もしもこんな日本だったら   作:fire-cat

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赤羽刀

「なあ、今日は博物館行こうぜ。先週からコラボしている企画展、本庄正宗と相州秋広も展示されてるんだってさ」

「えー! 本庄正宗様と相州秋広様がいるの!?」

「刀に様って、お前本当に好きだな、あのゲーム」

「いいじゃない、早く早く」

 

「早くってば」

「ちょっと待て。説明読んでからな」

「また〜? ほんと、好きだよね、挨拶とか企画展の説明とか読むの。面白いの?」

「今回の説明は、結構面白いぜ。読んでみなよ」

「んもー。まぁ、貴方が言うなら……。えっと、企画展の説明? 赤羽刀とは?」

 

 

 連合国総司令部(GHQ)が全国に古火縄銃も含めた銃器類や脇差、鎗、薙刀などを含む刀剣類の提出を命じた事件がある。日本の武装解除の一環として全国に刀剣などの武器類の提出を命じたものであるが、当初の予定ではそれらの大部分が海洋投棄などの廃棄処分となる予定であった。だが処分直前に明治の帯刀禁止令の由来、日本刀を心の鏡とする哲学、抜かざるの剣の道、日本刀の平和的美術価値観等の説明をGHQに毎日訴え続けた関係者の努力ー当時の資料によれば午前と午後に二回、別々に関係者が日参したとの事だーにより接収品は全て学術調査を行った後に廃棄すると改められた。

 その後も関係者が粘り強く交渉を行い、1945年12月に銃器刀剣類の接収終了と持ち出しの禁止、許可を受けた狩猟用火器及び狩猟用ナイフの所有と歴史的・美術的価値ある銃器刀剣類の博物館での保管が許可されている。その間、連合軍兵士により許可なく日本国外へ持ち去られた日本刀の数は数万に及び、その中には本庄政宗や国俊の様に国宝や重要美術品も相当数含まれていた。

 国防軍としての再軍備が認められると、軍備の恒久放棄の一環として接収された銃器刀剣類の返還活動が始まり、海外に流出した本庄正宗や豊後正宗、備前国宗や長船兼光、相州秋広といった国宝や重要美術品であった銃器刀剣類が返還された。

 その後国内で保管されていた銃器・刀剣類が学術調査を終えたものから元の所有者への返還されたが、返還に当たっての条件は厳しく所有者から地元自治体へ寄託の申し出が相次いだ。美術品と認められ所有者不明のまま国の博物館で保管されていた銃器刀剣類も多数あり、寄託の申し出を受け内務・文部の両省は国宝や重要美術品であった銃器刀剣類は国立博物館に寄託、「刀匠の出身地や所縁の地でなら、十分展示に値する」と評価されたが所有者不明の銃器刀剣類は所有者不明のまま出身地或いは所縁のある地の博物館・美術館に寄託している。

 各地の博物館・美術館での公開中に所有者が判明した銃器刀剣類は所有者に返還して自己で保管するか寄託を継続するかを選択させたが、ほとんどの場合は継続して寄託されている。また、講和後20年を経過し尚所有者不明の銃器刀剣類は、国へ所有権を移し、広く公開・活用を図るため、転売せず一般公開することを条件に全国の公立博物館に無償譲与された。

 

 

「ふーん。ひょっとしたら本庄正宗様や相州秋広様だけじゃなくて、豊後正宗様や備前国宗様とか長船兼光様とかもいなかったかも知れなかったんだ」

「そうだなぁ。そうならなくて良かったよな、文化遺産としても」

「そう考えると今ここにある幸せを大切にしないとね。それは、それとして早く行こ」

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