スキマに愛された大尉という人間について   作:回忌

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不死人のキモ

何度でも殺すしかない

俺は彼女が生き返る様子を見ながらそう思った

永遠に、とまでは行かないが本当に何回でも殺すしかない

逃げるという手もあるがまだそこまで追い詰められた訳でもない

 

殺す手段はゴマンとある

 

尚、相手は無限に生き返るので意味が無い模様

 

まぁ、それに関しては置いておこう

 

「この業火は熱いだろう!?」

「熱気が凄まじいな、当たりゃ灰だ」

「軽々と避けながらよく言える!」

 

手からぽぽぽぽーんと火の玉が放たれる

それを避けた後に見てみれば着弾すると火をまき散らし、その場にクレーターを作る

当たれば体が砕けるとかそういう次元では無い、死ぬわ普通に

 

あヤツこちらが普通の人間だと分かった上でか…?

それ程までにこちらを殺したいんですかそうですか

 

ならばこちらもお返しするというのが礼儀というもの

 

手のひらに大きな火球をつくりだす

 

「返すぜ」

「要らん」

 

んな殺生な、受け取ってくれよ…

軽々と避けられたそれに落胆しながら大剣で切りかかる

こういう戦闘は慣れているのか分からないが、時折攻撃が当たる

 

戦闘スタイルがそういうものなのだろう

先程から拳に交えて炎を放ってくる

 

おそらく、あのお姫様との戦闘時には肉体攻撃しかないのだろう

己の体でボコボコにするのが1番か

 

なるほど分かった、それがお前の流儀か

 

「まぁ知らんがな」

「話にまとまりがネェ…」

 

なぜだか彼女は困惑した顔をしていた

どちらかと言えば諦観か?まぁいいや

何を諦観しようと俺には関係ない話なのだから

 

「アンタは本当に読めない奴だな!」

 

そう言いながら奴は火柱を地中から吹き上げてくる

熱い、先程の火球よりも凄まじい熱気だ

あちらも凄いがこちらは骨すら残らないことだろう

 

その中を突っ切る

時折ある岩場を足場とし、あちらこちらに飛来しながら接近する

その様子はやつから見れば人では無かったのだろう

 

「…ッ、お前本当に人間か…?」

「黙れ蓬莱人風情」

「なっ」

 

やつの懐に入り込み、そこからかちあげるように大剣を振るう

すると簡単に奴は上半身が縦に真っ二つにされる

そこからぐるりと体を回して横から大剣で叩き切る

簡単に奴は十時に切られた

 

天狗の大剣というのは見た目にそぐわず軽く、その上に斬る力は普通の大剣と変わらない

この軽さが俺が愛用している理由でもある

あまりに重いと長距離移動や持久戦で不利になるのがこっちだからだ

 

ただ、長引く系では大体こちらが負けるのだが

 

そう思うと妖怪の特筆すべき点として上げれるのが体力の多さだろう

化け物らしく、ほぼ無限の体力を持っている

デフォルトの状態で人間を遥かに上回るスピードで襲いかかる

そしてそのスピードを維持できるアホのような体力

 

この上当てても再生能力を普通に持っているのだからシャレにならない

本当に死ねばいいのに、妖怪が

 

「ふん」

 

ガァンと少し離れて大剣を地面に突き刺す

そのまま俺は少しだけ大剣によりかかった

 

どうせ蘇るのは分かっている

あのまま串刺しというのも良かった

ただこの大剣を使いたくは無いし氷はやつの炎の前には溶けてしまうだろう

 

何回かぶちのめしたら帰るか

どうもそんなに復活は早くないらしい

 

「まーた死んじゃった」

 

死体から炎が吹き上げ、そこから蛹から蝶が羽化するように奴が出てくる

何ともまぁ便利な体である、俺がつけた傷さえ治って出てくるなんてよ

これは確かにかの時代の人物は見た目だけであっても卑下するだろうな

 

「死に損ないって何回か言われたことあるだろ?」

「もう聞き飽きたね」

「じゃ、さっさと死ねよ死に損ない」

 

今死んでもこいつには「短い永遠の命」という皮肉は言えないだろう

輝夜と因縁をつけているのなら凄まじく昔から生きてきているということだ

そんな奴にそんな皮肉を言っても意味が無い

 

本当に、なんの意味もない

 

「こっちも死にたいんだよ!」

 

死ねないやつが死にたいと言いながら炎を纏って拳を振るう

見た目が酷い、どういうことになったらこうなる

こいつに銃を使えば何回でも二発三発で殺せるが蓬莱人となればそうはいかない

 

全てただの無駄弾と化してしまう

腐りきった死体に八つ当たりのように撃つだけになるだろう…

 

 

 

 

そう思うと、こいつはきっと中身は空っぽなのだろう

今までの人生を輝夜への復讐に使い、今も尚、ただ殺しあっている

そんな奴が空っぽじゃない訳が無い

 

そんな奴、全部、全部、空っぽだ

 

「実を言えば、俺はあんたの不老不死を羨ましく思っている」

 

やつの拳をいなし、脇腹に肘を打ち付ける

肋骨の折れる鈍い音が辺りに響く

 

それと、伽藍堂な声をした男の言葉も

 

「人間ってのは枷の中で生きている」

 

折られた恨みか、直ぐさま蹴りを放とうとする

しかし、それをするりと横に避けて今度は顔面に叩き込もうとする

蓬莱人と言えど痛みはあるのかそれを彼女は躱す

避けたところに足払いを放つ

 

奴はコケた

 

「寿命という枷の中で生きている」

 

大剣で思い切り胸を両断する

体を斜めに真っ二つ、血がどくどくと流れる

 

しかし、彼女はまたしても蘇る

切断面が炎を覆われ、消えればそこには柔軟な肌があった

いくら傷を付けようとも、殺せばまたそんな肌があった

無限に落ちていく石を同じ速度で追いかけているような気分だ

 

「俺は枷ってのが嫌いでな」

 

俺は枷というのが嫌いだ

制限というのもが嫌いで、縛られるのも嫌いだ

古くからの縛りに囚われるのも嫌いだ

 

そんな思いを込めながら降ってくる炎を両断する

彼女はこの演説のような会話を黙って聞いていた

 

特に何かを反論することも無く

 

「しかしそれでも寿命という枷は越えられない」

 

それを超えてしまうということはヒトを辞めてしまうということだ

200、300生きてしまえばそれは人間じゃない

 

 

妖怪(ひとでなし)

 

 

後ろに引きながら火炎を噴射する

いつの間にか開けた竹林から入り乱れた竹林の中へと戦闘は変わっていた

大量に生える竹を身隠しに使いながら戦闘を続行する

 

「そこを軽々と越えられたあんたに敬意すら覚えるよ」

 

無機質な声が響く

妹紅は手を横に振るう

すると火炎が竹林を薙ぎ払う

 

「かかった」

「!?」

 

彼女は足に違和感を感じたのもつかの間、その一瞬をつかれ、蹴飛ばされる

どうせ立ち直ると思っていた彼女は…

 

立ち上がることが出来なかった

 

「あぁ…?」

 

足が地につかない、ずっと浮いている

何が起こったのか?

 

ふと、腹を見るとそこから竹が生えていた

いや、己の体を後ろから貫通していたのだ

 

「いつの間に…?」

「俺がやった訳じゃねぇな、そんな"罠"を仕掛けた思いも無い」

「罠…だと…!?」

 

彼がガチャリと銃を取り出す

なんとかここから逃げようとするが足が届かないせいで上手く力が入らない

つま先立ちではどうやろうとも大きな力は出せなかった

 

「あばよ、久々に竹林探検でもするんだな」

 

ズガンとm1911が火を噴く

その弾丸は固定されていた留め具に寸分の狂い無く命中する

既に十分しなっていた竹は元の場所に戻ろうとグィンと曲がっていく

 

 

 

 

「ああああああああぁぁぁ!!!」

 

 

 

横からのフルスイング

すぽんと良い音がした後、竹林をなぎ倒す汚い音が次々に聞こえてくる

ごっしゃんがっしゃんももう聞くに絶えない音だった

暫くした後に聞こえてくるのは、元の位置に戻った竹から零れる血が地面に落ちる音だけだった

 

 

 

「先延ばしって言葉はいいよな、どんな言い訳にもできる」

 

 

そう呟きながら彼女が吹っ飛ばされた場所とは反対の方向に向かう

あっちは永遠亭だ、今からどうせ治療してもらえるだろう

 

もしくは、輝夜姫に構ってもらえるだろう

 

どちみちにしろ感謝して欲しいものだ

 

 

 

 

 

 

 

 

まったく、妖怪というのは…

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