もしもこんな日本だったら   作:fire-cat

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教育基本法(旧バージョン)

前文

 われらは、さきに、日本國憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。われらは新たに国家再建に向って出発せんとするにあたって、建設へのたゆまざる意欲を奮い起すとともに、大戦の被害による精神の虚脱と道義の廃頽とを克服し、心を合わせて道義の確立に努めねばならない。道義を確立する根本は、自己の自主独立である人格の尊厳にめざめ、利己心を越えて公明正大なる大道を歩み、自律する心をもつ人間となることにある。

 われらは、身を慎んで無礼の挙動なく、常に自分を引きしめて自儘にせず、両親に孝し、兄弟友愛し、夫婦相睦み、子を慈しみ、朋友を信じ、長上を敬い、幼少を扶け、宗族相和し、郷党相結び、人の難を救い、急を援け、常に国憲を重んじ国法に遵い、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、他の人格の尊厳を貴び重んじ、私心を脱して互いに敬愛し、深い和の精神に貫かれた家庭、社会、国家を形成しなければならない。自主独立の精神と和の精神とは、道義の精神の両面である。

 われらは普遍的にして個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底し、自国だけの利害にとらわれることなく、世界の平和と文化に心を向け、公明正大なる精神に生きなければならない。それによって国家は、他の何ものにも依存しない独立の精神と気魄をもって、新しい建設の道を進み、世界の文化に寄与しうる価値をもった独自の文化の形成に向かうことができ、他の諸国家との和協への道を開き、世界の平和に貢献することができるのである。われらは独善に陥ることなく、俯仰天地に愧じない生活にいそしみ、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを希求するものである。

 われらは、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進するものである。

 ここに、日本國憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

 

第一章 教育の目的及び理念

 

第1条 教育の目的

 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主独立の精神と道義に基づき、心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

 

第2条 教育の基本理念

 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神と道義心を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。

 

第二章 教育の実施に関する基本

 

第1条 普通教育の義務

 国民は、その保護する子女に、別に法律で定めるところにより、10年の普通教育を受けさせる義務を負う。

 

第2条 義務教育の目的

 義務として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。国または地方自治体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負い、国又は地方自治体の設置する学校に於いては授業料を徴収しない。

 

第3条 学校の設置

 法律に定める学校は、公の性質をもつものであって、国又は地方自治体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

 

第4条 学校教育の体系化

 前条の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。

 

第5条 男女共学の推奨

 男女は、憲法の理念に従い、互に敬重し、協力し合わなければならないものであって、教育上男女の共学は、認められ、推奨される。但し、特定の理由により別途の教育方式が必要とされる場合は、地域社会の要望に基づいて柔軟に対応することができるものとする。

 

第6条 私立学校の役割

 私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割に鑑み、国及び地方自治体は、その自主性を尊重し、教育への干渉とならない様に配慮しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。

 

第7条 教員の使命と待遇

 法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。

 

第8条 政治的教養の尊重

 良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。

 

第9条 政治的活動の制限

 国又は地方自治体の設置する教育施設、教員、また、そこで就業する者は、特定の思想、政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

 

第10条 異なる信条の尊重

 自己の信条にはあくまで忠実であるべきであるが、異なる信条と意見を交わす時は、自己の立場も自己に対立する立場も等しく、ともに国家の全体に立脚せることを自覚し、相互の自由と平等を認め理解と寛容の上に立って同胞愛を失わず、且つ私利私欲に流れることなく、公明正大に行わなければならない。

 

第11条 宗教の寛容

 宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、憲法の安寧秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要な制限、国民一般の義務に反しない限り、教育上これを尊重しなければならない。

 

第12条 宗教教育の禁止

 国又は地方自治体の設置する教育施設、教員、また、そこで就業する者が、宗教に関する寛容の態度及び理解を促進する教育活動を行うことは禁じられないが、その活動が特定の宗教教育その他宗教的活動と結びついてはならない。

 

第13条 生涯学習の推進

 国及び地方自治体は、国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に活かすことのできる社会の実現が図られなければならない。

 

第14条 教育の平等

 教育は、人種、性別、身分、地域、職種、宗派、党派、経済的地位によって差別されてはならない。

 

第15条 奨学金制度

 国及び地方自治体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。

 

第16条 障碍者教育の支援

 国及び地方自治体は、障碍のある者がその状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。

 

第17条 原住民の権利

 国及び地方自治体は、日本国に居住する北海道、千島、台湾における原住民の集団が自らの言語、文化を維持し、発展させる権利に配慮しなければならない。その言語及び陋習とされた民族の文化は、日本国憲法及びそれに基づいた法律に反しない限り尊重されなければならず、国及び地方自治体は、教育上必要な配慮を講じなければならない。

 

第18条 原住民児童の権利

 国及び地方自治体は、原住民である児童について、その集団の他の構成員とともに、日本国憲法及びそれに基づいた法律に反しない限り、自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し、また自己の言語を使用する権利に配慮しなければならない。国及び地方自治体は、教育上必要な支援を講じなければならない。

 

第19条 方言と教育

 国及び地方自治体は、方言を含む国内の言語について文化的及び社会的な必要性に等しく配慮し、教育上必要な支援を講じなければならない。

 

第三章 家庭教育

 

第1条 家庭教育の自主性

 国及び地方自治体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

 

第2条 幼児教育の重要性

 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることに鑑み、国及び地方自治体は、地域社会と連携しつつ、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。

 

第3条 社会における教育

 個人の要望や社会の要請に応え、家庭及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方自治体によって奨励されなければならない。

 

第4条 社会的教育施設の整備

 国及び地方自治体は、図書館、公民館、博物館等の社会的教育施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によって教育の目的の実現に努めなければならない。

 

第5条 連携と協力

 学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。

 

第四章 教育行政

 

第1条 教育の独立

 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

 

第2条 教育の公平性

 教育は国民全体のための教育であることを忘れてはならず、一部特定の人種、身分、地域、職種、宗派、学派、党派の利益のための手段とみなされてはならない。

 

第3条 教育施策の計画推進

 政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、道義の確立と公共の精神の向上を目指し、地域の実情に応じた教育の振興のための施策に関する基本的な学習基準を定め、これを議会に報告するとともに、公表しなければならない。

 

第五章 補則

 

第1条 支援策の実施

 国及び地方自治体は、教育の普及と質の向上を図るために、次の号に定める施策の支援を実施する。

第1号 経済的に困難な学生に対する奨学金を提供し、修学の機会を拡大する。

第2号 老朽化した学校施設の改修、新設校の建設、図書館や博物館の整備を進める。

第3号 教員の質を高めるために、定期的な研修を実施し、教育現場での実践力を向上させる。

第4号 地域社会と連携し、学校と地域の協力関係を強化するための計画を実施する。

第5号 障碍のある児童に対する特別支援教育を強化し、必要な扶助を提供する。

第6号 原住民の言語や文化の保存・発展を支援する計画を実施し、教育においてもその文化を尊重する。

 

第2条 法令の制定

 この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。

 

附則

この法律は、公布の日から、これを施行する。

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