設定入れすぎると書くのに疲れる。
今日は何話か更新するつもりです。
「なんなんですかあれは?」
ヘルメスの横に控えていたアスフィはアリスが行った、空を斬った斬撃に目を驚かせる。
「あれは、祝福だよ」
「祝福ですか?」
そんなアスフィにヘルメスは帽子を抑えながら答える。
「遥か昔の古代、世界は滅亡へと向かっていた。そんな世界を救済せんと、神々は下界に様々な手を施した。とある神は精霊を下界に使し、とある神は原初の火を落とし、とある神は束縛の鎖を投げ入れ、とある神は誓約の剣を授けた。そして、とある女神は下界の戦士に祝福を与えた。それが子孫に秘術として引き継がれてきた」
「発動時間に比例してステータスの超向上。似たようなスキルは存在するがあれはそれとは比べものにならない代物や」
ロキは目の前の光景に目を見開き驚いているラウルに説明する。誰もが勝利を確信している中、ロキだけが気難しい顔でアリスを見ていた。
「デメリットも存在する。【聖女祝福】は器の容量を超えて力を増大する。常人なら持って数分で器を崩壊すやろう。限界突破なんちゅー規格外の効果を持つスキルを持っているアリスたんでも持って数十分が限界や。前に一度使ったら最後は気絶して数日は目を覚さんかった」
限られた器に流れ込む力という水はやがて器の容量を超えて破裂する。
もし、器にヒビが入る程度ならいずれは修復する。しかし、本当に限界まで溜まって破裂したならそれは死を意味する。
そのことを危惧してるロキは心配そうにアリスを見守っていた。
この光景に勝利の女神、フレイヤは法悦な表情を浮かべながら魅力されていた。
「ああ、美しいわアリス。遥か昔に私が落とした祝福、神の力を取り入れた戦士、その末裔。本来なら授ける側と授かる側二つの魂が必要になるそれをあの子は1人でやり遂げている。陰と陽、光と闇、朝と夜混ざり合うことないはずの色が混ざり合った魂の光。それは黄昏の色。ああ、なんて美しいの」
遥か昔、瀕死だったエルフの戦士に天界から女神の祝福を授けた。かつての精霊の血を含んだ鍛治師が魔剣をうてるようになったように、エルフの戦士は頂上なる力を身につけた。
それからエルフの子孫は秘術を編み出した、命と引き換えに他者を強化する奇跡を。
「さぁ、見せてみなさいアリス。貴方の輝きを。そしてオッタル、今輝かないと私はアリスの虜になっちゃうわよ」
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「【神の怒りを、雷を打ち鳴らせ】」
雷鳴が鳴り響く。
オラリオ中に雷が落ちる。雷は闇派閥を貫き、多くの闇派閥が感電して気絶する。
「【創生、終末の獣よ道化の眷属が呼びかける】」
「【オフレスキャ・レイコウス】」
巨大な二体の怪物が姿を現す。
白銀の巨狼と巨大な白蛇が闇派閥を呑み込む。
「【創造、束縛の鎖よ】」
「【スミーダ】」
襲いかかる者や逃げ惑う者を鎖が捉えて動きを止める。
オラリオ全体に魔法が降り続け、怪物が蹂躙し、武器が空を覆う。
【不動】アリス・グレイの本領、超短文詠唱により百の怪物を呼び出し、千の武器を作り出し、万の魔法を操る。動かずして全ての敵を葬る。
「くそ、ザルドの野郎を向かわせろ」
雷を交わしながらヴァレッタがこの状況を打破するべく切り札を切る。
ザルドは迫り来る雷を大剣にて叩き落とす。
怪物の群れを斬り落としながら歩みを進める。
「アリス、立ち上がったか」
アリスと対峙するザルド。
構えをとるザルドに対してアリスは構えをしない。
「貴方の相手は私じゃない」
「?」
アリスの言葉に首を傾げる。
「【銀月(ぎん)の慈悲、黄金の原野、この身は戦の猛猪(おう)を拝命せし。駆け抜けよ、女神の真意を乗せて】」
紡がれる詠唱の声。
雷鳴が音を消し、怪物達が気配を隠し、無数の武具が存在を消していた存在。
伏兵の存在に闇派閥は気づいていなかった。ザルドでさえアリスという巨大な単騎に目を引かれており敵は1人だと思い込んでいた。
「【ヒルディス・ヴィーニ】」
それは彼に許された唯一の魔法。
女神に授けられし単純な力。
黄金の輝きが剣を覆いザルドへと放たれる。
「オッタル⁉︎」
ザルドはその斬撃を防ぐがオッタルは全力を持って一撃を振るう。交差する二つの大剣。
オッタルは自身の力を込めてザルドを押す。
そのままザルドは後方へと押されてしまう。2人に用意された闘技場、氷壁に囲まれた誰にも邪魔されない決闘場へと向かう。
オッタルは目的の場所に着くとザルドを弾き飛ばす。
「立て、ザルド。勝負だ」
「お前とは決着をつけたぞ。お前では俺に勝てないと気づかないのか」
「勝てない?違うな、勝つまで続けること。俺はお前の言うように泥臭いやり方しかできないらしい。フィンのような勇気を持ち合わせず、アリスのように頂上なる力を持っていない。あるのは武のみ、その力で勝ちを得るまで何度だって立ち上がり戦い続ける」
「なら、喰らい合うぞ。俺とお前、どちらが強者か」
「ああ、決着をつけようザルド。俺はお前喰らい遥か高みに行く」
剣戟がぶつかり合う。
その衝撃で都市が揺れる。最強対最強の戦い。
この戦いに女神は法悦する。自身の子が高みに手をかけた。女神を守る重荷を、ファミリアの長としての役割を、都市の守護者としての重積を、全てのものを忘れてただ勝利を勝ち取るために戦い出した。
「任せたよ、オッタル」
アリスはオッタルとザルドがいった方向を見ながらつぶやく。
「アリス!」「遊びましょう」
白と黒のエルフ姉妹がアリスに近づく。
「【不動】あなたを倒さなければ我々の勝利はあり得ないようですね」
初老の獣人が狂兵を引き連れてきた。
「ディナ、ヴェナ。それにバスラム」
不正と不止を司る神の眷属たち。
闇派閥でも武闘派な彼等は主に冒険者狩りをしてきた。それを阻止してきたアリスとは他の闇派閥幹部達と比べても多く闘ってきた。
彼等が殺してきた人の数は闇派閥でも一二を争う。
「ヘディンも、「ヘグニもいないの?だからアリスあなたが私たちの相手をして」」
踊り子のように雷撃を交わしながらアリスに肉薄する白妖精のディナ。
アリスはその場から動かず大剣にて二振りのスティレットによる乱撃を防ぐ。
「行きなさい精霊兵よ」
バスラムが狂兵に指示を出す。
狂化された元オシリス・ファミリアの冒険者達は叶わぬゼウスとヘラへの復讐という執念が、ゼウスとヘラに土をつけたアリスへと向かう。
「【異端の焼却、罪炎の楽園。あらゆる錯誤と倒錯はここに。燃え盛れ万の墓標】」
黒妖精、ヴェナが唄いだす。
紡がれる詠唱が場に聞こえる。ヴァナの必殺はアリスのみを確実に襲う。それを知っているディナ、バスラムはアリスを襲う手を休めない。それを知っているアリスはヴァナの必殺を阻止しようとはしない。
なぜなら、
「【哭け、第六の園(その)。轟け、第九(だいきゅう)の歌】」
「【ディアルヴ・ヴォルヴァ】」
解き放たれる魔法は『発焰魔法』。ヴェナが視認して異端と任意した対象に発火する不可避の魔法。
威力も高火力で魔法が発動すれば炎は対象を炎殺するまで消えない。
しかし、アリスから炎が灯ることはない。
「えっ」
妹ヴェナの魔法が発動しなかったことに動揺する。
その一瞬、その場から動いていなかったアリスの姿が消える。
「眠ってろ」
ディナの前に姿を現したアリスは大剣を振る下ろす。
地面に激突したディナはその強烈な一撃で気を失う。そして、ディナの前に姿を現す前にアリス狂兵達を一瞬で倒していた。
ディナは倒れて、精霊兵はやられた。
ヴェナはディナが倒されたことに動揺して行動を移せない。
バスラムは切り札が手も足も出ずに敗北したことに目を見開く。
「なぜです。なぜ彼女の魔法が発動しない。本来ならあなたは炎に包まれてるはず」
「発動しないようにしたからだよ」
「あなたの魔法にはそんなものはないはず」
バスラムの疑問に答えるアリス、しかしその答えに納得できないバスラムは問いを続ける。
アリスは黄昏の空を指さして答える。
「この結界内は私の思うがままに事象を起こし改変できる」
「馬鹿な、あなたの魔法は結界内でありとあらゆる魔法の行使を可能にするのではないのですか⁉︎」
「誰もそんなことは言っていない」
【ラグナロク・ハイリヒトゥーム】は結界内でのあらゆる事象を起こす規格外の魔法。ヴェナが使おうとした『発焰魔法』に似ている。任意で相手に発火できるのに対してアリスのは空間内に任意で発火できる。自分が起こしたい事象ならなんでもできる万能。だが、万能ゆえに発動に精神力の消費が激しく結界の発動中も大きく精神力を消費する。
また、威力も微々たるものでゴブリンを倒すことのできる程度の事象しか発生できない。アリスのスキル【精霊歌唱】によって追加詠唱を行い威力と効果を高めている。
よって、【ラグナロク・ハイリヒトゥーム】はあらゆる魔法の行使を可能にするのだと勘違いされている。
「この空間は私の祭壇。今、ここでは私の思うがままに世界が変わる」
【聖女祝福】は発動時間に応じてステータスを超向上する。
たが、実際は違う。恩恵の超向上、文言では書かれていない効果。ステータス、アビリティ、魔法、スキル、それら全てが強化される。
結界内ではアリスは神に等しき力を使える。
アリスがヴェナの魔法を否定すれば魔法は発動されず。
アリスの思考が世界を塗り替える。
「馬鹿な、それではあなたはまるで」
神ではないか
バスラムはその言葉を口にすることはできなかった。
ヴェナとバスラムは息ができずに苦しみ出す。
アリスがしたことは2人が息をできなくしたこと。
「恨むなとは言わない、憎むなとも言わない。でも、付き合ってもらうよ。私の八つ当たりに」
幹部の敗北に闇派閥は勝機を無くした。
逃げ惑う闇派閥達、それはまるで今まで自分たちが一般人に対して行ってきた蛮行に等しい。狩られる側と狩る側、弱者と強者、前者が自分達で後者がアリス。
自爆兵たる信者たちでさえ慈悲のない殺戮に死への恐怖を抱いていた。
●●●●●
「ある程度は力が増したらしいが、まだ足りぬな」
「はぁはぁ、、、」
2本の足で大地に立つザルドと膝をつき息を上げているオッタル。
その光景は2人の実力差を物語っていた。
「まだだ、俺はまだ戦える。足がある、剣を触れる、牙が折れてない。この身が朽ち果てていないなら、女神の汚名を汚すことはできん」
立ち上がるオッタル。
昔と変わらない、何度も地に伏せられてきた。挑み、負け、また挑む。
オッタルの強さは敗北の強さ、敗北を積み重ね勝利を掴んできた。栄光は要らない、喝采も要らない、泥臭く、華やかしいものではない。ただ、女神に捧げる勝利のみを求める。
「ほう、立ち上がるか。しかし、それで何が変わる。アリスは英雄の道を歩み出した。だが、貴様は女神への矜持を曲げず何も変わってない。変化しないものに進化はない」
「変化など要らん。進化もいらん。貴様らが英雄になると言うなら栄光はくれてやる。ただ、勝利のみはもらう」
【猛者】はもう屈することはない、英雄なんてものにはならない。矜持を曲げず、ただ女神の戦士であり続ける。故に迷うことなく屈することはない。
「ならば、示してみろ。貴様の力を」
「【父神(ちち)よ、許せ、神々の晩餐をも平らげることを。】」
「【銀月(ぎん)の慈悲、黄金の原野、この身は戦の猛猪(おう)を拝命せし。】」
2人の詠唱が重なる。
オッタルには余力が無く、ザルドには時間が無い。正真正銘の最後の一撃。静寂の中、2人の紡ぐ詠唱のみが場に響く。
「【貪れ、炎獄(えんごく)の舌。喰らえ、灼熱の牙!】」
「【駆け抜けよ、女神の真意を乗せて】 」
「【レーア・アムブロシア】!」
「【ヒルディス・ヴィーニ】!」
放たれる2人の絶技。
黄金の刃と灼熱の牙。
「「うおおぉぉぉぉぉぉぉーーーー‼︎」」
大地が沈み、大気を揺らす。
都市が震えるなか中心に立つ2人は全力の一撃をぶつける。
その光景を都市にいた人々、神々が見守る。
「勝ちなさいオッタル。私のために、あなたのために前へ進みなさい」
勝利の女神は自身の戦士の輝きを見た。
この戦場は勇者が作り上げた、この光景は英雄が築いた、この情景は戦士が魅せた。
煙が晴れた先には勝者と敗者、前者は二本の足で立っており、後者は地に伏せている。
その勝者は、
【猛者】オッタル
敗戦を継ぎ重ねてきた戦士は今日ここに勝利を継ぎ足した。
バスラムが何気に書くの難しい。
キャラ的にはヘルシングに出てきそうで好きですけど。