ロキファミリアの4人目   作:暇人M.MAX

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間話を考えていたのですが上手くまとまらなかったのでもうこのまま原作突入です。
急遽書いたので5000文字いかないくらいで短めです。


第一章好敵手
原作開始:新米冒険者ベル・クラネル


「一年ぶりか」

 

城門を潜り都市内に入った1人のエルフは天高くそびえ立つ塔を見上げながら呟く。

彼女の名はアリス・グレイ、ロキ・ファミリアに所属しながら冒険者依頼のために都市外で活動をしている冒険者である。

 

「まずはギルドに報告か」

 

日差しを遮るように手を翳し天を見る。

暗黒期を乗り越えたオラリオは雨雲が続いたあの時とは違い雲が無い晴天だった。

 

●●●●●

 

「じぁ、これは裏口にお願いします」

 

ギルドの受付員、エイナは物資の搬入手続きをするためギルド前で確認作業を終えたエイナはギルドに戻ろうとしていた。

 

「すまない、ローズはいるだろうか?」

 

「へっ、ローズさんなら受付にいると思いますけど」

 

仕事がひと段落ついて気が抜けていたところに唐突に話しかけられて声を上げてしまう。

声の主はフードを深く被り顔がよく見えない。コートの端から流れ落ちる白金の髪と声の性質から女性ということは辛うじてわかった。

 

「あの、失礼ですがどちら様で?」

 

「私は、「エイナさぁーーーん!」」

 

女性が名乗ろうとしたらエイナを呼ぶ声が遮る。

 

「「・・・」」

 

トマト野郎とはよく言ったモノだ。

全身真っ赤になって辺りに果汁(血)を撒き散らす。

エイナは絶句して書類を落としている。

 

●●●●●

 

「えっと、ローズから対応を引き継がせてもらいます。エイナ・チュールです」

 

「アリス・グレイだ。よろしく頼む」

 

あの後、血塗れでエイナに近づこうとしてベルを鞘で押さえつけたアリスはベルをシャワー室へ押し込んだ。

担当職員のローズは近日行われるモンスターフィリアに向けての対応で忙しく、代わりに手が空いたエイナが対応することになった。

 

「今回は都市外での冒険者依頼の完了報告でよろしいでしょうか?」

 

「ああ、随時そちらに完了証を送っている。近日のものはこちらになる」

 

アリスは懐にしまっていた書類を出す。

エイナはそれを見て固まる。

決済済みの書類ファイルと未決済のファイルをローズから貰った時から気づいていたが、決済済みファイルが10cmファイルが4冊、未決済が2.5冊分ある。

そして、アリスから渡された書類の束。これを抜けがないのか確認するのに残業は確定だ。ようは押し付けられたのだ。

 

「書類は受け取りました。確認にお時間がかかると思いますので後日来ていただけないでしょうか?」

 

「そうか、暫くは滞在するから構わない」

 

エイナは目の前のアリスを見る。

オラリオ二大派閥の一つロキ・ファミリア所属。

オラリオで2人しかいないレベル7の片割れ。もうすぐレベル8という噂も出てる。

最強にて最優の冒険者。オラリオの生ける英雄。

7年前の抗争後についた二つ名は【救世】。

数えきれないほどの偉業を残し続ける存在だ。彼女をよく知る人が言うなら未だにレベル7なのが逆に不思議らしい。

暗黒期が終わった反動か放浪癖が出たらしく。都市を抜け出して旅をしている。そこに、ロイマンがいちゃもんをつけて都市外の冒険者依頼を受けさせている。

話では世界各国を周り怪物の被害を食い止めてるらしい。

 

「そうだ、今度からは貴族の接待という依頼は出さないでほしい」

 

「うっ、すいません。一応はオラリオに出資してくれてる有力貴族達でして無碍にもできず」

 

ほぼロイマンの独断だが、本当に断れない者たちもいる。

 

「そうか、私はあまり喋るのは得意ではないが」

 

レベル7であるアリスは世界でも有名だ。そんなアリスが領地の近くに通るとなると領主はあわよくばと考えてしまう。

ギルドに賄賂を流しアリスに立ち寄るように言ってくるのだ。かなりの額が寄付されておりエイナ達の給料にも色が付いてる。

 

「エイナさん、シャワーありがとうございます」

 

「あっ、ベルくん」

 

シャワーから上がってきたベル。

 

「えっ、アリスさん・・・」

 

ベルはアリスの方を見て固り辺りを見回す。

ベルとアリスは知り合いである、ここ一年は会ってなかったが昔はよく世話をしてくれていた。

一年前、育ての親である義母と叔父と共に旅に出てる。

つい最近、祖父であるゼウスが姿を隠す為にベルを置いて旅立った。その為、勝手にオラリオ来ていた

 

「ベルくん?」

 

そんなベルに不審に思うエイナ。

 

「ベル、まだ髪が濡れてるぞ」

 

「えっ、本当ですか」

 

「こっちへ来い。拭いてやる」

 

ソファを叩きとなりに座るよう促すアリス。

ベルとエイナは固まるが、「どうした?早く来い」と言われて状況も理解できずベルは無意識に座る。

ベルの首に掛かってたタオルを取り頭を拭きだす。ベルはなされるまま、エイナは状況が理解できずにいた。

 

「うん、これで乾いた」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「少し整えた方が良いな背を向けてくれ」

 

「えっ」

 

アリスは鞄の中から櫛を取り出し構える。そのやる気に満ちた顔に断ることが出来ず背を向ける。

 

「あのー、お二人はお知り合いなんですか」

 

置いてきぼりなエイナは堪らず問う。

 

「友人の子だ」

 

それにアリスが答える。

ベルは大人しくアリスになされるがまま。

 

「それよりベル、なんでオラリオにいるんだ?たしか、15歳になってから冒険者になる約束だったはずだが」

 

「うっ、」

 

アリスの質問にベルが詰まる。

山奥の農村にいるはずのベルがオラリオに、しかも冒険者になっている。アルフィアと約束している予定より1年早い。

 

「その、お爺ちゃんが・・・」

 

ベルは事情を話す。

 

●●●●●

 

アリスがアルフィアとザルドを連れて旅だってから数ヶ月。

ベルとゼウスは畑作業に精を出しながらいつも通りの日常を送っていた。

 

「大変だ、ゼウス!」

 

農作業を終えた2人は家でくつろいでた時に家の扉を蹴破る勢いで開けた優男、神ヘルメス。

ベルに隠れてゼウスとやり取りをしていたが7年前からはアルフィア達に気づかれているため隠れるのをやめていた。

 

「なんじゃ、騒々しいな」

 

「ゼウス、やばいんだ。まじでヤバい!」

 

ヤバいしか連呼しないヘルメスに2人は首を傾げる。

そんな2人に手紙を渡すヘルメス。

 

「「・・・」」

 

ゼウスは封を開けて中身を見て、ベルはゼウスの手にある手紙を覗き込む。

差出人はどうやらアリスらしい。アルフィアとザルドが手紙を送る柄ではないのである程度予想ができる。

 

『ゼウスへ

ベルとは元気にやっているだろうか?

こちらはつい先日、黒竜が人里に降りてきた為に戦闘が起きた。元々、黒竜の動きが怪しかったからアルフィアとザルドを連れて行ったのだが、誘導に失敗したらしく人類域に出てきた。

ちょうど、学区も近くに来ていたので『ナイト・オブ・ナイト』もいたので4人でなんとか人類域から追い返すことには成功した。が、こちらの消耗も激しく暫くは身動きができない。アルフィア達が帰るのが少し遅れることをベルに伝えて欲しい。

追伸

『ナイト・オブ・ナイト』が先の戦闘でレベルアップした。アルフィア達もランクアップしてると思われるので先にヘラの所に寄ってから帰ると言っている

アリス・グレイより』

 

ゼウスは固まった。

黒竜と戦った点については先に話を聞いていたのである程度は予想できた。3人とも無事であることも確認できたので一安心だ。

しかし、最後の一文がゼウスを困惑させた。

 

「ヘルメス、もしかしてあいつが来ちゃう?」

 

「十中八九来るだろう」

 

2人は冷や汗を流す。

あいつ、ヘラとは2人とも15年前から会っていない。

ましてや、ゼウスとヘラの眷属の子供、孫みたいな存在であるベルという存在を教えずに過ごしてきたこと。

ヘラを放置してきたことなどヒステリック女神を怒らせることは多数ある。

そのことを考慮してゼウスが取る行動は。

 

 

「ヘルメス!退路は!」

 

「もう、確保してる。谷を降りて川を下ればアルフィア達の帰路には鉢合わせないはずだ」

 

「よし、今すぐ行くぞ」

 

逃走一択である。

2人について行かずに放置されてるベルは2人を眺めて首を傾げていた。

 

「お爺ちゃん、ヘラってお爺ちゃんの知り合いなんでしょ?なんで逃げるの?」

 

「ベルよ。ワシはヘラがぶっちゃけ怖い。覗きをしただけで半殺しにされるんじゃぞ!ベルとの生活をしててヘラを放置してたなんてことを知られれば椅子に縛り付けられて監禁されるに決まっておる。ベル、メンヘラヤンデレは手を出したらダメなんじゃよ!」

 

鬼気迫る祖父にベルは首を縦に振ることしかできなかった。

 

「ワシはこれから旅に出る。ヘルメス、ベルのことを頼むぞ」

 

「ベル君には、ローリエにオラリオに送るように言ってる

 

「一緒じゃないの?」

 

「ベルよ、ぶっちゃけ男と2人旅なんてむさ苦しいだけだから嫌じゃ。黒髪ロング美女を求めてワシは旅をする。お主はオラリオでハーレムを作れ、できればアストレアの所にいるあの黒髪美女とお近づきしておけ!」

 

ゼウスは自身の好みどストライクな輝夜とお近づきになりたい。そのため、ベルのことを弟(玩具)として可愛がっているアストレア・ファミリアとお近づきになって欲しい。

ベルとしては玩具にされる未来しか見えないので少し距離を置きたい。

 

「でも、お義母さんと約束で冒険者になるのは15歳からって約束「ベルくん、男の子は母親に反抗するものだよ。ましてや君は14歳だ。親離れしてもいい年頃だよ」」

 

ベルの中で冒険者への憧れとアルフィアへの恐怖が天秤にかけられた。

冒険者になって英雄へと進みたい好奇心、アルフィアに怒られて地獄のような訓練すら生ぬるい懲罰を受けること。本来なら後者に傾く筈なのだが、そこは14歳の子供。前者へと傾いた。

 

「僕、オラリオに行きます!」

 

●●●●●

 

「と、言うことです・・・」

 

ベルは無意識にアリスの前で正座していた。

ベルの中ではアルフィアとアリスの恐怖心は若干アリスの方が高い。

アルフィアは手を出すのが殆どだが、アリスは怒らず淡々と話を聞いてくる。表情を変えずに黙々と責められることに対して幼かったベルはアルフィア以上に怖かったのだ。

そのため、幼少期から怒られそうなことをした自覚があるものにはアリスの前では説教を受ける身構えを自然的に行なってしまう。

 

「なるほど、私としてはそこまで怒るつもりはない。ベルと同じ歳には私やアルフィアも戦場に立っていたからベルを止める権利は元々無い。だが、少しでも連絡を入れて欲しかった。後でアルフィアに手紙を送っとけ」

 

「わかりました」

 

大人しく言うことを聞くベル。

 

「それで、ベルは何処のファミリアに入ったんだ?ロキからは何の連絡もなかったからアストレアの所か?」

 

「あっ、クラネル氏はヘスティア・ファミリアに入っております」

 

放置されていたエイナは堪らず話に割り込む。

唐突に始まった説教を眺めることになったエイナはすこし気まずかった。

 

「ヘスティア?聞いたことないな。新興ファミリアか?」

 

「はい、団員もクラネル氏だけです」

 

「そうか、情報感謝する。さて、ベル。君が冒険者になったことを責めるつもりもない。ファミリアも本当は私と同じロキのところに入って欲しかったがそこは君の自由だ。それに神との巡り合わせは運命みたいなものだ。きっと神ヘスティアとの縁は君にとっては良いことだと思う。

それで、ベル。一つだけ約束して欲しい。必ず生きて私やアルフィア、みんなに無事な顔を見せて欲しい」

 

「はい、わかりました」

 

アリスの言葉に素直に頷く。

ベルとしても大切な母アルフィアや恩人で憧れであるアリスを悲しませる気はない。

 

「それより、ベル君。なんであんな血まみれだったの?」

 

「あっ、そうでした。エイナさん10階層にミノタウロスが三体出たんですよ」

 

「・・・」

 

エイナが固まる。

上層にミノタウロスが複数体出たことは驚くことだがごく稀にモンスターが地上目指して上層に進出する話はある。

それよりも聞き捨てならないことがあった。

 

「10階層ーーーーー!」

 

ベルが冒険者になったのは半ヶ月前、元冒険者の親に訓練を受けてある程度戦えることは聞いていた。そのため最初から3階層まで許可をしていたし、日頃の稼ぎを見るに5階層でも通用すると思ったので5階層までならと許可してた。それを倍以上の階層に赴いていたのだ。

 

「なんで、君はいつもいつも私の言うこと守らないの?5階層でもかなり譲歩してるんだよ?」

 

アリスの説教を終えたベルを待っていたのは次にエイナの説教だった。

アリスは長くなると思い近くにいた受付嬢に3人分の飲み物追加をお願いした。

 

 

 

 

 

 

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