もしもこんな日本だったら   作:fire-cat

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台詞集⑩ ~終戦前後~

ー日本ー

 

「盟邦ドイツの活躍により連合国が割れている今こそ一大攻勢を!」

「南方からの物資が入ってこない状況で何処にまともな戦力があるか!」

「腑抜けの海軍はいざ知らず、我が陸軍は未だ戦える!」

「残念ながらそのご自慢の戦力を運ぶ船が無いのだ」

「一大攻勢を。とおっしゃるが、むしろ、連合国が割れている今こそ講和の機会ではありませんか!?」

「講和を成すにも少しでも良い条件を得ねばならんのだ!」

「また帝都空襲の様な被害を全土にもたらす気ですか!」

「ドイツの報道が事実ならばアメリカも足元に火がつき、戦争どころではあるまい! 今なら講和に繋がる一撃を与えられるのだ!」

 

 

ー米国ー

 

「さて諸君。枢軸のお手柄とも言うべき暴露の結果、合衆国に巣くったスパイどもと、ついでに強硬派の不穏分子どもも摘発できたが、代わりにルーズベルト大統領の急逝とソビエトとの協約の凍結という事態を招いている。この事態をどの様に解決していくか。忌憚のない意見を出したまえ」

「今後も協力体制を維持するか否かはともかく、少なくともレンドリースは即刻廃止して当然でしょうな。ソビエトに貸し付けた代金の回収は損切と諦めた方がよろしいでしょう。あ奴らも払う気はありますまい」

「枢軸がもはや虫の息である今、我が国に害をなすソ連との協力は必要ないでしょう。むしろ今後は共産主義が敵となるでしょうからな」

「いっその事、枢軸国を共産主義からの防波堤に利用できませんか? むろん、現体制を解体し民主化させた後のことですが」

「そう言えばヒトラーが死んだナチの後継政権が和平を求めていますな」

「今更和平交渉か? 虫の良い話だ、降伏なら認めるがな」

「しかし、ナチは決して許されませんが、ナチが消え去ったドイツであれば、これを残しておけば共産主義を抑える防波堤とするには役立ちそうです。ドイツより東側の諸国はおそらくソ連の手に落ちるでしょうからな」

「ドイツをそのままの形で残せばフランスが黙っておるまい。占領された屈辱があるからな。ドイツを残せば人民戦線政府再びとなりかねん」

「ド・ゴールがいる限りそれはないだろう。いけ好かない男だがアカ嫌いなのは間違いない。ただ、アイツは灰汁が強すぎるから欧州が纏まらなくなるだろうな」

「だから良いのです。落ち目とはいえ欧州に団結されるとまだまだ厄介ですからな」

「欧州をバラバラにしたまま我が国が援助し紐付きにして、英国に代わり世界の守護者となるか」

「漸く我が合衆国がその国力に相応しい地位に就くわけですか。いいですな」

「ふむ。共産主義の封じ込めの件もある。ナチとは違う考えの政権であれば講和交渉に応じても良いでしょうな」

「そうなると当初のドイツを農業と田園の国に変える計画は見直さざるを得んな」

「そうですな。あの国の工業力は魅力的だ」

「だが、ドイツを温存するには、ユダヤ人達が納得できる説明が必要だ。無論、英仏を始めとした連合国に対してもな。ナチスは永遠に絶対悪とせねばならん。ホロコーストは許されざる歴史的大量殺人の罪として裁き、その責任は徹底的に追求させ二度とナチスの思想を毛の先程も復活させるな。併合したオーストリアとチェコスロバキアも再独立させて、ドイツとオーストリアの合併はいかなる場合でも禁止せよ」

「この際オーストリアとチェコスロバキアにも共産主義との防波堤になってもらいましょう」

「いい考えだ。二か国に対する援助は惜しまないようにな」

「スイスと同じく永世中立国とし、互いの軍を置かない事とすればスターリンとも何とか合意はできるだろう」

「連合国に対しては手厚い援助が必要だろう。それとアルザスとロレーヌはフランス領であると声明を出しておけ。欧州戦線はこれで終わりだな。残るは対日戦だけだが、こちらはすぐ終わるだろう」

 

 

ー日本ー

 

「硫黄島が落ちたか……」

「あのような混乱があっても合衆国は盤石という事だな」

「今後、空襲はますます酷くなってくるのは明白だ。戦闘機の護衛がつくからな」

「天一号作戦が成功すれば起死回生の一撃となる! 連合艦隊の総力を挙げ本作戦を遂行せよ!」

「やれやれ。強硬派にも困ったものだ……。小野寺大佐からの情報はその後どうなっている?」

「英独間で講和を結ぶ動きがあると」

「まずいな。そんなことになれば我が国は孤立してしまう」

 

 

「大和も長門も轟沈した……。長門と大淀は満足に修理できていなかったからな、十分な戦いを行えず豊田長官をはじめ参加した将兵には気の毒なことをした。海軍は他に手立ては何かないのか?」

「残念ながら連合艦隊はまともに稼働する大型艦船もそれを動かす燃料も失い外洋戦闘能力を完全に喪失しました。本土に残る稼働可能な艦艇は軽巡以下の小艦艇で最早米英艦隊と戦うことは不可能です」

「陸軍はどうか」

「蒋介石も大陸打通作戦で、ある程度は追い詰められたのですが残念ながら……」

「本土決戦を行うにも米英だけであればともかく、ソ連の侵攻にも備える必要がありますからな。それを考えると兵力が足りません。大陸の兵力を蘇満国境に向け、南方から残存兵力を引き揚げ北方に向ける事ができれば、或いは」

「そう考えると蒋介石の密使を追い返したのは早計であったか」

「南京政府の解消と軍の大陸からの撤退と交換に満洲国の認知。支那事変の原因が無くなるのだ、今思えば悪くなかったのかもしれん。蔣介石の親書も保持していたことだしな」

「過ぎたことを悔やんでも仕方あるまいて……」

「小野寺大佐からの情報によればドイツと連合国との和平交渉が進んでいるようです。このまま講和が成立すれば……」

「もはや猶予はないな。何れソ連が攻め寄せてくるのは明らかだ。スウェーデンとバチカンを通じた和平交渉を急がせよう」

 

 

ー米国ー

 

「さて、ドイツとの停戦交渉もそろそろ纏まる頃だ。残るは日本だけだな」

「その日本ですが、スウェーデンとバチカンを通じて和平交渉を求めてきました」

「ふん。今頃か」

「まあ、ルーズベルト前大統領が亡くなった時に短波放送だが深い哀悼の意を受けたこともある。和平案があるなら一応聞くだけは聞いてやろうではないか、聞くだけはな」

「良い条件だったら考慮してやれなくもないが、虫の良い条件しか提示してこないだろうな」

「日本からの案はこれですな」

「ふむ。天皇制の維持に大陸、朝鮮、南太平洋、樺太、東南アジアから全軍事力の引揚、戦力の大幅な削減と戦時賠償か。まあカイロ会談の条件をほぼ丸呑みした案の様だな」

「台湾の返還がないな」

「どうやら台湾は手元に残しておきたいらしい、この期に及んでも強欲な奴らだ」

「まあ、ロシアとの戦争と違い、所詮は黄色人種間の争いで得た領土ですから残してやっても良さそうですが。カイロ会談の時とは違い蒋介石も今は見る影もなし。働きの悪い犬にくれてやる肉はないという事で台湾を奴に渡すのはどうかと思います」

「条件として思ったより悪くはありませんな。だが、我々に対し二度と抗戦の意思を持たせないようにするには聊か不足ですか」

「奴らの国民性から見るに天皇とその一族の身の安全を保障してやれば、財閥の解体や台湾の放棄などもう少し条件を強めても応じるのでは?」

「そんな交渉を行わなくとも奴らの本土に侵攻すれば無条件降伏に追い込めるのではないかね? ドイツと同じく、天皇制も永遠に絶対悪とせねばならん」

「ナチスと天皇制は全く違うものですぞ! 天皇は独裁者でも扇動者でもありません! デンマーク王国より古い、シバの女王から続くエチオピア帝国に匹敵する歴史のある皇帝と神道という宗教の法皇を兼ねているのです! 天皇とその一族をナチス同様に断罪するならば、日本人は子供ですら最後の1人になるまで戦い抜きますぞ、あのカミカゼが何度も何度も起きるのです! もう一度言います。天皇とその一族は独裁者でも扇動者でも無く、ルーズベルト前大統領が亡くなった時に短波放送で深い哀悼の意を表明する立憲君主制の君主なのです」

「本土進攻を行った場合は80万の死傷者が生じるという計算もある。我が国の犠牲は少ない方が良い。交渉も考えるべきかもしれん」

「80万? 海上封鎖でかなり締め付けたんだ、そこまでの損害はないだろう。海上封鎖は十分な効果を挙げている」

「諸君、無条件降伏に追い込むために新しく開発した原子爆弾を東京と呉に投下することを検討しても良いと思うがどうかね?」

「大統領。原子爆弾は使うべきではありません。私は爆薬の専門家として進言します。これは爆弾でもなければ爆発物でもない、毒物というべきものです、しかも不可逆的な。私はこのようなものを用いる戦い方を訓練されていないし、これを使用し女子供を虐殺して戦争に勝ったと誇ることはできませんぞ!」

「仮に使うにしても東京はおやめください。3月に焼き払って効果は殆どありませんし、万が一にも天皇を殺しては日本人は最後の一人になるまで戦い抜きますぞ。日本人にとって天皇は神なのですから」

「ああ、そうだったな。であれば呉に投下するか」

「投下そのものをおやめになった方が良いでしょう。天皇やその一族がどこかに疎開しているとも限りません。万が一にも天皇の疎開先にでも落としたら目も当てられません」

「そうですな。それに痛めつけ過ぎて赤色革命が起こっては目も当てられません。向こうから和平交渉があるのであればソ連が出てくる前に停戦してしまいましょう。蒋介石はもうあてにできません。共産主義の封じ込めに満洲と朝鮮半島を前線にして、あの国を後方兵站基地として利用しましょう」

「では、和平案はこの通りで良いかね?」

「戦争の責任は軍国主義者にあるとして、憲法をはじめとする法令の民主化と軍国主義を支えた勢力の解体を条件に加えるべきです」

「平和に対する罪を設け、この戦争を始めた責任者を裁く法廷の設置も行いましょう」

「いや、法廷の設置は注意が必要だ。戦争犯罪は複雑な問題をはらむ。無論ジュネーブ条約に違反した諸々の犯罪行為は厳しく糾弾し裁かなくてはならないが、開戦の責任を事後法で裁くのは誤りである。暴露されたコミンテルンの策謀を鑑みるに南京大虐殺などについても死傷者の数はかなり怪しい所がある。奴らの思惑に迂闊に乗せられるわけにはいかん」

「そうですな、遡及処罰は文明国の精神に反します」

「……国務長官、先程からどうかしたのかね?」

「いえ。何か忘れている嫌な感じがするんです。こう、妻の誕生日を忘れた時の様にとんでもない大事な事を忘れている気がするのですが……」

「そりゃ大変だ! 必ず思い出してくれよ?」

「では国務長官が思い出すまで次の議題を進めよう」

「天皇制と満洲国の扱いについてはどうする?」

「そこには触れない方が我が国のカードが増えるでしょう。ただ、満洲国はスターリンと蒋介石を争わせるのも一興かと。まあ、相手にはならんでしょうが。天皇制については存続を明確にした方が日本からの早期降伏を引き出しやすくなるでしょうな」

「日本が渋ったらどうするのかね?」

「それこそ更なる艦砲射撃や大規模爆撃を加えても良いでしょうし、原爆の威力を事前に見せつけ交渉の早期締結を促しても良いでしょう。それでも渋るのであれば日本に警告して軍の拠点のいずれかに原爆を投下すればよいのです。最も実際に投下するまでには交渉も終了しているでしょうがな」

「あっ!」

「お。思い出したかね?」

「日本の食文化の事を忘れていたのです」

「何だ。そんな事か」

「放置すると冤罪で捕虜虐待になりかねません」

「ほう? どんな食事かね?」

「問題になりそうなのはゴボーとナットー、オカラもしくはトーフですな」

「どんな食材かね?」

「私は駐日大使時代に食事に招かれて食べましたがゴボーは木の根か牛の尻尾、ナットーは腐った豆、オカラは豆の搾りかすに見える外見ですな。トーフは大豆の液を固めたものでケーキのスポンジに見えるでしょうな」

「トーフはともかく、他は何かね? 揶揄わんでくれ」

「いえ、冗談ではありません」

「信じられん。そんなものを食べて体は大丈夫なのかね?」

「日本人にとってはナットーは日常的に食べるもので、オカラやトーフ、ゴボーはご馳走にも使われております」

「待て待て。ご馳走という事はもしかして、捕虜になっている士官の食事に出している可能性が?」

「大いにあるでしょう。日本は食糧不足で肉など手に入りませんから」

「いかん。最悪だ……。木の根や豆の搾りかすなど間違いなく問題になる。しかもそれは奴らにとってはご馳走だと? 他にもあるのではないかね、そういったものが?」

「わかりません。私も日本の食材を全て食べたわけではありませんからな。その可能性は十分あるでしょう」

「良かれと思って出したもので虐待とされるのは問題になるな。裁判前に一度確認する事を通達せねばならん」

「国務長官、君は食べてどう思った?」

「トーフやオカラはまあまあでしたな」

「ナットーは? ……おい! 目を逸らすな」

 

 

ー日本ー

 

「アメリカからの返信が届きました」

「どんな無理難題を吹っかけてきた?」

「陛下の地位の保障と皇室の存続は容認されております。戦力の大幅な削減と戦時賠償に加え、自衛戦闘を除いた戦闘行動の即時停止、速やかな封建制の廃止と民主化の実施、憲法をはじめとするすべての法律の民主的改正、軍国主義を支えた勢力の解体、台湾を含む全ての海外領土の放棄、それらの監視を目的とした国際監視団の駐留を追加条件として提示してきました。なお、監視団とは別に本土への連合軍駐留を受け入れれば引き換えに必要な物資の援助も行うとの事です」

「台湾を放棄した後はどうなる? 中華民国領になるのか?」

「いえ。台湾と澎湖はアメリカの信託統治領になる様です」

「アメリカにとっては濡れ手で粟だな。中華民国に引き渡さないのであれば呑まざるを得んか。ところで、この軍国主義を支えた勢力とやらはどこまで含まれるのだ? 軍が含まれるのは致し方ないが」

「わからん。陛下が対象とならないことは保障されているが、封建制の廃止とあるからには軍のほかに財閥やことによると特高まで解体されるのではないか? さすがに警察までは解体されないとは思うが」

「いずれにせよ、もう我が国にとれる手段はない」

「そうだな、満洲国境に大規模な兵力集結が行われているのは確認済みだ。ソ連が今この時にも宣戦布告してきてもおかしくない。国体が護持できるのであれば講和条約の締結交渉を急いで進めるべきだ」

「開拓団や樺太の居留民引き揚げも急がせよう」

「問題は軍が素直に停戦するかだが」

「陸軍大臣の布告と、場合によっては軍使を派遣するしかあるまい」

「前線はそれで良いが、問題は本土決戦を唱える強硬派だ。二・二六の様な真似を許すわけにはいかん」

「何事もないことを祈るばかりだ。陸軍大臣布告で治らねば、状況によるが、皇族の方々のお出ましを願うしかあるまい。畏れ多い事ではあるが」

「皆が皆、現実が見えていない愚か者ではない。もう、我が国に継戦能力が無いことは強硬派も分かってはいる。分かってはいるが……こればかりは理屈ではなく感情の問題だからな」

「アリューシャン列島経由で千島に向けて米軍が侵攻しているようだ」

「何だと? 和平交渉をしながら!」

「仕方あるまい。停戦協定が結ばれたわけではないからな」

「どうする? 守備隊を死守させるか島伝いに引き揚げさせるか?」

「死守させても時間稼ぎにもならんだろう。引き揚させても留守になったところをソ連に占領されたらかなわん」

「守備隊は米軍が上陸してきたら速やかに降伏させよう。陸訓一号は無効とする。陸相、宜しいですな?」

「……やむを得まい」

 

 

ーソビエトー

 

「ちっ。このままでは我が国が参戦する前に日本が降伏してしまうな。モロトフ、急ぎ日本に対し宣戦布告を行うのだ。何としても満洲を占領し、溥儀の身柄を確保せよ」

「はっ」

 

 

ー千島ー

 

「今日は霧が一段と濃いな。1フィート先も見えやしねえ」

「占守島ってのは随分と濃い霧が……ん? 何か聞こえないか?」

「おいおい。このあたりの日本軍は一週間も前に降伏しただろう。冗談はよせよ」

「いや、確かに聞こえ ガハッ」

「おい! チッ! 敵襲! 敵襲だ! sit! どこのどいつか知らんがふざけた真似しやがって」

「どうした!」

「ジミーが撃たれた」

「ジャップか?」

「いや、違う。ボルトアクションじゃなかっグァ!」

「チッ! 退がれ、退がれ」

 

「Это было приятно. Похоже, он попал в японского солдат」

 

「あいつら日本兵じゃないな」

「隊長。アイツらの言葉、近所の婆さんが昔話していたロシア語に似てる」

「何だと? その婆さん、本当にロシア語を話していたのか?」

「婆さん、革命で逃げてきた元貴族らしい。そう自慢していた」

「で、アイツら何と言っている?」

「良くは分からんが、あいつら、俺たちを日本兵と勘違いしている様だ」

「話し合いで解決すると思うか?」

「どうでしょうな。熊が言うことを聞いてくれるかどうか。赤かろうが白かろうが黒かろうが、熊は熊ですからな。強欲な飢えた獣に理性を求めるのは我々の給料が来月から10倍になることを期待する以上に無駄なことだと思いますが」

「全くだ。とにかく奴らをこれ以上進ませるな! 撃て!」

 

 

「交渉の結果、俺たちはこの島からは引き揚げ、シムシル島まで降伏した日本兵とともに退るんだそうだ。すぐに引揚用の艦隊が来るらしい」

「俺たちに対する賠償はどうなってんだ?」

「不幸な誤射とやらで何もないようだな。上がけりを付けるようだ」

「クソッ あいつらは殺され損かよ」

 

 

「おい。下のソ連艦隊、引き揚げる俺たちの艦隊を追いかけていないか?」

「何だと? ……確かに南に向かっている。急ぎ司令部に打電だ」

「うわっ 奴ら撃ってきやがった! 打電しながら退避退避」

 

 

ーソビエトー

 

「この馬鹿者ども! 誰が米英と交戦せよといったか!」

「しかし、帝国主」

「もういい! この馬鹿どもを連れて行け! モスクワへの報告は任せる。儂は休む」

「はっ!」

「……どっちも行ったか?」

「ああ。愚痴なら聞かなかったことにしてやるぞ」

「ハァ……いやな役目を仰せつかったもんだ」

「……ご愁傷さまだ」

 

 

「同志書記長閣下。面倒な事態が起きました」

「何事かね?」

「クリルで我が軍と米軍が交戦した模様。互いに死者も出ております」

「何だと! なぜそのようなことになったのだ!」

「濃霧のため日本軍と見誤ったとの事。如何されますか?」

「……濃霧による不幸な偶発事故だと遺憾の意を表明しておけ。言うまでもないがこちらから折れるなよ?」

「はっ」

 

 

ー日本 北海道ー

 

「ソ連はそういう態度をとるか。艦隊の行動といい、奴ら樺太、クリルとあわよくば北海道の占領も狙っているな」

「如何されますか?」

「どうもせんよ、わが合衆国軍としてはな」

「本当に何もせずとも?」

「そうだ。……ああ、そういえば北海道で集めた日本軍機を一時的に移動して保管する必要があったな」

「はい。ここに置くのも場所も取りますし。……! そうですな、動かすためにはガソリンも満タンに補給しておく必要がありますな」

「本州で廃棄する前に念のため試験飛行もしておきたいよな」

「……なるほど。であれば試験飛行には扱いに馴れている日本兵を使いましょう。試験飛行では兵装は全て装備させますか?」

「当然だろう? 兵器をしっかり積んで運用せねば性能が判らんではないか」

「そうですなぁ。試験飛行はクリルの松輪島辺りまで飛ばしてここに戻らせるコースで宜しいでしょうか」

「ここまで戻すことはない。得撫島辺りに着陸させて飛行の影響を検査させろ。場合によっては何度か試験を行う必要があるからな。その後本州まで移動させて廃棄だな」

「では早速試験飛行の準備に取り掛かります」

「まかせる」

 

 

ー千島海上ー

 

「敵機来襲!」

「おい! いきなり5隻沈んだぞ」

「クソッ この日本機ども何処から来やがった!」

「かなりの部隊だ。練度も高いぞ! 戦闘機が虫の様に撃ち落されている!」

「あいつらの機体、飛べないんじゃなかったのかよ」

「あぁ! 駆逐艦が沈んだ!」

「こっちに来るぞ!」

「くそっ」

 

 

ーソビエトー

 

「同志書記長閣下。至急お耳に入れたいことが」

「何があった?」

「クリル接収部隊が全滅しました」

「! 何があった!?」

「日本軍機の襲来により、艦隊が全滅しました!」

「日本軍は満足に動けないのではなかったのかね? なぜ空襲ができる?」

「この時のために温存していたか、若しくは……」

「資本主義者どもが援助を行ったか、か?」

「はい……。証拠は掴めませんでしたが」

「ふ~む。報復を行いたいが、いま米英と事を構えるのは流石にまずいか。……よし、クリルの接収は今占領している島までで打ち切る。但し、サハリンと満洲の占領は抜かりのないようにせよ。分かっているとは思うが……期待を裏切るなよ?」

「はっ」

 

 

 

「おのれ、資本主義者ども、コケにしおって。この屈辱、決して忘れぬぞ! 今に見ておれ、吠え面をかかせてくれるわ!」





これ、そのうち海外の章に移すか、このまま諸々の章においておくか……。



因みに天一号作戦の参加艦(北号作戦などで持ち帰った燃料を参加しない大型艦の燃料タンクの底の底まで攫ってかき集めて実行しました)

戦艦: 大和・長門
軽巡洋艦:大淀・矢矧・酒匂
駆逐艦:初霜・霞・朝霜・雪風・磯風・浜風・涼月・冬月・花月・宵月

作戦後、日本の港にはもはや外洋に出られる大型艦も、それを動かす燃料も、何も残らなかっただろう……。生還できたのは初霜、雪風、涼月、冬月。
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