異世界で広まる遊戯王 作:決闘者
『任意効果と強制効果の違い』や『発動する効果と永続効果の裁定』など、ちゃんとジャッジするには覚えることはいっぱいありますからね。
普段の授業で
そしてゆくゆくは、
公認ジャッジともなれば把握するべき裁定は山のようにあります。この世界では
『バトルフェイズにおける戦闘の巻き戻し』とかも必修ですよ!
詰めデュエル、パズルデュエルと言ってもいいですが、勝ち筋が一つしかない状況にした盤面で勝利することを目指す
ひたすら火力を上げて殴ることしか考えていないと上手く解けないのが詰めデュエル。簡単なところでは装備魔法を相手に付けるという基礎的な発想から、難しいところでは強制で発動する死霊騎士デスカリバー・ナイトをどう使うかなどもあります。彼は考えずに使うとチェーン処理で魔法罠の効果が間に入ってリリースするだけになったりもしますからね。
シナジーを利用したコンボやこの世界では使われていないギミックなどを題材にしたりもするので、最初は戸惑いが大きかったですが現在は結構好評です。
ここでの経験が、やがて自分だけのコンボを生み出す
新しいカードを作成するにあたって、NGが出たことはありませんが絵の内容が通じなくて困った事態になることはあります。
例えば『モウヤンのカレー』。
この世界では『モウヤン』*1も通じなければ『カレー』も通じません。
一応、近いもので言えば肉の煮込み料理であるブラウンシチューみたいな料理なんかがあるにはあるのですが、私は個人的にビーフカレーとビーフシチューを同じ存在にはしたくない派閥の
でも香辛料を多数使うカレーを作るのは難し…………かったのですが、そういえば香辛料に強そうな人が
というわけで、砂の国から来た一般聴講生にお願いしてカレーを再現することにしました。
『なぜ私が……』とか『こんなことをしにここへ来たわけでは……』とか呟いていますが、カレーを作るためには必要な犠牲です。
結果としてできたカレーは現代の既製品に慣れた私にとってはちょっと物足りない感じではありましたが、なつかしい味に鼻の奥が少し痛みます。
……ああ、もちろん協力してくれた墓守使いさんには報酬を支払いましたよ。
【墓守】テーマの最上級モンスター、『墓守の大神官』!
墓地に散った墓守たちの力を受け継ぐ強力モンスターだけに目を見開いて驚いていましたが、それだけ喜んでくれたのでしょうね。
試作含めて余ったカレーは孤児院の子供たちの底なしの食欲が片付けてくれました。ご馳走様です。
最近、私の住んでいる街の周辺の森で新種の魔物を見かける例が増えているそうです。
不思議なことに、その魔物はデュエルモンスターズに出てくるモンスターにそっくりなのだとか……
複数の新種の魔物が互いに争っているところを目撃したという話で、目撃した自由戦士の方に襲い掛かるそぶりすら見せなかったという奇妙な報告ばかり。
そもそも魔物は普通の動物と違って食物連鎖の中に組み込まれていませんし、互いに縄張り争いをしたりもしません。
襲いかかるのは人間のみで、遭遇したのに無視するなどありえないとみんな首をかしげています。
私が使徒になってから作成した新カードで
しかも、新種の魔物同士の争いの顛末を見届けた自由戦士の方によると、両者とも崩れて土くれになってしまったとのこと。
魔物は死んでも何も残しません。そのため、これらの特徴から新種の魔物と思われていた物は魔物ではなく何らかの別の存在なのではないかという意見も出ています。
本質的に人間の脅威になる要素が無いので引き続き調査だけは続ける方針となりましたが、なんでデュエルモンスターズのモンスターに似ているのでしょうか……?
謎は深まるばかりです。
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『澱んだ魔力』から生まれる自然ならざる生き物、魔物。
それらが襲うのは基本的に人間であるが、同じく襲われる生き物も存在する。
妖精。自然の魔力の結晶たる無垢なる者。
魔物は正常な魔力の結晶たる妖精をも襲うために、ほとんどの妖精は澱んだ魔力を避けて人里離れた秘境に住んでいる。
それゆえに、最近になって澱んだ魔力がほとんどない地域が生まれたことで、新たに妖精がそこに住み始めたのは当然の成り行きと言えよう。
妖精は無垢であり生きるために何も必要としないため、日がな一日遊んで暮らしている。
そんな彼らが、正常な魔力で満ちた森の近くの街で見た『それ』を真似て遊び始めるのに、そう長い時間はかからなかった。
「きゃははっ、こうげーき!」「なんの! はんげきー!」
デュエルモンスターズのルールなど知らない彼らが真似るのは、遠目で見た
土くれから作り出したモンスターを模したゴーレムが互いに戦い合うだけの、ルールも何もないものだ。
だが、彼らの中では
しかし、誰もルールを把握していないからこその問題も起きる。
「ぼくの『れお・うぃざーど』のほうがつよいんだぞ!」
「ちがうわ! わたしの『しーほーす』のほうがうまとさかなの2ひきぶんでつよいんだから!」
どちらのモンスターが強いか意見が食い違うと、ゴーレムが壊れるまで戦わせる以外に方法が無い。
しかもゴーレム自体の性能に差はほとんどないため、どちらが勝つにせよ泥仕合である。
「あらあら、これはどうしたこと?」
「あっ、ひめさまだ!」「ひめさまー!」
それを見かねたのは妖精たちの中でも『姫』と呼ばれる原初の妖精、新たにできた妖精の森の様子を見に来たところであった。
彼女に同族たちは裁定を頼んだものの、彼女にとって全く知らない内容で判断が付けられない。
そこで彼女は『神託』を乞うことにした。
原初の妖精である『姫』は、天界の神々に神託を乞うことができる。
この世界で能動的に神託を求めることができるのは『姫』だけであるが、無垢なる妖精であるので明日の天気とか聞いちゃったりとわりと便利遣いしている。
そんな神聖なのかそうでないのかちょっと微妙な神託が彼女へと舞い降りた。
「えっ? シーホースとレオ・ウィザードは両方とも攻撃力1350だから引き分け? えっ? えっ?? えっ???」
頑張れ妖精の姫! 妖精たちに正しいデュエルモンスターズが広まるかは君の双肩にかかっているぞ!