①ー 農地を巡る一幕 ―
「国民協同党、山田君」
「農地が余っている? このトンチキ! どこに目ぇつけてやがるんでぇい! 手前の頭に二つくっついてんのはガラス玉か! 改進党の、答えろや」
「改進党、荻君」
「この資料から明らかなようにコメに著しい余剰があるのは明らかであり、つまるところ農地に余剰があるとみなしても良いと思われ」
「コメが余ってるってぇ錯覚から農地も余ってるなんてあほなこと考えたんだろうが、んなわけあるか! よく目ん玉ひん剥いて確認しやがれ!」
「山田君、議員の言葉遣いとしてそれは如何なものかと思う」
「おっと。失礼しました、議長」
「以後気を付けるように。続けてください」
「では。コメが余ってる? 馬鹿言ってんじゃねえ。手前らがコメの価格釣りあげるなんて馬鹿なことやったせいでコメが一時的に余ったけどよ、政権交代で大麦小麦の価格を上げてからそっちに作付けが転換しているからな。80年からコメ余りも年ごとに無くなって来てるんだよ、よ~く確認しやがれ」
「何を!」
「静粛に! 山田君、もう一度言います。言葉遣いに気を付けなさい」
「議長!」
「勤労者農民党、山本君」
「この資料から明らかなように1980年以降、我が国の農地が減少しているのは明らかだ! 国土基本法に定められているゾーニングが守られていない! このままではかろうじて維持していた60%の自給率を割り込むのは時間の問題だ。政府は一刻も早く違法な農地転換の取り締まりを強化するべきである! この点については我が党も政府に対する協力は惜しまない!」
②ー 憲法第2章第34条をめぐる弊害? ―
「憲法第2章第34条だが戸籍について触れるのであれば家紋についても考慮して頂きたい」
「四辻男爵、その理由は?」
「以前、家紋を悪用した詐欺に巻き込まれたことがあってな。もう少しで犯罪者の片棒を担ぐどころではなく主犯にでっち上げられるところであった。その時は何とか免れたが今後同じような犯罪も考えられる。法律で家紋の扱いについても定めた方が良いのではないだろうか?」
「確かに」
「家紋なんて封建制の名残だ! そもそもそんなものを利用する犯罪があることがおかしい。家紋などと言うものはこれを機会に廃止すべきである!」
「家紋は封建制とは違うものである。苗字の公称ができなかった江戸の昔でも庶民は家紋を所有し使用していただろう。西洋の紋章とは違う」
「家紋が封建制の名残というならあんたの羽織や墓から家紋を削ったらどうだ?」
「まぁまぁ。紋は色々と扱いが難しいが法制定は一考の余地があると思う」
「商標と同じと考えて法規制を行ったほうがいいのか?」
「それはちとやりすぎでは?」
「いやいや。他人の家紋を悪用するような奴が増えるとなると家紋の登録やある程度の商標登録規制や罰則を設けた方が良い」
「そこまで必要か? 今後は洋装が広がっていくだろう? 洋装に家紋はつけないからそのうち廃れていくだろ?」
「家紋を付けるのは何も着物だけじゃないだろう? 墓や提灯だってあるじゃないか。すぐに廃れるとは思えん。それに庶民にまで紋があるのは日本だけだったはずだ。我が国の文化なのだから、こんな世情では大切にしたい」
「まぁ、条文に入れてもさほど悪い影響もないだろうしな」
「いや、影響については検討した方が良いと思うが」
「憲法に定めるのであれば法律も何らかの修正が必要になる」
― 数十年後 ―
「この子の七五三の祝いに着物を仕立てないとな」
「娘ですから女紋をつけませんと。ところでうちの女紋はなんでしたっけ? 私の紋で良かったのかしら?」
「どうだったかなぁ。お袋に聞いておくか」
「そうですね。間違えると面倒ですもの」
「全くだ。民法やら何やらに紋の規定があるからな。憲法第2章第34条がこんなところに影響があるなんてな。作った時にわからなかったのかね」
「多分、難しかったのでは? 定紋や女紋は着物や提灯に普通に付いていましたから」
「後の事も考えて法律を作って欲しいもんだ」
③ー 姦通罪 ー
「なあ、この記事見てみろよ。俳優が姦通罪で訴えられてるぜ」
「こいつか。どれどれ……え? こいつ婚約者居たの!?」
「いたらしいぜ。ほら、訴えたのアイドル歌手のあの子だよ」
「うおっ。マジかぁ。俺この子のファンだったのに」
「ご愁傷さまだ」
「良く訴える気になったなぁ。仕事に影響でそうだけど」
「まぁ腹に据えかねたんだろうさ。違法な泡にいたところをとっ捕まったらしいから。それにしても一般人も大変だけど芸能人は特に大変だなぁ」
「だなぁ。極秘交際していてもこんなところから漏れるんだもんな」
「前にも女優と俳優のダブル不倫とか盛り上がってたよな?」
「あれか。結局女優も俳優も浮気なんかしてなかったってやつだろ? 交際発覚って記事を見て、女優の方は一般人だった婚約者が訴えて、俳優の方は極秘婚約中の事務所の後輩が訴えて両方バレたんだっけ? 結局、誤報でしたって事で報道した各社が特番やら全面謝罪記事やら出した奴」
「それそれ」
「気の毒だよなぁ、有名人は。女優の仕事量は変わらなかったんだっけ? 訴えたのが出来レースって噂もあるけど。俳優の方は二人ともファンが減ったとか応援する層が変わったとか書かれていたけど」
「らしいな。それからだっけ? 交際発表やら結婚発表が多くなったの」
「そう言えばそうだな。姦通罪の影響、結構デカいよなぁ」
「姦通罪、憲法改正したときに刑法も改正しただろ? あの時に廃止になった可能性もあったらしいぜ」
「ああ、世論調査で年輩者が条文廃止で若者が男女に適用すべしってなったあれだろ? 若者の意見を重視するってなって男女とも適用になったんだっけ?」
「そうそう。で、適用の範囲が婚約関係にある者ってなったから大変だったらしいな。初めの頃は許嫁がいるやつが赤線で捕まって姦通罪が適用されたりしてさ」
「既にいたお妾さんは本妻が認めていたら姦通罪の適用免除だったっけ?」
「遡及処罰は違憲だからな」
「許嫁がいるやつがとっ捕まるのは赤線が廃止されてからがくんと減ったんだけどな」
「泡が出てきてからまた少し増えたじゃんか。男も女も」
「男も女も相手がいるのにこっそりやる奴が悪い」
「そこ行くと俺ら独身貴族は気楽でいいよなぁ。なぁ、この後、泡行かないか?」
「あ~。悪ぃ。俺行けなくなったんだ」
「そうか、じゃぁまた今度……ん? ……行かないんじゃなく行けなくなった? ……まさかてめぇ」
「ああ。見合いで許嫁が決まった。今後、泡は一人で行ってくれ」
「チッキショー」
二風谷ダム問題とか、扱ってみたい。だが書けん(:_;)
第2章第59条で少数民族の文化等の尊重が憲法に記載されているので、多分、同化政策がなくなったり、北海道旧土人保護法は憲法施行と同時に廃止されて別の法律ができたりして、少数民族の扱いもかなり変わっているはずだからだいぶ経緯が違うんだろうが、書けん(:_;)
※第1話の【日本を取り巻く環境】、大分手直しが入っています。