平安の呪言師 作:亀と羽公
内容、ほぼほぼ忘れてそう。というか、作者が忘れてた……。
前回のあらすじ:
平安の呪言師、狗巻威光が現代に受肉ったよ!
今回は接続章みたいなもんなので、短めです。
接続章で第壱話とは? 儂にもわからん。
「なあ、け……夏油か。儂らは今何処に向かっておるのだ?」
「ん? ファミレスだよ」
「ふぁみれす?」
「家じゃないけど、ご飯食べる所」
「ほー、現代にはそんな物があるのか」
(これが”受肉”というものか………)
夏油に連れられて、現代の都を歩く。
幾許かの時間を歩き、少し大きめ通りへと出ると、時代は移り変わったのだということを嫌でも実感する。
下を見れば、土より固く土より黒きものが地を覆っている。
右を見れば、土塊で出来た屋敷が天を貫くほどの高さまで聳え立っている。
左を見れば、牛車が牛なしで通っていく。それも牛車以上の速度で。
上を見れば、鉄の塊だろうか? 翼を広げた巨大な鳥の如き物体が空を駆けている。
そして蠢く、人人人。どこを見ても”人”がいる。
彼処で歩いているも人、彼処で話しているのも人、彼処で遊んでいる小僧も人だ。
そして誰も彼も
路上で倒れている者もいることにはいるが、皆顔色がいい。
しかし、なるほど。これが今の生活か、と
奇妙で、けったいで、奇天烈で、風変わりで、奇想天外で、摩訶不思議で……。
何もかも儂が知る常識とは違う。
何もかも儂の住む都とは違う。
なるほど、これが人の世か。
なるほど、これが呪力なき世か。
面白い。何とも面白い。
滑稽で、愉快で、痛快で、楽しく、喜ばしく、とても良い。
……だが何とも、悲しきことでもある。
儂は人一倍呪力を感知できる。
そして、だからこそ
それほどまでに呪術師は数を減らしてしまったのか、と。
人は溢れている。もはや数えきれないほどに。
だが、その中に呪術師たり得る人物は幾名いるだろうか?
恐らくは一人、多くても五人ほどしかいない。そしてその全てが才能を有する程度に留まっている。
………何と嘆かわしきことか。
威光が内心で呪術の衰退に嘆いていると、一行は「しんごう」なるこれまた奇怪な装置の前で待つことになる。
目の前では先ほどの牛なし牛車が速度を落とさずに行き来する。
「わざわざ貴重な指1本使ってまで確かめる必要があったかね、宿儺の実力」
待ち時間を利用して、夏油に紹介された呪霊の一体、漏瑚が夏油に話を振る。
「中途半端な当て馬じゃ意味ないからね」
「羂索、何の話だ?(小声)」
「威光、ちょっと黙ってて。後で全部説明する」
夏油は漏瑚の方に向き直る訳でもなく、まるで独り言の様に漏瑚の問いに答える。
「それなりに収穫はあったさ」
「ぶふぅーぶぅー」
「フンッ、言い訳でないことを祈るぞ」
「
「貴様は喋るでない!! 何を言っているか分からんのに、内容は頭に流れてきて気色悪いのだ!!」
「宿儺。
夏油の答えに対して、漏瑚と他2人がそれぞれ三者三様の反応する。
信号は赤から青に変わり、一行は再び足を進める。
「あ、威光。目的地はここだよ」
「ふむ、これが”ふぁみれす”か」
ふぁみれす__ファミリーレストランに入っていく夏油たちに威光もついていく。
「いらっしゃいませ。二名様のご案内でよろしいですか?」
「はい、
「ほお、これが今の食事を摂る場所か。そして……」
(やはりこの者も呪霊が見えぬか………)
人間としての格が落ちたか、あるいは恐怖が薄くなったか。
どちらにせよ、この時代の者ではない儂が口を挟む者でもないか。
夏油が座ったテーブル席にのソファ側に、夏油と並んで座る。
「して、け……夏油。ここにきた目的は何だ? まさか本当に飯を食いにきたのか?」
「まあ、半分は彼らと話すためで、もう半分は君に現代を見て欲しかったっていうのがある。ほら、百聞は一見に如かずって言うだろう?」
「百聞は一見に如かず? なんだそれは? 料理名か?」
「………そっか、平安の頃はなかったね。ジェネレーションギャップを感じるよ」
「じぇね……なんて?」
「……夏油、くだらぬ話は後にしろ。さっさと本題に入れ」
夏油と威光の会話に割り込むように、漏瑚が口を開く。
「ああ、ごめんごめん。何だったけ? 確か、君たちのボスは今の人間と呪いの立場を逆転させたいんだったけ?」
「少し違う」
夏油の問いに、漏瑚は修正を付け加える。
「人間は、嘘でできている。表に出る正の感情や行動には必ず裏がある」
「まあ、概ね道理だろう」
口を挟んだ威光を睨みながら、漏瑚は話を続ける。
「だが、負の感情。憎悪や殺意などは、偽りのない真実だ」
そこで漏瑚はこれまでの口調以上に力を込めて語った。
「そこから生まれた我々呪いこそ、真に純粋な
そして、最後に漏瑚は締めくくりの言葉として、宣戦布告に等しい言葉を吐いた。
「故に、偽物は消えて然るべき」
それを黙って聞いていた夏油は、意見を挟む。
「……現状、消されるのは君たちだ」
「だから、貴様に聞いているのだ。我々はどうすれば呪術師に勝てる?」
出会ってから一度も笑みを崩さなかった夏油の口角が少し上がった気がした。
「戦争の前に2つ、条件を満たせば勝てるよ」
夏油は指を一本ずつ上げる。
「『五条悟を戦闘不能にし』、『両面宿儺・虎杖悠仁を仲間に引き込む』」
夏油の言葉を聞いていた威光が疑問符を浮かべる。
「五条悟?」
「威光に説明してからでも構わないかい?」
「ふん、勝手にしろ」
「じゃあ遠慮なく」
夏油はこちらに向き直ると、儂らの今後の障害となりうる男、
「五条悟。無下限呪術の家系の現当主だ。これが中々に厄介でね。六眼との抱き合わせなんだよ」
「六眼とな? 確か、”精密な呪力操作を可能にする”と触れ込みのアレか」
「そう、それ。無下限呪術の使用には原子レベルの緻密な呪力操作が必要で常時の発動は脳が負荷に耐え切れず焼き切れてしまうんだが……」
「なるほど、六眼でその短所を穴埋めしたのか。それは確かに強いな」
「そうなんだよ。面倒だろ?」
「意識外からの初撃で決められなければ、宿儺ですら
そして漸く、話は本題へと帰ってくる。
「五条悟、やはり我々が束になっても殺せんか」
漏瑚の問いに、夏油は当然だ、と言った口ぶりで答える。
「ヒラヒラ逃げられるか……最悪、
「封印? その手立ては?」
「特級呪物『獄門疆』を使う」
「獄門疆……?」
少しの間をおいて、漏瑚の頭頂部から
それは彼の気が立っていることを表しており、威光ですら暑いと感じるほどに室内の温度が急激に上昇する。
「持っているのか!! あの忌み物を!!」
「漏瑚、興奮するな。暑くなる」
そんなことはお構いなしと、漏瑚はなおも興奮を抑えない。
「お客様、ご注文はお決まりですか?」
「あ、儂、この『いちご抹茶パフェ』なるものを」
威光が注文を終える前に店員が燃え上がる。
『きゃああああああああああああああああ』
それを見た他の店員が悲鳴をあげる。
呆れたように、夏油が漏瑚に注意する。
「あまり騒ぎを起こさないでほしいな」
「これでいいだろう」
漏瑚が指を振り上げると、周囲にいた客が次々に炎上していく。
「……高い店にしなくて良かったよ。ケホッ」
「パフェなる甘味、食してみたかった………けほっ」
煤が店内に舞い散り、気管を咳き込ませる。
そんなことはお構いなしに、漏瑚は夏油に問う。
「夏油、儂は宿儺の指何本分の強さだ?」
「甘く見積もって、8、9本分ってとこかな」
「充分」
その答えを聞くと、漏瑚はお歯黒の様な歯を剥き出しにして笑う。
「獄門疆を儂にくれ!! 蒐集に加える。その代わり……五条悟は、儂が殺す」
その宣言を聞いた夏油は、漏瑚を憐れむ様に見つめながらも、最後の警告を行う。
「……いいけど、死ぬよ。漏瑚」
夏油の警告を無視し、外へ出て行こうとする漏瑚に威光は、彼らにとって助力とも挑発とも受け取れる内容を提案する。
「……その時は、儂が助けてやろうか? 呪霊」
描写はないけど、ちゃんと服着てます。
今の宿儺が着てるみたいな和装です。羂索が用意してくれたよ。
次回はいつになるかはわからんけど、気が向いた時に頑張って書きます。
よろしくお願いします。