もしもこんな日本だったら   作:fire-cat

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切りがつかないので、このままボツ。


憲法制定前夜ーとある議会の悲喜劇ー

「さて、お集りの議員諸君。残念ながら政府が提出した草案はGHQにより却下された。我々が自主的に憲法を定められる期間は九か月しか残されていない。いかようにして憲法を定めるか」

 首相の声に残念そうなため息が漏れ聞こえた。

「海外の似た気風の国や、民間の草案、癪ではあるが欧州の立憲君主国なども交えて提案するべきではなかろうか」

「異議なし」

 と頷く声が議場の彼方此方に木霊した。

「では、1月後に臨時国会を召集する。それまでに各政党の諸君は草案の骨子でもよいので固めて頂きたい」

 

 

前文

 

 日本国は、国会における正当に選挙された代表者を通じて、我ら自身と子孫のために、諸国民との間に平和的協力を成立させ、日本国全土にわたって自由の福祉を確保し、無責任な軍国主義によって再び戦争の惨禍が発生しない様にすることを決意し、ここに国民の総意が至高なものであることを宣言し、この憲法を確定する。

 日本国民は、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治され国家の意思を最終的に決定する。

 日本国民は、内外に甚大なる被害を与えた先の悲惨なる戦争を深く反省すると同時に世界の恒久平和を希求し、国際協調の精神をもって、国際社会の平和と繁栄と安全の実現に向け、不断の努力を続ける。

 日本国民は、基本的人権が尊重され国民の福祉が増進される、自由で活力があり、かつ公正な社会の実現を、個人の自律と相互の協力の精神の下に希求する。

 日本国民は自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させ、国際社会において、名誉ある地位を占めることを希求する。

 日本国民は、国家の名誉に懸け、全力をあげてこの高遠な主義と目的を達成することを誓う。

 

「これが政府案の前文か」

「前文は目くじら立てるほどではないな。軍国主義への反省も含まれている」

「そうだな。このままでも良いのでは?」

 

 

第7条

 国旗は日章旗とし国章は菊花紋、五七桐花紋とする。国旗、国章の詳細は法律において定める。国歌については別に法律を定める。

 

「――君」

「この第7条ですが、この際、国花、国鳥もさだめては?」

「理由は」

「英国で始まった国花の選定は各国で進められております。この機会に我が国も後れを取らずに定めてはいかがでしょうか」

「異議あり! それなら国樹も選定すべきであります」

 そうだそうだ

「宜しいでしょう。先ずは国花を選定しましょう」

 一人の議員が手を挙げ

「昔から唄われているように桜で良いじゃろ? あをによし、奈良の都の八重桜、じゃよ」

「待て待て、桜は国樹だろうが」

「国樹は榊で良いではないか?」

「宗教的だ! でもよ、江戸の昔から花見はサクラって決まってらぁ、桜は花だろ?」

「桜はどう見ても国樹だろうが!」

「桜が国樹なら国花は菊で良いではないか?」

「国樹は、欅でどうだ? 身近な樹だし?」

 

「収拾がつかん、鳥から決めよう」

「鳥なら早いな、雉だ」

「何寝ぼけてやがる、学名ニッポニアニッポンの朱鷺だろうが!」

「鶴はどうだ?」

「それなら里山にいるコウノトリだろ?」

「白鳥だ!」

「白鳥は渡り鳥だ。鶴もな」

「いかん、こっちもダメだ」

 

―1週間後―

 

「……きりがない。国花、国鳥を定めるのは国民の意思に委ねるべし」

「そうだな」

「憲法に記載するほどでもない」

「無駄にしたとは考えたくないが、他に決めることが山ほどあることを忘れていたな」

 

 

 

第8条

 日本国民は自国、他国を問わず国旗、国章、国歌を尊重しなければならない。国旗、国章、国歌はその国を象徴し尊厳を表すものであり教養ある者はこれを冒涜または侮辱してはならない。

 

第9条

 憲法、法律、慣習法、批准された国際約束が日本国の一般的拘束力のある法源である。憲法で別段に定められた規則及び地方自治体において定められた条例は一般的拘束力のある法源として扱う。

 

第10条

 成文法、慣習法が共に存在しないとき裁判官は条理を推考して裁判を行う。この場合条理は法源足り得る。

 

「9条と10条は一つにまとめるべきである」

 

 

 

第2章 日本国民の権利

 

第1条

 何人もこの憲法に別段の定めが無い限り法律の前において同じ権利を有する。

 

第2条

 男女は同じ権利を有する。この権利は生理学的根拠に依らずに異なる取扱いをされてはならない。男女の性的、政治的、経済的、文化的、或いは婚姻を含む社会的活動における同権については必ず保障されなければならない。

 

第3条

 労働並びに社会的活動において男は外で働くことが当然、女は家を守ることが当然という概念は陋習であり、前条に基づき国はこれを改めさせなければならない。賃金及びその他の労働条件に関する決定においては法律で詳細を定める。

 

第4条

 何人も合理的な理由なく年齢、出身、言語、信仰、信条、意見、精神又は身体の障碍、その他の個人的事情に基づいて異なる取扱いをされてはならない。

 

「1条と4条は一つにまとめられるだろう?」

「何で分けたんだ?」

「3条は表現が急進的すぎる。もう少し国民に沿った方が良い」

 

 

第5条

 何人も生命並びに個人の自由、不可侵性及び安全に対する権利を有する。

 

第6条

 何人も個人の不可侵性は侵害されてはならない。また恣意的に法律で定める理由なく自由を剥奪されてはならない。自由の剥奪を伴う刑罰は裁判所が科する。その他の自由の剥奪の合法性については裁判所の審査に付することができる。自由を剥奪された者の権利は法律により保障される。

 

第7条 

 何人も拷問され、人間の尊厳を侵害するその他の取扱いを受けてはならない。特に公務員による拷問、人間の尊厳を侵害する取扱いは決して行ってはならない。

 

第8条   

 何人も実行の時点において法律で可罰的であると定められていない行為に基づいて有罪とされ、刑を宣告されてはならない。犯罪に対して実行の時点における法律の規定よりも重い刑を宣告してはならず、法律は犯罪に対して残虐で異常な刑罰、過重な罰金を科してはならない。また過大な額の保釈金を要求してはならない。

 

第9条

 何人も不合理な捜索および押収に対し、身体、家屋、書類および所有物の安全を保障される。現行犯として逮捕される場合を除いては権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ逮捕され、または所有権を有する物を押収される事はない。令状は確約によって裏付けられた相当な理由に基づいてのみ発行され、かつ捜索すべき場所、および逮捕すべき人、または押収すべき物件を特定して示したものでなければならない。

 

第10条

 何人も住居の平穏を保障され平和裏に生活を営む権利を有する。居住者の同意のない住居への立入りは法律に定められた場合において法律で指定された者による限り認められ、日本国の公的機関は、憲法で保障された権利及び犯罪の捜査のために不可欠の住居の平穏に触れる措置について、法律で定めることができる。

 

第11条

 何人も個人的な生活領域の尊重に対する権利を有する。個人の記録及び提供に関わる個人的生活領域の保護のための規則は法律で定める。

 

第12条

 何人も、同一の犯罪について重ねて生命身体の危険にさらされることはない。既に発効した裁判所の判決を科された行いによって、再び立件され、捜査され、公訴され、公判に付されることはない。

 

第13条

 何人も、抑留され、又は拘禁された後、裁判の結果無罪となったときは法律の定めるところにより国にその補償を求めることができる。

 

第14条

 何人もその関係する事件が法律に基づき管轄権を有する裁判所又はその他の公的機関において適切に、かつ、不当な遅滞なく審理される権利並びにその権利及び義務に関する決定が裁判所又はその他の独立の司法機関で審理される権利を有する。審理の公開並びに審問を受ける権利、理由を付した裁判を受ける権利及び上訴の権利並びにその他の公正な裁判及び良好な運営の保障は、法律で確保される。

 

第15条

 何人も裁判所及びその他の公的機関において日本語若しくは国際公用語のいずれかを使用し、当該言語による公的文書を交付される権利を法律で保障される。

 

第16条

 何人も信書、通話、その他の内密の通信の秘密は侵害されない。個人若しくは社会の安全又は住居の平穏を脅かす犯罪の捜査、訴訟、保安検査、拘禁中において不可欠の通信の秘密に対する制限について法律で定めることができる。

 

第17条

 何人も信仰及び良心の自由を有する。信仰及び良心の自由は信仰を告白し実践する権利または告白しない権利、信条を表明する権利またはしない権利、宗教的共同体に所属する権利または所属しない権利を含む。何人もその良心に反する信仰の実践に参加する義務を負わない。礼拝、儀式、布教の自由はこの憲法とそれに基づく法律の制限を受ける。

 

第18条

 国はいかなる宗教団体にも特権を与えてはならず、宗教団体も国から特権を受け、政治団体を組織し、政治上の権力を行使してはならない。

 

第19条

 何人も、自ら選択した、労働、法律に反しない職業または生業によって生計を立てる権利を有し、法律に基づく理由がなければ解雇されてはならない。また犯罪に因る処罰の場合を除いてはその意に反する苦役に服させられてはならない。

 

第20条

 日本国民及び合法的に国内に滞在する外国人の子供は、個人として同等に扱われなければならず、また、その成長に応じて、本人に関することに影響を及ぼすことができなければならない。

 

第21条

 日本国民及び合法的に国内に滞在する外国人は、国内の移動及び居住地選択の自由を有する。この権利に対して、国防上又は公共の利益を確保するため若しくは心身に対する危険から守るために不可欠の制限を法律で定めることができる。

 

第22条

 日本国民及び合法的に国内に滞在する外国人は、出国の権利を有する。この権利に対して、訴訟の遂行若しくは刑の執行又は兵役義務の履行を確保するために不可欠の制限を法律で定めることができる。

 

第23条

 日本国民及び合法的に国内に滞在する外国人は、表現の自由を有する。表現の自由は、事前に誰にも妨げられることなく、情報、意見及びその他の伝達事項を表明し、公表し、及び受け取る権利を含む。表現の自由の行使について、詳細は、法律で定める。また議会は個人的名誉の保護、子供の保護のために不可欠な制限について法律で定めることができる。

 

第24条

 日本国民及び合法的に国内に滞在する外国人の財産は、保障される。公共の必要のための財産の強制収用については、補償を法律で定める。

 

第25条

 日本国民及び合法的に国内に滞在する外国人は、無償の基礎教育に対する権利を有する。無償の基礎教育についての詳細は、法律で定める。

 

第26条

 日本国民及び合法的に国内に滞在する外国人は、損害その他に関する救済及び法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正に関し平穏に請願する権利を有し、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

 

第27条

 日本国民及び合法的に国内に滞在する外国人は、資力の欠如のために妨げられることなく、その能力及び特別の必要に応じて、基礎教育以外の教育を受け自らを発達させるための平等な機会を保障される。

 

第28条

 日本国民及び合法的に国内に滞在する外国人の、学問、芸術及び高等教育の自由は、保障される。

 

第29条

 日本国民は、帰国を妨げられ、国外に追放され、又は意に反して外国に引き渡され、若しくは移送されてはならない。日本国民は、犯罪を理由として、若しくは訴訟のため、又は子の監護若しくは養育に係る決定の執行のために、人権及び法による保護が保障される国に引き渡され、又は移送されることがあること、並びに検疫を理由とした入国制限があることを法律で定めることができる。

 

第30条

 外国人の日本に入国及び国内に滞在する権利は実質的相互主義に基づく法律で定める。合法的に国内に滞在する外国人は精神的自由権を行使した事により自国において人間の尊厳を侵害する取扱いを受けるおそれがある場合には、日本国憲法及びそれに基づく法律を遵守する限り送還されてはならない。

 

第31条

 日本国民は、許可を得ないで集会及び示威行動を組織し、並びにこれらに参加する権利を有する。集会及び示威行動の自由の行使についての詳細は、法律で定める。

 

第32条

 日本国民は、結社の自由を有する。結社の自由は、許可なく団体を結成する権利、団体に所属し、又は所属しない権利及び団体の活動に参加、または参加しない権利を含む。職業上の結社の自由及びその他の利益を擁護するために団結する自由も、同様に保障される。結社の自由の行使についての詳細は、法律で定める。

 

第33条

 日本国民は、法律に定められた年齢に達したとき、選挙及び国民投票において投票する権利と義務を有する。投票する権利は選挙区に居住する住民であり法律で定められた年齢に達し、かつ、選挙権が排除されていない者にある。法律に定められた年齢に達した日本国民が有する被選挙権については、この憲法の個々の規定が適用される。

 

第34条

 住民とは地域に正当な手段を持って一定期間居住し法令を遵守し生活を営んでいる日本国民と日本国憲法を遵守し法令に従って生活を営む外国籍を有する者である。

 

第35条

 外国籍を有する住民は国民投票に参加する権利、国及び居住する地方自治体への参政権を有しない。

 

第36条

 日本国民で、法律で指定された罪を犯したため、裁判所の確定判決により少なくとも1年の自由刑を宣告され、かつ、これと同時に選挙権を剥奪された者並びに精神障碍を理由とする裁判所の確定判決に基づき法律行為を行う能力を有しない者は、選挙権が排除される。選挙権を排された者は当然投票の義務を免ぜられる。選挙権の回復については法律で定める。

 

第37条

 日本国民で人間の尊厳のある生活に必要な保障を得ることができない全ての者は、不可欠の生活手段及び保護に対する権利を有する。失業、疾病、負傷、労働能力の喪失及び老齢並びに子の出産及び扶養者の喪失による基本的生活手段の保障に対する権利は、日本国の国籍を有する何人に対しても法律で保障される。

 

第38条

 日本国民は、個人として尊重される。日本国民の生命並びに個人の自由、幸福追求に対する権利については、他人の権利を侵害せず,かつ,憲法的秩序または道徳に違反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

第39条

 日本国民は、法律で定めた一定数以上の賛同者の署名により議会に法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正の発案を行う事ができる。この発案の審議について議会は議事規則で詳細を定める。

 

第40条

 日本国の公的機関は、就業を促進し、労働に対する全ての人の権利の保障に努めなければならない。就業訓練に対する権利については、法律で定める。

 

第41条

 日本国の公的機関が保有する文書及びその他の記録は、やむを得ない理由のためにその公開が法律で個別に制限されている場合を除き、公開される。何人も、公文書及び公記録から情報を得る権利を有する。

 

第42条

 日本国の公的機関は、方言を含む国内の言語について文化的及び社会的な必要性に等しく配慮しなければならない。

 

第43条

 日本国に居住する北海道、千島、台湾における原住民の集団は自らの言語、文化を維持し、発展させる権利を有する。言語及び陋習とされた民族の文化は、日本国憲法及びそれに基づいた法律に反しない限り尊重される。公的機関において自らの言語を使用する権利については法律で定める。

 

第44条

 日本国に居住する障碍のために通訳及び翻訳の補助を必要とする者の権利は、法律で保障されなければならない。

 

第45条

 この憲法に一定の権利を列挙したことを根拠に、他の諸権利を否定し、または軽視したものと解釈してはならない。また、この憲法のいかなる規定も、憲法の掲げる権利及び自由の破壊を目的とする活動に従事し、又はそのような目的を有する行為を行う権利を認めるものと解釈してはならない。

 

第46条

 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、他人の権利を侵害せず、かつ、憲法的秩序または道徳に違反しない限りにおいて、憲法が保障する自由及び権利を有する。自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、権利の行使及び義務の履行は信義に従い誠実に行わなければならず、自由及び権利の濫用は許されない。また、本章に掲げる規定は、軍の法令又は紀律に抵触しないものに限り、軍人に準用する。

 

「現行憲法よりもはるかに民衆の権利を定めているのはけっこうなことである」

「我が党として不足と思われる個所は色々と出させていただいたが、我が党の主張も一部組み込まれ、今の憲法と比べればはるかに良いと思われる」

「言論、出版、教育、芸術、信仰の自由が保証されていることは概ね満足すべきであろうな」

「他にも言語や障碍についても取り上げていることは我が国が道徳的にも優れていると主張できる。これなら戦勝国も否とは言えまい」

「ただ、やはり不足箇所もある」

「推定無罪の原則か? 推定無罪の原則は今では一般的だがこれをなぜ入れないのか?」

 

「自由の行使についての詳細は、法律で定める。とあるが、また戦前と同様になる恐れがある! 憲法に明記せよ」

 

「男女同権を謳うのであれば、民法上の婚姻の問題もどうにかした方が良いと思うが如何に?」

「婚姻における氏については家族についての規定とともに憲法に記載すべきである」

「そもそも明治9年3月17日太政官指令では妻の氏に関して,実家の氏を名乗らせせていたではないか。明治大正昭和の御代で同氏になったが男女同権であれば戦国、江戸の昔の男女の在り方についてももう少し考えても良いのではないか? 尼将軍のように政務をしっかりと握っていた女傑もいる」

「うちのかかあもそうだぞ~」

「うちもそうだ。まぁ日野富子みたいなことは困るがな」

 

 

第3章 日本国民の義務

 

第1条

 法律に定められた年齢に達した日本国民は投票の義務を負う。海外に居住する日本国民で、定められた期日までに在外公館で投票を行う事が著しく困難なものは投票の義務を免除する。

 

第2条

 日本国の公的機関は投票の義務を履行できる環境を整える義務を負う。また特段の理由なく投票を怠るときは罰則を以て当たらねばならない。但し罰則を適用するには十分な配慮をなさねばならない。

 

第3条

 定められた年齢に達した全ての日本国民は、法律に基づき、日本国の防衛に参加しこれを支援する義務を負う。

 

第4条

 信念に基づき軍事的な国防への参加の免除を受ける権利については、これを保障し、詳細は法律で定める。

 

第5条

 定められた年齢に達した全ての日本国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。但し児童は、これを酷使してはならない。

 

第6条

 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定め、日本国の公的機関は労働力の保護に配慮しなければならない。

 

第7条

 日本国民は法律に基づき無償の基礎教育を受ける義務を負う。無償の基礎教育を受ける義務についての詳細は法律で定める。

 

第8条

 日本国民は、法律の定めるところに従い、納税の義務を有する。

 

第9条

 全ての日本国民は憲法、憲法に基づいた法令を遵守しなければならない。

 

 

第4章 議会

 

第1条

 議会は衆議院、参議院、付属する事務局で構成される。

 

第2条

 衆議院は活溌に民意を代表し、参議院は国民各層の知識経験を代表する。

 

第3条

 国会議員は一定の年齢に達した全ての国民の自由な意思によって秘密選挙で公選される。全ての投票権者は、選挙において平等な投票権を有し、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない。

 

第4条

 衆議院は国民が直接公選した議員により構成される。議員定数は法律でこれを定める。但し、衆議院の議員定数は有権者100万人に付き15人を下回ってはならない。

 

第5条

 参議院は華族、地域、経済、学術、芸術等の法認団体が其々の代表候補者を選出し、その候補者の中から国民により公選された議員により構成される。参議院の議員定数及び其々の代表議員の定数は法律でこれを定める。

 

第6条

 衆議院議員は4年の任期で選ばれる。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。

 

第7条

 参議院議員の任期は6年とし、3年毎に議員の半数を改選する。

 

第8条

 議員の任期は、選挙の結果が確定した時に始まり、次回の選挙が実施された時まで継続する。議員の任期を議会期と称する。

 

第9条

 衆議院議員は単一の選挙区で複数の候補を優先順位をつけて選択する制度で公選される。衆議院議員の公選に関する条規は法律によって定められる。

 

第10条

 衆議院議員の選挙は一つの選挙区で投票者数の4分の1以上の無効投票があるときはその選挙区の選挙結果は無効となりその選挙区では再度の選挙を行わなければならない。

 

第11条

 参議院議員の選挙は代表議員選挙法に基づき施行される。参議院の被選挙権は、法認団体に選出された日本国籍を有する有識者で執行猶予の有無に関わらず禁固以上の刑に処せられたことがない者が有する。参議院の各代表議員選挙法に関する条規についての定義は法律によって定められる。

 

第12条

 議会は、その新たに任命された議員の当選証書を審査し、当選証書又は選挙自体に関して生じた争訟について、法律の定める規則を遵守して判定する。

 

第13条

 天皇は、理由を付した首相の発案に基づき、かつ、議会の会派の意見を聴いた上で、議会の会期中に任期満了前の議会選挙を実施することを決定することができる。この後、議会は、選挙の実施前にその任務を終える日を決定する。

 

第14条

 任期満了前の議会選挙の後、議会がより早い集会の日を決定した場合を除き、選挙の決定が行われてから90日が経過した後の最初の月の初日に、議会は集会する。

 

第15条

 何人も、同時に両議会の議員たることはできない。

 

第16条

 軍務に従事している者、枢密院の構成員、通常裁判所または通常行政裁判所の構成員、国又は地方公共団体の公務員、地方自治体議員は国会議員に選挙されることができない。

 

第17条

 議員の職は、国会議員がその被選挙権を喪失した場合、終了する。

 

第18条

 議員が妊娠及び出産並びに負傷疾病による療養の間、議員の職の遂行は、中断する。その間は、その代理議員が、議員の職を遂行する。議員の職の遂行は、兵役義務を果たす間においても中断する。

 

第19条

 議会は、免職の許可に合理的な理由があると認める場合には、国会議員の申出により、免職を許可することができる。

 

第20条

 国会議員が本質的かつ反復的に議員の職の遂行を怠った場合には、議会は、当該案件について憲法委員会、大委員会の意見を得て、各々の議会における議員総数の5分の3以上の出席、かつ出席議員の投票の6分の5以上をもって支持された議決により、任期の全期間又は一定の期間議員の職を解くことができる。

 

第21条

 国会議員に選挙された者が故意の犯罪による拘禁刑又は選挙に関する犯罪に係る刑に処する旨の執行可能な判決を受けた場合には、議会は、その国会議員としての留任の可否について調査することができる。犯罪が、判決を受けた者が議員の職に必要な信用及び尊敬に値しないことを示す場合には、議会は、当該案件について憲法委員会、大委員会の意見を得て、各々の議会における議員総数の5分の3以上の出席、かつ出席議員の投票の6分の5以上をもって支持された議決により、その者の議員の職の終了を宣言することができる。

 

第22条

 国会議員は、その職において自己の良心、正義及び真実に従う義務を負う。国会議員は、憲法を遵守する義務を負い、その他の指示に拘束されない。

 

第23条

 国会議員は、その議員の職の遂行を妨げられてはならない。

 

第24条

 国会議員は、各々の議会における議員総数の5分の3以上の出席、かつ出席議員の投票の6分の5以上をもって支持された議決により議会が同意した場合を除き、会期において表明した意見又は議案の審議中の行為のために、訴追され、又は自由を剥奪されてはならない。

 

第25条

 国会議員の逮捕及び拘禁は、直ちに所属する議会の議長に通知されなければならない。国会議員は、重大な理由により法定刑の下限が6月以上の拘禁刑に相当する犯罪を行ったことが疑われる場合を除き、議会の同意がなければ裁判の開始前に逮捕され、又は拘禁されない。

 

第26条

 国会議員は、議会において討論に付されたあらゆる案件及びその審議において自由に発言する権利を有する。

 

第27条

 国会議員は、冷静沈着かつ品位をもって、かつ、他人を傷つけないように行動しなければならない。国会議員がこれに反した場合には、議長は、そのことを指摘し、又は議員に発言を続けることを禁ずることができる。議会は、繰り返し秩序を乱す議員に対して警告し、又は当該議員を最長14日間議会の会議に出席させないことができる。

 

第28条

 国会議員は、良く身を修め、道徳的、倫理的に国民を感化し、品性を高く保ち、国民の代表として相応しい人格を身につけなければならない。国会議員はその所属する団体又は選挙区の為に委任使となって委嘱を代行する者ではない。

 

第29条

 国会議員は、本人に個人的に関係する議案に関する委員会審査及び議決手続に参加する資格を有しない。ただし、本会議において、当該議案に関する討論に参加することができる。国会議員は、また、委員会において、自らの公務の調査に関する議案の審査に参加することができない。

 

第30条

 議会は、毎年2回常会を開会する。常会の召集は、召集詔書の公布によって行う。常会は1回を予算中心に、1回を決算中心に開会して、政府の統治権行使を監督する。

 

第31条

 常会の会期は、各70日とし、両議会同一の日数とする。ただし、議会の議長は、必要な場合には、新しい選挙の実施前に議会を臨時に招集する権限を有する。

 

第32条

 会期は、政府において必要と認めたとき、各議会の決議があった時は詔書の公布によって延長する。常会の延長は一度限りとする。

 

第33条

 臨時会の招集は内閣の決定又は議会の総議員の4分の1以上の要求又は衆議院議員の任期満了による総選挙若しくは参議院議員の通常選挙後に、召集詔書の公布によって行う。

 

第34条

 臨時会の会期は常会を超えてはならない。会期は両議会同一の日数とする。臨時会は二度の延長を認める。

 

第35条

 議会期の最後の常会の会期は、議会がその任務を終了することを議決するまで継続する。その後、天皇は、当該議会期における議会の任期満了を宣言する。

 

第36条

 衆議院は議会期ごとに議長及び2人の副議長を同時に選挙する。参議院は、改選の都度、非改選議員から議長及び2人の副議長を同時に選挙する。

 

第37条

 議会の議長及び副議長の選挙は、秘密投票により実施される。選挙においては、投票の過半数を得た国会議員を当選人とする。最初の2回の投票において投票の過半数を誰も得なかった場合には、第3回の投票で最も多くの票を得た議員を当選人とする。

 

第38条

 議長及び副議長並びに委員会の委員長は、議長評議会を組織する。議長評議会は、議会の任務の調整のための指示を発し、及びこの憲法又は議事規則で個別に定めるところにより、会期において議案の審議に当たって遵守すべき手続について決定する。議長評議会は、議会職員に関する法律及び議事規則の制定又は改正の発議並びに議会の活動に関するその他の規則についての提案を行うことができる。

 

第39条

 両院の議長評議会は各々の議会を代表して天皇に上奏することができる。但し、天皇は法案について上奏された場合、議会の決議が未完了の場合は認証を行えない。

 

第40条

 議会は、その議会期に大委員会並びに憲法委員会、外務委員会、財務委員会、監査委員会及び議事規則で定めるその他の常任委員会を設置する。また、議会は、特定の議案について審査し、又は調査するための特別委員会を設置することができる。

 

第41条

 大委員会は常任委員会が掌管しない分野及び政治的な議論を扱い、その他の委員会は掌管する分野についてのみ議論するものとする。

 

第42条

 大委員会には、25人以上の委員を置く。憲法委員会、外務委員会及び財務委員会には、17人以上の委員を置く。その他の常任委員会には、11人以上の委員を置く。また、委員会には、必要な数の代理委員を置く。

 

第43条

 委員会は、特定の議案について、より多くの委員数を個別に定める場合を除き、委員の3分の2以上が出席する時に議決することができる。

 

第44条

 議会は、法律で詳細を定めるところにより、国民健康保険機関及び国民年金機関の運営及び活動を監督するための委員を選挙する。

 

第45条

 議会は、この憲法、その他の法律又は議事規則で定めるところにより、その他の必要な機関を選挙する。

 

第46条

 国際約束に基づく国際的な機関又はその他の国際的な機関への議会の代表者の選挙については、法律又は議事規則で定める。

 

第47条

 委員会及びその他の議会の機関は、この憲法、議事規則又は議会が定めた機関の細則で別に定める場合を除き、議会期最初の会期において全議会期を通じて設置される。ただし、議会は、議長評議会の提案により、議会期の途中で、機関を再び設置することを決定することができる。

 

第48条

 議会は、委員会及びその他の機関の選挙を実施する。

 

第49条

 議案は、内閣が提出した政府の提案若しくは国会議員の発議又はこの憲法若しくは議事規則で定めるその他の方法により、議会に提出される。

 

第50条

 国会議員は、法律の制定に関する提案を内容とする立法発議、予算又は補正予算に計上されるべき経費又はその他の決定の提案を内容とする予算発議、法律の起草又はその他の措置の開始の提案を内容とする措置発議を行う権限を有する。

 

第51条

 政府の提案、国会議員の発議、議会に提出された報告書及びその他の議案であって、この憲法又は議事規則で定めるものは、本会議における最終的な審議の前に、委員会において審査されなければならない。

 

第52条

 本会議における議決は、この憲法に別に定めがない限り、各々の議会における議員総数の5分の3以上の出席、かつ出席議員の過半数の賛同によって決定する。なお、無効票は反対を表明したものと看做す。提案の可決に特別多数が必要である場合を除き、票が同数の場合には、くじによる。投票の手続については、議事規則で詳細を定める。

 

第53条

 否決された法律案及び議事規則案は翌会期を経過するまで再び提出することは出来ない。

 

第54条

 議長は、本会議を招集し、これに議案を上程し、及び討論を指揮し、並びに本会議における議案の審議において憲法が遵守されるように監督する。

 

第55条

 議長は、憲法、その他の法律又は議会が既に行った議決に反すると認める場合を除き、議案の審議及び表決の提案を拒否してはならない。拒否する場合には、議長は、拒否の理由を明らかにしなければならない。議会が議長の措置に不服がある場合には、事案は、憲法委員会に付託され、憲法委員会は、議長が適正に措置したかどうかを遅滞なく判定しなければならない。

 

第56条

 議長は、本会議における討論及び表決に参加しない。

 

第57条

 内閣は、議会に対して国政又は国際関係に関する事項について声明又は報告を提出することができる。

 

第58条

 声明の討論中に内閣又は大臣に対する不信任の表明が提案された場合には、声明の審議の最後に内閣又は大臣の信任について表決が行われる。報告の審議においては、内閣又はその構成員の信任に関する決議をすることができない。

 

第59条

 国会議員は、大臣に対し、その所管事項について質問する権限を有する。質問すること及びその答弁については、議事規則で定める。

 

第60条

 首相又はその指名する大臣は、現下の課題について、議会に対し口頭報告を行うことができる。

 

第61条

 本会議においては、議事規則で詳細を定めるところにより、現下の課題について討論を行うことができる。議会は、この案件について議決しない。これらの審議においては、国会議員は、議会において討論に付されたあらゆる案件及びその審議において自由に発言する権利を有するとした規定を適用しないことができる。

 

第62条

 内閣は、議会に対して、政府の活動及び議会の決議を受けて行った措置に関する報告書並びに国家財政の運営及び予算の遵守に関する報告書を毎年提出しなければならない。

 

第63条

 議会に対しては、その他の報告書が、憲法その他の法律又は議事規則の定めるところにより、提出される。

 

第64条

 議会は、内閣から議案の審議に必要な情報を入手する権限を有する。所管の大臣は、委員会又はその他の議会の機関が必要な文書及びその他の情報であって、公的機関が保有するものを遅滞なく入手することができるように配慮しなければならない。

 

第65条

 委員会は、その所管事項について、内閣又は所管の省庁から報告を入手する権限を有する。委員会は、報告を受けて内閣又は省庁に対して見解を表明することができる。

 

第66条

 国会議員は、秘密の情報及び作成中の国の予算案に関する情報を除き、議員の職の遂行に必要な情報であって、公的機関が保有するものを、当該機関から入手する権限を有する。その他、国際的事項における情報を入手する議会の権限については、この憲法で別に定めるところによる。

 

第67条

 大臣は議会の構成員でない場合においても、本会議の討論に出席し、及び参加する権利を有する。大臣は、議会の委員会の委員になることができない。

 

第68条

 顧問官は、その報告書又はその発議により提出したその他の議案について審議中の本会議の討論に出席し、及び参加することができる。

 

第69条

 会期中に終了しなかった議案の審議は、閉会中に議会選挙が行われた場合を除き、次回の会期に継続される。議会に付議された国際的な議案の審議は、必要な場合には、議会選挙の後の議会期に継続することもできる。

 

第70条

 議会の本会議は、特に重大な事由により両議会が特定の議案について異なる議決をする場合を除き、公開とする。議会は、議事規則で詳細を定めるところにより、議会の議事録を公表する。出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

 

第71条

 委員会の会議は、公開としない。ただし、委員会は、委員会が議案の審査のための情報を収集する限りにおいて会議の公開を決定することができる。委員会の議事録及びこれらに関連するその他の文書は、やむを得ない理由のために、議事規則で異なる定めをしている場合又は委員会が特定の議案について異なる議決をする場合を除き、公開とする。

 

第72条

 委員会の委員は、委員会がやむを得ない理由により議案について特に必要と認める秘密保持を遵守しなければならない。日本国の国際関係に関する議案の審査中は、委員会の委員は、外務委員会又は大委員会が内閣の意見を聴いた上で当該議案の性質上必要と認めた秘密保持を遵守しなければならない。

 

第73条

 議会は、議会の内部運営、議会が実施する選挙及びその他の議会の任務の詳細を整備するために、規則を発することができる。

 

第74条

 議会は、その選挙した機関のために細則を可決することができる。

 

第75条

 議事規則で、会期において遵守すべき手続並びに議会の機関及び議会の任務について詳細な規定を定める。議事規則は、本会議において、法律案の審議手続に従って可決され、法令集において公布される。

 

 

第5章 天皇、皇族及び華族

 

第1条

 天皇は不可侵であり国務上の行為に責任を負わない。

 

第2条

 皇位は皇統に属する男系の男子たる皇族が、これを継承する。

 

第3条

 皇位継承順位第一位の皇族を皇嗣と称する。皇嗣は立皇嗣の礼を以て国の内外に示す。

 

第4条

 皇嗣たる皇子を皇太子と称する。皇太子が不在のときは皇孫を皇嗣とし皇太孫と称する。皇太子、皇太孫が不在のときは皇弟を皇嗣とし皇太弟と称する。

 

第5条

 皇嗣に精神または身体に不治の重患があるとき、若しくは重大な事故があるときは天皇は皇族会議に諮問し継承の順序を換えることが出来る。

 

第6条

 天皇が位を退いたときまたは崩じたときは皇嗣が直ちに即位する。

 

第7条

 天皇は即位礼及び大嘗祭を以て皇位を継承したことを国の内外に示す。即位礼は三権の長その他の代表が参集して法律の定めた場所で行う。

 

第8条

 皇位の承継に関する手続は皇室典範に定める。

 

第9条

 天皇が精神または身体に重患を発し国務に当たり特に重大な支障があるとき、若しくはその任を全うできないと断じ自ら譲位を希望したときは皇族会議及び枢密院に諮問し譲位を行う事が出来る。

 

第10条

 天皇が譲位した時は退位礼を行う。退位礼は三権の長その他の代表が参集して法律の定めた場所で行う。

 

第11条

 退位した天皇を上皇と称する。上皇の地位その他は皇室典範に定める。

 

第12条

 天皇、上皇が崩じたときは大喪礼を行う。

 

第13条

 即位礼及び大嘗祭、立皇嗣の礼、退位礼、大喪礼の費用は国家予算として扱い特別会計に計上する。

 

第14条

 即位礼、退位礼、大喪礼の行われる日は休日とする。

 

第15条

 天皇のすべての国務上の行為は大臣が責任を負う。

 

第16条

 天皇のすべての国務上の文書は大臣の副署によりその効力を生じる。大臣が不在の場合は副大臣の副署によりその効力を生じる。

 

第17条

 天皇は元号を定め発布する。元号は皇位の継承があったときに制定する。

 

第18条

 天皇は華族の家督継承、婚姻の認証を行う。華族の家督継承、婚姻の詳細に関する条規は法律に定める。

 

第19条

 天皇は議会の決議を経た法令を認証し発布する。

 

第20条

 天皇は政府が締結し議会の承認を経た批准書、法律の定めるその他の外交文書を認証し公布する。

 

第21条

 天皇は議会召集の詔書を発布する。

 

第22条

 天皇は議会の開会、延長、停会または衆議院の解散若しくは参議院の通常選挙の施行について其々詔書を発布する。

 

第23条

 天皇は国民投票の結果を受け憲法改正を公布する。

 

第24条

 天皇は議会の指名に基づき首相を任命する。

 

第25条

 天皇は通常裁判所、通常行政裁判所の裁判官を任命する。

 

第26条

 天皇は大審院長官、国務院長官を任命する。

 

第27条

 天皇は大審院、国務院の長の推挙に基づき、大審院、国務院の裁判官を任命する。

 

第28条

 天皇は枢密院の互選に基づき枢密院議長を任命する。

 

第29条

 天皇は内閣における大臣、地方自治体の首長、法律の定めるその他の公務員の任免の認証を行う。

 

第30条

 天皇は全権委任状、信任状、外交文書の認証を行い、大使、公使、領事の接受を行う。

 

第31条

 天皇は国民の篤行を賞し、政府にその賞賜を提議し、栄典を授与することができる。栄典に関する条規は法律に定める。

 

第32条

 天皇は大審院から意見を得た上で内閣に対し恩赦の実施を提議することができる。

 

第33条

 天皇は儀式、宮中祭祀を執行し、国、地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う。

 

第34条

 天皇は外国からの義務を伴わない位階勲章その他の栄典を受け取る権限を有する。

 

第35条

 天皇は外国に対し儀礼的に国家を代表する権限を有する。

 

第36条

 皇室、皇族に関係する事項を扱う為に皇族会議を置く。皇族会議に関する詳細は皇室典範に定める。

 

第37条

 立后は皇族会議及び議会の議決を要する。皇族の婚姻に関する詳細は皇室典範に定める。

 

第38条

 天皇、皇族の配偶者は皇族または勅旨により特に認許された華族に限る。華族には一代華族を含む。

 

第39条

 皇族の婚姻を許可する勅書は宮内大臣がこれに副署をする。

 

第40条

 皇族の養子は皇族から迎えるに限り認める。

 

第41条

 天皇、皇太子、皇太孫の成年は18年とする。その他の皇族の成年は民法の規定に基づく。天皇、皇族の成人に関する手続きは皇室典範に定める。

 

第42条

 天皇が成人に達しないとき、または長期間に亘り政務をとることができないときは皇族会議及び議会の議決を経て摂政を置く。

 

第43条

 摂政は成年に達した皇太子又は皇太孫を任命する。皇太子又は皇太孫が成人していない時は他の男性皇族が摂政の地位に就く。摂政は天皇の名において政務を執る。

 

第44条

 摂政は、その在任中訴追されない。但し訴追の権利は害されない。

 

第45条

 摂政に関する手続は皇室典範に定める。

 

第46条

 皇族に関する裁判についてこの憲法に別段の定めがない時は全て皇室典範、皇室令の規定による。

 

第47条

 皇族間の訴訟を所管するため皇室裁判所を設ける。皇室裁判所の弁論や裁判は非公開とする。

 

第48条

 皇室裁判所の詳細は法律において定める。

 

第49条

 皇族間の民事訴訟、皇族の身分に関する訴訟は一審制の皇室裁判所で取り扱う。その手続については特別の規定を除くほか民事訴訟法を適用する。

 

第50条

 国民と皇族の間の民事訴訟はその手続について特別の規定を除くほか民事訴訟法を適用する。民事訴訟は大審院で秘密会で行われる。但し皇族は代理人を立て自ら裁判に出る必要は無い。

 

第51条

 皇族に係る刑事訴訟については刑法、刑事訴訟法を適用し大審院の専属管轄とする。検事総長は捜査の指揮を行うほか公判に立ち会うこととする。皇族に対する刑の執行手続は司法大臣が勅裁を経てこれを定める。

 

第52条

 皇族に対しては仮執行督促手続、仮差押及び仮処分に関する規定を適用しない。押収、捜査その他の強制処分は皇族については勅許を得、且つ宮内高等官の立会がない場合は行えない。

 

第53条

 皇族は納税の義務を有しない。

 

第54条

 皇族は参政権を有しない。

 

第55条

 皇族は国民生活の模範を示し行いや態度を改めて身を慎まねばならない。

 

第56条

 華族は賜姓皇族と旧堂上家のみとする。皇族は天皇の皇子を一世とし、五世以降姓を賜り華族とする。

 

第57条

 華族は無秩序な拡大を排するため男系の嫡長子世襲とし嫡長子以外の兄弟姉妹、庶子が新たな分家をたてることは許されない。

 

第58条

 定められた年齢に達した嫡長子以外の兄弟姉妹、庶子の地位は一代華族とし世襲は許されない。

 

第59条

 華族の嫡長子は成人に際し宮中席次にて従五位に叙せられる。位階についての詳細は法律で定める。

 

第60条

 華族の爵位継承は天皇の認証によって行われる。

 

第61条

 爵位は終身であり原則として生前に譲ることはできない。やむを得ず生前譲位を行う為の規定は法律で定める。

 

第62条

 一代華族は全て継承権を有しない男爵位保持者である。

 

第63条

 皇族との婚姻を為せる者は皇族、一代華族を除く華族の出身である者、一代華族当主に限られる。

 

第64条

 一代華族を除く華族の婚姻は皇族、華族、一代華族当主、国外の世襲貴族に限られ天皇の認証による。一代華族の婚姻は日本国憲法、それに基づく法律に定められた条規のほか制限を受けない。

 

第65条

 前条に当てはまらない婚姻を成す者は華族籍を喪失する。華族籍にて参議院議員である者は議員たる資格を喪失する。華族籍の喪失に対する手続は法律で定める。

 

第66条

 華族の養子は皇族、華族から迎えるに限り認める。但し華族からの養子は届出があった時点で華族の二世の子、または男性一代華族の一世の子に限られる。

 

第67条

 華族は一代華族も含め皇室の藩屏として品位を保持する義務を負い、国民生活の模範を示し、倫理の師表として行いや態度を改めて身を慎まねばならない。

 

第68条

 憲法に別段の定めがない華族の事項に付いては議会の同意を得た新たな華族法に定める。

 

 

第6章 内閣

 

第1条

 首相及び必要な数のその他の大臣は、内閣を構成する。首相及び大臣は、誠実かつ有能と認められた日本国民で、現役の軍人であってはならない。

 

第2条

 内閣に、必要な数の省庁を置く。各省庁は、その所管分野において内閣に属する案件の策定及び行政の適切な運営について責任を負う。

 

第3条

 省庁の長は、大臣とする。省庁の数の上限及びその設置の一般的な基準については、法律で定める。省庁の所管分野及び省庁間における案件の配分並びに内閣のその他の組織については、法律又は政令で定める。

 

第4条

 内閣に、案件の策定のため、委員会を置くことができる。

 

第5条

 首相は、内閣の活動を指揮し、並びに内閣に属する案件の策定及び審議の調整に配慮する。首相は、閣議において案件の審議を指揮する。

 

第6条

 首相は内閣を代表して議案を議会に提出し、一般国務及び外交関係について報告し、並びに行政各部を監視董督する。

 

第7条

 首相に事故があるときは首相の代理に指定された大臣が、この大臣に事故があるときは最も在職年数の長い大臣が、首相の職責を遂行する。

 

第8条

 首相及び大臣は、その公務について議会に対して責任を負う。内閣において案件の審議に参加した各大臣は、議事録に記録される形で異議を表明した場合を除き、決定について責任を負う。

 

第9条

 議会は、首相を選挙し、天皇は、首相をその職に任命する。その他の大臣は、首相に選挙された者が行う推挙に従い、天皇が任命する。

 

第10条

 首相は大臣を推挙し、解任することができる。また、副大臣を任命、解任することができる。副大臣は、大臣が必要と認める場合において、かつ、大臣の指示を遵守して、大臣職を代行する。副大臣は、これを理由として責任を負うが、大臣の責任を免ずるものではない。

 

第11条

 議会の会派は、首相の選挙前に政府の綱領及び内閣の構成について協議する。これらの協議の結果に基づき、議会の議長の意見を聴いた上で、天皇は、議会に複数名の首相候補者を通知する。議会において実施される投票において投票の過半数が候補者の当選を支持した場合には、候補者は、首相に選挙される。

 

第12条

 候補者が当選に必要な過半数を得なかった場合には、同一の手順で新しい首相候補者が指名される。新しい候補者も投票の過半数を得なかった場合には、議会において記名投票により首相の選挙が行われる。この場合には、最も多く票を得た者を当選人とする。

 

第13条

 衆議院と参議院の投票の結果が異なった時は両院協議会を設ける。両院協議会において首相候補者が統一できなかったときは、長期的視点から判断を行うことを求められる参議院の結果が優先される。

 

第14条

 内閣は、基本権及び人権の実現を保障しなければならない。

 

第15条

 内閣は、就業を促進し労働に対する全ての人の権利の保障に努めなければならない。就業訓練に対する権利については、法律で定める。

 

第16条

 内閣は、法律で詳細を定めるところにより、国民に対し十分な社会保障を行い健康を増進しなければならない。

 

第17条

 内閣は、子供の保護に当たる家族及びその他の者が子供の福祉及び個人の成長を確保できるように支援しなければならない。全ての国民が住居に対する権利を促進し、及び居住の主体的な確保を支援することは日本国政府の責務とする。

 

第18条

 内閣が任命されるとき及びその構成が著しく変更されるときは、議会が開会中でなければならない。

 

第19条

 内閣は、その綱領を、声明の形で議会に遅滞なく提出しなければならない。内閣の構成が著しく変更されるときも、同様とする。

 

第20条

 内閣の構成員は、大臣である間は、公職又はその他の職務であって、大臣の職責を遂行することを妨げ、若しくは内閣の構成員としての活動への信頼を損なうおそれがあるものを遂行してはならない。

 

第21条

 大臣は、その任命後遅滞なく、その営利活動、会社の株式保有及びその他の重要な資産について、並びに大臣の公務外の業務及びその他の利害関係であって、内閣の構成員としての活動を評価するに当たって重要である可能性のあるものについて、議会に報告を提出しなければならない。

 

第22条

 天皇は、内閣又は大臣に対して、申出により免職を承認する。天皇は、また、首相の提案により、大臣の免職を承認することができる。

 

第23条

 天皇は、内閣又は大臣が議会の信任を失った場合には、これらに対し、申出がなくとも免職を承認しなければならない。

 

第24条

 大臣が議会の議長に選挙された場合には、選挙された日にその職責を解かれたものとみなす。

 

第25条

 この憲法に個別に定められた職責並びにその他の政府事項及び行政事項であって、内閣若しくは省庁が決定するものと定められたもの又はその他の公的機関の権限に当てられなかったものは、内閣に帰属する。

 

第26条

 内閣に属する案件は、閣議又は所管の省庁において決定される。閣議においては、広範な案件及び原則的に重要な案件並びにその重要性から閣議における決定が必要とされるその他の案件が決定される。内閣の決定権限を調整する基準については、法律で詳細を定める。

 

第27条

 内閣の審議案件は、所管の省庁において策定されなければならない。

 

第28条

 首相その他の国務大臣は、いつでも議案について発言するため議会に出席することができる。首相その他の国務大臣は、答弁又は説明のため議会から出席を求められたときは、健康上或いは職務の遂行上やむを得ない事情がある場合を除き、出席しなければならない。

 

第29条

 閣議は、首相またはその代理に指名された大臣の他、五人の構成員が出席する時に決定することができる。

 

 

第7章 司法

 

第1条

 裁判官は法学修士である日本国民でなければならない。

 

第2条

 天皇は法律で定める手続に従い法学修士で能力と政治的中立性を基準に裁判官選出委員会の裁判官選出試験に合格した者を通常裁判所、通常行政裁判所の裁判官に任命する。

 

第3条

 通常裁判所は、大審院、控訴院及び下級裁判所と付随する事務局とする。

 

第4条

 通常行政裁判所は、国務院及び下級行政裁判所と付随する事務局とする。

 

第5条

 軍事に関する裁判を行うため、軍人軍属の犯罪は控訴院の特別軍事部門によって審理される。当該部門における裁判は資格を有する軍人の判士1名と文民裁判官2名の合議体によって行われる。判決に不服がある場合は大審院の特別軍事部門に抗告を行える。当該部門における裁判は資格を有する軍人の判士5名と文民裁判官10名の合議体によって行われる。

 

第6条

 この憲法に別段の定めがない特別裁判所、臨時裁判所の設置は、禁止する。

 

第7条

 最上位の司法権は、民事事件、刑事事件、軍事裁判においては大審院が、行政法が適用される事件においては国務院が行使する。

 

第8条

 最上級の裁判所は、その自らの管轄分野で司法を監督する。これらの裁判所は、立法作業の着手について内閣に提案をすることができる。

 

第9条

 最上級の裁判所は、法律で個別に異なる構成人数を定める場合を除き、5人の裁判官によって開廷することができる。その他の裁判所の開廷人数は法律で定める。

 

第10条

 大審院及び国務院に長官及び必要な数のその他の構成員を置く。

 

第11条

 天皇は法律で定める手続に従い大審院長官、国務院長官を任命する。

 

第12条

 天皇は大審院、国務院の長の推挙に基づき、法律で定める手続に従い大審院、国務院の裁判官を任命する。

 

第13条

 裁判官は給与を与えられる職業・任務を兼ねることができない。また議会の議員、内閣の構成員、枢密院の構成員、地方自治体の議員、国または地方自治体の公務員を兼ねることもできない。事務局に属する官吏もまたこれに準じる。

 

第14条

 裁判官は裁判所の判決によらずに失職を宣告されることはない。裁判官は、また、司法部門の再編による場合を除き、その同意なく他の職に異動させられてはならない。事務局に属する公務員もまたこれに準じる。

 

第15条

 裁判官はすべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は在任中減額することができない。その他、裁判官の在職の基準については、法律で個別に定める。事務局に属する官吏もまたこれに準じる。

 

第16条

 定年又は職務遂行能力が失われた場合における裁判官の退職の義務については、法律で定める。

 

第17条

 大審院裁判官及び国務院裁判官が公務に関して違法な行為を行った場合における訴追は、顧問官又は護民官が決定する。

 

第18条

 弾劾裁判所は、公務における違法な処置に関し、内閣の構成員、枢密院の構成員、通常裁判所又は通常行政裁判所の構成員に対して提起される訴追を処理する。

 

第19条

 弾劾裁判所は、大審院長官を裁判長とするほか、国務院長官及び最も在職年数が長い控訴院長官3人並びに4年の任期で議会が選挙した5人の構成員で構成される。

 

第20条

 弾劾裁判所の構成、開廷に必要な構成員数及び活動については、法律で詳細を定める。

 

第21条

 検察は、天皇が法律で定める手続に従い能力と政治的中立性を基準に次長検事、検事長の中から任命する検事総長が最高位の検察官としてこれを指揮する。検察は最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁と付属する事務局で構成される。

 

第22条

 最高検察庁は大審院に、高等検察庁は控訴院に、地方検察庁は各下級裁判所にそれぞれ対応してこれを置く。地方検察庁は、各家庭裁判所にも、それぞれ対応するものとする。検察庁の組織、構成及び権限については法律で定める。

 

 

第23条

 検察官は法学修士で検察官選出試験に合格した日本国民でなければならず、検事総長、次長検事、検事長、検事及び副検事とする。検察官は、何れかの検察庁に属し最高裁判所の規則に従わなければならない。

 

第24条

 検察官は、刑事事件について、公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、且つ、裁判の執行を監督し、又、裁判所の権限に属するその他の事項についても職務上必要と認めるときは、裁判所に、通知を求め、又は意見を述べ、又、公益の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行う。

 

第25条

 検察官は、法律で定められた場合を除いては、その意思に反して、その官を失い、職務を停止され、又は俸給を減額されることはない。但し、懲戒処分による場合は、この限りでない。検察官は、また、検察庁の再編による場合を除き、その同意なく他の職に異動させられてはならない。検察事務局に属する官吏もまたこれに準じる。

 

第26条

 検察官は給与を与えられる職業・任務を兼ねることができない。議会の議員、内閣の構成員、枢密院の構成員、地方自治体の議員、国または地方自治体の公務員を兼ねることもできない。検察事務局に属する官吏もまたこれに準じる。定年又は職務遂行能力が失われた場合における検察官の退職の義務については、法律で定める。

 

第27条

 検察官の在職の基準については、法律で個別に定める。事務局に属する官吏もまたこれに準じる。

 

第28条

 天皇は、個々の事案において、大審院から意見を得た上で、裁判所により科された刑又はその他の刑事制裁の全部又は一部について恩赦を提議することができる。一般恩赦については、法律で定めなければならない。

 

第29条

 裁判所の審理に付されている事件において、法律の規定を適用することが明らかに憲法に反する場合には、裁判所は、憲法の規定を優先しなければならない。

 

第30条

 命令又は法律よりも下位のその他の法令の規定が憲法又はその他の法律に反する場合には、裁判所又はその他の公的機関においてこれを適用してはならない。

 

第31条

 裁判の対審及び判決は、公開法廷で行う。裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行うことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又は国民の権利が問題となっている事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

 

第32条

 公務における違法な処置に関する内閣の構成員に対する訴追は、法律で詳細を定めるところにより、弾劾裁判所において処理される。

 

第33条

 内閣の構成員に対する訴追の提起については、内閣の構成員による処置の違法性に関する憲法委員会の意見を得た上で、議会が議決する。議会は、訴追の議決の前に、内閣の構成員に対し、弁明を行う機会を与えなければならない。当該事案を審査する際には、憲法委員会は全ての委員が出席しなければならない。

 

第34条

 内閣の構成員に対する訴追は、検事総長が実施する。

 

第35条

 内閣の構成員の公務の適法性の調査は、顧問官又は護民官が憲法委員会に対して行う通知、または10人以上の国会議員が署名した申立書、もしくは議会のその他の委員会が憲法委員会に対して行う調査要求のいずれかにより、議会の憲法委員会において開始することができる。

 

第36条

 憲法委員会は、また、自発的に内閣の構成員の公務の適法性の調査に着手することができる。

 

第37条

 内閣の構成員に対する訴追の提起は、その者が故意又は重大な過失により、大臣の職責に属する義務に本質的に違背した場合又はその公務において明らかに違法に行動した場合に、決定することができる。

 

第38条

 顧問官及び護民官の公務の適法性の調査、その公務における違法な処置に関するこれらの者に対する訴追の提起並びにこれらの訴追の処理については、内閣の構成員に関する規定が適用される。

 

 

第8章 公務員

 

第1条

 国の中央行政組織は、内閣及び省のほか庁、施設及びその他の機関により構成することができる。さらに、国は、地域機関及び地方機関を置くことができる。議会の下に置く行政組織については、法律で個別に定める。

 

第2条

 国の行政機関の一般的な基準は、それらの業務が公権力の行使に該当する場合には、法律で定めなければならない。国の地域行政機関及び地方行政機関の基準についても、同様に法律で定める。その他の場合においては、国の行政単位については、命令で定めることができる。

 

第3条

 内閣は、省又はその他の公的機関の職責と規定されていない国家職への任命を行う。

 

第4条

 公行政の任務は、任務の適切な遂行のために必要であり、かつ、基本的人権、法による保護又はその他の良好な運営の要請を損なわない場合において、法律に基づいてのみ、公的機関以外の者に付与することができる。ただし、公権力の重要な行使を含む任務は、公的機関のみに付与することができる。

 

第5条

 公務員の法的地位について法律で定める。法律は、さらに、公務員の労働の際の保護及び共同決定に関する規則を定める。

 

第6条

 公務員は、その公務の適法性について責任を負う。公務員は、また、合議制の機関の決定であって、当人が当該機関の構成員として支持したものについて責任を負う。

 

第7条

 公務の提案者は、その提案に基づき決定されたことについて責任を負うが、その者が当該決定に異議をとどめた場合は、この限りでない。

 

第8条

 公務員又は公的業務を遂行するその他の個人の違法な作為又は不作為により、権利侵害又は損害を被った全ての者は、法律で定めるところにより、当該公務員等を刑に処すること及び公法人又は公務員若しくは公的業務を遂行するその他の者からの損害賠償を要求する権利を有する。ただし、この項に規定する訴追権は、訴追が憲法に基づき弾劾裁判所において処理される場合には、認められない。

 

第9条

 特定の公職又は公的任務には、日本国民のみが任命されることができる旨を法律で定めることができる。公職の一般的な任命基準は、技能、能力及び証明された国民としての適性とする。

 

第10条

 公務員は政党その他の政治的団体の結成に関与し、これらの団体の役員となってはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。

 

第11条

 公務員は国民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は行政機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。

 

第12条

 公務員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

 

第13条

 軍務従事者、治安職員、消防職員は、自らの勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはならない。

 

第14条

 全ての公務員は、公共の奉仕者であって一部の利益授受者の為の奉仕者ではないことを自覚し、良く身を修め、品性を高く保ち、公共の奉仕者として相応しい人格を身につけなければならない。

 

 

第9章 枢密院

 

第1条

 枢密院は顧問官及び護民官により構成される。

 

第2条

 枢密院を代表する者を枢密院議長とし、顧問官及び護民官の互選により選出される。天皇は選出された者を枢密院議長に任命する。

 

第3条

 議会は、4年の任期で、首席護民官及び2人の護民官を選挙する。選挙された者を天皇は護民官に任命する。

 

第4条

 護民官は日本国籍を有する人格知見ともに優れた法律専門家でなければならない。護民官は、法律で詳細を定めるところにより、代理人を有することができる。護民官の代理人については、護民官に関する規定を準用する。

 

第5条

 議会は、特に重大な理由により、当該案件について憲法委員会の意見を得て、投票の3分の2以上をもって支持された議決により、護民官を任期の途中で解職することができる。

 

第6条

 内閣に4年の任期で首席顧問官及び2人の顧問官を附置する。

 

第7条

 顧問官は日本国籍を有する人格知見ともに優れ高い学識経験を有する者から参議院が候補者を指名する。天皇は候補者より顧問官を任命し、首席顧問官に事故があるときにその職責を遂行する代理人を4年の任期で任命する。

 

第8条

 内閣の公務の適法性を監督することは、顧問官の職責とする。また、顧問官は、裁判所及びその他の公的機関並びに公務員、公法人の職員及び公的業務を遂行するその他の者が法律を遵守し、及びその義務を履行することを監督しなければならない。顧問官は、その職責の遂行に当たって、基本権及び人権の実現を監督する。

 

第9条

 顧問官は、求めに応じ、天皇、内閣及び大臣に対して、憲法及び法律の問題に関する情報及び意見を提供しなければならない。

 

第10条

 枢密院は、毎年、その公務及び活動、司法の状況及び立法に見られる欠陥、法律の遵守に関する所見について、議会及び内閣に報告書を提出する。

 

第11条

 護民官は、裁判所及びその他の公的機関並びに公務員、公法人の職員及び公的業務を遂行するその他の者が法律を遵守し、及びその義務を履行することを監督しなければならない。護民官は、その職責の遂行に当たって、基本権及び人権の実現を監督する。

 

第12条

 公務における違法な処置に関する裁判官に対する訴追の提起については、枢密院が決定する。枢密院は、その合法性の監督に属するその他の事案においても、訴追を実施し、又は訴追の提起を命ずることができる。

 

第13条

 顧問官と護民官の間の職責の分担について、法律で定めることができるが、合法性の監督に関するいずれの権能も狭めてはならない。

 

第14条

 顧問官及び護民官は、公的機関及び公的業務を遂行するその他の者から、合法性の監督のために必要な情報を入手する権限を有する。

 

第15条

 枢密院議長及び首席顧問官は、閣議の案件の説明に出席しなければならない。首席護民官は、これらの会議及び説明に出席する権限を有する。

 

第16条

 首席顧問官は、内閣若しくは大臣又は天皇の決定又は措置の合法性について指摘の必要を認めるときは、理由を付して指摘をしなければならない。当該指摘が顧慮されることなく放置された場合には、首席顧問官は、その意見を内閣の議事録に記録させなければならず、また、必要なときは、その他の措置を講じなければならない。護民官も、また、指摘を行い、及びその他の措置を講ずる同様の権限を有する。

 

第17条

 顧問官及び護民官はすべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は在任中減額することができない。

 

 

第10章 立法

 

第1条

 法律の制定は、政府の提案又は国会議員の法律の発議により議会において開始され、国会議員の法律の発議は、議会の開会中に行うことができる。

 

第2条

 政府の提案は、新たな補足提案の提出によって補足され、又は撤回されることができる。補足提案は、議案を審査する委員会がその報告書を提出した後には、提出することができない。

 

第3条

 法律案は、当該議案を審査した委員会がその報告書を提出した後、議会の本会議において2回の審議に付される。

 

第4条

 法律案の第1回の審議では、委員会の報告書が上程され、それについて討論が行われ、法律案の内容について議決される。第1回の審議の終了後3日目以降に行われる第2回の審議においては、法律案の可否について議決される。

 

第5条

 法律案は、第1回の審議の間、大委員会の審査に付することができる。

 

第6条

 法律案の審議については、議事規則で詳細を定める。

 

第7条

 法律案及び予算案を含む財政法案は衆議院にて先決される。国民の生計に結びつく財政法案は国民の公選により成立する衆議院で先決することが相応しい。

 

第8条

 参議院は衆議院において削減された予算案の復活を決議することはできない。

 

第9条

 参議院は衆議院が採決した法律案を審議し付帯事項を付けて差し戻すことができる。

 

第10条

 衆議院において可決され参議院にて差し戻され、再審査された後に総議員の五分の三以上の出席且つ出席議員の三分の二以上の賛同によって再び可決された法律案は、天皇の認証を受ける。なお、無効票は反対を表明したものと看做す。

 

第11条

 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を差し戻したものとみなすことができる。この規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議会の協議会を開くことを求めることを妨げない。

 

第12条

 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議会で可決し、天皇が認証し、公布したとき法律となる。

 

第13条

 法律が憲法所定の手続で制定された場合には、法律にその旨を明記しなければならない。

 

第14条

 議会が可決した法律は天皇に提出される。天皇は、法律についての意見書を大審院並びに枢密院から得ることができる。

 

第15条

 認証された法律は、天皇によって署名され、かつ、所管の大臣又は副大臣によって副署されなければならない。

 

第16条

 天皇は施行される法律について異議がある場合はその旨を付帯することができるが署名を拒んではならない。

 

第17条

 内閣は、天皇の署名後、遅滞なく法令集において法律を公布しなければならない。

 

第18条

 法律は、施行期日を明らかにしなければならない。特別な理由により、施行期日については命令で定める旨を法律に定めることができる。法律は、定められた施行期日までに公布されない場合には、公布日に施行される。

 

第19条

 内閣及び省庁は、この憲法又はその他の法律で定める権限に基づき命令を発することができる。ただし、個人の権利及び義務の原理その他憲法に基づき法律事項とされる事項については、法律で定めなければならない。命令の発令者が個別に定められていない場合には、命令は、内閣が発する。

 

第20条

 規律の対象に関連する特別の理由がある特定の事項及び規律の実際の重要性に照らし、法律又は命令で規定することを要しない特定の事項について、規則を制定することを法律で他の公的機関に委任することができる。この委任の適用範囲は、明確に限定しなければならない。

 

第21条

 命令及びその他の規則の公布及び施行に関する通則については、法律で定める。

 

第22条

 国民投票の実施については法律で定め、当該法律には、投票期日及び投票者に提示される選択肢が規定されなければならない。

 

第23条

 国民投票において遵守すべき手続については、法律で定める。

 

 

第11章 特別法に関する諸規則

 

第1条

 国は公共の安全を保持し、その災厄を避けるため緊急の必要があり、且つ衆議院が解散中の場合は、国内外の安全の維持のため、法律により指定される非常事態を参議院の緊急集会で宣言することができる。法律は非常事態の宣言の場合について定め、効果について定める。

 

第2条

 緊急集会において議員は、参集に支障をきたす心身の負傷疾病を除き参集の義務を負う。参議院が改選中であった場合、改選中の議員も参集の義務を負う。

 

第3条

 参議院の緊急集会は召集の日から10日を超えて開会されてはならず、会期の延長は認められない。

 

第4条

 緊急集会において採られた措置は、即時施行の緊急法令としての効力を有し、責任は参議院が負うものとする。

 

第5条

 緊急集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の会期開会の後十日以内に、衆議院は緊急集会において採られた措置に対し十日以内に衆議院として採決を行わなければならない。衆議院の同意がない場合には、政府は将来その効力が失われることを遅滞なく公布しなければならない。

 

第6条  

 緊急集会において採られた措置により法律または他の命令を改正又は廃止したときは前条の失効公布の時よりその法律又は命令はその効力を回復する。

 

第7条

 非常事態の宣言に伴い、地方自治体の権限は制限される。また、個人の信仰と生活信条の表明の権利、表現の自由、結社の権利、集会及び示威行動の権利、住居の不可侵、信書及び電話・電信による通信の秘密、司法権による刑事裁判及び自由刑について規定する基本権から逸脱することができる。基本権について、法律又は法律において特別な理由について定められ且つ適用範囲を厳格に限定された授権に基づいて発せられた政令で、一時的な例外を定めることができ、この例外は、日本国に対する武力攻撃時及び国民を深刻に脅かすその他の非常事態であって、法律で定めるものの際に不可欠なものとする。ただし、一時的な例外の基準は、法律で定めなければならない。一時的な例外に関する政令は、遅滞なく憲法委員会の審議に付されなければならない。議会は、政令の効力について決定することができる。

 

第8条

 非常事態の宣言後、当該宣言が廃止されるまでの間、議会は必要であると判断する都度、当該宣言の更新について決定し、議会は両院合同会議においてこれについて審議及び議決する。

 

 

第12章 外交

 

第1条

 日本の外交政策は、内閣が指揮する。ただし、議会は、この憲法に定める限りにおいて、国際義務及びその破棄を承認し、並びに国際義務の施行について決定する。

 

第2条

 外交政策的に重要な見解の外国及び国際組織への通知については、国際関係を所管する大臣が責任を負う。

 

第3条

 国際義務又はその破棄の承認は、投票の過半数で可決される。ただし、義務の承認についての提案が、憲法に関わる場合若しくは国の領域の変更に関わる場合、国際組織若しくは国際機関に対する権限の移譲であって、日本の主権の観点から重要なものに関わる場合には、投票の3 分の2 以上をもって支持された議決により可決されなければならない。

 

第4条

 国際義務は、憲法の民主主義の原理を損なってはならない。

 

第5条

 条約その他の国際義務の規律であって、立法の領域に属するものは、法律により施行される。その他の国際義務は、命令により施行される。

 

第6条

 国際義務の施行に関する法律案は、通常の法律の制定手続により審議される。ただし、提案が、憲法に関わる場合若しくは国の領域の変更に関わる場合、国際組織若しくは国際機関に対する権限の移譲であって、日本の主権の観点から重要なものに関わる場合には、議会は、未決とすることなく、投票の3 分の2 以上をもって支持された議決により、これを可決しなければならない。

 

第7条

 国際義務の施行に関する法律において、その施行について命令で定める旨を規定することができる。条約その他の国際義務の公布に関する通則については、法律で定める。

 

第8条

 議会の外務委員会は、その要求により、又は必要がある場合においても、内閣から外交政策及び安全保障政策に関する事項について報告を入手しなければならない。議長評議会は、報告を本会議における討論に付することを決定することができるが、その際、議会は、当該案件について議決をしない。

 

第9条

 議会の所管の委員会は、前項の報告又は情報を受けて内閣に意見書を提出することができる。

 

 

第13章 安全保障に関する諸規則

 

第1条

 日本国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。

 

第2条

 日本国は、国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない。

 

第3条

 日本国は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、他国民の自由に対する攻撃の手段としての戦争及び国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄する。諸国民の平和的な共同生活を妨げ、とりわけ侵略戦争の遂行を準備するのに手助けとなり、かつそのような意図をもってなされる行為は、憲法違反である。

 

第4条

 日本国は、自らの平和と独立を守り、その安全を保つため、自衛のための軍隊を持つことができる。

 

第5条

 日本国は、国家間の平和と正義を保障する体制に必要ならば他の国々と同等の条件の下で軍隊の制限に同意する。

 

第6条

 日本国は、国家間の平和と正義を保障する目的を持つ国際組織を支援する。

 

第7条

 日本国の軍は、日本国の防衛及び利益の保護並びに国際的な法秩序の維持及び促進のために存在する。

 

第8条

 日本国の軍は、政治的問題における中立性を保持し統制に服する。

 

第9条

 日本国の軍は首相が軍隊を統帥する。首相は軍務を主管する国務大臣に軍の指揮権を委任することができる。

 

第10条

 軍務を主管する大臣には不名誉除隊者を除く佐官以上の退役武官が就任する。但しその席が空白の場合は大臣の罷免権を持つ首相が兼任する。

 

第11条

 軍の編成と予算は議会が定めた法律に基づき内閣が定める。

 

第12条

 国が戦争状態又は戦争の危険に陥った場合には、政府又は議長評議会は、集会するために議会を招集しなければならない。招集を行った者は、議会が所在地以外の場所で集会すべきことを決定することができる。

 

第13条

 議会又は政府は、被占領地域において決定を行ってはならない。また、当該地域においては、議員又は大臣としての資格において有する権限は行使してはならない。各公的機関は、被占領地域において、防衛の努力及び抵抗運動並びに市民の保護及びその他日本国の利益一般に資する最善の策を講じるように行動する。いかなる場合においても、公的機関は、国際法に反して、占領権力を援助するよう国の市民に対して義務を課す決定を行い、又は措置を講じてはならない。議決を行うためのあらゆる選挙は、被占領地域で実施されてはならない。

 

第14条

 国に対する武力による攻撃の際を除き、国が戦争状態にあるという宣言は、議会の承認なしに政府が行ってはならない。

 

第15条

 休戦に関する条約の遅延が国に対する危機をもたらす場合には、政府は、議会の承認を得ることなしに、かつ、外交評議会と協議することなしに、当該条約を締結することができる。

 

 

第14章 会計

 

第1条

 議会は法律で会計年度を定める。

 

第2条

 国税については、納税義務及び納税額の基準並びに納税義務者の法による保護に関する規定を含め、法律で定める。

 

第3条

 国の機関の公務その他の業務の手数料負担及び手数料額の一般的な基準については、法律で定める。

 

第4条

 現行の租税は、更に法律をもってこれを改めない限りは、旧来通りに徴収する。

 

第5条

 通貨並びに度量衡の制度は国家の専決事項である。制度の詳細については法律で定める。

 

第6条

 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

 

第7条

 国の借入れは、新たな借入れ又は国の債務の上限額を示した議会の同意に基づかなければならない。国の保証は、議会の同意に基づき与えることができる。

 

第8条

 議会は、1会計年度につき1回、国の予算を議決し、国の予算は官報において公示される。

 

第9条

 国の予算の政府の提案及びこれに関連するその他の政府の提案は、会計年度の開始前の適切な時期に議会の審議に付される。予算案の補足及び撤回については、予算案を審査する委員会がその報告書を提出した後には、補足及び撤回することができない。

 

第10条

 国会議員は、予算案を受けて、予算発議により、国の予算に組み入れる経費又はその他の決定の提案をすることができる。

 

第11条

 国の予算は、議会の財務委員会がその報告書を提出した後、本会議における1回の審議において承認される。議会における予算案の審議については、議事規則で詳細を定める。

 

第12条

 国の予算の公示が会計年度を越えて遅れる場合には、議会が定める方法により、政府の予算案が予算として暫定的に遵守される。

 

第13条

 国の予算には、歳入の見積及び歳出に充てる経費並びに経費の使途及びその他の予算の根拠が組み入れられる。相互に直接関連する収入及び支出について、それらの差額に相当する収入見積又は経費を予算に計上することができる旨を法律で定めることができる。

 

第14条

 予算に計上される収入見積は、予算に計上される経費を満たさなければならない。経費の充当に際しては、法律で定めるところにより、国の決算における余剰又は不足を考慮することができる。

 

第15条

 相互に関連する収入及び支出に対応する収入見積及び経費は、法律で定めるところにより、複数の会計年度の予算に計上することができる。

 

第16条

 国の企業の業務及び財務の一般的な基準については、法律で定める。国の企業に関する収入見積及び経費は、法律で定める範囲内でのみ計上される。議会は、予算の審議に関連して、国の企業の主要な事業目標及びその他の業務目標を承認する。

 

第17条

 経費は、確定経費、概算経費又は繰越経費として国の予算に計上される。法律で定めるところにより、概算経費は、超過することができ、また、繰越経費は、会計年度の後で使用するために繰り越すことができる。法律で認められている場合を除き、確定経費及び繰越経費は、超過することができず、確定経費は、繰り越すことができない。

 

第18条

 経費は、予算において認められている場合を除き、別の予算項目に移してはならない。ただし、使途が密接に関連する項目に経費を移すことは、法律で認めることができる。

 

第19条

 翌会計年度以降の予算に必要な経費が計上される支出を会計年度の間に約束する権限は、金額及び使途を限定して、予算において付与されることができる。

 

第20条

 予算を変更することに正当な必要がある場合には、政府の補正予算案が議会に提出される。

 

第21条

 国会議員は、補正予算案に直接関連する予算の修正のために予算発議を行うことができる。但し予算の先決権は衆議院が有する。

 

第22条

 国の継続的な任務の遂行に当然に必要とされる場合には、国の基金を予算外に置くことについて法律で定めることができる。予算外の基金の設置又は当該基金若しくはその使途の本質的な拡張を目的とする法律案の可決には、議会において投票の3分の2以上の多数を必要とする。

 

第23条

 何人も、法的にその者に帰属するものを、予算に関わりなく、国から受け取る権利を有する。

 

第24条

 国の職員の勤務条件に関する協約に議会の同意が必要な場合には、議会の所管の委員会が、議会を代表して、これを承認する。

 

第25条

 議会は、国の財政運営及び国の予算の遵守を監督する。このため、議会に監査委員会を置き、同委員会は、その重要な監督所見を議会に報告しなければならない。

 

第26条

 国の財政運営及び国の予算の遵守の監査のために、独立した会計検査院を議会に附置する。検査院の組織、構成、地位及び職責については、法律で詳細を定める。

 

第27条

 監査委員会及び会計検査院は、公的機関及びその監督の対象とされるその他のものから職責の遂行に必要な情報を入手する権限を有する。

 

第28条

 会計検査院は財政運営及び国の予算の遵守の監査に責任を有する。

 

第29条

 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査する。内閣は年度の中間期と次の年度にその検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

 

第30条

 会計検査院の構成員は、自ら願い出ることにより、及び法律で定める年齢に達したことを理由として、解任される。

 

第31条

 法律で指定された場合には、大審院は、会計検査院の構成員を停職し、又は解任することができる。

 

第32条

 日本における中央銀行たる日本銀行は、法律で定めるところにより、議会の保証及び管理の下で活動する。議会は、日本銀行の活動を監督するために銀行評議員を選挙する。

 

第33条

 議会の所管の委員会及び銀行評議員は、日本銀行の監督に必要な情報を入手する権限を有する。

 

第34条

 国が支配権を有する会社において国が株主権を行使する際の権限及び手続については、法律で定める。同様に、国が会社における支配権を取得し、又は放棄することに議会の同意が必要とされる場合についても、法律で定める。

 

第35条

 国の不動産は、議会の同意によってのみ、又は法律で定めるところによってのみ譲渡することができる。

 

 

第15章 文化及び国土保全に関する諸規定

 

第1条

 自然及びその多様性、環境並びに文化遺産に対する責任は、何人にも帰属する。

 

第2条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、日本国古来から受け継ぐ文化及び遺産を保護しその価値を守り高める義務を負う。国、地方自治体を問わず公的機関は、国民が文化及び遺産に誇りを持てるよう努めなくてはならない。

 

第3条

 慣習及び伝統は日本国憲法及びそれに基づいた法律に反しない限り尊重されなければならない。

 

第4条

 何人も環境状態を配慮する義務があり、自らの責任で招いた環境の悪化に対し責任を負う義務がある。この責任の原則は、法律で定める。

 

第5条

 議会並びに政府は、国土の居住適性並びに生活環境の保護及び改善に努めなければならない。この目的を達成する為、適切な法令を制定し施行しなければならない。

 

第6条

 地方自治体は、法令に基づき、自治体の居住適性並びに生活環境の保護及び改善に努めなければならない。

 

第7条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、国民の健康の増進のための措置を講じなければならない。

 

第8条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、十分な居住機会の促進に配慮しなければならない。

 

第9条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、社会的、文化的な発展、余暇活動のための条件を創出しなければならない。国民が社会的活動に参加し、本人に関する決定に影響を及ぼす機会を促進することは、公権力の責務とする。

 

第10条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、何人に対しても、健康な環境に対する権利及び自らの生活環境に関する決定に影響力を及ぼす機会を保障するように努めなければならない。

 

第11条

 議会並びに政府は、国土保全並びに都市計画について法律を制定し、無秩序な開発を抑制しなければならない。

 

第12条

 地方自治体は、法律に基づき都市計画を作成し施行しなければならない。

 

第13条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、施策を総合的かつ計画的に推進し、農林畜産業及び水産業が持続可能な市場志向の生産により、合理的な価格で安定的に住民へ供給される保障、農林畜産業及び水産業従事者の生活の安定向上及び国民経済の健全な発展と環境との調和に配慮しつつ、資源の適切な保存及び管理が行われるとともに動植物の増殖及び養殖が推進されなければならない。

 

第14条

 国、地方自治体を問わず公的機関は自然的な生活基盤の維持及び風景の保存、国土における人口分散に本質的に寄与するように配慮する。

 

第15条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、農林畜産業及び水産業が多機能的な任務を果たすように措置を講じなければならない。

 

第16条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、生態学的な要求を満たしていることの証明を条件として、提供された給付に見合う報酬を支払い農林畜産業及び水産業従事者の収入を補完しなければならない。

 

第17条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、経済的な利益をもたらす刺激策により、特に自然に調和し、環境及び動物に配慮した生産形態を促進するように努めなければならない。

 

第18条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、生産地、品質、生産方法及び加工方式の明示について法令を制定し、地域の伝統に基づいた産物を保護し、又はこれを用いた名産品又は特産品を保護するように努めなければならない。

 

第19条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、農林畜産及び水産産物の供給及び利用の確保に対し法令を定めなければならない。

 

第20条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、農林畜産業及び水産業に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。農林畜産業及び水産業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本計画を策定し、及び実施する責務を有する。

 

第21条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、肥料や薬品の濫用による侵害から国土と住民を保護する法令を定めなければならない。 

 

第22条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、農林畜産業及び水産業に関する研究、相談及び教育を促進し投資を支援するよう努めなければならない。

 

第23条

 国、地方自治体を問わず公的機関は、定住の促進等による山農漁村の振興が図られるよう配慮し、多様性と収益性を両立させなければならない。

 

第24条

 議会並びに政府は、使途を特定した農林畜産業及び水産業分野の資金及び一般財源を用いることができる。

 

第25条

 消費者は、産業に関する理解を深め、農林畜産業及び水産業に関する消費生活の向上に積極的な役割を果たすものとする。

 

 

第16章 地方自治に関する諸規則

 

第1条

 地方自治体は法律で廃止、合併及び新設することができる。但し、廃止、合併及び新設の権限は日本国政府に有り、その地方自治体の住民の投票においてその有権者総数の二分の一以上の同意を得なければならない。

 

第2条

 地方自治体の境界の変更については法律で定める。 

 

第3条

 地方自治体について、その内部事項に関する規則の制定及び執行の権限は、その行政機関に委ねられる。

 

第4条

 地方自治体に対し、法律により又は法律に基づき、行政機関の規則の制定及び執行を要求することができる。

 

第5条

 地方自治体の首長は、国会の奏上に基づき天皇が任命する。

 

第6条

 地方自治体の首長は自治体の行政機関の一部をなす。

 

第8条

 地方自治体の首長が政府により発せられる職務上の指示の執行に責任を有することを、法律で定めることができる。

 

第9条

 地方自治体の最高機関は議会とする。その会議は、法律で定める例外を除き、公開とする。

 

第10条

 地方自治体議会は、憲法又は法令が定める例外を除き、地方自治体の条例を定めることができる。

 

第11条

 地方自治体が内部事項に関する規則の制定及び執行の権限を他の機関に対し付与することは、合併及び新設の場合を除き、地方自治体議会によってのみ行うことができる。

 

第12条

 地方自治体議会の議員は、その地方自治体議会の住民である国民であって、法律で定められた選挙に適用される要件を満たすものにより、直接選挙される。議員の資格についても、同一の要件が適用される。

 

第13条

 地方自治体議会の議員は、法律により定める範囲内において、単一の選挙区で二つ以上の候補を選択する制度に基づいて選挙される。

 

第14条

 地方自治体議会の議員選挙は、普通、平等、直接、秘密投票により行われる。投票者はその選択に関し公的にも私的にも責任を問われない。

 

第15条

 地方自治体議会の議員選挙は、選挙区で有権者数の四分の一以上の無効投票があるときは選挙結果は無効となりその選挙区では再度の選挙を行わねばならない。再選挙については法律でこれを定める。

 

第16条

 地方自治体議会の議員選挙及び選挙権に関するその他の全ての事項については、憲法に別段の定めがない限り法律で定める。

 

第17条

 地方自治体の議会の議員の妊娠及び出産並びに病気を理由とする一時的な代理については法律で定める。

 

第18条

 地方自治体議会の任期は、法律で定める例外を除き、四年とする。

 

第19条

 地方自治体議会議員と地方自治体の公務員は、内閣の構成員、枢密院の構成員、国会議員、通常裁判所又は通常行政裁判所の構成員、国家公務員になることができない。

 

第20条

 この憲法に定めがない地方自治体議会議員資格と同時に遂行することができない職の種類については法律で定める。法律は、親族関係又は婚姻から議員資格への障害が生ずること及び法律で指定された行為を行うことにより議員資格を喪失し得ることを定めることができる。

 

第21条

 地方自治体議会議員は、何人からも指示を受けることなく投票する。

 

第22条

 地方自治体の組織並びにその運営機関の構成及び権限について憲法に別段の定めがないものは法律で定める。

 

第23条

 地方自治体の運営機関により課することができる租税の種類並びに地方自治体と国の財政関係については法律で定める。

 

第24条

 地方自治体が法律により又は法律に基づき要求された規則の制定及び執行を行わない場合の措置については法律で定める。地方自治体の運営機関がその職務を著しく怠っている場合には、法律で措置を講ずることができる。

 

 

第17章 雑則

 

第1条

 法律は、個別法において特定の事項について定める権限を除き、民法、刑法、民事訴訟法及び刑事訴訟法、商法、その他必要な事項に付いて定める。

 

第2条

 法律は、行政法の一般的な規則を定める。

 

第3条

 日本国憲法及びそれに基づく法令や条約の公布、文書、官記、爵記、位記、勲記の形式については法律で定める。

 

第4条

 職業及び産業に関する公的団体及びその他の公的団体は、法律により又は法律に基づき設立し、又は廃止することができる。

 

第5条

 法律は、二以上の公的団体が関係する問題について措置するための規則を定める。その際には、新たな公的団体の設立の措置を講ずることができる。新たな公的団体は法律により又は法律に基づき設立し、又は廃止することができ、運営機関に対して規則制定権を付与することができる。

 

第6条

 法律は、当該団体の任務及び組織、その運営機関の構成及び権限並びにその会議の公開について定める。法律により又は法律に基づき、その運営機関に対して規則制定権を付与することができる。

 

第7条

 法律は、当該運営機関の監督について定める。当該運営機関の決定の破棄は、違法であること又は一般の利益に反することを理由としてのみ行うことができる。

 

第8条

 公的団体間の紛争は、当該紛争が司法権の審査に服する場合又はその解決が法律で他に委ねられている場合を除き、国会の議決により解決される。

 

第9条

 栄典は、国家・公共に対し功労のある人を幅広く対象とする。叙勲は、人を評価するものではなく国家・公共に対する功績の大きさを評価するものである。叙位は、国家・公共に対して功績があった者に「位」を授与する。「位」は、宮中の席次を決定する。勲章は、法律で制定される。

 

 

第18章 最高法規

 

第1条

 この憲法は、日本国の最高法規であり、日本国に居住する全ての民はこれを遵守しなければならない。

 

第2条

 天皇は即位に際し、この憲法に対する忠誠及びその職務の誠実な執行を宣誓し誓約する。誓約に関する手続は、皇室典範に定める。

 

第3条

 一代華族を含む華族の当主は家督を継承するに際し、この憲法に対する忠誠を宣誓し誓約する。誓約に関する手続は、華族法に定める。

 

第4条

 内閣の構成員、国及び地方自治体議会の議員、枢密院の構成員、通常裁判所又は通常行政裁判所の構成員、国及び地方自治体その他すべての公務員がその職に就いたときは、就任に際して、憲法に対する忠誠及びその職務の誠実な執行を宣誓し誓約する。法律は、より詳細な規則を定める。

 

第5条

 この憲法は、国の最高法規であって、現行の法令はこの憲法に矛盾しない限り、法律、規則、命令又は何らの名称を用いているに関わらず、すべて遵守すべき効力を有する。日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

 

 

第19章 憲法改正に関する諸規定

 

第1条

 憲法は、両議会の何れかが選挙などにより機能を停止している間、これを審議し採決する事は出来ない。

 

第2条

 領土の一体性が侵害されているときは、いかなる改正手続も、着手され、あるいは継続されることはできない。

 

第3条

 この憲法に定められている手続きに依らずに、いかなる手段を持っても憲法の条規を変更する事は出来ない。変更された条規は効力を有しない。

 

第4条

 憲法改正の法案については、内閣の発議、衆議院の総議員の5分の3以上の議員の賛同又は参議院の総議員の5分の3以上の賛同により衆議院の憲法委員会並びに大委員会に提出できる。なお、無効票は反対を表明したものと看做す。

 

第5条

 憲法改正は、衆議院の憲法委員会並びに大委員会の審査及び決議を経た後に、衆議院本会議の可決と、衆議院の可決後60日以内に参議院の憲法委員会並びに大委員会の審査及び決議を経た後に、参議院本会議により同じ文言で決議された法律により行われ、憲法改正の詔勅の発布後、国民投票に掛けられる。

 

第6条

 憲法改正に関する法律について衆議院は総議員の5分の4以上の出席の下で7分の6以上の賛同により決議する。衆議院において否決された法案は廃案となる。なお、無効票は反対を表明したものと看做す。

 

第7条

 憲法改正に関する法律について参議院は総議員の5分の4以上の出席の下で7分の6以上の賛同により決議する。参議院において否決された法案は廃案となる。なお、無効票は反対を表明したものと看做す。

 

第8条

 憲法改正に関する法律については参議院の議決後、天皇の認証の後に憲法改正の詔勅を発布し、選挙権を有する国民による投票を行う。

 

第9条

 憲法改正に関する法律が国民投票の結果、7分の6以上の賛成を得た場合、憲法改正に関する法律は承認されたとみなし、天皇は直ちに憲法が改正されたことを公布する。なお、無効票は反対を表明したものと看做す。

 

第10条

 憲法改正に関する法律が国民投票の結果否決された場合、衆議院は即時解散し新たな議員の選出を行う。

 

第11条

 憲法改正に関する法律が国民投票の結果否決された場合、参議院は直近の改選にて選出された議員を除く議員を即時改選し新たな議員の選出を行う。なお、直近の改選に補欠選挙は含まない。

 

第12条

 前条の規定により新たに選出された衆議院議員は、憲法改正に関する法律について同一の内容で決議を行ってはならない。

  

 

第20章 経過規定

 

第1条

 皇室令と附属法令を廃し新たに国会の議決した皇室法を定める。

 

第2条

 旧華族令の廃止と国会の議決した新たな華族法の施行に伴い既存の華族で新たな法律上の華族に該当しない家は華族の地位を失う。但し、憲法発効の際現に華族の地位にある者については、その地位はその生存中に限り一代華族としてこれを認める。将来、旧華族の地位にあったことにより、いかなる政治的権力も有しない

 

第3条

 憲法が発効する以前に選出もしくは任命された公権力機関及びその構成に入る者の憲法上の任期は、憲法発効の日に効力のある規則に定められた期間の終了と共に終了する。

 

第4条

 憲法発効日の前に選出された貴族院議員で法律で定められた年齢未満の貴族院議員は、選出された任期の終了まで参議院議員の地位を維持する。

 

第5条

 参議院議員の第一期の議員の半数に当たる者を三年で改選する。改選の方法は法律に定める。

 

第6条

 衆議院議員もしくは参議院議員の地位とその他の兼職の禁止が該当する職務の兼職は、憲法発効の日より1ヶ月後に議員の地位を喪失をもたらす。但し、衆議院議員もしくは参議院議員がその職務を従前に辞職もしくは離職すればこの限りではない。

 

第7条

 この憲法は、公布の日から六箇月後に発効する。

 

 

 

 

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