「おい。GHQが瓦礫処理について新しい方針を出してきたぞ。今後東京をはじめとする大都市において瓦礫で河川の埋め立てを行う際はGHQの許可を得るようにだと」
「なんだって!? それは内政干渉も甚だしいだろ!」
「ふざけやがって! 手前らが日本を焼き払ったんだろうが!」
「戦争瓦礫を始末せねば復興に支障がある。東京も濠や川を全て埋めるわけにもいかんが、已を得ず外濠を半分埋めて、現在
「東京については珍しくアイツらが、自分達で掘り起こしてやるから埋め立てた河川の詳細な図面をよこせと言ってきた」
「珍しいな。んで条件は? 奴らがタダで言い出すわけがないだろう?」
「日本政府主導による土砂と瓦礫の速やかな始末。だとさ」
「瓦礫と土砂の始末だと! だから水路を埋め立ててんだろうが!」
「運河は都市計画に重要だからあの都市計画を行うなら運河と河川の整備は必須です。だと。いやがらせだな」
「くそっ」
「いや待て。……いい機会だ。中断していた東京市飛行場計画を進めよう。あそこを瓦礫と土砂で埋め立ててしまえ」
「なるほど。確かにあそこならいいかもな。羽田を少し広げても良かったが、京浜運河計画を進めるとGHQが羽田の近くの埋め立てを禁止したからな。アレで羽田の近くは将来的な拡張の見込めない。東京市飛行場計画の予定していた総面積は約251ヘクタールだったな。いっその事3000mの滑走路を4本取れるくらい埋め立ててしまおう」
「オイオイ随分景気のいい話だな」
「どうせやるならこれくらい風呂敷を広げようぜ」
「ならば滑走路は4000mまで伸ばそう」
「そりゃいい。なら俺は5000m滑走路を提案だ。5000mを4本も取れればかなり便利になるぞ~」
「いいぞ~!」
「まぁ、まじめな話として新しい空港には3000mの滑走路を2本、それと2000m、できれば2500mを1本か2本欲しいな。当初の計画通り往復2000キロを無給油で飛べる大型飛行艇用の滑走用区画と駐機場も欲しい。駐機場から滑走区画への斜路もか」
「となると必要な面積は予定の7、8倍ぐらい取る必要があるな。大掛かりな工事になるぞ」
「都内と近隣の瓦礫を受け入れれば埋め立てはできそうだが」
「埋め立ても沖に向かっていけば問題ないと思うが、あの辺の漁業権はどうなっていたかな。騒がれるのは面倒なことになるぞ」
「資金はどうする。国家事業に金を出せば額に応じて税金が減免されるとはいえ、そろそろ元華族や元財閥一族も出資を渋りだすぞ」
「完成してGHQに接収されなければいいがな」
「GHQは全国の飛行場を接収しただろう? 流石にまだ完成していない飛行場までは接収しないだろう。そう言えば、羽田は意外だったな。俺は京浜運河計画なんぞ無視するものだと思っていたんが」
「ああ。どうやら注力するのは内陸の飛行場らしい。調布も未舗装の西側地区を米軍が滑走路を拡張するらしいな。奴らカスリーン台風とキティ台風にびびって海より内陸を選んだんだろうさ」
「立川陸軍飛行場と多摩陸軍飛行場も拡張すると聞いているから、そんなところだろう」
「羽田はどうするんだろうな?」
「羽田飛行場は水耕農場とやらが作られるらしい」
「まぁ荏原、蒲田区も壊滅したし飛行場の大半が失われたからな。あそこは800mの滑走路が2本あったんだがなぁ。惜しい事だ」
「品川の被害が少なかっただけでもまだましだったな」
「京浜運河の開削と臨海工業地帯用の埋め立て造成が再開されただけでも良しとしよう。俺も羽田を接収したGHQが計画なんぞ無視して周りを埋め立てて広げていくと思っていたんだが」
「あいつら、羽田の近くに出来上がる予定の造成地を狙っているらしいな」
「造成地の件はGHQの嫌がらせの一つだろう。上が舌禍事件から赤色革命に結び付けて大分ぼったくったらしいからな」
「ならこっちも嫌がらせしてやるか」
「どうする気だ?」
「去年から今年にかけて埋めた外濠と今年から埋め始めた三十間堀川、東堀留川、龍閑川、新川を少し深めに掘り起こさせる。言い出したのはアイツらだしな」
「それなら試験的に埋め立てている浜町川もだな」
「外濠が元に戻せるかは怪しいが、掘り起こす川は流れをよくして舟行に役立たせてもらおうか」
「残土はどう運ぶ? 道路からの運搬だけじゃ間に合わんぞ」
「それこそ川から船でも使え」
「あまり大型の運搬船は残っていないんだが……運搬用の舟も譲ってもらうか」
「そうだな」
「ほう。残土を利用して中断した飛行場計画を進めるか」
「多少はできる日本人もいるのだな」
「イエローにしてはやり手だな。計画書を見た限りでは奴らにはもったいない大規模な空港になりそうだが、まぁ奴らが自分達の金で作るなら反対はせぬよ。首都にも一つくらいは奴らも使える空港が必要だろうしな」
「土砂の運搬に船が欲しいらしいがどうする?」
「あいつら、ちっぽけな船も満足に作れなくなったのか?」
「少し工業機械を移転させ過ぎたのでは?」
「何かと煩い中華民国を黙らせる為に工業機械を移転させたが、移転させ過ぎたか? 近いうちに本国へ中古機械の輸出規制を緩めるように働きかける必要があるかもしれん」
「……仕方ない。とりあえずはまだ残っている陸軍の上陸用舟艇を武装解除の上で返還してやるか。足りなければ第一線を退かせるLCVPを貸与してやろう」
「少し惜しい気もするが、まぁ良かろう」
「ところで、京浜運河を開削した後にできる埋立地はどうする気だ? 本気で接収するのか?」
「接収の噂は嫌がらせ程度だな。流石に今ないものを将来接収するわけにもいくまい。向こうから差し出すなら遠慮なく頂くが」
「まあ羽田飛行場一帯の跡地はこちらで好きに出来る。運河が開削できれば農場以外の跡地は高級将校の宿舎にしてしまおう。鴨場もあることだしな。浜辺を作り直せばそれらしくなるだろう」
「171エーカーの土地がか? 農場を除くとさほど住めんと思うがな」
「取り敢えず、跡地の周りは臨海公園にさせよう。ごみごみとした建物が周りにできると高級感が損なわれる」
「そうだな。工場などができれば水耕農場の環境にも良くない」
「では羽田の周囲は住民を立ち退かせて臨海公園とする案を会議に諮り日本政府に通達することにするが宜しいか?」
「異議なし」
「まさか講和条約発効と同時に空港が完成するとはなぁ……。予定よりだいぶ沖になったが、この空港のおかげで瓦礫も片付いて河川も濠も復活した。喜ばしい事だ」
「空港も3000m滑走路が予定通り2本できたな」
「ああ。それと2000mが1本できれば御の字だと思っていたが、2500m滑走路が2本もできるとは思わなかった。おまけに飛行艇の滑走用区画も十分な広さが取れた。羽田の飛行場が跡形もなくなった今、ここが日本の中心空港になるのは間違いなかろう」
「東京、特に隅田、江東はだいぶ変わってくるだろうな」
「ああ。どうなっていくのか楽しみだ」
瓦礫の始末と東京に運河を残したいと何か無いかと考えたら、東京市飛行場計画を思い出したんです。
で、こいつの規模を少し大きくしてみたけど、夢の島あたりに羽田並みの空港があるとなると、東京がどう発展するか想像がつかない……。滑走路の向きはどうなる?
成田空港とか出来るのか? そして調布や立川、横田は返還されるのか?
立川や調布が返還され、どちらかでも民間空港になったら成田空港はできないな。