呪霊ガチャで夏油傑をオトします   作:かりん2022

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鴨が鍋背負ってきた日

いい事はするものだ。

 

ある日、ふと見たら飛び降りようとしている人がいたので、咄嗟に呪霊を使って助けた。

彼の術式はガチャだと言う。

 

彼が出した呪霊玉を取り込むことに成功した。

初っ端から制限はあるものの短距離転移の術式持ちだった。

凄いな。俄然興味が出てくる。

 

「問題なく取り込めるようだね。とりあえず、大半を取り込んでしまおうか」

 

 もしかして、彼にとっては不運しか齎さない術式でも、私にはラッキーかも知れない。そう思いつつ、さりげなく呪霊玉をもらうことを告げる。

 

「あ……でも、呪霊玉はまずいって……こんな、100個も……」

「人助けの為だから」

 

 何故知ってたのかはわからないが、もしかして術式があるのを家族に黙っていただけで、いい家柄の子なのかも知れない。私への気遣いあふれる言葉に謙遜してみせると、神様を見るような目で見てきた。そうだ私は偉いんだ。

 

それから、いくつか実験をした。

正直、普通に戦っていたら厳しいだろう呪霊もあっさりと取り込めていった。

一つだけあったレジェンドレアなどは厳しかったが……なんとか取り込めた。

術式2割、特殊能力持ち4割、単純にそこそこ強いの4割だった。

なんと全く何もないのはなかった。なんに使うんだって能力持ちはあったが。

 

それもそのはず、初回レア限定ガチャらしい。なんだそれ。

取り込みすぎてちょっとくらくらするが、今日だけで楽して20体も術式持ちが取り込めた。強くなった実感がある。

試しにもう一回、二回ガチャを回してもらったが、雑魚呪霊だった。

 

「どうやら、君は呪霊玉を持つとどんな呪霊かわかるようだね。呪霊玉は簡易封印されているが、やろうと思えば誰でも開封できる。ただ、玉のまま保存しておくことも一応は可能、と」

「は、はい」

「コモンなら君でも危険なく祓える」

「はい」

 

 どうやら、なんとか大丈夫そうだ。少なくともすぐ死ぬ必要はない。私のフォローさえあれば。

 

「今まで、よく頑張ったね」

「はい。うっうっうっ」

「定期的に会おうか。君の手に余るガチャを処分してあげるよ。封じの術も教えてあげる」

「あっ ありがとうございます……!!」

 

 玉木は号泣した。彼は玉木 実籤という名前らしい。変わっているがいかにもガチャ好きらしい。え、お父さんがガチャ狂い。ああ、そう……。

 とにかく、呪霊を貰えて感謝されるのだから悪い気分ではない。

 そうとも、私は玉木を助けて、まずい呪霊玉を飲んだのだ。えらい。

 

「夏油様、今、何年生でいらっしゃいますか」

「一年生だけど?」

 

 様付けしているけど、君の同級生だよ。

 玉木は、意を決した様子で忠告してきた。

 

「天元様と呪霊操術を狙う一派がいると聞きます。どうか気をつけてください」

「天元様と私を? 何故」

 

 天元様といえば、呪術界の超VIPじゃないか。

 

「天元様は、定期的に進化しない為の生贄との同化を行います。同化を失敗すれば、天元様は高次の存在に進化し、時間をかけて呪霊操術の対象になる。それに、術式を肉体ごと奪う術式もあるのです。故に、六眼が同化の際は代々、天元様の同化を守ってきたのです。しかし、禪院甚爾というフィジカルフィフテッドの天与呪縛の術師殺しも六眼の命と天元様の同化阻止に雇われたのだという話を聞きます。今回は危ういかも知れません。天与呪縛は呪力が少ければ少ないほど強くなる術式。呪力0は無限と同じですから」

 

 玉木は一気に言って慌てた。大量の情報を咀嚼する。

 なんだか大変なことを言われた気がする。

 悟、そんな役目を負ってたのか……。となると、悟がいる=天元様の同化時期が近いのか? 同化阻止のために雇われたって、相当近いよな。フィジカルギフテッド、0と無限は同等、か……。

 私も関わってくるというのなら、私にも何かできないだろうか。

 天元様の同化が阻止できたら、次は私なのだ。

 

 ……悟は、私が呪霊操術だから、守るためや監視の為に近づいた、とか? 今までのが演技だあったとか? いや、それはないと思いたい。

 

「し、信じてもらえないかもですけど……」

「いや、信じるよ。裏取りもさせてもらう。そうなると、君も危ない?」

 

 呪霊操術が狙われるのなら、彼も狙われるだろう。この術式はセットで役立つものだ。

 

「あっありがとうございます。そうですね。六眼は懸賞金も掛けられ、監視が凄まじいと聞きます。夏油様もそれに準ずる監視を受けているかも知れません。真正面から会い続けると、俺も狙われるかも」

「わかった。その辺りについてはなんとかするよ」

 

 とても詳しそうな子だけれど、一度も呪霊ガチャを試したことがなかった事から、没落して今は一般家庭とかの名家の子なのかな。

 一応、素人と思って一から教科書を送ってみようか。

 とにかく、私は戦いがあるのならと、限界までガチャを引かせてもらった。

 

 具合は悪くなって、帰った後で悟と硝子に心配されたけど、誤魔化せはしたと思う。大量に呪霊を得たから、戦略を組み立て直さないと。

 おっと。

 

「悟」

「なんだ? 傑。大丈夫か? 水飲むか?」

「君は、私が呪霊操術の持ち主だからよくしてくれるのかい?」

「はぁ? ……なんか吹き込まれたのか?」

 

 最初、訳がわからないという顔をして、その後嫌悪感と怒りを表した。

 これは違うな。失礼なことを聞いてしまった。

 

「いや。違うんだ。六眼の果たしてきた役割を聞いてね。私のことも気にしてくれてたのかなって」

「なんだよそれ、役割ってなんだよ」

「え?」

「だから言ってみろよ」

「天元様の同化の遂行……?」

「天元様が誰だよ」

「ええ? いいよ、悟のその反応で出鱈目だってわかったから。怒らせついでに聞いていい?」

「なんだよ。まだなんかあんのかよ」

「術師殺し、フィジカルギフテッド、禪院甚爾。知ってる?」

「そいつがなんかしたの」

「いや。そういうわけじゃないけど」

「調べとく。っていうか気を使うってなんだよ」

「いや、おとぎ話で、天元様と呪霊操術の持ち主を狙う悪の組織をやっつけた六眼の話を聞いたんだよ」

「悪の組織がなんだよ」

「御伽話にそれ、気にする?」

「あー。それも含めて調べておく」

「出来ればこっそりだとありがたいかな。その御伽話、外部に出しちゃダメなやつらしくてさ」

 

 それからしばし。

 悟は、私の部屋に来て、ゲームをして、ゴソゴソと何かを壊してから、映画を流しつつ一緒のベッドに入った。

 私も眠い。眠いが、悟は布団の中で、ボソボソと話しかける。

 

「なぁ。お前、狙われてんの?」

「え? 私、狙われているのかい?」

 

 えっ ここから密談。私は眠いよ。

 

「お前が言ったんだろ。天元様と呪霊操術の持ち主を狙う悪の組織って。先代の六眼の任務に天元様の同化の協力があったんだよ」

「それ、代々の六眼のお仕事らしいよ? 裏取りはできてないけど……禪院甚爾が同化阻止を企む団体に雇われたから気をつけろって。後、君は懸賞金とか掛けられて狙われてるからって」

「マジでか。え、その組織が六眼を狙ってて懸賞金が掛けられてたわけ?」

「みたいだよ。……ねぇ、君が同化遂行依頼を受ける時、私も手伝わせてもらえないかな。君の力になりたいんだ。その組織、私も狙ってるんだって。肉体ごと術式を奪える術式があるからって。嘘とも思えないんだよね」

「情報源寄越せ」

「その子、事情があって秘匿死刑になっちゃう術式らしいから会わせられないよ。私の術式も本来はそうなんだろうね。悪用されるより前に処分していた方がいい人間」

「させねー」

「……頼りにしてるよ」

 

 そうして、私は眠ってしまった。

 でも、監視されてるって大変だね。

 

 

 

 

 

 

 

 えっ!? まさか、悟、盗聴器壊してた!?

 私の部屋、盗聴器あったの!??

 

 そして、私と悟が一緒に褥を共にしたという噂がそこはかとなく流れていた。

 

 誤解が広がっているあたり、悟が盗聴器を壊してからは様子を伺えてないらしいな、と悟は安心していたが、私はちっとも安心できないよ!




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