もしもこんな日本だったら   作:fire-cat

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公家の家職と生涯学習について書こうと思ったんだが……。
何故かこちらが先にできてしまった。



台詞集⑥ 〜中学校公民科の授業風景の一コマ〜 

「授業はじめるぞ~。席につけ~」

「起立! 礼! 着席」

 

「今日の授業は日本国憲法の上諭と前文について解説していくぞ~」

 

「は~い」

 

「上諭についてだが、これは天皇が法律や勅令を裁可し公布する際に、その旨を記した文章だというのは覚えているよな?」

 

(あ……忘れてた)

 

「上諭は元々は第二段落のみを記載するはずだったことは二年生の時に学んで知っているな? その時、なぜ第一段落が追加されたかについては勉強したか?」

 

「天皇陛下の強い思し召しだったと教わりました」

 

「そうだ.よく覚えていたな」

 

「上諭の第一段落だが、【日本国は先の悲惨なる戦争を省み】とあるな。これは第二次世界大戦のことを指していることはわかるな? みんなも祖父母から聞いているとは思うが、東京や大阪も大空襲でそれは悲惨な目に遭ったんだ。沖縄ももう少しで南部が戦禍に巻き込まれるところを間一髪で回避できたことは知っているな? 戦争の悲惨さを反省し、再び同じ過ちを繰り返さないという決意が示されているんだ」

 

「つぎに【未曾有の改革を為さんとす】という文、これは戦後の日本はGHQとの約定で大きな改革を必要としていたからな。ここでその改革を行う決意が述べられている」

 

「【朕自ら先んじ、維新の誓文に立ち還り日本の国是を定め復興の道を求めん】とあるが、これは明治維新の際に掲げられた【五箇条の御誓文】を指している。天皇陛下自らが率先して日本の基本方針を定め、国の復興を目指し改革を進めるという強い意志をこの文に込められているんだ。【維新の誓文に立ち還り】という件は昭和21年1月1日の【年頭ノ詔書】に表されているから一度は読んでおくように」

 

「【日本国民は共に心を一つにし日本の復興と繁栄のために努力すべし】というのは 国民全体が一丸となって復興と繁栄を目指そうという陛下から国民への呼びかけだな。第二段落についても解説しておこうか」

 

「第二段落は憲法改正の裁可と公布について触れている。【朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が定まるに至ったことを、深く慶び】というのは天皇が国民の総意に基づいて新しい日本の基礎が定まったことを喜んでいることを表している。【枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第七十三條による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここに之を公布せしめる】という文は公文法の基の一つになった公式令第三條に書かれていた内容だ。枢密院の諮詢と帝国議会の議決を経て、帝国憲法の改正を裁可し、公布することを述べている」

 

「このように、上諭は日本が戦後の復興と改革を目指す決意を示し、天皇がその先頭に立つことを宣言し、日本国民全体が一丸となって努力することを求めているわけd……」

 

(あ、チャイム……)

 

「おっと、もう時間か。前文まで出来なかったか。前文は次の授業で行うから予習しておけよ〜。最後に、この上諭は、日本が戦後の復興と新しい憲法の制定に向けて進んでいく決意を示した重要な文であることを忘れるなよ。以上!」

 

「起立! 礼!」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「授業はじめるぞ~。席につけ~」

「起立! 礼! 着席」

 

「よ~し、今日は前に終わらなかった憲法の前文について解説していくぞ」

 

「前文は、日本国憲法の基本的な理念と目的を示している。【日本国は、国会における正当に選挙された代表者を通じて】とあるが、これは国民が選んだ代表者を通じて国政を行うことを示している。つまり国民主権の原則を表しているわけだ」

 

「【我ら自身と子孫のために、諸国民との間に平和的協力を成立させ】というのは自国と他国との平和的な協力を通じて、現在と未来の世代のために平和を築くことを目指している」

 

「【日本国全土にわたって自由の福祉を確保し】とあるがこれは国全体で自由と福祉を保障することを強調している」

 

「【無責任な軍国主義によって再び戦争の惨禍が発生しない様にすることを決意し】という言葉は、日本が過去に犯した過ちを深く反省し、二度と繰り返さないという強い決意を表している。無責任な軍国主義というのは軍事力を無責任に使うこと、つまり、世論を煽ったりして戦争を引き起こすような行動や政策を指す。言っておくが世論を煽るのは政治家や軍人だけじゃないぞ? まあ過去の日本は、軍国主義によって戦争を引き起こし、多くの人々に苦しみをもたらした。【再び戦争の惨禍が発生しない様にする 】というのは過去の戦争のような悲惨な出来事が二度と起こらないようにするという意味だ。つまり、これは戦争を避けるための平和的な政策や国際協力を重視することを示しているともいえるな。日本は過去の戦争の教訓を生かし、無責任な軍事行動を避け、平和を維持するために努力することを誓っている。国民や未来の世代が再び戦争の悲惨さを経験しないようにすることを目指していると表明しているわけだ」

 

「【ここに国民の総意が至高なものであることを宣言し、この憲法を確定する】というのは……誰か判るか?」

 

「はい!」

 

「それじゃ、安藤」

 

「はい! 国民の総意が最も重要であることを宣言し、その上で憲法を制定することを表明していると思います」

 

「うん、よくできた。その通りだと思う。どんどん進めるぞ」

 

「【日本国民は、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治され国家の意思を最終的に決定する】とあるが これは日本が、法律を作る立法、法律を実行する行政、法律を解釈する司法の三つの権力に分かれている仕組みで統治されていることを現している。これを何というか?」

 

「「三権分立ですって書いてありますよね? ひょっとしてネタですかぁ?」」

 

「その通り。ネタだ。毎年先輩達にもやっていたんだが、皆ノリが悪くてな。君たちはよくできた」

 

「【内外に甚大なる被害を与えた先の悲惨なる戦争を深く反省すると同時に】というのは 第二次世界大戦の反省を示している。【世界の恒久平和を希求し、国際協調の精神をもって、国際社会の平和と繁栄と安全の実現に向け、不断の努力を続ける】というのは日本は、世界の永続的な平和を求め、他の国々と協力する精神を持って国際社会の平和、繁栄、安全を実現するために、絶え間ない努力を続けるという宣言だ」

 

「【日本国民は、基本的人権が尊重され国民の福祉が増進される、自由で活力があり、かつ公正な社会の実現を、個人の自律と相互の協力の精神の下に希求する。】、この文章は、日本国民が理想とする社会の姿を簡潔に表現したものだ。日本は基本的人権の尊重、国民の福祉の増進、自由で活力があり、かつ公正な社会の実現という、普遍的な価値観に基づいた社会を目指していると表明しているわけだな。個人の自律と相互の協力の精神の下に、多様な価値観を持つ人々が共存し、より良い未来を築いていきたいという願いが込められている。あの時代によく考えたものだ」

 

「【日本国民は自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させ、国際社会において、名誉ある地位を占めることを希求する】この段落は日本国民が理想とする社会の姿を、より具体的に表現したものだ。自由と規律、自然との共生、教育の重要性、経済の発展、そして国際社会での貢献といった、多岐にわたる価値観が盛り込まれていて。これらの価値観をバランス良く実現することで、より良い未来を築きたいという国民の願いが込められているんだが……わかるか?」

 

「「むずかしいで~す」」

 

「ん~そうだな……まず【自由と規律を重んじる】とあるが、これは思想、言論、行動の自由など、個人が自由に生きることを尊重すると同時に自由には責任が伴うことを認識し、社会全体の秩序を乱さないように法を守り、お互いを尊重し合う意識を同時に持とうという事だ。自由と規律は対立するものではないからな。むしろ両立させることでより良い社会を実現できると先生も思う」

 

「つぎに【美しい国土と自然環境を守りつつ】というのは日本固有の自然や文化を大切にし、後世に引き継いでいきたいという事だな。一時期は絶滅が危惧されて大陸から輸入を考える寸前まで減ったトキもようやく保護活動が実りつつあるからな、自然との共生を重視しなければいかん」

 

「【教育や科学技術を振興し】、これは科学技術の進歩は、社会の発展に不可欠であると考え、その振興に力を入れ人材育成を重視し、教育の機会を平等に与えることで、社会全体のレベルアップを目指すという事だ。日本の技術ももっと高めていかなければならないからな」

 

「【活力ある経済活動を通じて国を成長させ】、国民の生活水準向上のため、経済活動を活発化させて国力を高め世界で活躍できる国を目指すという宣言だな」

 

「【国際社会において、名誉ある地位を占めることを希求する】というのは世界の平和と発展に貢献し、国際社会において尊敬され国際社会で存在感を示すことを目指すとしている」

 

「【国家の名誉に懸け、全力をあげてこの高遠な主義と目的を達成することを誓う】というのは国家の名誉をかけて、高い理想と目的を達成することを誓っているわけd……」

 

(あ、チャイム……)

 

「おっと、時間だな」

 

「この前文は、日本国憲法の基本的な価値観と目標を明確に示し、国民と政府が共に目指すべき方向性を示しているということだ。以上!」

 

「起立! 礼!」

 

 

 

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