もしもこんな日本だったら   作:fire-cat

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戦後、都市復興計画で狭軌から標準軌へ改軌……でも予算がないので狭軌の設備をいきなり撤去して標準軌用設備に更新、なととはできない。
仕方ないので主要幹線から徐々に標準軌に置き換えつつ、とりあえずは三線軌条で狭軌と標準軌に対応しつつ経済が復興してきたら標準軌。で、こんな感じかなと。


ネタ集④ ~鉄道事情~ 

① ―家族旅行にて―

 

「昔と違って客車も大きくなったのぅ。これも標準軌への転換のおかげじゃな」

「そうだなぁ。あんまり覚えてないが昔はもっと小さかったよな?」

「この東海道線でも小さく狭かった。三等寝台や二等客車じゃ気を付けんと他人様に躓いたり、足元の荷物を蹴っ飛ばしたりと大変じゃった。改軌の時は色々叩かれたものじゃが、今にして思うとアレが大英断じゃったな」

「ああ。標準軌導入で、長距離の移動時間が大幅に短縮したからなぁ。昔は東京大阪間が特急列車で8時間かかっていたのが標準軌になってから5時間だからなぁ」

「おかげでこうして有馬温泉への湯治旅行も楽に行けるようになったわい」

「今、夢の弾丸特急が計画されているらしいな。それによると東京大阪間が3時間半でいけるらしい。大阪の万博には間に合わせるんだと」

「今より早まるのか。う~んそれはそれで駅弁や酒を楽しめる時間が」

「親父ぃ。……そうか、そうなると産まれたばかりのこの子が大人になったころは風情をとるか時間をとるかで旅行も分かれそうだな。ああ、そうだ。駅についたら、宿の迎えのバスがあるから宿に行って、そこで車を借りる予定だから、行きたいところはそれで行こう」

「そんなこともできるのか。……こりゃ車はしばらく買わなくてもいいな」

「車はいいけどオート三輪くらいは買いたいね。買物が楽になるって言ってたからな」

 

「あなた、次は近場の温泉でも行きましょう」

「そうだな、伊香保温泉なら列車で東京から片道2時間半ぐらいだから日帰りで行けるな」

 

◇◆◇◆◇

 

② ―引っ越し事情―

 

「見てみて。長い貨物列車来たよー」

「わあ。すご〜い」

「なんだよ、仁美は見た事ないのか? この辺じゃ桜が咲くと長い貨物列車を大人達が写真撮りに来るんだぜ〜」

「もうすぐ始業式だし、引っ越しの時期だもんね。ここは桜と線路の土手に植えられた菜の花がきれいだからね。それにここは主要幹線だから、この頃は引越専用列車が走るんだ。引越専用列車は途中で長くなったり短くなったりするから面白いんだよ?」

「よっ。さすがハカセ。クラス一の鉄道博士」

「そうなんだ。だって私初めてだもん。ここで桜見るの」

「あっ、そうか、お前引っ越してきたの秋だったっけ」

「そうだよ~。青森から長野までは遠かったよ~」

「なぁ。引っ越しってどんな感じなんだ?」

「え? 授業で習ったのとおんなじだよ?」

「そうなのか?」

「うん。貨物駅までトラックで荷物を運んでもらったら、トラックを外して荷台のコンテナをクレーンで貨物列車に載せるの」

「へぇ~」

「クレーンってこ~んなにおっきいんだよ? それでここの隣の貨物駅までさっき見た貨物列車で来て、そこからクレーンでコンテナを降ろしてトラックにつけるの」

「あ、それ見たことある。ガッチャンって感じに繋げるんだよな」

「うん、そうそう。それでお家まで荷物を運んでお終い」

「仁美はその間どうしてたんだ?」

「え? 前の学校でお友達に貰ったお手紙読んだり、返事を書いたり、かな」

「あ、僕の父さん、会社の人のお手伝いに行ったけど、引っ越し先につくまで大人はお酒飲んだりビール飲んだりカラオケしたりで宴会だったって」

「なにそれ? そんなことできるの? ハカセ?」

「うん。引越専用列車って面白いんだよ。始めは長物車と客車を繋げて混合列車にしていたんだけど、国鉄が車台を延ばしてその半分をコンテナを載せられるように改造して半分を客室に改造した専用車両を造ったんだ。今じゃそれが引越専用列車として走ってるんだ」

「へぇ。乗ってみたいかも」

「馬鹿だなぁ。そん時はここから引っ越すことになるんだぞ」

「う~ん。あ、引っ越して一ヶ月くらいですぐに戻ってくれば二回楽しめるね」

「おいおい」

「専用列車って長距離の場合だろ? 短いのはどうなんだ?」

「僕も引っ越したことあるけど同じ街とか隣くらいまでならトラックだって聞いたよ?」

「そうなんだ。僕は荷物が一杯だったら近くても鉄道使った方が安いときがあるって聞いたけど」

「そうなの?」

「同じ県内でも端から真ん中に引っ越しとかだと荷物が少なくても鉄道だよね」

「普通荷物が少なくてもバックやトランク一個って事はないもんなぁ」

「そんなの漫画(コ□コ□とか)で見るくらいだよね」

 

◇◆◇◆◇

 

③ ―鉄道民営化? ―

 

「国有鉄道の民営化?」

「ああ、一部の若手で検討されているようだ」

「国鉄は黒字を維持しているよな?」

「ああ、今のところは黒字経営だ」

「経営の安定性も高いのに、民営化を行う必要性はあるのか?」

「鉄道の社会的意義を考えても、公害も起こさない、環境にも財布にも優しい交通手段だよな? まあ、サービスの質は色々言われているが、態度が目に余る職員は配置転換とか海外研修で大分ましになったはずだ。そうだな?」

「ああ。配置転換や海外研修もそうだが、百貨店で2年間の研修という制度が戻って来てからも接遇マナーなどで役に立っているらしい」

「鉄道は国や自治体が主体となって運営することで、公共交通機関としての役割を果たせるよな? 民営化したらサービスの質は上がるかもしれんが公共交通機関としての役割を果たせるのか? 民営化したら赤字路線が真っ先に廃止されないか?」

「そうだな。少ない数だが赤字路線もある」

「廃止されるとしたらまず、こことここ、後は……こことここ、ここも怪しいな」

「そんなところだな。だが民営化してこの路線が廃止されるとそこの地域一帯の経済が死ぬぞ? 特にあそこは広いうえに豪雪地帯で、鉄道を廃止したら廃線跡をバス専用道路にしても交通網が大幅に乱れることは火を見るより明らかだ。我々政治家、特に行政を司る者は短期、微微な視野で物事を見てはならん。最低でも日本国全体の四半世紀先の姿はどうあるべきかを見据えておく必要がある」

「ま、調べれば調べるほど今の国鉄の民営化が難しいのはわかってくるだろうさ」

「まともな神経の持ち主なら今の収益で民営化はしないとは思うが……」

「民営化は鉄道よりも塩とタバコの方が切実だろう? 公社の収入を増やすために紙巻きたばこの税率を下げられんのか? そうすれば喫煙人口も増えてくると思うのだが」

「いやいや、安易な喫煙を防ぐために気軽に吸える紙巻の税率を80%にまで上げたんだ。今更それは無いだろう」

「そうだそうだ、その代償として紙巻以外のたばこを、若者には無理だが、ちょっと節約すればサラリーマンが手が届く程度な価格になるように税率を下げたのだ」

「いやいや、葉巻はともかく水や噛みたばこは場所と景観……」

……

 

 

◇◆◇◆◇

 

④ ―改軌の影響―

 

【最後の三線軌条廃止。国内全路線、21世紀を目前にようやく標準軌へ】

 

「ニュース見たか? やっと全線標準軌へ転換できたらしい」

「最後は登山鉄道かどこかの森林鉄道だと思っていたのになぁ。あそこの峡谷鉄道だったかぁ」

「だよなぁ。あそこって昔は軽便鉄道だったよなぁ。廃線されると思ってたんだが、観光地化で生き残ったからな」

「俺、最後は台湾だと思っていた。返還された台湾の鉄道が最後に残っていたからな。英米も統治中に自分達で標準軌に改軌してくれれば……」

「まぁ、アイツらが自分の懐痛めてまで金を出す義理はないわな」

「1970年代から返還運動煩かったからなぁ。あいつらも引き渡しちまえ。と色々やっていたら民国が騒いで……」

「元々は中華民国に渡す予定だったのが中共にボロ負けして珠江の南岸に追いやられたからなぁ。あいつらには引き渡せんってなって。んで、様子見してたら、半島もあっち側になっちまった。んで日本が左から右へ旋回したら右に切りすぎて少し左に戻して真ん中へ旋回する羽目になって……」

「澎湖諸島に近い所は米英の駐留基地だったから澎湖諸島が戻ってくるまで手付かずだったしな。それが、まさかのアレだもんな」

「俺は路面電車が最後だと思っていたよ」

「路面電車は、ほら、元々は改軌の対象外だったし。都市計画で道路拡張と穴掘って地下にでっかい二層式共同溝を埋めた時にまとめて改軌できるとこは改軌したから」

「だよなぁ。その影響かは知らんが今じゃ狭軌の路面電車もほぼ全ての路線で二両編成だし」

「改軌の時に線路を高架化したから路面電車が鉄道と交差する時も鉄道の通過を待たないで済むのは助かるよな、交差点も立体化しているし」

「まぁそれはあるな」

「そういや、路面電車が二両編成だとバスより人が乗れるからか、バスの本数が少ないんだよなぁ」

「路面電車があちこち通っているからバス路線自体が少ないだろうが」

「郊外住の連中も車で市街に入れないから大変らしいぞ、市街地に入る前に駐車場による必要があるから、良い所に停めるのが大変らしい」

「郊外のショッピングモールに行くのには車がないと不便だしなぁ」

「とはいっても普通に買物するのは商店街で十分だしな。モールやデパートと違って家から近いし融通を利かせてもらえるし」

「そうそう。子どもが、裁縫用具がな~い! あれ明日使うんだ~! って夜の10時になって騒いだ時も売ってもらったし」

「商店街にないものはショッピングモールで、商店街にあるものは商店街で買いましょうってな。今のところは上手く住み分けもできているし、当分はこのままなんだろうなぁ」

 

◇◆◇◆◇

 

⑤ ―通勤列車―

 

「やれやれ、今日は座れたな」

「ああ。座れるとほっとするな」

「ドアツードアで片道60分の通勤は結構長いからな。座れた方が良いに決まってらあなぁ」

「しかし、思うんだが」

「ん?」

「通勤列車はこんな2人掛けと3人掛けの座席を千鳥式に配列するんじゃなくてロングシートの方が座席を確保しやすいんじゃないか?」

「ロングシートだと幅2人分を1人で使う乗客とかいるかもしれないだろ?」

「そうか。意図的じゃなくても横幅のある乗客とかは幅2人分を使ってしまうだろうし。そう考えると今の座席配置が良いのか」

「そう言えば国鉄がロングシートの新型を出すらしいが座席が六人掛けらしい。幅をゆったりさせたんだとか」

「マジ? それでも幅2人分を1人で使う乗客は出るんじゃね?」

「いや、そうさせないように幅一人分ごとに平均的身長の大人が座った時の肩までの高さがある仕切り板を設けるらしい。これで居眠りして寄りかかって邪険にされたりされずに済むな」

「若い姉ちゃんが寄り掛るのは大歓迎なんだがなw」

「おやおや、良いのかな、そんなこと言って。姦通罪」

「俺独身だし、振られたばかりだからそれ関係ない……」

「あ~。そうだったな、済まん」

「で、だ。この車両、乗降扉手前の側面板は網棚まで高さがあるそうだ」

「それなら寄り掛られて肘や荷物があたったり、長い髪が口に当たることも無くなるのか、良かった」

「でも足を広げたらぶつかりそうだな」

「いや、仕切り板も10センチほど通路側に出るらしいぞ」

「それなら広がらないか」

「足を閉じるからミニ穿いた姉ちゃんがいても目を閉じたり逸らす必要がなくなったわけか」

「助かるなぁ、それは」

「あとは窓からの日差しも抑えるらしいな。本が読みやすくなりそうだ」

「換気機能も強化されるらしいな」

「隙間風で換気が良くなるとか言うオチじゃないだろうな」

「そりゃないだろ」

「ちがいない。おっと次だな。んじゃまた夕方にな」

「おお、気を付けてな」

「あいつが一番通勤時間短いよな」

「そうだな。駅から20分だと家からチャリでも通えないことはない距離だよな」

「いや、チャリだときついだろ、ここは」

「まぁ、ここからは下り坂だけどこの駅までは坂を登るからな」

 




引越専用貨物列車、イメージはモハネ583の半分(座席全撤去お座敷仕立)とコンテナ車の半分をニコイチにした感じ。標準軌の車両だからこのくらいできる……筈、多分。

注:イラスト求められても描けませんから、それぞれの頭の中で想像してくださいね。ネタでも振りでもなく描けないので。

二層式共同溝は通信・電気・ガス・水道、下水道が収納されています。上下ともに人が歩け作業を行える高さで換気設備、消火設備、排水設備、照明設備が備わり一定距離で水密隔壁(開口部は全て水密扉付)に区切られています。当然、治安組織の重点警備対象施設で、特撮やサスペンス物の舞台の一つです。


標準軌に改軌された通勤用の近郊列車ってどんな感じになるんだろ? 想像つかんなりに書いてみたけど……。
速度と輸送量は狭軌の1.3~1.5倍ほどと想定。
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