夏油様に救われた日
俺の術式は、呪霊ガチャである。
率直に言おう。いらない。
だって、呪霊に対する命令権とかは特にないのである。
LRとか当てて、特級出してみ?
死ぬわ。確実に死ぬわ。
まず初回特典レア限定ガチャで死ぬわ。
そんなわけで、俺は力を封じて生きてきた。
総監部に知られたら、ほぼ間違いなく秘匿死刑だと思う。
修行をするにしたって、呪霊を倒すと呪力を吸ってコイン化してしまう。
そして、コインが貯まると自動でガチャを回してしまう。
もうダメだ、きっと俺、死ぬんだ。そう思っていた時だった。
ガチャを回してしまう前に死ななきゃ。
そうして、橋の上から飛び降りたのを、受け止めてくれたのが夏油様だった。
「どうしたんだい? 君。思い詰めてはいけないよ」
「夏油……傑? 夏油様!?」
「君、なぜ私の名前を?」
「あああああああああ! どうか! どうか、助けてください!!!! 呪霊操術なら、俺を助けられるかも知れない!!!」
「……話を聞こうか」
「お、俺は……。呪霊を生み出す体質なんです。それこそ、総監部にバレれば一発で秘匿死刑を受けるような……」
「それで自殺を試みた?」
こちらを気遣いつつも、夏油様は聞いてきた。
「は、はい。正式には、俺の術式は呪霊ガチャと言います」
「ガチャ」
「呪力を代償に、呪霊のガチャ玉を生成するのですが、満タンになると自動でガチャが引かれてしまうのです。呪力の圧縮でどうにかしてるのですが、もう限界で……」
「ふーん。一回見せてくれるかな。もうちょっと頑張れる? 人気のない場所に行こうか」
「は、はい」
俺は山の中で、人生で初めての術式を使った。
『初回限定レア限定ガチャ100連!』
やんなくていい! やんなくていいってばぁ!
あっあっあっ止められない!!
まるで決壊したダムが崩壊するように。
俺は呪霊玉をボロロロロロロロロロっと落としたのだった。
「ふむ?」
夏油様は、そのうち一つを持つと、そのまま飲んだ。
えっ 降伏の儀式省略できるの!?
「問題なく取り込めるようだね。とりあえず、大半を取り込んでしまおうか」
「あ……でも、呪霊玉はまずいって……こんな、100個も……」
「人助けの為だから」
そう言って苦笑した夏油様に、俺の脳は焼かれてしまった。
俺は確かにその時、救われたんだ。
「どうやら、君は呪霊玉を持つとどんな呪霊かわかるようだね。呪霊玉は簡易封印されているが、やろうと思えば誰でも開封できる。ただ、玉のまま保存しておくことも一応は可能、と」
「は、はい」
「コモンなら君でも危険なく祓える」
「はい」
「今まで、よく頑張ったね」
「はい。うっうっうっ」
「定期的に会おうか。君の手に余るガチャを処分してあげるよ。封じの術も教えてあげる」
「あっ ありがとうございます……!!」
俺は、号泣した。夏油様が呪霊玉の飲み過ぎで顔色を悪くしていた。
それほどまでに俺の為に頑張ってくれたのだ。
「夏油様、今、何年生でいらっしゃいますか」
「一年生だけど?」
そうだろうな。俺を助けてくれたんだから。
「天元様と呪霊操術を狙う一派がいると聞きます。どうか気をつけてください」
「天元様と私を? 何故」
「天元様は、定期的に進化しない為の生贄との同化を行います。同化を失敗すれば、天元様は高次の存在に進化し、時間をかけて呪霊操術の対象になる。それに、術式を肉体ごと奪う術式もあるのです。故に、六眼が同化の際は代々、天元様の同化を守ってきたのです。しかし、禪院甚爾というフィジカルフィフテッドの天与呪縛の術師殺しも六眼の命と天元様の同化阻止に雇われたのだという話を聞きます。今回は危ういかも知れません。天与呪縛は呪力が少ければ少ないほど強くなる術式。呪力0は無限と同じですから」
俺は一気に言って、慌てた。
「し、信じてもらえないかもですけど……」
「いや、信じるよ。裏取りもさせてもらう。そうなると、君も危ない?」
「あっありがとうございます。そうですね。六眼は懸賞金も掛けられ、監視が凄まじいと聞きます。夏油様もそれに準ずる監視を受けているかも知れません。真正面から会い続けると、俺も狙われるかも」
「わかった。その辺りについてはなんとかするよ」
「はい」
「じゃあ、強くなる為に、ひとまず限界までガチャを引いてもらおうかな」
「は、はい!」
それから、俺は夏油様の指示通り、低級呪霊は祓い、めぼしい呪霊は送る事となった。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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