「―――きろて…―――て」
「…」
「起きろって言ってるだろこのスカタン!」
「アバーッ!?」
気持ちよく寝ていたら叩き起された
なんだ?なんだって言うんだよ
「…」
起き上がり、戦闘態勢に入る
俺を蹴飛ばした奴の正体は目の前にあった
身長は2m程、和服美顔の銀髪ロングだ、肘くらいまである
あとケモ耳尻尾を生やした獣人だ
ただ、尻尾の先や耳の先が月光に染まっている
どうも通常の獣人とは違うものらしい
「お、起きたなぁ、おい寝坊助!気分はどうだ!?」
「…十分だ」
ガハハと笑いそうな口調で彼女は言ってきた
それさえ無ければ割と良物件な気がする
…妖怪な点を除けばだが
「聞いてくれよー久しぶりに起きたらなぁ
拘束されるわ変なTシャツヤローに拉致されるわで大変やったんやぞ
ほら!私を褒めろ!褒め讃えろ!むしろ褒めて!」
「…ヨカッタネ」
成程そう言うタイプですか、姐さんですか
俺はお前よりかまだ紫かなぁ…
凄い残念美人だよこの人、えぇ?
…いや紫も無いが
「まぁ、さ?アンタ私を取り込んで力を得たいんだろ?
そうだろ双星君?」
「…アンタを取り込むのか?あとなぜ名前を知っている」
俺の答えに対して、キョトンとした顔をしたが、その後大爆笑を始めた
なんだ?こいつの行動が予測出来ないぞ?
あまりに紫に慣れすぎたせいでこう言う単純なのに苦手になった…
「いw、いや何w、変Тから何も聞かされてないんだなってよぉ
くくくく…笑っちまうぜ!」
「へカーティアが…?」
彼女は笑いを抑えながら言葉を続ける
俺は困惑しながらM500を向けていた
「わたしゃこの月光狼の相続者
つまるところ受け継いだ女って感じだ
私が他人に力を渡す術は無い
そこで唯一ある渡す方法が決闘さ」
「なんで決闘なんだ?」
「…こいつはあんたが分かってないのか?
それともお前らへの説明が必要か?」
まぁいいかと彼女はため息をついた
説明を彼女は続ける
「月光狼の使命は調律者であること
歴代にゃ使命ホおってたヤツも居るしあんま関係ないかもね
あたしゃ、ちゃんと守っていた
…決闘しなきないけないのは先代より強くなきゃダメだからだ
挑むやつを弱いって言ってる訳じゃないんだ
決闘で負けた方が力を渡し、勝った方が受け継ぐ」
「…だから俺と決闘を?」
「おん、そういうことだ」
彼女が指を指すと上空から大量の武器が降り注いだ
見たことあるものから伝承のものまで、大量だ
武器マニアがいれば飛びつくような光景だろう
「…そういえば」
「んー、なんだい」
"既に決めた"武器を手に取り、俺は彼女に問いかけた
かなり手に馴染む、前に持ったものより手に馴染むんじゃなかろうか
「お前の名前が知りたくてな」
「今はグリーンだが、レッドフードとでも呼んでくれ
この体は借り物じゃない、すぐにあんたとは別れそうだ」
彼女はそう言うと、バレットM82をがしりと握り、構えた
和服にバレットはあまり似合わないものである
「…真似か?」
「ん?アンタが真似したんじゃ無かったっけ」
緑の閃光と、銀の閃光が交差する
〇
寒い
そんな感情が心を支配する
辺りにビュウビュウと雪が降り注ぐ
どこだか分からない説限で、俺は歩き続けていた
「…はーっ」
口から白い息が漏れ出る
体が動くのを拒否するが、それでも足を動かす
ここがどこか、分からない
いつも通り刀を振り、剣技に夢中になっていたらこんなところに来ていた
あの…妖忌の爺さんの姿も見えないのだ
完全に迷った、遭難した、雪山を舐めていた
「…はーっ」
白い息が漏れる
そろそろ、限界だ
これ以上何も無いと、凍え死んでしまう
「…あれは…?」
神は俺を救ってくれたと、今でも思っている
後に、EEFの"ロングソード"と言われることになる男
もしここが、人里ならば、また運命は違えたかもしれない
〇
「…"マッドネス"?本当に成功するのかい?」
「勿論しますとも、私にミスなど一つもありません」
とある地下にて、2人の人物が話をしていた
片方は大尉に八重と言われていた男
片方は白衣を纏った研究者に見えた
そして、2人の前にはあるものが鎮座していた
「貴方の目に狂いは無いのですね?」
「勿論、あの子供は確実に天才だよ
あんな天才は見たことがない、きっと、名を轟かせるだろうね」
八重はそうですか、と返す
そして、なにかのスイッチをカチカチと推していく
「失敗したら非難轟々ですよ?我々は」
「君も共犯だろう?ならば笑顔で協力したまえよ」
機械がゴウンゴウンと動く音が響く
がちゃんとライトがその物体に照らされる
それは、液体の満たされた水槽のようだった
SFや未来の映画でよく見る、培養のケースの様だ
その中には、ひとつの生物が居た
健康的な、人並みの肌色
年齢は凡そ16か17程と推測できる顔つき
少しだけ実った、若い女性らしい乳房
胎児のように、それは丸まっていた
確認するように、八重は言った
ケースの中の彼女を、まるで実験のマウスのように見ながら
「…博麗霊夢の遺伝子で本当に最強の人間が作れるのですか?
そもそも"デスストーム"に間に合うのですか?」
「間に合うとも、そして作れるとも
何人でも、何体でも…
大尉だったかな?彼が生きているならば、彼の遺伝子も欲しいね
"ファイガ"が機械の兵士を作ったりしているが信用ならん
機械人形や戦闘ロボより、こっちの方が確実じゃないか」
ヒヒヒ、と狂気的な笑いが響く
それをまるで日常のように八重は流したのだった
次の小説
-
キヴォトスに霊夢が来る話
-
幻想郷が現実世界に攻め込む話