異世界で広まる遊戯王   作:決闘者

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ボーイ……光のデュエルを……!

 街に続々と決闘者(デュエリスト)候補の自由戦士の方やジャッジ見習いの神官さんたちが集まり、無事に決闘塾(デュエル・スクール)を開校することになりました。

 ……季節一つも過ぎてないのですが、動きが早すぎませんか? 

 かの栄えあるデュエル・アカデミアに倣い、生徒は習熟度別に三つのクラスに分けることにします。

 といっても原作そのままにすると神に捧げたカードの名前を拝領することになり、諸々の手続きが面倒そうなのでちょっとアレンジで。

 けっして、クラス識別のための絵だけが描かれたカードを作る時に某破壊神の証明写真がシュールだったからではありません。けっして。

 

 まず初めに全員が所属することになるウリア・レッド。とりあえずデュエルの基本が理解できれば昇格するハモン・イエロー。そして卒業までに知識と実技を叩きこむラビエル・ブルーです。

 もともとこの街に半定住していた自由戦士の方たちは軽い試験ですぐさまハモン・イエローに昇格することになり、いつぞや見たバスター・ブレイダー使いさんなど一部はラビエル・ブルーまで昇格していますね。

 レッドクラスは基本のゲーム進行の確認、イエロークラスは模擬デュエル、ブルークラスには詰めデュエルや実技・座学も予定しています。

 イエロークラスの模擬デュエルの相手には遊び足りない孤児院の子たちを当てたりするつもりなので、真面目に学ばないとプライドがやすりにかけられるでしょう。

 さあ、早速ブルークラスの講義の準備をしましょうか! 

 記念すべき第一回の講義の内容は『【最強サイクロン】の誤りと永続魔法・罠』ですよ! 

 

 

 

 

 

 

 子供たちの算数教育と決闘塾(デュエル・スクール)講師の二足のわらじを履いて忙しい日々を過ごしているのに体調はカケラも悪くなることなくピンピンしている私は部屋で今後の事を考えていました。

 イエロークラスとブルークラスの人数も順調に増え、真面目に学んでくれるのは嬉しいのですが、やはり決闘塾(デュエル・スクール)内だけでは決闘(デュエル)の内容が偏る気がします。

 考えてもみなかった相手との決闘(デュエル)……いわゆる【地雷デッキ】と当たるような状況も経験してもらわないといけません。

 そこで、院長先生にお願いして、街ぐるみでの文化祭兼決闘(デュエル)イベント『七星祭』を企画してみました。

 決闘塾(デュエル・スクール)の生徒たちには実力で選ばれた七人の代表者『セブンスターズ』を選抜してもらい、街に設置されている公共決闘机(デュエルデスク)七か所で街の有志から選んだ七人と勝ち抜き戦をしてもらいます。

 相手をしてもらう街の決闘者(デュエリスト)有志には一つずつトロフィーとして『七精門の鍵』を持ってもらい、祭りの間に七つの鍵を集めきれば決闘塾(デュエル・スクール)側の勝利です。

 もちろん街の決闘者(デュエリスト)有志は長くデュエルモンスターズをしている古豪ですし、鍵を守り切れば個数に応じてカードと交換する約束なので真剣ですから容易には勝てないでしょう。

 それに勝ち抜き戦でデッキの相性がどれほどのものかも痛感することでしょうね。極端な話、代表者が全員【ビートダウン】だとハメられて負ける可能性もありますから。

 トロフィーである鍵は院長先生のコネで以前青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメット・ドラゴン)の彫刻を作ってくれた魔法造形師の方へ私費で依頼しました。

 ……え? どうせ開ける門もないのに鍵の形にこだわる必要があるのか、ですか? 

 こういうのは形から入るのが大事なんです! いうなればロマン、ロマンは大事! 

 

 

 

 

 

 

 私の企画した『七星祭』は街の人々にすこぶる好評で受け入れられ、街の代表の決闘者(デュエリスト)を決める戦いは熾烈を極めました。

 在野の決闘者(デュエリスト)のみならず、『祭りまで滞在するから!』と懇願して戦いに加わったシンクロ使いの某隊長さんなども居ましたね。

 ……まあ、同じく街の住民じゃないのに参加したE・HERO使いの人に惜しくも敗れたのですが。

 祭りは概ね問題なく進行し、一進一退の攻防を繰り広げた末にタイムアップギリギリの夕暮れ時になって最後のセブンスターズが七つ目の七精門(公共決闘机(デュエルデスク))にやってきました。

 

「……!! まさか、なぜ貴方が!?」

 

「さあ、決闘(デュエル)を始めましょう」

 

 セブンスターズを迎え撃つ代表決闘者(デュエリスト)最後の一人…………そう、私です! 

 前回の冬の祭礼での決闘(デュエル)大会で思ったんですけど、見ているだけってすごくモヤモヤするんですよ。

 せっかくの決闘塾(デュエル・スクール)主催の祭りなんですから、ここは出ない手はないですよね! 

 デッキパワーの調整は十分、どちらが勝ってもおかしくない程度にしてあります。

 さあ、私の【暗黒の中世デッキ】、倒せるというなら倒してみなさい! 

 

「私の先攻、現れなさい古代の歯車(アンティーク・ギア)! さらに効果で同名モンスターを特殊召喚!」

 

「くっ、本気というわけか。なら当然……」

 

「その通り。通常魔法 カード・アドバンス! 効果でデッキトップを入れ替えアドバンス召喚、来るのですよ古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)!!」

 

 立体幻影を映すための外付け魔力供給道具はそう長くはもたないので、手加減無しですよ。

 今日はドロー運が良すぎてちょっと怖いのはナイショです。

 

 

 

 

「ふう…………私の負けです」

 

「先生……」

 

 序盤は私の方が有利だったのですが、まさか二度目の古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)にリミッター解除伏せの布陣を『パワー・ボンド+サイバー・エンド・ドラゴン』で踏み越えていくとは……見事です。

 決闘(デュエル)が終わり、魔力も切れて立体幻影が消えるとワッと辺りから歓声が起こります。

 私を倒したラビエル・ブルーの生徒も、他の生徒たちに迎えられて祝福されていますね。

 これにて七星祭は終了。残念ながら街の決闘者(デュエリスト)チームには参加賞しかあげられないのですが、皆さん笑って受け入れてくれました。

 すみませんねE・HERO使いの人……行商人なのにずっと街に滞在して得られたものが参加賞とは、申し訳ない。

 しかし参加した決闘者(デュエリスト)たち皆が、敗北した者も悔しみつつ勝者を称えています。

 うんうん、祭りは大成功ですね! 来年また開催するときにはメンバーも変わっているでしょうし、今から楽しみです。

 ただ、今は勝利をつかんだセブンスターズの健闘を称えましょう。

 ええ、本当に…………めちゃめちゃ楽しかったです! (本音)

 

 

 

 

 

 

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 街から街へ流れる吟遊詩人にとって、歌うネタの新しさは死活問題である。

 その点、最近広まっている札遊び『デュエルモンスターズ』は有り難い。

 絵札の戦士や魔導師、怪物や精霊の見た目に沿ったカッコよさげなストーリーを歌えば、客はだいたい満足してくれる。

 客のリクエストで歌うこともあれば、手に入れた絵札を元に歌を考えることもあるが、これを考えた奴は一体何を喰ったらこんなものが思いつくのやら。

 風の噂でこの遊戯の発祥の地で新しい祭りが行われると聞き、お祭り需要と新たなネタを求めて決闘の街(デュエル・シティ)とやらを訪れることにした。

 そして、その地で目にした本場の決闘(デュエル)

 決闘机(デュエルデスク)とかいう魔法道具で映し出される絵札のモンスターたちが争う姿のなんと雄々しい事か! 

 これに比べれば、自分の歌ってきた創作の英雄譚など取るに足らない。

 いや、自分はいままさに、決闘(デュエル)という形で英雄譚がつづられているのを目撃しているのだ。

 祭りの最後、暮れなずむ街で行われた錆びた魔導人形のようなモンスターと磨き上げた金属のような見た目をしたドラゴンの戦い。

 錆びた巨人と三つ首の金属竜の戦いは、まるで神話の一編を垣間見たような気分だった。

 

 祭りが終わり、人々が三々五々に家路につく中で吟遊詩人はカードを手に入れる算段をしていた。

 この全く新しい神話を歌にするには、もっとこの遊戯について知らなければならない。

 学び、知り、理解し、そして歌うのだ。

 ……自らが、その神話の紡ぎ手(決闘者)となって。

 

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