 

「次に盆祭ですが」

「十六日の送り盆だけでは短いだろう?」

「盆は十三日から十六日だろう? 祝日は四日間にするべきだ」

「子供達も夏休みだから、四日間丸々取らせましょう。ちょうど暑い盛りの骨休めに良いのでは?」

「盆を休みにしないと労働者は盆の時期に有給休暇をとることになる。四日とも祝日にして問題ないはずだ」

「では十三日から十六日とすることに異議なしで良いですな?」

「異議なし」

(こんな感じで進むと良いな……)

 

「次に平和を記念する日ですが戦争が終わった九月二日で」

「異議なし」

「同じく」

(あっさり決まったな)

 

「国の為になくなった人々を追憶する日ですが」

「この日は戦前の靖国礼拝日でしたが、民主主義に生まれ変わった日本では当然軍人に限らず、国家のために亡くなった人を官民問わず追憶するのでしょうな?」

「当然でしょう?」

「ならば反対する理由はないのでは? 世論も望む声が多いようですし」

(反対したいが、世論調査の結果が……)

「賛成する」

「同じく」

「問題ない」

(良かった、今日は早く帰れそうだ……あ、だめか)

 

「明治節ですが」

「断固反対! 明治政府が何を行ったか!」

「世論は望んでいますが」

「制定しなければ忘れられるだろう」

「明治生まれの人間としては残して欲しいのぅ」

「私は大正生まれだ! 明治を残すのなら大正はどうする」

「八月三十一日を大正の日とでもすれば良いのでは?」

「その日は夏真っ盛りだ。大正2年に10月31日が天長節祝日に定められて以後は10月31日に行われるようになった筈だ。話をすり替えるな」

 

 ―(略)―

 

「今日で三日目か」

「何時まで関わっているのか」

「明治と言えば封建から近代への夜明けではないか、なぜ反対するのか」

「毀誉褒貶あるとは思うが今の日本の礎を築いた時代を記念して何が悪い」

「世論もあることだ」

「GHQが反対するぞ?」

「反対されたら、日本近代化礎の日や日本海外雄飛の日とでもしてやれ。とにかく明治を記念するものは残したい。明治節がだめなら明治記念日でもかまわんが」

「……決を採ればよろしかろう、我が党は反対する」

「頑固者めが。我が党は賛成する」

「同じく」

「同じく」

「賛成多数により採用します」

「……(個人的には残しても良いと思うが党としては反対せざるを得ないのだよ)」

(長かった、なんとか決まった……)

 

「新穀に感謝する日ですが……」

「この日は新嘗祭の執行日ではないか、断固反対だ!」

「一つの宗教行事として新嘗祭の名称を用いるのであれば反対するが、新穀に感謝する日というのであれば反対はしない」

「収穫に感謝する日だしな」

「ならば勤労感謝の日にすれば良い!」

「世論はそのような名称は求めていないぞ? 新穀は穀物だけにあらず、収穫物全てを意味している。収穫物に感謝するのは良い事だと思う」

「……そこまで言うのであれば。但し、天皇家が主催したり国家の予算を使う行事には断固反対する」

「祝日自体には反対しないのですな?」

「……やむを得ん」

「我々は異議はない」

「では採用します」

 

「国際親善の日についてだが」

「年末年始の準備もありますからなぁ。ちょうど良いとは思いますが」

「欧米では降誕祭でしたな。日本では先帝祭ですが」

「終い天神だな」

「国民の過半数が望んではいます。いますが……」

「皇太子殿下の誕生日が12月23日か」

「御代替わりの後がな」

「名前はどうする? 海外に倣ってクリスマスとするか、国際親善の日とするか、御代替わりまで先帝祭としてその後は後の世代に任せるか。一層の事祝日にしないか」

「この後の年末休暇の事もありますからな。国民発案に委ねた方が良いのでは? 希望するならば発案されるでしょうから」

「国民が求めるならそれに越した事はないな」

「では、無しとしましょう」

 

「最後に年末について」

「反対はしないがもう少し長くしても良いのではないか?」

「そうは思う。だが新年と合わせれば充分休めるとも思われる」

「確かに休めるのか?」

「条文で年末年始の営業を禁止にするか?」

「屋台や寺社はかき入れ期であろう?」

「法人は年末年始を営業禁止にすれば良い」

「憲法に反しないか?」

「憲法に規定されている労働力の保護と文化風習の保護が目的だ。違反にはならん」

「我が党は、第4条の2の追加を提案する」

 

第4条の2

 国民の祝日に定める年末、新年は公安、交通、医療、その他の現業を除く公的機関、別に政令で指定する公共性を担う法人以外の法人組織について完全休業とする。違反法人は1月の総売上を追徴し会社名を官報にて公表する。また公的機関、公共性を担う法人であっても年末、新年に出勤した者に対しては一月中に勤務者が望む日程で休日を取得させなければならない。また、複数日出勤した場合は出勤日数分を平日に連続させて取得させなければならない。

 

「神社仏閣も対象にするのか?」

「宗教法人を例外にすると事務員も休めなくなるのでは?」

「いや、しかし趣旨から言えば神社仏閣は対象外とすべきである」

「宗教法人ではなく神社仏閣を対象外にすれば良い」

「ところでこの条文は条番を下げなくて良いのか?」

「追加だから下げなくてもよさそうだが」

「第4条の後か?」

「第5条の後の方がよさそうだ」

「第5条は公的機関の扱いなので第4条の後で良いのでは?」

 

 ―(略)―

 

「第4条の後で良いな」

「ではこれより第4条の2について採決を行います」

(反対することもないな)

「反対なし。第4条の2を追記し、本法を変更します」

 

 ―(略)―

 

「ところで、祝日を見ると6月と10月の日数が少ないように思われるが、この法案の趣旨からするといかがかと思う。なるべくすべての月に一日設けるのだろう? 6月は夏至があるから良いが10月はどうするのだ? 仲秋の名月でも入れるのか?」

「やたらと増やすのもいかがかと思われるが? 今ここで決めなくとも将来追加されることもありうる。国民の発案条項が新憲法には盛り込まれているからな」

「それもそうか」

「6月は嘉祥も入れて欲しかったのだが」

「国民の世論調査の質問事項にも挙がっていない日だが? そもそも嘉祥とは?」

「健康長寿を記念して菓子を配っていたな」

「祝日にするには少し知名度が足りないのではなかろうか?」

「そうだな」

「追加するか決を採ります」

「……賛成」

「意義が認められない。反対」

「将来の国民の発案に任せるべきだ。現状では反対する」

「同じく反対。祝日を増やしすぎても問題だと思う」

「それでは反対多数で否決します」

 

「以上を持って本法案は本会議の審議に移ります」

 

 

 ―(略)―

 

 

「国民の休日及び祝日に関する法律は賛成多数により成立しました」

(本当に長かった……成立までに半年もかかるとは。これでやっと定時に上がって家で休める。生まれたばかりの息子、俺の顔覚えているかな)

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

国民の休日及び祝日に関する法律(昭和二十四年法律第百七十八号)

 

上諭

 朕、議会の議決を経て国民の休日及び祝日に関する法律を裁可し茲に之を公布せしむ。

 

 御名 御璽  

 

内閣総理大臣

国務大臣

宮内大臣

司法大臣

外務大臣

内務大臣

文部大臣

農林大臣

国務大臣

郵政大臣

商工大臣

厚生大臣

国務大臣

運輸大臣

大蔵大臣

労働大臣

国務大臣

建設大臣

国土大臣

防衛大臣

 

第1条

 自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを国民の祝日と名づける。

 

 

第2条

 国民の祝日を次のように定める。

 

新年     一月一日から一月三日 

七草の日   一月七日

小正月    一月十五日

建国記念の日 国民発案による日

桃の節句   三月三日

天皇誕生日  四月二十九日

追憶の日   四月三十日

労働記念日  五月一日

憲法記念日  五月三日

菖蒲の節句  五月五日

七夕の節句  七月七日

盆祭     八月十三日から八月十六日

平和記念日  九月二日

菊の節句   九月九日

明治記念日  十一月三日

新穀感謝の日 十一月二十三日

年末     十二月二十九日から十二月三十一日

春分の日   春分日

夏至の日   夏至日

秋分の日   秋分日

冬至の日   冬至日

 

第3条

 国民の祝日の趣旨を次の様に定める。

 

新年 新年を祝う。

七草 七草の習慣を大事にし、古来から祝われていた人日節を祝う日

小正月 小正月を祝う日。

建国記念の日 建国をしのび、国を愛する心を養う日

桃の節句 古来から祝われていた上巳節を祝う日

天皇誕生日 天皇の誕生日を祝う日

追憶の日 国のためになくなった人々を追憶する日

労働記念日 労働運動の国際的記念日

憲法記念日 憲法の施行を祝う日

菖蒲の節句 古来から祝われていた端午節を祝う日

七夕の節句 古来から祝われていた七夕節を祝う日

盆祭 祖先を偲ぶ。

平和記念日 平和を祈念する日。

菊の節句  古来から祝われていた重陽節を祝い家族の健康や長寿を願う日

明治記念日 近代日本の礎を築いた明治時代を記念する日

新穀感謝の日 新穀の収穫に感謝する日

年末 一年を振り返り、心健やかに新年を迎える。

春分の日 先祖に感謝し、五穀豊穣を願う日

夏至の日 暑気を払い、無病息災を祈願する日

秋分の日 五穀豊穣を感謝し、先祖に感謝する日

冬至の日 冬の寒さを乗り越え、無病息災を祈願する日

 

第4条

 国民の祝日は休日とし、国民の祝日が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い国民の祝日でない日を休日とする。また、その前日及び翌日が国民の祝日で、当日が国民の祝日でない場合は、当日を休日とする。当日が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い、国民の祝日または休日でない日を休日とする。

 

第4条の2

 第3条のうち、年末及び新年、年末及び新年が休日に当たる時の最も近い国民の祝日でない日は、公安、交通、医療、その他の現業を除く公的機関、別に政令で指定する公共性を担う法人、神社仏閣を除く法人組織について完全休業とする。違反法人は一月の総売上を追徴し会社名を官報にて公表する。

 現業の公的機関、政令で指定された公共性を担う法人、神社仏閣であっても年末、新年に出勤した者に対しては一月中に勤務者が望む日程で出勤日と同日の休日を連続して取得させなければならない。

 

第5条

 公安、交通、医療、その他の現業を除く公的機関は、次の日を休日とし、その執務を原則として行わないものとする。

第1号 日曜日

第2号 第4条に規定される休日

第3号 当該地方公共団体において特別な歴史的、社会的意義を有し、住民がこぞって記念することが定着している日

第4号 その他の法律により定められた休日

 

第6条

 現業の公的機関であっても前条第1号から第4号の日における勤務は必要最低限とし、勤務者は出勤日と同じ月の国民の祝日または休日でない日に勤務者が望む日程で出勤日と同日数の休日を取得させなければならない。同じ月に取得が困難な場合は出勤日直近月の国民の祝日または休日でない日に勤務者が望む日程で出勤日と同日の休日を取得させなければならない。

 

第7条

 この規定は、公的機関が休日に権限を行使することを妨げるものではない。

 

附 則

一、この法律は、公布の日からこれを施行する。

二、昭和二年勅令第二十五号は、これを廃止する。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

―昭和30年 秋―

 

「建国記念の日について国民の発案がありましたな」

「ああ。条約の調印式も終わったからだろうな。記念日は名称が建国記念の日で、日付は紀元節か。うるさく言うところは言いそうだが」

「日本国民からの発案ですからな」

「民意はここにあり。だな」

「ああ」

「しかし、この建国記念の日について、他の日付の候補は出ていたのかね?」

「強いて言えば、この講和会議が締結された日ですな。世論の2割以下なので、強いて言えばですが」

「なるほど。8割がたは旧紀元節を望んでいたからな」

 

◇◆◇◆◇

 

昭和三十年法律第百六十四号

国民の休日及び祝日に関する法律(昭和二十四年法律第百七十八号)の一部を改正する法律

 

 

上諭

 朕、議会の議決を経て国民の休日及び祝日に関する法律(昭和二十四年法律第百七十八号)の一部を改正する法律を裁可し茲に之を公布せしむ。

 

 御名 御璽  

 

内閣総理大臣

国務大臣

宮内大臣

司法大臣

外務大臣

内務大臣

文部大臣

農林水産大臣

国務大臣

郵政大臣

通商産業大臣

厚生大臣

国務大臣

運輸大臣

大蔵大臣

労働大臣

国務大臣

建設大臣

国土開発大臣

国土防衛大臣

 

 

 内閣は、国民の休日及び祝日に関する法律(昭和二十四年法律第百七十八号)の規定に基づき、国民の発案により建国記念の日を制定する。

 

 国民の祝日に関する法律第二条に規定する建国記念の日は、国民の発案により二月十一日とする。

 

附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

―昭和39年 年末―

 

 

「来年は土曜日に祝日が来る日が多いな。土曜日の祝日は休みにするかもめるんだよなぁ」

「子供の友達も勿体ないと言っていたな」

「確かに土曜日が祝日の場合をどうするかは取り扱いがなかったな」

「ああ。盲点だった」

「土曜日の祝日は平日に半休日として扱うか?」

「中途半端な事ではかえって混乱を起こすだろう。土曜日の祝日は日曜日と同じ扱いで良いんじゃないか?」

「そうだな。……しかし、休みばかり増えていくな」

 


 

昭和四十年法律第五十号

国民の休日及び祝日に関する法律(昭和二十四年法律第百七十八号)の一部を改正する法律

 

 労働基準法の改正に基づき国民の休日及び祝日に関する法律(昭和二十四年法律第百七十八号)の一部を次のように改正する。

 

第4条

 国民の祝日は休日とし、国民の祝日が土曜日または日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い国民の祝日でない日を休日とする。また、その前日及び翌日が国民の祝日で、当日が国民の祝日でない場合は、当日を休日とする。当日が土曜日または日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い、国民の祝日または休日でない日を休日とする。

 

 

第4条の2

 変更なし

 

第5条

 公安、交通、医療、その他の現業を除く公的機関は、次の日を休日とし、その執務を原則として行わないものとする。

第1号 土曜日及び日曜日

第2号 第4条に規定される休日

第3号 当該地方公共団体において特別な歴史的、社会的意義を有し、住民がこぞって記念することが定着している日

第4号 その他の法律により定められた休日

 

附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

 

 

内閣総理大臣

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

―昭和41年 冬―

 

「養老の日は考えなかったな。面白い日が発案されたものだ」

「兵庫県の多可郡野間谷村の門脇政夫議長が提唱した「としよりの日」が始まりでしたか」

「そうだな。1950年からは兵庫県全体で行われていたようだが、議会と知事が協力すると、自治体から全国に広がるのは早いものだ」

「村で「老人を大切にし、年寄りの知恵を借りて村作りをしよう」という主旨で、1947年から農閑期に当り気候も良い9月中旬の15日を「としよりの日」と定め、敬老会を開くようになっていたようだ。ただ農閑期は地域によってばらつきがあるからな。祝日にするには理由が少々足らん。主旨は素晴らしいので、祝日がなかった10月に設けさせて貰った。その理由はこちらで考えさせてもらったが」

「いくら10月に休みを入れたいからといって趣旨にユリウス暦を持ち出すのはどうかと散々言われましたね」

「お互いに狙いがわかっていたから助かったが、そのうちいい理由付けを考える必要があるな」

「それと国際親善の日について、いよいよ国民の発案がありましたな」

「ああ。もう少し早くあるかと思っていたんだが」

「名称が決まらなかったようですな、報道によると当初はクリスマスが多かったようですが、政教分離の原則もあり、祝日になるのならキリストのミサという英語由来の名前より日本らしい名称が良いと、国際親善日と大正記念日で割れていたようです。冬至祭という候補もありましたな」

「結果は12月25日を国際親交の日として祝日にすべしと発案されたと」

「この日が国際的な法定祝日であることを理由として宗教色を廃したので他の宗教からの横やりも防げたようですな」

「まぁ、発案通りに決定するだろう」

「祝日法の改正に携わるのは今回が最後だろうな」

 

「ああ。俺たちも後2年で退官だ。俺たちが退官した後、日本の行く末は貴様らに託すからな。政官民一丸となって日本を牽引してくれ。宜しく頼むぞ」

 


 

昭和四十二年法律第九十号

国民の休日及び祝日に関する法律(昭和二十四年法律第百七十八号)の一部を改正する法律

 

 国民の休日及び祝日に関する法律(昭和二十四年法律第百七十八号))の一部を次のように改正する。

 

一、第2条 菊の節句の項の次に次のように加える。

 

  養老の日  十月二十八日

 

二、第2条 新穀感謝の日の項の次に次のように加える。

 

  国際親交の日  十二月二十五日

 

三、第3条 菊の節句の項の次に次のように加える。

 

  養老の日 元正天皇が全国の老人に長寿を祝いユリウス暦十月二十八日に賜品を下した故事に習い、老人を敬愛し、長寿を祝う。

 

四、第3条 新穀感謝の日の項の次に次のように加える。

 

  国際親交の日 世界の何十億人もの人々の間で宗教的、文化的に祝われる国際的な法定祝日を記念し、国際交流を盛んにする日

 

 

附 則

 この法律は、昭和四十三年一月一日から施行する。

 

 

内閣総理大臣

 

厚生大臣

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

―昭和43年 冬―

 

「母に感謝する日について制定して欲しいと要望が上がってきているな」

「さて、どうするか……」

「戦直後に行われたアンケートでは地久節を支持する声が圧倒的でしたが」

「……これ以上の祝日は」

「確かに。ただ、国民の声を無視するわけにも……」

「困ったな……」

「もう一度、世論調査を行い、祝日化の必要性と、母に感謝する日にふさわしい日は三月六日の旧地久節か国際的な日の五月の第二日曜日か、その他の日かを答えてもらうしかあるまい」

 

 

 

 




2023年の休日

【挿絵表示】


【挿絵表示】


休み増えています。




母に感謝する日(アンケート当時、希望日を選んでもらったら地久節が国際的な母の日より圧倒的に支持されてたとか)と森林の日はネタにします。
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