スキマに愛された大尉という人間について   作:回忌

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おや?白狼天狗の様子が…

「そういえば、なぜ頭に鴉を乗せているんだ…?」

「…あぁ」

 

外に出るまでの廊下、私はふと思ったことを青年に言った

先程会ってからずっと頭に鴉が乗っている…

どれだけ揺れようとも全くバランスを崩さず、乗っかっている

 

――どこかで見たことある気がする…どこだっけ?

 

「何故か懐かれてしまって…」

「…上と絡むとろくな事は無いぞ」

 

実体験である、上と絡むと本当にろくなことは無い

鶏みたいにこくこく頷き適当にしてたらそれもそれで後がない

どうにかして逃げるのも出来るが、山を離れた天狗にできることは少ない

 

…そもそもあるか?

 

「そんなにですか?」

「そうとも、だから上と仲良くするのは止めておけ

 …少なくとも私は関わりたくは無い」

 

あんな性根の腐った奴らと関わりたくない

先程も言ったが変に気にいられると後々面倒だったりする

 

んだこの組織、半端だな(半ギレ)

 

「しかと心に刻みます」

「いやそこまでしなくても…した方がいいか(脳死)」

 

何だか考えるのが億劫になった

割とそこまで心に刻む必要はないのだが…片隅程度で良いと思うんだが…

 

ま、まぁ、言ってしまったからには仕方ない

 

それに、そんな会話をしていると既に外に出ていた

冷たい夜風に吹かれて盾を持ち直す

 

そろそろ、秋に入り込む

 

その先の冬に向けて防寒対策はしっかりとしないとな…

 

「隊長、侵入者が四人…始末しました」

「わかった…直ぐに行こう、増援が来る」

 

護衛の兵士達が待ちくたびれたように立ち上がる

彼の言うとおり4人の死体がある、奴らの装備だ

見つかったのか、さっさと――

 

そこで、私は違和感に気付いた

 

「…待て?」

 

"潜入者"を守るように少し下がる

多少の違和感が線を繋ぎ、恐ろしい事実を伝えている

 

…なぜ、その服は"返り血に塗れている"?

 

…なぜ、その地面に"四人分の死体"がある?

 

これらはまだ、その侵入者を始末したから、で済む

しかし、どうあがこうともそれを否定する事実がある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――何故、この四人は妖力では無く、"霊力"に満ちている?

 

 

「誰だ貴様ら――」

「お前ら大事なところで…」

 

後ろから拘束される

振りかざした大太刀が手をひねられ、簡単に地面に落ちる

ならばと肘打ちをしようとする…が相手の方が上手だった

 

「眠っとけ」

「――!、!!!」

 

鼻と口を覆うように布が被せられる

…ここで彼女ら特有の、獣人らしい嗅覚が仇を成した

あまりに鋭い嗅覚はそれをなにか理解し――吸引する

 

「――!…!…、………」

「流石獣人…直ぐに寝れるな」

 

即効性のある睡眠薬品をかけられたハンカチ

妖怪には効かないのが大半だが、1部の獣人はまた違う

 

知覚過敏、の類似的な現象が起きる

 

彼女は、それに抗うことは出来ずにまどろみの中に落ちていった

 

 

「やーれやれ…」

 

寄りかかってきた犬走椛…とか言う奴を壁に寝かせる

あそこで見抜かれるとは…いや、人目見た時からアレ?とは思ったが…

 

…さて

 

「お前らそんなので山行けるのかよ…」

「い、今のは"反転"の能力を使っていなかっただけです!」

 

若い兵士がそう言った

多分、こういう任務に慣れていないんだろう

肩が僅かに震えているのがわかる

 

…いや、今ここでやるべき事じゃないか

 

「分かった、取り敢えず仕事に取り掛かってくれ…」

「りょ、了解です!」

 

彼がそう言うと、急に「PON☆」と言い出す

すると4人の霊力があっという間に妖力に変わっていった

目の錯覚か、頭のケモ耳が動いているように見える

 

「では、"潜入者"さん」

「予定通りな」

 

四人に連れられ、"潜入者"が飛んでいく

月に照らされて天狗装束がよく見える――なんてことは無かった

あんな白い服装なのに直ぐに溶け込めるの凄いなぁ…

 

「…ふむ」

 

俺はふと、寝ている白狼天狗――椛を見た

安らかな顔でスースーと寝息を立てている

時折動く獣耳がなんとも言えない感情を現す

 

――どうしよう、こいつ

 

実を言えば今この敷地にいる敵性存在はこいつだけなのだ

こいつが捕虜を取りに来る時に天狗達は血祭りにされている

割と派手にやり合ったらしいので騒音が来なかったのは不幸中の幸いか…

 

「うぅー…――ガルルルル」

「犬かな?」

 

いやオオカミらしいんだが…

白"狼"ってつくくらいだからな…

 

「なーどうすればいいと思うー?ピー助」

「カー――カ"ーッ"ッ"ッ"!!!」

 

もう扱いに困ったのでピー助(現在命名)にきくことにした

"そうだわねぇー"と悩んでコンマ零秒、めっちゃつつかれた

痛い痛い!めっちゃ痛い!本当に痛いから!

"誰"が"ピ"ー"助"じ"ゃ"あ"あ"あ"あ"ッ"ッ"ッ"!!"って範〇勇次郎ボイスでキレてきた!

怖い!こんな声して女の子とか怖い!妖怪死ね!(責任転換)

 

「分かった!ピー助!ペットショ――痛い痛い!」

「カ"ー"ッ"!」

 

"WRYYYYYY!!!そいつはハヤブサだマヌケがァーッ!"

そいつはハヤブサだって?ご名答だよ!

ていうかまた声変わった!メイド…じゃなくて吸血鬼になった!

めっちゃ痛いから!凄い痛い!変に傷増える!

 

「分かったピー助!鵺とか…イダダダダダダダ!」

「カ"ア"ァ"ァ"ァ"ーッ"ツ"!!!」

 

"ぶち殺すぞクソガキィッ!!"って言われた!怖い!

確かにお前からしたらガキだよ俺ェェェェェ!!!

 

「わ、分かった…じゃあ!ブルートゥ――」

「(無言ガチタン)」

 

"様子のおかしい人"って!ひどいです!ご友人!お許しくださ――

 

 

「…う、ぅぅん」

 

起きると、見知らぬ天井だった

ベッドの感触が自分のものより固い、ここは自宅じゃない

 

――あ

 

「ここは――ッ!?」

 

飛び起きようとした瞬間、ガシャンと鎖の音が響いた

足と腕が引っ張られ、ジンジンとした痛みが響いた

 

「起きたか」

「!」

 

状況が把握出来ないでいると、横から声がした

こちらを向いての声ではなくどこかを向きながらの声らしい

 

そちらの方向を向くと、鴉に何かを伝えている男が居た

 

 

肩にあるエンブレム――EEF…

 

 

もしかして、ここは敵陣のど真ん中なのだろうか

そうとしか考えられない、他に可能性がない

点基地か、別の基地か――本拠地か?

 

「…射命丸にな、頼むぜ天城」

「…!?」

 

気になる名前を鴉に言ってその子を飛ばした

…今思い出したがあれは射命丸の天狗だ!

どうして今の今まで気づかなかったのだろうか…

 

「さて」

 

彼はこちらに向いた

その顔には見覚えがある、何せさっき見た顔だからだ

 

「…あの時、全員グルだったということか」

「そうだ…あー、風走椛?」

「犬走です」

「風走、お前は運がなかったんだ」

「犬走です」

「風走、あの時いたお前の中はいくつだと思う…ゼロだ」

「犬走です」

「風走」

「犬走」

「風」

「犬」

 

なんか気が合いそうな気がしてきた…

い、いやそれどころじゃない、これ遊ばれてる!

飼い主が犬をあやす時みたいに遊ばれてる!

 

「そうかぁ…犬かぁ」

「そうです、犬です」

 

私がそう言うと、彼は少しばかり悩んだ顔をした

数秒した後に彼は何かを思いついたのかこちらに顔を向ける

 

「わん!わん!がるるるー、わんわん!わーん!」

「…???」

 

何してるのこの人(大困惑)

急に真剣な顔で私にわんわん言ってきた…

え?私にそんな趣味は無いですよ…多分

 

いやいや急にどうした!?

 

「あ、あの」

「わん?」

「どうして急に犬語に…」

 

至極真っ当な質問

話し合っていたやつが急に犬になったらそりゃ聞くよね

 

――聞くよね!?

 

 

 

それに対して、彼はニッと笑う

 

 

 

「天魔の"犬"と喋っていますが何か?」

「――(プッツーーーン)」

 

殺すぞガキ(豹変)

まさかここまで遊ばれているとは思わなかった

殺意のあまり思い切り鎖をネジ切ろうとするが何かの術があるのかちぎることが出来ない

 

「…御託はここまでにしよう」

 

彼は今までの茶番を切り捨て、こちらに顔を近づけた

 

頬の切り傷が目立つ、抽象的な顔

私から見て右にある眉毛上のホクロさえなければ美顔だ…

 

 

 

 

 

 

「お話でもしようじゃないか、犬走椛」




とは言えど拷問したらしたで後々噛み合わないんですよね
可哀想は抜けないとも言うし?(逃避)

てか何気にピー助と大尉の下り原作通りだな
"レイヴン"と"スロー♡スロー♡クイック♡クイック♡スロー♡"、意図的じゃないんだがなぁ

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