もう少し条文入れるつもりが力尽きた……
前文
1955年11月4日にワシントンにて署名された極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定当事国は、一当事国の軍隊を他の当事国の領域で勤務させるため、取極により派遣することができることを考慮し、軍隊を派遣する決定及び軍隊が派遣される条件は、現取極では規定されておらず、引き続き関係当事国間で個別の取極の対象であることに留意し、しかしながら、他の当事国の領域にいる間そのような軍隊の地位を定めることを希望し、以下のとおり協定した。
第1条
この協定において、次の表現を用いる。
1.「軍隊」とは一締約国の陸軍、海軍、空軍に属する人員で、その公務に関連して極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定区域内の他の締約国の領域にあるものをいう。関係両締約国は特定の個人、部隊、又は編成隊がこの協定の適用上の「軍隊」を構成又は含められるものと認められるべきではないことに同意することができる。
2.「軍属」とは、締約国の軍隊に随伴する文民であり、締約国の軍隊に雇用され、無国籍の者ではなく、極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定締約国でない国の国民ではなく、かつ軍隊が置かれる国に通常居住する者でない者をいう。
3.「家族」とは、軍隊の構成員もしくは軍属の配偶者又は生活上当該構成員もしくは軍属又はその配偶者に依存するその構成員もしくは軍属の子をいう。
(イ)軍隊の構成員若しくは軍属の近親者で、経済上又は健康上の理由で前記の構成員若しくは軍属に依存し、実際に扶養され、構成員若しくは軍属の占有する住居に同居し、かつ軍隊当局の同意を得て日本国領域にある者は、前記規定の意味における家族とみなされ、かつそのような者として取り扱われる。
(ロ)軍隊の構成員又は軍属が死亡するか又は転任のために日本国領域を離れる場合、近親者を含めて当該構成員又は当該軍属の家族は、日本国領域にある間に限り、死亡後又は転任後の90日間は家族とみなされ、かつそのような者として取り扱われる。
4.「派遣国」とは、軍隊が所属する締約国をいう。
5.「受入国」とは、駐在、通過中にかかわらず、その領域内に軍隊又は軍属がある締約国をいう。
6.「派遣国の軍当局」とは、その派遣国の軍隊又は軍属の構成員に関し、その国の軍法を施行する権限を法律で与えられた派遣国の当局をいう。
7.「理事会」とは、極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定第9条により設立された理事会又は、理事会の代わりとして機能する権限を与えられた補助機関をいう。
第2項
この協定は、第20条に従い、協定が適用される締約国の領域内の下級行政機関に対しても、その締約国の中央機関と同様に適用する。しかし、下級行政機関が所有する財産は、第8条の意味においては、締約国の所有する財産としてみなしてはならない。
第2条
受入国において、受入国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動、特に、政治的な活動を慎むことは、軍隊、軍隊の構成員、軍属及びそれらの家族の義務である。また、このため必要な措置を執ることは、派遣国の義務である。
第2項
極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定によって条約締約国に課されている相互援助の義務に従って、日本の当局及び軍隊の当局は、本協定の履行を確保するために緊密に協力する。
第3項
本条第2項に定める協力は、特に次の事項に及ぶ。
1、日本国、軍隊派遣国及び軍隊の財産の安全を促進し、かつ確保し、及びそれを防護すること、とりわけこれらの目的上重要なすべての情報の収集、交換及び保護
2、日本人、軍隊の構成員、軍属、それらの家族、及び派遣国の国民でこれらの範疇に属さない者の安全の促進及び確保、並びにそれらの財産の防護
3、本条第2項及び第3項に定める協力の範囲内で、日本の当局及び軍隊の当局は、適切な措置を通じて緊密かつ相互的な連絡をとることを保証する。個人 情報は、本協定に定められている目的に合致する場合にのみ提供される。情報を提供する締約国の法規に基づく情報利用の可能性に対する制限は遵守される。
4、本項の規定は、締約国に、自国の法律に反する措置又は国の安全若しくは公共の安全の維持に関する重大な利益と矛盾する措置をとる義務を課するものではない。
第3条
本条第2項で定めている条件として、軍隊又はその構成員の出入国に関して受入国が定めた手続きに従うことを条件として、軍隊の構成員が受入国の領域に入国又は領域から出国する際の旅券及び査証に関する規制及び入国検査を免除される。また、軍隊の構成員は受入国の外国人登録及び管理に関する規制を免除されるが、受入国の領域における永久的な居所又は住所を要求する権利を取得するものとはみなされない。
第2項
軍隊の構成員に関しては、以下の書類のみが要求される。要求があった際はこれらの書類を提示しなければならない
1、派遣国が発給し派遣国の国語、英語及び日本語で書かれた身分証明書で氏名、生年月日、階級および認識番号がある場合は認識番号、軍の区分、並びに写真を掲げるもの
2、東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定機構の当局が発給した派遣国の国語、英語及び日本語で書かれた個人又は集団移動の命令書で、軍隊の構成員としての個人の身分又は集団の地位、及び命令された移動を証明するもの。受入国は、移動命令書がその受入国の適切な代表者により副署されるべきであることを要求することができる。
3、個人的又は集団的移動について発出されるの命令書には、通常、本条第2項2号に定める事項が日本語で記載されていなければならない。ただし、特別の場合には、移動命令書上の当該事項が日本語で記載されていないときでも、日本の当局は有効とみなすものとする。移動命令書は、一回の入国、出国若しくは出入国に対して発行され、又は一定の期間に限って有効とする。軍隊の当局は、移動命令書有効期間を延長することができる。身分証明書に有効期限の日付を、適宜、記入することにより、個人的移動の命令書の代わりとすることができる。
第3項
軍属及び家族は、旅券にその旨が記載されなければならない。
第4項
軍隊の構成員又は軍属が派遣国の雇用を離れた場合で送還されない場合、派遣国の当局は受入国の当局に直ちに通知し、その詳細を通知しなければならない。派遣国の当局は、受入国の当局に21日を超える期間不在にする軍隊又は軍属の構成員についても同様に通知しなければならない。
第5項
受入国が軍隊の構成員又は軍属の受入国の領域からの送出を要請し、又は派遣国の軍隊の旧構成員又は旧軍属に対し、又は派遣国の軍隊の構成員、軍属、旧構成員又は旧軍属の家族に対して退去命令を出した場合は、派遣国の当局はそれらの者を自国の領域に受け入れ、受入国外に送出することにつき責任を負うものとする。本項の規定は受入国の者でなく派遣国の軍隊の構成員又は軍属として、又は派遣国の軍隊の構成員又は軍属となるために受入国に入国したもの及びそれらの者の家族に対してのみ適用する。
第4条
派遣国の当局が軍隊の構成員又は軍属に対して発行した、軍用の車両、船舶、航空機を操縦する権能を与える免許証又はその他の許可証は、日本国領域における当該車両、船舶又は航空機の操縦についても有効とする。軍用車両の運転免許は、派遣国の法規が許す範囲内で、同じ種別の自家用車両の運転についても有効とする。派遣国又は派遣国軍隊の当局は、軍用車両の運転免許証に基づいて自家用の同じ種別車両を運転するための免許証を発行する権限を有する。
第2項
派遣国において発行された運転免許証で、所持者に同国内で自家用自動車両を運転する権能を与えるものは、その所持者が軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族である場合には、日本国領域における当該車両の運転についても有効とする。日本国領域における運転免許証の有効期間及び日本の行政当局によるその取消しに関する法規は、免許証所持者が軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族であり、かつ日本の交通法規について十分な知識を有していることを示す軍隊当局発行の証明書をその者が所持する場合には、適用されない。この証明書には日本語の訳文を付すものとする。
第3項
(イ)軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族は、軍隊当局の許可の下に、自家用自動車両運転の資格を免許証所有者に与える日本の免許証を申請することができる。この免許証は、現行の日本法規に従って、日本の権限ある当局が発行する。
(ロ)本項に基づいて免許証を申請する者に対する運転の教習は、軍隊が運営する自動車教習所で実施することができる。ただし、その教習所の指導員が、当該派遣国の法規に基く資格を有することを条件とする。この指導員は、軍隊当局によって発行された自動車運転教習者指導資格証明書であって日本語訳文を付したものを所持し、教習指導の間これを携帯しなければならない。運転教習指導員としての訓練を受けていない者は、軍隊の運転教習所に指導員の資格で雇用されてはならない。
(ハ)本項に基づいて免許証を申請する者に対する筆記試験及び運転免許実技試験の内容は、軍隊の当局と協議した上で日本の当局が決定する。日本の当局は、軍隊の当局と協議の上で当該試験の適切な実施を確保する権限を有する。
(ニ)この協定が効力を発生する日に運転の教習を開始していた者又は教習の終了後に運転試験を受けていなかった者は、従前の規定に従って継続して教習及び試験を受けることができる。これらの者に対する運転免許証の発給は従前の規定により行う。
(ホ)軍隊の当局は、本条第1項に従い日本国において有効とされる運転免許証又は本条第2項において言及した証明書を、その所持者の自動車運転に対する信頼性又は適性について根拠のある疑いがあるときは、取り消すものとする。軍隊の当局は、運転免許証又は証明書の取消しに関する日本の当局からの要請に対して好意的な考慮を払う。運転免許証又は証明書は、緊急な軍事上の理由によって必要とされる場合、又は所持者が日本国領域を離れることを可能にする目的上、再発行することができる。軍隊の当局は、本項に従って行われたすべての免許取消しについて、及び取消し後に運転免許証又は証明書が再発行されたすべての場合について、日本の当局に通告する。
(ヘ)日本の裁判所が、本協定第7条に従って裁判権を行使する場合には、自家用自動車両を運転する権利の適用の範囲内で関わりを生ずる本条第1項第2文及び本条第1項第3文に定める運転免許証、並びに本条第2項に述べる運転免許については、運転免許証の取消しに関する日本国刑法の規定を引き続き適用する。運転免許の取り消しは運転免許証に記載され、その所有者が引き続き所持するものとする。
(ト)操縦免許証及び操縦資格証明書についても準用し、軍隊の当局は、本条第1項に従って日本国領域において有効とされる航空機操縦免許証の所持者が航空交通法規違反を生じたとする日本当局の報告に好意的考慮を払い、かつ必要と思料する措置を執るものとする。
第5条
軍隊の構成員は通常制服を着用しなければならない。派遣国及び受入国の当局間で反対の取り決めがある場合以外、私服の着用は受入国の軍隊の構成員と同様の条件とならなければならない。国境を越える際は、正規に構成された部隊又は編制隊は制服を着用しなければならない。
第2項
軍隊又は軍属の軍用車両は登録番号、国籍を示す明確な標識を付けていなければならない。
第6条
軍隊の構成員は命令により認められている場合のみ、武器を所持又は携帯することができる。派遣国の当局は、本件に関して受入国からの要請に好意的な考慮を払わなければならない。
第3項
軍隊の当局は、軍属、及び軍隊が雇用するその他の者が、現金若しくは財産の警護に責任を有する限り、又は職務上の地位若しくは活動の特殊性のために特に危険にさらされる限りにおいて、これらの者に対し武器の所持及び携帯を許可することができる。
第4項
軍隊の当局は、本条第1項に従って許可された者による武器の使用について、正当防衛に関する日本の法令に準拠する規則を定める。
第5項
本条第2項に従って許可された者は、軍隊の当局が発行する火器許可証を携行する場合に限り火器を携帯することができる。相応する事項への記入のある職務証明書もまた、火器許可証とみなされる。
第6項
軍隊の当局は、その信頼性について根拠のある疑いがない者に対してのみ火器許可証を発行する。軍隊の当局は、許可証の所持者が火器を乱用したことが証明され、又はその者の信頼性に根拠のある疑いが生じたときは、日本の当局の要請又は自らの決定に基づいて当該火器許可証を取り消すものとする。
第7条
本条の規定に従うことを条件として、関係締約国は次の権利を有する。
1、派遣国の軍当局は、派遣国の法令により軍当局に与えられたすべての刑事裁判及び懲戒の管轄権を派遣国の軍法に服するすべての者に対し、受入国において、行使する権利を有する。
2、受入国の当局は、受入国の領域内で犯された犯罪で受入国の法令によって罰することができるものについては、軍隊の構成員、軍属及びそれらの家族に対し管轄権を有する。
3、派遣国の軍当局は、軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族が日本国領域において死亡した場合には、当該派遣国の適用可能な法規に従ってその遺体を預り及び処理し、並びに医学的理由又は犯罪捜査の目的で必要とされる検死解剖を行う権利を有する。日本の当局による検死解剖の要請は認められるものとする。ただし、医学的理由による検死解剖に関しては、派遣国の法律がそのような検死解剖を許容する場合に限り認められる。検死解剖に当っては、日本の裁判医1名又は保健医1名が立ち会うことができる。日本の犯罪捜査の目的で行われる検死解剖の場合には、日本の裁判官又は検察官も立ち会う権利を有し、検死に関わる日本の刑事手続上の要請に関して行うこれらの者のいずれかによる指摘に考慮が払われるものとする。日本の通常裁判所又は当局が検死を命ずる権限を有する場合であって、派遣国の軍当局が検視の結果に関心を示すときは、本項第2文、第3文及び第4文を準用する。
第2項
本条の規定に従うことを条件として、関係締約国は次の権利を有する。
1、派遣国の軍当局は、派遣国の法令によって罰することができる犯罪で受入国の法令によっては罰することができない派遣国の安全に関する犯罪を含むものについては、派遣国の軍法に服する者に対し専属的管轄権を行使する権利を有する。
2、受入国の当局は、受入国の法令によって罰することができる犯罪で派遣国の法令によっては罰することができない受入国の安全に関する犯罪を含むものについては、軍隊の構成員、軍属及びそれらの家族に対し専属的管轄権を行使する権利を有する。
3、本条第1項及び第3項の適用上、国の安全に対する犯罪とは、次のものを含む。
(イ) 当該国に対する反逆
(ロ) 妨害行為、諜報行為又は当該国の公務上の秘密若しくは当該国の国防上の秘密に関する法令の違反
第3項
管轄権を行使する権利が競合する場合には、次の法則を適用する。
1、派遣国の軍当局は、次の犯罪については、軍隊の構成員又は軍属に対して管轄権を行使する第一次の権利を有する。
(イ) もっぱら当該国の財産若しくは安全のみに対する犯罪又はもっぱら当該国の軍隊の他の構成員、他の軍属若しくは家族の身体又は財産のみに対する犯罪
(ロ) 公務執行中の作為又は不作為から生ずる犯罪
2、その他の犯罪については、受入国の当局が、管轄権を行使する第一次の権利を有する。
3、第一次の権利を有する国が管轄権を行使しないことに決定したときは、その国は、できる限りすみやかに他方の国の当局にその旨を通告しなければならない。第一次の権利を有する国の当局は、その権利の放棄が特に重要であると他方の国が認めた場合には、その権利の放棄を求める他方の国の当局からの要請に対して好意的考慮を払わなければならない。
第4項
本条の前諸項の規定は、派遣国の軍当局が受入国の国民たる者又は受入国に通常居住する者に対し管轄権を行使する権利を有することを意味するものではない。但し、それらの者が派遣国の軍隊の構成員であるときは、この限りではない。
第5項
受入国及び派遣国の当局は、受入国の領域内における軍隊の構成員若しくは軍属又は家族の逮捕及び前記の規定に従って管轄権を行使すべき当局への逮捕された者の引渡について、相互に援助しなければならない。
1、受入国の当局は派遣国の軍当局に対し、軍隊の構成員、軍属又は家族の逮捕についてすみやかに通告しなければならない。
2、受入国が管轄権を行使すべき軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が派遣国の手中にあるときは、受入国により公訴が提起されるまでの間、派遣国により引き続き行われるものとする。
第6項
受入国及び派遣国の当局は、犯罪についてのすべての必要な調査の実施並びに犯罪に関連する物件の押収及び正当な場合にはその引渡を含めて、証拠の収集及び提出について相互に援助しなければならない。但し、それらの物件の引渡しは、引き渡す当局が定める期間内に還付されることを条件として行うことができる。締約国の当局は、管轄権を行使する権利が競合するすべての事件の処理については、相互に通告しなければならない。
第7項
死刑の判決は、受入国の法制が同様の場合に死刑を規定していない場合には、派遣国の当局が受入国内で執行してはならない。受入国の当局は、派遣国の当局が本条の規定に基づいて受入国領域内で言い渡した自由刑の執行について派遣国の当局が求める援助の要請に対して好意的考慮を払わなければならない。
第8項
被告人となった者が、本条の規定に従って一締約国の当局により裁判を受けた場合において、無罪の判決を受けたとき、又は有罪の判決を受けて服役しているとき、若しくは赦免されたときは、他の締約国の当局は、同一の領域内において同一の犯罪について重ねてその者を裁判してはならない。但し、本項の規定は、派遣国の軍当局がその軍隊の構成員を、その者が他の一締約国の当局により裁判を受けた犯罪を構成した作為又は不作為から生ずる軍紀違反について、裁判することを妨げるものではない。
第9項
軍隊の構成員、軍属又は家族は、受入国の管轄権に基づいて公訴を提起された場合にはいつでも、次の権利を有する。
1、遅滞なく迅速な裁判を受ける権利
2、公判前に自己に対してなされた具体的な訴因の通知を受ける権利
3、自己に不利な証人と対決する権利
4、証人が受入国の管轄地域内にあるときは、自己のために強制的手続により証人を求める権利
5、自己の弁護のため自己の選択する司法上の代理人をもつ権利又は受入国でその当時通常行われている条件に基き費用を要しないで若しくは費用の補助を受けて司法上の代理人をもつ権利
6、必要と認めたときは、有能な通訳を用いる権利
7、派遣国の政府の代表者と連絡する権利及び裁判所規則が許すときは自己の裁判にその代表者を立ち会わせる権利
第10項
1、軍隊の正規に編成された部隊又は編成隊は、受入国との協定の結果使用する宿営地、営造物又はその他の土地及び建物において警察権を行う権利を有する。当該軍隊の憲兵は、前記の土地及び建物において秩序及び安全の維持を確保するため、すべての適当な措置を執ることができる。
2、前号の土地及び建物の外部においては、前記の憲兵は、受入国の当局との取極に従うことを条件とし、且つ、当該当局と連絡してのみ、且つ、その使用が軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内で使用されるものとする。
第11項
各締約国は、その領域における他の締約国の設備、備品、財産、記録及び公務上の情報の充分な安全及び保護並びにその目的で制定された法令に違反した者の処罰を確保するために必要と認める立法を求めるものとする。
第12項
1、犯罪に関する裁判管轄権を決定するために、ある行為を派遣国の法令によって罰し得るかどうかを決定することが必要である場合、当該事件を扱う日本の裁判所又は当局は、手続を停止し、派遣国の所轄当局に通告する。通告を受けた派遣国の所轄当局は、通告を受理した後21日以内に、又はその通告が未だなされていない場合にはいつでも、日本の裁判所又は当局に対し、当該行為が派遣国の法令によって罰し得るかどうかについて述べた証明書を提出することができる。同証明書が当該行為を派遣国の法令で罰し得ることについて肯定的である場合には、その行為が処罰されることの根拠となる規定または法的基礎及び予測される刑罰を明示するものとする。
2、日本の裁判所又は当局は、この証明書に一致するように決定を行う。ただし、例外的な場合には、日本の裁判所又は当局の要請に従って、日本国政府と日本国に駐留する当該派遣国の外交使節との間の協議を通じてこの証明書を再審査の対象とすることができる。
3、ある犯罪行為が日本の法令によって罰し得るかどうかを決定しなければならない場会には、本項第1号及び第2号の規定に定める手続がその犯罪行為に関して準用される。この場合の証明書は、日本国の権限ある最高の行政当局が発給する。
第13項
日本国はその領域内において、軍隊及び軍属機関並びにそれらの構成員の十分な安全及び保護を確保するために必要と思料する立法措置を執るものとする。日本領域内で行われた犯罪に関しては駐留する派遣国の軍隊、軍属及びそれらの構成員に対してもこの規定が適用される。
第14項
1.本条第11項の規定を実施するため、日本国は特に次のことを行う。
(イ)反逆罪に関する日本刑法の規定に従い、派遣国の軍事機密の保護を確保すること。
2.次の行為については、日本の軍隊に与えられ、又は将来与えられる保護に劣らない程度に、軍隊、軍属機関又はそれらの構成員に対する刑事法上の保護を確保すること。
(イ)勤務意欲を喪失させる意図の下に軍隊、軍属機関又はそれらの構成員に働きかけること。
(ロ)軍隊を侮辱すること。
(ハ)命令抗拒の扇動。
(ニ)脱走の扇動。
(ホ)脱走の幇助。
(ヘ)怠業、器物破壊を含む妨害行為
(ト)軍事事項に関する情報の収集。
(チ)軍事情報機関の運営。
(リ)軍用の装備、軍用の設備若しくは施設又は軍事的活動の模写又は記述。
(ヌ)航空写真の撮影。
第15項
本条の適用上「軍事秘密」とは、防衛に関するものであって、かつ日本国に駐留する派遣国機関が同派遣国若しくはその軍隊、又は駐留するその軍隊の安全を考慮して機密にする事実、物件、結論及び発見、特にそれらに関する文書、図面、模型、数式又は情報をいう。これには、秘密にするか否かの決定を行う権限が連邦共和国にある物件又はその物件に関する情報を含まない。
第8条
派遣国の当局が裁判権を行使するときは、軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族の拘禁は、当該派遣国の当局が行うものとし、日本の当局が裁判権を行使するときは、軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族の拘禁は、本条第2項及び第3項に従って派遣国の当局が行うものとする。
第2項
(イ)日本の当局が逮捕を行った場合であって、関係派遣国の当局からの要請があるときは、被逮捕者を当該派遣国に引き渡すものとする。
(ロ)派遣国の当局が逮捕を行ったとき、又は被逮捕者が本項イ号に基づいて派遣国の当局に引き渡されたときは、同当局は、拘禁をいつでも日本の当局に移すことができる。特定の場合において日本の当局が行うことがある拘禁移転の要請に対して好意的な考慮を払う。
(ハ)もっぱら日本国の安全に向けられた犯罪行為に関しては、拘禁は、関係派遣国の当局との間で合意する取極に従って日本の当局がこれを行う。
第3項
本条第2項に従って派遣国の当局が拘禁を行うときは、日本の当局による保釈若しくは釈放の時まで、又は刑の執行開始まで、派遣国の当局が引き続き拘禁を行う。派遣国の当局は、捜査及び刑事訴訟手続のために、被逮捕者の身柄を日本の当局に委ねるものとし、かつその目的のため及び証拠隠滅を防止するために適切なすべての措置を執るものとする。派遣国の当局は、拘禁に関して日本の権限ある当局が行う特別の要請に十分な考慮を払うものとする。
第4項
軍隊、軍属機関若しくはそれらの構成員の作為若しくは不作為により生じた損害、又は軍隊若しくは軍属機関が法的責任を有するその他の出来事により生じた損害についての補償は、本条の規定に基づいて決定される。
第5項 次の場合には補償は認められない。
1、軍隊又は軍属機関による通常の通行目的のための使用の結果生じた公道、街路、橋梁、航行可能な水路その他公共の交通施設に対する損害
2、占領費、委託費、又は駐留費の財源で建設又は調達された財産の滅失又は損害で、軍隊または軍属機関による当該財産の自由使用に供されている間に生じたもの
第6項
1、日本国は、日本国が所有している財産であって派遣国の軍隊又は軍属機関の排他的使用に供されるものの滅失又は損害については、当該派遣国に対する請求権を放棄する。この規定は、当該財産が派遣国の軍隊による使用に供され、又は1若しくはそれ以上の派遣国の軍隊と日本国の軍とにより共同して使用される場合にも、同様に適用される。この請求権の放棄は、故意又は重大な過失により生じた損害及び日本の国有鉄道又は郵便の財産に対する損害には適用しない。
2、本条の規定は、日本の国有鉄道又は郵便が所有する財産の滅失又は損害及び日本の道路の損害には適用しない。
第7項
各派遣国は、その所有財産に対する滅失又は損害であって、日本国の軍の構成員若しくは被雇用者の公務執行中に、又は日本国の軍による車両若しくは航空機の使用から生じたものについては、その財産が当該派遣国の軍隊又は軍属機関によって使用され、かつ日本国の領域に所存している場合には、日本国に対するすべての請求権を放棄する。ただし、この請求権の放棄は、故意又は重大な過失によって生じた損害には適用しない。
第8項
本条に基づく損害賠償支払の目的であって本条に関連するものに関しては当該軍隊の不可分の一部とみなされ、かつそのように取り扱われるものとする。ただし、この点に関して同機関を日本の管轄権から免除しないとする合意が存在するときは、この限りでない。
第9項
軍隊又は軍属機関の責任は、それらが日本の法規の適用を免除されるという事実によって影響を受けないものとする。日本の軍が同様の免除を受けるときであっても、日本の軍によって生じた損害に対して補償が支払われるときは、そのような場合にのみ、かつその限度内で、補償が支払われるものとする。
第9条
各締約国は、自国が所有し、且つ、自国の陸軍、海軍又は空軍が使用する財産に対する損害については、次の場合には他の締約国に対する自国のすべての請求権を放棄する。
(イ) 損害が他の締約国の軍隊の構成員又は被用者により極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定の運用に関連するその者の任務の遂行中に生じた場合
(ロ) 損害が他の締約国の所有する車両、船舶又は航空機でその軍隊が使用するものの使用から生じた場合。但し、損害の原因となった車両、船舶若しくは航空機が極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定の運用に関連して使用されていたとき、又は損害が極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定の運用に関連して使用されている財産に生じたときに限る。海難救助についての一締約国の他の締約国に対する請求権は、放棄されるものとする。但し、救助された船舶又は積荷は、一締約国が所有し、且つ、その軍隊が極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定の運用に関連して使用していた場合に限る。
第2項
1、締約国が所有するその他の財産でその領域内にあるものに対して第1項に掲げる損害が生じた場合には、関係締約国が別段の合意をしない限り、本項第2号に従って選定される一人の仲裁人が、他の締約国の責任の問題を裁定し、且つ、損害の額を査定するものとする。仲裁人は、また、同一の事件から生ずる反対の請求を裁定するものとする。
2、前号に掲げる仲裁人は、関係締約国間の合意によって、司法関係の上級の地位を現に有し、又は有したことがある受入国の国民の中から選定するものとする。関係締約国が2箇月以内に仲裁人について合意することができなかった場合には、いずれの締約国も、北大西洋理事会代理会議議長に対し、前記の資格を有する者の選定を要請することができる。
3、仲裁人が行ったいかなる裁定も、締約国に対して拘束力を有する最終的なものとする。
4、仲裁人が裁定した賠償の額は、本条第5項第5号(イ)、(ロ)及び(ハ)の規定に従って分担される。
5、仲裁人の報酬は、関係締約国間の協定によって定め、関係国が仲裁人の任務の遂行に伴う必要な費用とともに、均等の割合で支払うものとする。
6、各締約国は、損害の額が別表に掲げる額に達しない場合には、その請求権を放棄するものとする。通貨の間に為替相場の著しい変動があった場合には、締約国は、この額の適当な調整について合意するものとする。
第3項
本条第1項及び第2項の適用上、船舶について「締約国が所有する」というときは、当該締約国でないいずれかの人が損失の危険又は責任を負担する範囲を除く締約国が裸よう船した船舶、裸よう船契約で徴発した船舶又は捕獲物として押収した船舶を含む。
第4項
各締約国は、自国の軍隊の構成員がその公務の執行に従事している間に被った負傷又は死亡については、他方の締約国に対するすべての請求権を放棄する。
第5項
軍隊の構成員若しくは軍属の公務執行中における作為若しくは不作為又は軍隊若しくは軍隊が法律上責任を有するその他の作為、不作為若しくは事故で、受入国の領域においていずれかの締約国以外の第三者に損害を与えたものから生ずる契約による請求及び本条第6項又は第7項の適用を受ける請求を除く請求は、受入国が次の規定に従って処理するものとする。
1、請求は、受入国の軍隊の行動から生ずる請求に関する受入国の法令に従って、提起し、審査し、且つ、解決し、又は裁判する。
2、受入国は、前記のいずれの請求も解決することができるものとし、合意され、又は裁判により決定された額の支払は、受入国が自国の通貨で行うものとする。
3、解決によってされたものであると受入国の管轄裁判所による事件の裁判によってされたものであるとを問わず前記の支払又は支払を認めない受入国の裁判所による最終の裁判は、締約国に対し拘束力を有する最終的のものとする。
4、受入国が支払った各請求は、その完全な明細及び第5号(イ)、(ロ及び(ハ)による分担案とともに、関係派遣国に通知しなければならない。2箇月以内に回答がなかったときは、右分担案は、受諾されたものと認める。
5、本条第5項第1号から第4号及び第2項に従い請求を満足させるために要した費用は、締約国間で次のとおり分担する。
(イ) 一派遣国のみが責任を有する場合には、裁定され、又は裁判で決定された額は、受入国がその25パーセントを、派遣国が75パーセントを負担する割合で分担する。
(ロ) 二以上の国が損害について責任を有する場合には、裁定され又は裁判で決定された額は、それらの国が均等に分担する。但し、受入国が責任を有する国の一でないときは、その負担額は、各派遣国の負担額の半額とする。
(ハ) 損害が締約国の軍隊の役務によって生じた場合において、その損害をそれらの一又は二以上の軍隊の役務によるものと特定することができないときは、裁定され又は裁判で定められた額は、関係締約国が均等に分担する。但し、受入国が自国の軍隊の役務により損害を与えた国の一でないときは、その負担額は、各関係派遣国の負担額の半額とする。
(ニ) 比率に基く分担案が受諾された各事件について受入国が6箇月の期間内に支払った額の明細書は、弁償の要請書とともに、6箇月毎に派遣国に送付するものとする。この弁償は、できるだけすみやかに、受入国の通貨で行わなければならない。
6、本項第2号及び第4号の規定を適用する場合において、一締約国に重大な困難が生ずるときは、その締約国は、理事会に対し別種の解決を図るように要請することができる。
7、軍隊の構成員及び軍属は、その公務の執行から生ずる事件については、受入国において、その者に対して不利に与えられた裁判の執行手続に服しないものとする。
8、本項第4号が本条第2項に定める請求権に適用される範囲を除く外、本項の規定は、船舶の航行若しくは運航又は貨物の積込、輸送若しくは荷卸から生じ、あるいはそれらに関連して生ずる請求権には適用してはならない。但し、本条第4項の適用を受けない死亡又は負傷に対する請求権は、この限りでない。
第6項
受入国内における不法の作為又は不作為で公務執行中に行われたものでないものから生ずる軍隊の構成員又は軍属に対する請求は、次の方法で処理するものとする。
1、受入国の当局は、当該事件に関する被害者の行動を含むすべての事情を考慮して、公平且つ公正に請求を審査し、及び請求人に対する補償金を査定し、且つ、その事件に関する報告書を作成する。
2、報告書は、派遣国の当局に交付されるものとし、派遣国の当局は、遅滞なく、慰謝料の支払を申し出るかどうかを決定し、且つ、申し出る場合には、その額を決定する。
3、慰謝料の支払の申出があった場合において、請求人がその請求の完全な弁済としてこれを受諾したときは、派遣国の当局は、自ら支払をし、且つ、その決定及び支払った額を受入国の当局に通知する。
4、第6項のいかなる規定も、請求の完全な弁済として支払が行われたのでない限り、軍隊の構成員又は軍属に対する訴えを受理する受入国の裁判所の管轄権に影響を及ぼすものではない。
第7項
派遣国の軍隊の車両を許可を得ないで使用したことから生ずる請求は、軍隊又は軍属が法律上責任を有する場合を除く外、本条第6項に従って処理するものとする。
第8項
軍隊の構成員又は軍属の不法の作為又は不作為が公務執行中にされたものであるかどうか、また、派遣国の軍隊の車両が許可を得ないで使用されたかどうかについて紛争が生じたときは、その問題は本条第2項第2号に従って任命した仲裁人に付託するものとし、この点に関する仲裁人の決定は、最終的且つ決定的のものとする。
第9項
派遣国は、受入国の裁判所の民事裁判権に関しては、本条第5項第7号に定める範囲を除く外、軍隊の構成員又は軍属に対する受入国の裁判所の管轄権からの免除を請求してはならない。
第10項
派遣国及び受入国の当局は、締約国が関係を有する請求権の公正な審査及び処理のための証拠の入手について協力するものとする。
第11項
1、軍隊の構成員又は軍属に対する刑事訴訟手続において、ある犯罪行為が公務執行中の作為又は不作為によって生じたものであるかどうかを決定することが必要であるときは、その決定は、いつでも当該派遣国の法令に従って行うものとする。当該派遣国の権限ある最高当局は、事件を扱う日本の裁判所又は当局に対してその決定に関する証明書を提出することができる。
2、日本の裁判所又は当局は、この証明書に一致するように決定を行う。ただし、例外的な場合には、同証明書は、日本の裁判所又は当局の要請により、日本国政府と駐留する当該派遣国の外交使節との間の討議を通じて再審査の対象とすることができる。
第9条
軍隊の構成員又は軍属並びにそれらの家族は、受入国の国民と同一の条件で、自己の消費のために必要な物品及び必要とする役務を現地で購入することができる。
第2項
軍隊又は軍属の維持のために現地で求めることが必要な物品は、通常、受入国の軍隊のためにそのような軍需品を購入する当局を通じて購入しなければならない。前記の購入が、受入国の経済に不利な影響を及ぼすことを避けるため、受入国の権限ある当局は、必要がある場合には、購入の制限、又は禁止物品の指示を行うものとする。
第3項
すでに効力を生じている協定及び派遣国及び受入国の権限ある代表者の間で以後作成される協定に従うことを条件として、受入国の当局は、軍隊又は軍属が必要とする建物及び土地並びにそれらに関連する施設及び役務を軍隊又は軍属の用に供するための適当な取極をすることにつき、単独で責任を負う。それらの協定及び取極は、できる限り、受入国の同様の人員の宿泊及び宿営に関する規則に従っていなければならない。受入国の法令は、反対の特約がある場合を除く外、建物、土地、施設又は役務の占有又は使用から生ずる権利及び義務を決定するものとする。
第4項
軍隊又は軍属の現地における同国市民労働力に対する要求は、受入国における同様の要求と同じ方法で、職業紹介施設を通じて行う受入国の当局の援助により充足するものとする。雇用及び労働の条件、特に、賃金、諸手当及び労働者の保護のための条件は、受入国の法令で定めるところによらなければならない。軍隊又は軍属に雇用されている前記の市民労働者は、いかなる場合にも、当該軍隊の構成員又は軍属とみなしてはならない。
第5項
軍隊又は軍属が駐在地に充分な医療又は歯科治療上の便益を有しない場合には、当該軍隊又は軍属の構成員及びそれらの家族は、受入国の同様な人員と同様の条件で、入院を含む医療及び歯科治療上の処置を受けることができる。
第6項
受入国は、軍隊の構成員又は軍属に対する旅行の便益及び運賃に関する特権の許与に関する要請については、最も好意的な考慮を払うものとする。これらの便益及び特権は、関係政府間で結ばれる特別取極の主題となる。
第7項
本条第2項、第3項、第4項並びに必要がある場合は第5項及び第6項に基づいて提供される物品、宿泊施設及び役務についての国内通貨による支払は、締約国間の一般又は特別の財政取極に従うことを条件として、軍隊の当局がすみやかに行わなければならない。
第8項
軍隊、軍隊の構成員、軍属及びそれらの家族は、本条を理由としては、受入国の財政関係の規制に基づいて課せられる購入及び役務に関する租税その他の公課の免除を享受するものではない。
第10条
受入国における何らかの形式の租税が、法律上、居所又は住所に基づいて負担されるものである場合には、軍隊の構成員又は軍属が当該軍隊の構成員又は軍属であることのみを理由として受入国の領域にある期間は、前記の課税については、受入国に居住する期間又は居所若しくは住所の変更をきたすものと認めてはならない。軍隊の構成員又は軍属は、そのような構成員又は軍属として派遣国から支払を受けた給料その他の手当について、又はそれらの者が一時的に受入国にいることのみに基づいて受入国にある有体動産について、受入国における課税を免除される。
第2項
本条の規定は、軍隊の構成員又は軍属が受入国においてそのような構成員又は軍属としての雇用以外に従事する営利的事業に関し、当該構成員又は軍属に課税することを妨げるものではない。また、第1項に掲げる構成員又は軍属の給料その他の諸手当及び有体動産に関する場合の外、本条の規定は、当該構成員又は軍属が受入国の領域外に居住又は住所を有すると認められた場合においても受入国の法令に基づいて負担すべき租税を課することを妨げるものではない。
第3項
本条の規定は、第11条第12項に定義する「関税」に対しては、適用してはならない。
第4項
本条の適用上、「軍隊の構成員」とは、受入国の国民たるものを含まない。
第11条
1 本協定に対立する明文規定がある場合を除く外、軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、受入国の税関当局が執行する法令に服するものとする。特に、受入国の税関当局は、受入国の法令で定める一般的条件に基づいて、軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族を取り調べ、それらの者の荷物及び車両を検査し、並びに受入国の法令に従って物品を差し押さえる権利を有する。
第2項
軍隊又は軍属の軍用車両でその管理の下にあるものは、この協定の附属書に示す形式の証明書を提示して、関税の免除を受けて一時輸入をすること及び再輸出をすることを許される。
第2号
軍隊又は軍属の軍用車両でその管理の下にあるのでないものの一時輸入は、本条第4項に定めるところによるものとし、その再輸出は、本条第8項に定めるところによるものとする。
第3号
軍隊又は軍属の軍用車両は、道路上における車両の使用に関して納付すべき租税を免除される。
第3項
公用の封印がある公文書を携行する特使は、その地位のいかんを問わず、第3条第3項第2号に従って発給された個々の移動命令書を所持していなければならない。この移動命令書は、携行している公文袋の数を示し、且つ、その内容が公文書のみであることを証明するものでなければならない。
第4項
軍隊は、その装備品、軍隊の専用のための適当な量の食糧、需品その他の物品並びに、受入国がその使用を許したときは、軍属及び家族の専用のための適当な量の食糧、需品その他の物品を関税の免除を受けて輸入することができる。関税の免除を受けてするこの輸入については、受入国と派遣国との間で合意された形式による証明書で派遣国によりこのための権限を与えられた者が署名したものを、合意された税関関係の書類とともに、輸入地の税関に提出しなければならない。この証明書に署名する権限を与えられた者の氏名並びに署名及び使用する印章の見本は、受入国の税関当局に送付しなければならない。
第5項
軍隊の構成員又は軍属は、受入国における任務に就くために最初に到着した時又は家族が当該構成員又は軍属と同居するため最初に到着した時、その任務期間中の使用のための身廻り品及び家具を関税の免除を受けて輸入することができる。
第6項
軍隊の構成員又は軍属は、自己及び家族の私用のための私有自動車を関税の免除を受けて一時輸入することができる。本条は、私有車両による道路の使用に関して納付すべき租税を免除する義務を生じさせるものではない。
第7項
軍隊の当局が行う当該軍隊及びその軍属の専用品以外の物の輸入並びに軍隊の構成員又は軍属が行う輸入で本条第5項及び第6項に掲げるもの以外の輸入は、本条を根拠として関税その他の条件の免除を受けることができない。
第8項
前記の第2項第2号、第4項、第5項又は第6項に基づいて関税の免除を受けて輸入された物品は、次の通り扱う。
第1号
自由に再輸出することができる。但し、第4項に基いて輸入された物品の場合には、第4項に従って発給された証明書を税関に提出することを条件とする。この場合において、税関当局は、再輸出される物品が証明書に記載されたとおりであるかどうか、及びそれぞれ第2項第2号、第4項、第5項又は第6項の条件で実際に輸入されたものであるかどうかを検査することができる。
第2号
通常は受入国において売却又は贈与により処分してはならない。但し、特定の場合には、その処分は、受入国の関係当局が課する関税その他の課徴金の納付並びに貿易及び為替の管理上の要件の遵守等の条件で行うことができる。
第9項
受入国で購入された物品は、受入国における現行の規制に従ってのみ、受入国から輸出するものとする。
第10項
税関当局は、正規に構成された部隊又は編成隊に対し、国境を通過するための特別の措置を許すものとする。但し、関係税関当局に対し事前に正当な通知をしなければならない。
第11項
受入国は、軍隊又は軍属の軍用の車両、航空機及び船舶が使用するための燃料、油及び潤滑油がすべての関税及び租税を免除されて引き渡されるように、特別の取極をしなければならない。
第12項
本条第1項から第10項までにおいて、「関税」とは、それぞれ輸入又は輸出について納付すべき関税その他すべての公課及び租税をいう。但し、提供された役務に対する料金に過ぎない手数料及び租税を除く。「輸入」とは、当該物品が受入国で育成され、生産され、又は製造されたものでないことを条件として、税関の倉庫又は税関の継続的管理下からの引取を含む。
第13項
本条の規定は、当該物品が受入国に輸入され、又は受入国から輸出されるとき、及び当該物品が締約国の領域を通過するとき、当該物品に対して適用するものとし、このため、本条において「受入国」とは、当該物品が通過する領域が属する締約国を含むものとみなされる。
第12条
受入国の税関当局又は財政当局は、この協定に定める関税若しくは財政上の免除又は譲許を与える条件として、その濫用を防止するために必要と認める条件を遵守すべきことを要求することができる。
第2項
前記の当局は、受入国で育成され、生産され、又は製造された物品で輸出されなかったならば課せられたはずの租税若しくは公課を納付しないで、又はその払いもどしを受けて受入国から輸出されたものの受入国への輸入については、この協定で定める免除を拒否することができる。税関の倉庫から輸出される物品は、当該物品がその倉庫に保管されたことを理由として輸出されたものと認められているときは、輸入されるものとみなされる。
第13条
関税及び財政に関する法令に対する違反行為を防止するため、受入国及び派遣国の当局は、調査の実施及び証拠の収集について相互に援助しなければならない。
第2項
軍隊の当局は、受入国の税関当局若しくは財政当局によって行われ、又はそれらの当局に代わって行われる差し押えを受けるべき物件がそれらの当局に引渡されることを確保するため、可能なすべての援助を与えなければならない。
第3項
軍隊の当局は、軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族が納付すべき関税、租税及び罰金の納付を確保するため、可能なすべての援助を与えなければならない。4 受入国の関税又は財政に関する法令に対する違反行為に関連して受入国の当局が差し押えた軍隊又はその軍属に属する軍用車両又は物件で当該軍隊の構成員又は軍属個人に属するものでないものは、当該軍隊の当局に引き渡さなければならない。
第14条
軍隊、軍隊の構成員、軍属及びそれらの家族は、派遣国の外国為替規制に服さなければならず、また、受入国の当該規制にも服さなければならない。
第2項
派遣国及び受入国の外国為替当局は、軍隊若しくは軍隊の構成員又は軍属及びそれらの家族に適用すべき特別な規制を発することができる。
第15条
本条第2項を留保して、この協定は、極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定の適用がある敵対行為がある場合には、引き続き効力を有する。但し、第8条第2項及び第5項の請求権の解決に関する規定は、戦争による損害には適用がないものとし、この協定の規定、特に第3条及び第7条の規定は、関係締約国中この協定の相互間における適用に関して望ましいと認める改正をすることに同意する国より直ちに再検討されるものとする。
第2項
各締約国は、前記の敵対行為がある場合には、他の締約国に対し60日前に通告することにより、自国に関する限りこの協定のいずれの規定の適用も停止する権利を有する。締約国は、この権利が行使されたときは、停止された規定に替えるべき適当な規定について合意するため、直ちに協議しなければならない。
第16条
この協定の解釈又は適用に関する締約国間のすべての紛争は、他のいかなる裁判権にもよることなく、その相互間で解決するものとする。但し、この協定に反対の明文規定がある場合には、直接の交渉で解決することができない紛争は、理事会に付託するものとする。
第17条
締約国は、いつでもこの協定のいずれの条項の改正をも要請することができる。その要請は、理事会に提出するものとする。
第18条
この協定は、批准されなければならない。批准書は、できるだけすみやかにアメリカ合衆国政府に寄託するものとし、同政府は、各署名国に対し批准書の寄託の日を通告するものとする。
第2項
この協定は、日本国と連合王国並びに合衆国がその批准書を寄託した後30日で、それらの国の間において効力を生ずる。この協定は、その他の各署名国については、その批准書が寄託された日の後30日で効力を生ずる。
第3項
この協定の効力が生じた後は、理事会の証人及び理事会が決定する条件に従うことを条件として、極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定に加入する国の加入のために、開放するものとする。加入は、アメリカ合衆国政府に加入書を寄託することにより行われ、同政府は、各署名国及び各加盟国に加入書の寄託の日を通告するものとする。この協定は、加入書を寄託した国については、その加入書の寄託の日の後30日で効力を生ずる。
第19条
いずれの締約国も、この協定が効力を生じた日から4年の期間が経過した後は、この協定を廃棄することができる。
第2項
この締約国によるこの協定の廃棄は、当該締約国からアメリカ合衆国政府にあてた書面による通告によって行うものとし、同政府は、他のすべての締約国に対し、各廃棄の通告及びその受領の日を通告するものとする。
第3項
廃棄は、アメリカ合衆国政府が廃棄の通告を受領した後1年で効力を生ずる。この1年の期間が経過した後は、この協定は、廃棄した締約国については効力を失うが、その他の締約国において効力は存続するものとする。
第20条
本条第2項及び第3項の規定を留保して、この協定は、締約国の本土領域にのみ適用する。
第2項
各国は、この批准書若しくは加入書の寄託の時に又はその後いつでも、アメリカ合衆国に対する通告により、極東アジアにおける日本国と連合王国並びに合衆国との間の相互協力及び安全保障協定地域内でその国が国際関係について責任を有するすべての領域又はいずれかの領域に対し、この協定を拡張適用することを、宣言を行う国が必要と考える場合にはその国と各関係派遣国との間の特別協定の締結を留保して宣言することができる。この協定は、必要な場合はアメリカ合衆国政府がその通告を受領した後30日若しくは特別協定の締結の後30日又は第18条に基づき効力を生じた時のうちいずれか遅い方の日に、通告書に掲げる1又は2以上の領域に対して拡張適用するものとする。
第3項
本条第2項に基づき、国際関係について責任を有する領域に対してこの協定を拡張適用することを宣言した国は、第19条の規定に従って、当該地域に関して別個にこの協定を廃棄することができる。
後添
証人として、以下に署名した全権大使が本協定に署名した。この文書は1956年3月4日にロンドンで英語と日本語で作成され、双方の文書は等しく単一の原本としてアメリカ合衆国政府の公文書館に保管される。アメリカ合衆国政府は、その認証謄本をすべての署名国に送付するものとする。