もしもこんな日本だったら   作:fire-cat

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華族は、単なる生まれながらの特権階級ではない。
・伝統と文化の継承者
・国家への奉仕者
・皇室を支える藩屏
・国民の模範たる存在
たらねばならない。


華族法(昭和二十三年法律第六号)

上諭

 朕、議会の議決を経て華族法を裁可し茲に之を公布せしむ。

 

 御名 御璽  

 

昭和二十三年一月十日

内閣総理大臣

国務大臣

宮内大臣

司法大臣

外務大臣

内務大臣

文部大臣

農林大臣

国務大臣

郵政大臣

商工大臣

厚生大臣

国務大臣

運輸大臣

大蔵大臣

労働大臣

国務大臣

建設大臣

国務大臣

国務大臣

 

 

第一章 総則

 

第1条(目的)

 この法律は、日本国憲法の定める華族の地位に基づき、その身分、継承及び責務に関する事項を定め、もって皇室の藩屏たる品位を保持し、日本の伝統及び文化の継承に資することを目的とする。

 

第2条(憲法の遵守)

 華族の地位及び継承は、日本国憲法の条規に従う。

 

第3条(管掌)

 華族に関する戸籍及び身分に関する事務は、宮内省がこれを管掌する。

 

第4条(適用法令)

 華族に係る民事及び刑事に関する事項は、この法律その他華族に関する法令に特別の定めがない限り、民法、刑法その他の法令の定めるところによる。

 

第5条(定義)

 この法律において嫡流の子とは、有爵者とその法律上の婚姻関係にある配偶者との間に生まれた子をいい、嫡子とは嫡流の子のうち、家督相続の順位が第一位にある男子をいう。

 

 

第二章 爵位

 

第1条(種類)

 爵は、公、侯、伯、子、男の五等とする。

 

第2条(授与)

 皇族が臣籍に降下し華族となるときは、その身位に応じ、相当の爵位を授ける。

 

第3条(昇叙)

 有爵者がさらに功労を重ねたときは、宗秩審議会の議を経て、その爵を上級の爵に昇叙することができる。

 

第4条(襲爵)

 家督相続人は、宗秩審議会の議を経て、勅旨をもって先代の爵位を継承する。これを襲爵という。襲爵は、家督相続開始の時に遡ってその効力を生ずる。

 

第5条(生前襲爵の特例)

 爵位は終身とし、生前にこれを譲ることはできない。ただし、有爵者に精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、宗秩審議会の議を経て、家督相続人が生前に襲爵することができる。

 

第6条(爵の返上)

 有爵者に特別の事情ある場合においては、宮内大臣を経て、爵の返上を請願することができる。

 

 

第三章 身分及び家督相続

 

第1条(華族の範囲)

 有爵者及びその戸籍に属する家族は、華族の族称を享ける。

2 継承権を有しない有爵者の子孫は、有爵者の亡き後は、華族の籍から除かれる。

 

第2条(寡婦の身分)

 有爵者の寡婦は、その家に在る間、その夫の有した爵位に相当する礼遇および名称を享ける。

 

第3条(家督相続の原則)

 有爵者の家督は、嫡子がこれを相続する。

 

第4条(婚姻の認許)

 華族の婚姻は宗秩審議会の議を経て、勅旨をもって認許される。

 

第5条(婚姻の制限)

 華族の女子の婚姻は皇族、華族、国外の世襲貴族に限られる。

2 民法の成年規定に達した華族の女子が、その意思に基づき、前項以外の者と婚姻をなすときは、その者は華族の籍を失う。

3 継承権を有しない華族の婚姻は日本国憲法、それに基づく法律に定められた条規のほか制限を受けない。

 

第6条(養子縁組の認許)

 華族が養子縁組をし、又はその協議上の離縁をするときは、宮内大臣の認許を要する。

2 有爵者が遺言をもって養子縁組の意思を表示したときも、また前項と同様とする。

 

第7条(家督相続のための養子の資格)

 有爵者又はその家督相続人が、家督を相続させる目的で養子を迎える場合、その養子は、次に掲げる者のいずれかでなければならない。

 一 皇族

 二 届出の時点で華族であって、次に掲げるいずれかの者

  イ 養父となる者の男系の六親等内の血族(姻族を除く。)

  ロ 本家若しくは同家の家族、又は分家の戸主若しくはその家族

  ハ イ、ロに掲げる者に相当する者がいない場合において、同じ門流の華族

  ニ イ、ロ、ハに掲げるものに相当する者がいない場合において、宗秩審議会が特に家の存続のために必要と認めた華族

2 宮内大臣は、前項の資格に該当しない者との家督相続を目的とする養子縁組を、認許してはならない。

 

第8条(家督相続人の指定及び廃除)

 有爵者が家督相続人の指定、廃除、又はその取消を行うときは、宮内大臣の認許を要する。

 

第9条(女子による家督相続)

 相続すべき男子がいない場合において、家の断絶を避けるためやむを得ない特別の事由があるときは、嫡流の女子が一代に限り、宗秩審議会の議を経て、勅旨をもって家督を相続する。

 

第10条(女子戸主の責務及び身分)

 前条の規定により家督を相続した女子(以下「女子戸主」という。)は、その代に限り、先代の爵位を継承し有爵者たる地位を保持する。

2 女子戸主の襲爵は、第二章第4条に定める手続きによるものとする。

3 女子戸主は、その在任中に、宗秩審議会の議を経て、傍系の男子から家督を相続すべき者を養子とし、又は相続人として指定しなければならない。女子戸主の死亡後は、その指定された男子が家督を相続する。

4 女子戸主の家督は、次条に定める場合を除き、その子孫がこれを相続することはできない。

 

第11条(女子戸主の婚姻の特例)

 女子戸主の配偶者は皇族または華族に限られる。

2 女子戸主が婚姻するときは、その配偶者となる男子が、女子戸主の家に入らなければならない。

3 前項の規定により女子戸主の家に入った配偶者は、女子戸主の家督を相続することはできない。

4 女子戸主とその配偶者との間に生まれた男子は、嫡子として、第二章第4条に定める手続きに従い女子戸主の家督を相続する。

 

第12条(未成年者の家督相続)

 家督相続人が未成年者であるときは、成年に達するまでの間、第二章に定める襲爵はこれを行わない。

2 前項の場合において、家の代表者として後見人を一人置く。

 

第13条(後見人)

 前条の後見人は、亡き有爵者の寡婦がこれに任ずる。

2 寡婦がいないとき、又は寡婦が後見人となることができない事由があるときは、宮内大臣は、宗秩審議会の議を経て、公証人、弁護人、又は近親者の中から適当な者を後見人に指定する。

 

第14条(後見人の権限及び責務)

 後見人は、宗秩審議会の監督の下、家の財産を善良なる管理者の注意をもって管理し、未成年たる家督相続人の監護及び教育に努めなければならない。

2 後見人が、財産の管理及びその他の法律行為を行うにあたっては、宗秩審議会の承認を要する。ただし、世襲財産及び附属物については、これを処分し、又は担保に供することはできない。

 

第15条(後見の終了及び襲爵)

 家督相続人が成年に達したときは、後見はその任務を終了する。

2 後見の終了後、家督相続人は、遅滞なく襲爵の手続きを行わなければならない。

 

第16条(家督相続人の欠格)

 家督相続人は、有爵者の国籍喪失により家督相続を開始したとき、所定の期間内に家督相続の届出を行わなかったとき、又は第五章の規定により華族の籍から除かれたときは、襲爵することができない。

 

第17条(家範)

 有爵者は、日本国憲法およびそれに基づく法律の範囲内において、家範を制定し、又は変更することができる。ただし、制定又は変更する前に宮内大臣の認許を要する。

2 有爵者が禁治産者であるときは、家範を定め又はこれを廃止変更することはできない。

 

第18条(認許を欠く行為の効果)

 この章の規定による宮内大臣の認許を要する行為であって、その認許を得ずに行ったものは、その効力を有しない。

2 この規定に違反した者に対し、宮内大臣は、宗秩審議会の議を経て、第五章に定める懲戒に付することができる。

 

 

第四章 権利及び義務

 

第1条(礼遇)

 有爵者は、その爵位に相当する礼遇を享ける。

 

第2条(礼遇の保留)

 未成年者が家督を相続し襲爵が延期されている間においては、当該者に爵位に基づく礼遇を付与しない。ただし、宗秩審議会の議を経て、儀礼上必要と認められる範囲において、限定的な称号又は表記の使用を許可することができる。

 

第3条(義務)

 華族は、皇室の藩屏として品位を保持し、国民生活の模範たるべく努め、その子弟に、その地位に相応しい教育を受けさせる義務を負う。

 

第4条(議員資格の喪失)

 華族の資格により参議院議員である者が、第五章の規定により華族の籍から除かれたときは、その議員たる資格を失う。

 

 

第五章 懲戒

 

第1条(懲戒事由)

 華族が、その品位を著しく汚す行為をし、又はこの法律に定める義務に甚だしく違反したときは、懲戒に付する。

 

第2条(懲戒の種類)

 懲戒処分は、次の通りとする。

 一 譴責

 二 一年以下の礼遇の停止

 三 期間を定めない礼遇の禁止

 四 降叙

 五 爵位の剥奪

 六 華族の籍からの除名

 

第3条(懲戒の手続)

 宮内大臣は、華族に懲戒事由があると認めるときは、宗秩審議会に諮問しなければならない。

2 宮内大臣は、前項の諮問に対する答申に基づき、宗秩裁判所に懲戒の訴追を行うことができる。

3 懲戒処分は、宗秩裁判所の確定判決を経て、宮内大臣がこれを行う。

 

第4条(礼遇の解除)

 礼遇の停止又は禁止の処分を受けた者について、更生の情が顕著であると認められるときは、宮内大臣は、宗秩審議会の議を経て、その処分の全部又は一部を解除することができる。

 

第5条(親族の礼遇)

 有爵者の礼遇が停止又は禁止されている間、その家族は、当該有爵者に付随する礼遇を享受することができない。ただし、宗秩審議会の議を経て、宮内大臣が特に許可した場合はこの限りでない。

 

第6条(礼遇停止満了後の更なる措置)

 礼遇の停止の期間が満了したにもかかわらず、当該華族に更生の情が認められず、引き続きその礼遇を許容することが華族の品位を損なうおそれがあると認めるときは、宮内大臣は、宗秩審議会の議を経て、その者に対し、礼遇を禁止する処分を行うことができる。

2 前項に基づき礼遇を禁止された者に対しては、第4条に定める手続により、処分の解除を申請することができる。

 

第7条(懲戒処分の基準)

 懲戒処分の対象となる行為の内容及び程度に応じた処分の適用基準、ならびに処分の判断における考慮要素については、別に政令でこれを定める。

 

 

第六章 世襲財産

 

第1条(目的及び根拠)

 華族の家系に伝わる歴史的、文化的価値の高い財産を保全し、もって国民共有の文化遺産の散逸を防ぐため、この法律の定めるところにより、世襲財産を創設することができる。華族の世襲財産は日本国憲法並びに憲法に基づく法律の範囲内において認められる。

 

第2条(創設権者)

 有爵者で成年に達した者は世襲財産を創設することができる。ただし成年に達しない者も前代の遺言があるときは世襲財産を創設することができる。

 

第3条(相続の制限)

 世襲財産は総て家督相続者に相続させるものとする。

 

第4条(財産の種類)

 世襲財産は田畑、山林、宅地、塩田、牧場、池沼等の不動産に限る。

 

第5条(収益の要件)

 世襲財産は毎年一定の純利益を生ずる財産でなくてはならない。ただし、その財産に収益なき地所を加えることに支障はない。

 

第6条(附属物)

 世襲財産の所有者は、特に世襲すべき建物庭園図書宝器等をもって世襲財産附属物とする事ができる。

 

第7条(課税)

 世襲財産及び附属物は課税対象であるが、税法に一定の優遇措置を設ける。

 

第8条(収益の保護)

 世襲財産及び附属物の純収益は、如何なる場合も、債主より毎年その3分1以上を差し押えることはできない。

 

第9条(負債財産の除外)

 負債償却の義務がある財産は、世襲財産及び付属物とすることはできない。

 

第10条(処分の禁止)

 世襲財産及び附属物は、売却譲与し又は質入、担保、抵当と為すことを禁ずる。

 

第11条(差押えの禁止)

 世襲財産及び附属物は、負債の抵償として差押えることを禁ずる。

 

第12条(所有者による廃止の禁止)

 世襲財産及び付属物はその所有者が廃止することはできない。

 

第13条(管理)

 世襲財産及び付属物は、宮内省が管理しその事務を取り扱う。

 

第14条(公開及び収益)

 世襲財産及び付属物は、その所有者が博物館等でこれを公開し、収益を得ることに支障はない。

 

第15条(第三者との授受)

 華族以外の者が華族に財産を世襲財産として譲り渡し、又は華族が華族以外の者から財産を世襲財産として譲り受けることは、宮内省の認可に基かなければならない。

 

第16条(創設等の手続)

 世襲財産を創設増加更換、又は補充する者は、その願書に財産目録を添え、宮内大臣に差出しその認可を受けなければならない。世襲財産附属物を設ける者も同様である。

 

第17条(公告)

 宮内大臣は前条の願書目録を審査し、世襲財産とする旨を官報及びその地方一定の新聞紙に掲げ、14日間これを公告しなければならない。

 

第18条(登録及び認可)

 前条の公告期間内に異議の申出がなかったときは、宮内大臣は、遅滞なく世襲財産台帳にこれを記入し、認可証を下付するとともに、公証簿に世襲財産として登記させなければならない。

 

第19条(異議の処理)

 公告期間内に、当該財産に対し正当な権利を有すると主張する者から異議の申出があったときは、宮内大臣は、世襲財産の認可手続きを中止しなければならない。

2 宮内大臣は、当事者間の和解を斡旋するものとする。

3 前項の和解が成立しないときは、異議を申し出た者は、皇室裁判所にその権利の確定を求める訴えを提起することができる。

4 前項の訴えについて、異議の申出を斥ける判決が確定したときは、宮内大臣は、前条の手続きを再開しなければならない。

 

第20条(効力の失効)

 世襲財産は戸主死亡の後、家督相続すべき男子なきとき、爵を奪われ又は族を除かれ、家督相続者なきときは、その効力を失うものとする。

 

第21条(失効の公告)

 世襲財産がその効力を失った時は、宮内大臣より地方庁に命じ、これを公告させなければならない。

 

 

第七章 宗秩審議会

 

第1条(設置)

 華族に関する重要事項を審議するため、宮内省に宗秩審議会を置く。

 

第2条(権限)

 審議会は、この法律に規定する事項について、宮内大臣の諮問に応じ、審議し、答申する。

 

第3条 (組織)

 審議会は、議長及び12人の委員をもって組織し、議長は、宮内大臣をもって充てる。

 

第4条 (委員の任命)

 審議会委員は、次に掲げる者の中から、内閣が任命する。

一 有爵者の互選により選出された者 五人

二 枢密院の顧問官及び護民官のうちから互選により選出された者 三人

三 宮内省の高等官 二人

四 裁判官のうちから司法委員会が推薦した者 二人

 

第5条(定足数)

 審議会は、議長及び七人以上の委員の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。

 

第6条(議決)

 議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

 

第7条(指針の整備)

 宗秩審議会は、懲戒事由及び処分の量定について、公平性及び品位保持の観点から、判断要素に関する基準又は指針を定め、宮内大臣に報告することができる。

 

第8条(議事の非公開)

 審議会の議事は、これを公開しない。

 

 

第八章 附則

 

第1条(委任規定)

 この法律に定めがない華族の事項に就いては別に法律を定める。

 

第2条(旧法令の廃止)

 皇室令のうち華族令及関連諸法令はこれを廃止する。

 

第3条(施行期日)

 本法は日本國憲法の発効日よりこれを施行する。

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