スキマに愛された大尉という人間について   作:回忌

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運命

「天狗共の出す風が厄介だな!」

「全部斬れば同じだ」

 

妖怪の山の麓

そこでは歴史に残るような戦争が起こっていた

 

長刀を振り、天狗共を裂く刃

嵐が吹まわり、木の葉のように飛ばされていく兵士達

 

現世に現れた地獄

 

それが今の状況だった

 

「撃て!」

 

迫撃砲による攻撃やAC130の支援攻撃で天狗共が木っ端微塵になっていく

しかし、相手もやられるだけでは無い

 

河童達の水圧カッターや近接戦で兵士がゴミのように蹴散らされる

 

しかし、それでも一瞬で戦闘は終わらない

 

「攻めろ!奴らとで無敵じゃない!」

「ァァァアアアア!!!」

 

人とは思えない怒号が響き渡る

皆恐怖が消え失せて、攻める気しか無いのだ

こいつらは無敵では無い…それだけ救いだった

 

「ま、待て!」

「しねぇえええー!、!」

「殺せ!ぐちゃぐちゃの肉片にしてやれ!」

 

囲んで、殴って、突き刺す

一体にそんな労力をかけていられない

ただ、殺すにはそんな手段くらいしかない

 

天狗達は少しづつ、着実に押されていた

 

彼らは信じられなかった

自分たちが人間に押されているなんて

 

「アイツらはただの人間だぞ!吹き飛ばしてしまえ!」

「伏せろ!」

「ぁああああああああああああ!!!」

 

人が簡単に死ぬ

四肢がもぎれて、ちぎれ飛んで…

 

しかし、それは"マシ"な方なのだ

 

1番惨いのは、死にかけの淵に立たされることである

 

「う、動けないんだ、だれか… だれかたすけて…」

「なぁ、俺のめだまをしらないか…おとしちまったんだ…」

 

内蔵を零れ出して、動けなくなった者

両目がえぐられたように無くなって、探し求める者

四肢がちぎれたまま放置された者

 

惨い事だが、これが戦争だった

 

 

また、多種多様な死に様もある

 

木の枝に突き刺さった者からバラバラにされたものまで…

人知の力では無い力が蹂躙してくる

 

恐怖が混み上がる

 

「あぁ畜生今回は仕事繁盛だよ!」

 

八重は助からない者は助けなかった

神がかった技術があるとはいえ目玉を接合は出来ない

ちぎれた腸を直して元に戻すなんて以ての外である

基地内なら出来るがこんな衛生最悪of自分も危ない中でやれるわけが無い

 

「全員皆殺しだ…!」

 

桜は修羅の如き戦闘を繰り返していた

長刀で奴らの首を裂き、刀で弾き返す

飛び交う嵐の中を駆け巡り奴らの首を刈り取る

これまでに天狗との戦闘は数回あったが、こうも全面戦争となるとキツイものがある

一体何体いるんだろうか、こいつら

 

 

他のEEF隊員も同じである

 

 

ただ天狗共を皆殺しにしていくのだ

こいつらを殺せばいい、その先の未来は見ない

 

 

 

 

 

 

 

ただ、それもここまでだ

 

 

「お前達の前に居るのは妖怪としての天狗だ!」

 

射命丸はそういいながら人間を吹き飛ばす

こうして人間を殺すのは何百年振りのことである

 

そもそも、妖怪としてならそんなに長い期間空くことは無い

 

天狗が保守的で縄張りに入られない限り人を殺すことは少ない

最近天狗が人を殺したのは大体反対勢力を潰すことくらいだ

 

射命丸はそれに参加していなかった

興味無かった、暇でもなかった

 

「お前、中々手練らしいな…厄介事は先に潰す︎︎」

「その言葉貴様にそのままそっくりかえしてやろう!」

 

この戦争でさえ茶番に過ぎないのだ

このくらい騒々しい口でも文句は無いだろう

天狗はこれくらい傲慢であってこそなのだ

 

「EEFの者か、見るに"ミニミ"か?」

「よく知ってやがるな、まぁどうでもいい!」

 

明らか人に向けるものでは無いバルカン砲が向けられる

良くもそんな人間の腕で保持できるものである

 

こいつが1番人間じゃないわ

 

 

 

 

 

 

「…次」

「た、助けてくれ…死にたく─────」

「なんで次代の博麗巫女がい…ぎゃあああ!!!」

 

レイムは機械のように天狗を処理していた

お祓い棒とその有り余る強大な霊力を使い、潰し、切り裂き、殺していた

 

そうしている時、変化はおこった

 

「ほう、博麗は反対組織に加わったのか…」

「…誰」

 

新たなる敵だ

青い天狗衣装、見たこともない奴

 

しかし、この圧は…大天狗か?

 

「龍田とだけ言っておく…にしても…」

 

鼻をわざとらしく突き出し、匂いを嗅いできた

そういう感情はないから、何をしているのか分からなかった

 

「…お前、博麗じゃない…しかし体は次代の者…

 一体どういうことだか?︎︎」

「話は終わり?」

 

お祓い棒を突きつける

彼女は豪快に笑うと太刀を構えた

 

「無論、終わりよ…お前の死でな」

「逆、お前の死で終わる」

 

 

 

 

ありとあらゆる所で戦闘が起きていた

 

 

 

 

 

しかし、押されていた盤面は既に消えかけていた

 

 

 

つまり、終わりが見えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間の敗北という未来が

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦車壊滅!歩兵は八割死亡!」

『こちらスポッター、天狗共に囲まれた…後は頼む』

「AC130撃墜されました!」

「相手が多すぎる!」

 

「…クソ」

 

司令官はいつもの態度を崩した

最初の勢いが無くなってきている

山への爆撃やらの効果が薄い

 

それに、河童共が対空火器やらを使いだしている

 

奇襲の被害を受けてから立て直すまでが早い

 

 

 

…これが、妖怪か

 

 

 

「…やるぞお前達」

「わかりました」

 

ヴァルキリー兵にそう言う

何をするのか察した兵士は近接武器を腰に携えた

 

周りの兵士達が着剣を始める

 

もう銃で遠くから打つ必要は無い

 

「コマンダンテ?」

「全隊突撃だ!怯むなよ、ここが正念場だ!」

 

最初に叫び、サーベル片手に走り出す

それに続いて皆が飛び出る

 

もう、逃げ隠れはしない

 

 

「人間共め…ここまでやるか」

「ただもう少しで終わりそうだぞ」

 

前線の少し後ろ

白狼達がブツブツとそんな会話をしていた

彼らは戦闘に参加したくない、言わばサボりたいヤツらである

 

私の個人的な倫理観だが、サボりは死ぬべきである

 

私はこの千里眼で敵の位置を知らせている

言わばこの山の目である存在なのだ

 

…ここにいるのはサボっているからでは無い

 

心の中で思ったことに答えるかのようにスキマがぽっかりと開いた

 

私はすぐさま地面に倒れた

理由はすぐ上を見ればわかった

 

「こんな所で会うなんてな」

「ぐ、ぐうあ…」

「お蔭さまで」

 

先程まで会話していた白狼全員を皆殺しにした男が居た

ただたいそう驚くことでは無い

 

…"大尉"だ

 

「何しにここへ?」

「吸血鬼を殺したからこっちに参戦しに来た」

 

なるほど簡単な事だった

多分本丸を潰すように誰かから依頼をされていたのだろう

スキマが閉じていくのを見ると、一体誰から依頼されたのか…分かるな

 

面倒事だな

 

そう思っていると、壁が吹き飛んだ

 

吹き飛んだ先には機械が見えた

人型の、三角翼が背中に着いた機械

 

ジェットパックを身につけた人間も見える

 

人間と機械だ、なんでそんな…

にとりの機械では無いのが分かる、あんな殺意マシマシにはならない

 

空を飛ぶ人間が声を上げる

 

「大尉、先に潜入しているとは」

「"フライトマン"と"バイパー"か、この白狼は内通者だ、殺すなよ」

 

何気に私にフォローを入れてくれる大尉に感謝する

何も言われなかったら多分殺されていた

 

コクリと"フライトマン"は頷いた

 

「了解、前線を後ろから叩く…司令官は突撃してるからな」

「分かった、"バイパー"乗せてくれ」

『コピー』

 

機械からそんな声が聞こえると、ガチャンガチャンと変形を始める

なんか外の映画にそんなものがあったような…

 

戦闘機に変形すると、大尉はそれに乗り込んだ

 

「後は自由に」

 

そう彼が言うと、戦闘機は発進していく

あっという間に見えなくなっていった

 

…さて

 

「どうしようかな」

 

自由にって言われても、これからどうしろと?

 

 

「バイパー、俺はもっと後ろから行く」

『アファーム、もう降下するか?』

「あと少しだ」

 

翼に捕まりながら俺はそう言った

戦闘機の翼に捕まりながら目標を確認するのは困難じゃない

言うてそれほど難しいことでは無いのだ

 

目視で確認できる、皆突撃しているようだ

後方から撹乱作戦と行こう

 

迫撃砲の援護が見えない…状況は同じか

 

「もういい、後でな!」

『10-4、幸運を祈る』

 

空を切り裂きながら銀の機体がすっ飛んでいく

俺はそれを見ながら上空から降下した

 

パラシュート?ねぇよんなもん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度いい天狗があるじゃないか?

 

「翼借りるぞ」

「え」

 

空中にたまたま居た鴉天狗に掴みかかる

何が起こったか分からないままのようだ

そのまま腕で心臓を貫く…まだ生きているだろうが

 

灰にならなかったので翼を利用し降下する

 

そのまま、天狗たちの前線から少し後ろを陣取ったのだった

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