異世界で広まる遊戯王   作:決闘者

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光の中に始まる物語

 いよいよ本格的に、決闘塾(デュエル・スクール)で学ぶ公認決闘者(デュエリスト)見習い一期生たちが学び舎から羽ばたいていくのも近くなってきました。

 教えられる限りのややこしい裁定に関する知識を叩きこんできたつもりですが、本当に困ったときは神託の精神経路でもって他の決闘者(デュエリスト)に助けを求めるのが最終手段になるでしょう。

 とはいえ、最低限の知識も身についていない者を公認決闘者(デュエリスト)として世に送り出すわけにはいきません。

 実践でめんどくさい裁定を身に染みて覚えさせる、"卒業決闘(デュエル)"の開催です! 

 知識を血肉にできていない頭でっかちさんは、この決闘(デュエル)を落第通知決闘(デュエル)にしてやるノーネ! ……ふふふ。

 

 

「さあ、私のフィールドには古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)と伏せ一枚。貴方のフィールドにはクィーンズ・ナイト一枚きり。このターンがラストターンですよ?」

 

「くっ、まだまだ! 僕はキングス・ナイトを召喚、効果によりジャックス・ナイトを呼び出す! いざ、三人の光の騎士の融合召喚、アルカナ ナイトジョーカー!」

 

「……なるほど、そのモンスターで伏せカードを封じるつもりですか*1

 

「バトル! いけっ、アルカナ ナイトジョーカー! ライトニングブレード!」

 

 考え方は悪くないですが、これでは赤点です……自分、ダメステ良いっすか? 

 

「ダメージ計算前に私は速攻魔法を発動、収縮! 迎え撃て、アルティメット・パウンド!」

 

「させないっ! アルカナ ナイトジョーカーの効果で……」

 

「発動を無効にしない"効果のみを無効にする効果"はダメージステップには発動できません。もう一度復習してきなさい」

 

「えっ!? う、うわあぁぁぁ!!」

 

 ガッチャ、良いデュエルだったぜ! ……というのは置いておいて、残念ながら彼は追試決定ですね。

 アルカナ ナイトジョーカーのモンスター版『神の摂理』のような効果は強力ですが、前述したややこしい裁定で"カウンター罠"ではない彼の効果は戦闘時にはあまりにもリスキー。

 その辺を理解していない者に、公認決闘者(デュエリスト)の看板を預けるわけにはいきません。

 一発落第でもう一年とは言いませんが、キツめの補習授業を受けてから再試験というところでしょうか。

 全体の結果としては上位三分の一が文句なく合格、次点の三分の一が追試験、下位三分の一は残念ながら不合格を付けざるをえませんでした。

 総合的に見れば三分の二が公認決闘者(デュエリスト)として認められるレベルということになります。

 ……三分の一も脱落者を出したことを悲しめばいいのか、難解なKONMAI語を三分の二も理解したことを喜べばいいのか。

 微妙なところではありますが、これで次の段階へ進むことができます。

 教会が主導する公認決闘者(デュエリスト)たちによるデュエルモンスターズ布教のための"決闘者巡礼団(デュエリスト・ピルグリム)"構想。

 いくら旅慣れた現役自由戦士だとはいえ、遍歴を重ねるのはつらいこともあるでしょう。

 なにか特別なものを持たせて送り出したいものですが……

 

 

 

 

 

 いささか内容の濃い補習授業でそこそこキツめに再試験組をしごいて、みんな無事(?)に追試を突破してくれました。

 彼らは決闘塾(デュエル・スクール)を卒業し、公認決闘者(デュエリスト)一期生として教会が編成する"決闘者巡礼団(デュエリスト・ピルグリム)"に参加。各地へ旅をしてデュエルモンスターズを布教しに行くことになります。

 旅して、戦えて、決闘(デュエル)もできる自由戦士……いえ、卒業したのですから決闘者(デュエリスト)と呼ぶべきですね。彼らに私からも応援の気持ちを込めたカードを用意しました。

 『封印の黄金櫃』、原作の全ての始まりである千年パズルが収められていた箱であり、物語の終焉にて(ファラオ)の魂に引導を渡したカード。

 彼らの前途が光の中にあるようにという気持ちと、決闘(デュエル)は光と希望を与えるものだという気持ちを一緒に込めました。

 このカードは一人に一枚ずつ用意されましたが、同時に公認決闘者(デュエリスト)一期生の証明でもあるので交換(トレード)などで手放さないよう注意をしておきました。

 もし将来、原作遊戯王の初代のストーリーを語る機会が来たのなら、このカードを持っていることの価値がより高まるので頑張っていて欲しいものです。

 

 ……微妙に原作再現に近いことができるように効果をちょっと盛ってありますが、まあこの世界の人にはその辺は分からないでしょう。

 

 

 

 

 

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 教会公認決闘者(デュエリスト)

 教会肝いりの新事業に携わる名誉と実利に惹かれてホイホイとそれになるために決闘塾(デュエル・スクール)に参加した自由戦士の一人が俺だ。

 何日も何日もひたすらデュエルモンスターズのルールを頭に叩き込む毎日。

 決闘(デュエル)自体は嫌いじゃねぇ……いや、かなり好きだが、小難しい裁定とやらを覚えるのはなかなかに難しい。

 俺の決闘者(デュエリスト)としての腕もそこそこというところで、決闘塾(デュエル・スクール)でも上位のラビエル・ブルーのトップ5には遠く及ばない程度だ。

 トップ5……リスペクト派、パワーデュエル派、テクニック派、エンタメデュエル派、新興のシンクロ流派それぞれの頭を張ってる上位5名。

 特にシンクロ流派の奴は有名な僧兵団をやめてこっちに専念したって話で、その気になりゃあ魔物を倒して日銭を稼げる俺とは覚悟が違いすぎる。

 

 しかし、こんなにしちめんどくさいルールを考えたあの嬢ちゃんは一体何者なんだろうな? 

 普通に遊ぶ分にはそんなに気にする必要は無いがプロなら覚えていてしかるべき、ってぇのがここまで詳しく教える理由らしいが、なんでこんなに複雑なのかねぇ……

 チェーンの逆順処理、チェーンブロックとやらの有無、タイミングを逃す例、他にも色々。

 まあ俺も一人の自由戦士、決まってないなら勝手にするって同業者は割と居るもんだと知っている。

 教会が力を入れる新事業で大看板を掲げるんだ、せめて見れるぐらいに整えようってのは間違いねぇ。

 卒業すりゃあ晴れて教会の所属、新設の旅団に入って決闘塾(デュエル・スクール)に入る前以来の旅暮らしだ。

 おぜぜの方はどうか知らねぇが、デュエルモンスターズをするだけで喰いっぱぐれないというのは約束されている。

 あとは卒業試験……いや、卒業決闘(デュエル)だけなんだが、卒業、出来るかなぁ…………

 

 

 教師の嬢ちゃんとの卒業決闘(デュエル)を、追試の上でだがなんとか突破し、ようやく俺も教会公認決闘者(デュエリスト)の一人だ。

 再試験の前に受けた補習授業は、正直二度と受けたくない……

 新設される旅団"決闘者巡礼団(デュエリスト・ピルグリム)"の発足に先立って、卒業の証として卒業生全員に一枚のカードが渡された。

 特徴的な眼の装飾が施された黄金の箱の絵が描かれたカード。

 聴講生の砂の国から来た男によると、砂の国ではわりと一般的な魔よけの紋様らしい。

 効果は……結構クセがあるが、あの嬢ちゃんの授業を受けた後である俺たちみんな『なんか悪さできそう』と感じてるだろうと分かるのが、教育されてんなぁ……

 わざわざ"手放すな"って警告するくらいだから、何枚もあったら悪だくみする奴が出そうなのも分かる。

 ま、これまで必死に授業を受けてようやく手に入れた公認決闘者(デュエリスト)の証でもあるんだ。

 手放すなんて考えられんがね!

*1
アルカナ ナイトジョーカーは自身を対象に発動した魔法・罠・モンスターの効果を、同じ種類のカードを捨てることで効果を無効にできる。




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