スキマに愛された大尉という人間について   作:回忌

56 / 62
グッドナイト

館の中に入る

門番を死体の数だけ殴って放置した

少し後味が悪かったから…彼らの分をシバいた

…これで少しは報われてくれればいいのだが

 

「…中も中、ね」

 

壁に打ち付けられ、ナイフが無数に刺さった死体

ありとあらゆる場所に死体があった

こちらも五六人、しかしそれ以上に居そうである

 

「ああ、やっと博麗巫女が来たわ」

「遅れた気は無いのだけれど」

 

エントランスの上に誰かがいた

…メイドだ、人間っぽい見た目をした

こんなところに人間なんているんだ…少し驚いた

 

「あぁ、待ってなかったからいいわ

 丁度"掃除"︎︎も終了したし」

「人を殺すのに躊躇が無いのね」

 

彼女の服は血が一滴も付着していない

しかし、その腕には首元にナイフが刺さった死体がある

 

…なんだか面倒な能力持ちな気がしてきた

 

「…さて、最後の大掃除と行きましょうか」

「推し通るわ」

 

メイドだろうがなんだろうが関係ない

どうせ邪魔なのである、こいつは

 

…やることは変わらないのだ

 

 

「…忠告はした筈だ」

 

俺は銃を向けてそう言った

もはや虫の息となった魔法使いが倒れていた

服はボロボロで、その箒も滅茶苦茶である

 

「お…前…スペルカー…ルールを知らな…いのか?」

「通用すると?俺は…"大尉"…EEFの生き残り」

 

ホルスターに銃を戻して背を向けた

もうこいつに興味は無い…害を受けることは無い

狙撃地点からかなり離れてしまった

…あそこもかなり削れてしまったし、どうするべきか…

 

「…な、ぜ…」

 

ため息をつこうとすると、後ろからそんな声がした

俺はそちらを向かずに口を開く

 

「…忠告だ、無駄に首を突っ込まない方がいいと」

 

俺はその魔法使いに歩み寄った

落ちていたとんがりボウシの汚れを払う

 

片膝をつき、そいつに言った

 

「お前は凡夫で、ただの人間なんだよ

 少し魔術を使えて…妖精より弾幕ごっこが上手い"程度"︎︎の」

 

帽子を置き、転がっている六角形のものを手に取った

…魔力を感じる、かなり大きな魔力だ

そりゃあんなにバカスカ極太ビームを放てる訳だ

 

…納得しちった

 

裏面を見ると、隅に小さく「ミニ八卦炉」とある

誰かが識別のために書いたのだろうか

…知らなくてもいいか

 

「お前はこれからどうする?

 俺は帰った方が身のためだと思うが︎︎」

 

俺はミニ八卦炉を彼女の顔の横に置いた

これ以上会話する意味もないし、やることも無い

 

俺は霊力を展開すると、空を飛んだ

先程の狙撃地点…と同じような場所は何個かある

 

 

…ただ、近いものしかない

吸血鬼ならバレて避けられるし、なんなら殺しにくる

 

 

ならあそこしかないよなぁ…

 

 

 

 

 

他に問題は、邪魔者が入らないかである

 

 

「…うく…」

 

魔理沙は生まれて初めて挫折を味わった

これ以上動きたくなかったし、何もしたくなかった

 

…何も出来なかった

 

弾幕を放つ素振りをすると、弾丸が放たれる

当たったら死ぬから…死ぬ気で避けるのだ

どこにも攻める隙がなく、逃げ回ることしか出来なかった

彼も弾幕を放って来る、恐ろしい程の精度で…だ

 

恐怖を感じた

 

美しいとか雅とかでは無い

"アレ"にはそういった機能は無く…ただ敵を落とす為だけの物

 

そう言った感覚があった

 

 

何回も当たって、「終わりだろ!私の負けだ!」と言ってもやめてくれない

あの目は…まさに"どちらかが死ぬ迄続ける"という目

 

 

…最後には、急接近からの殴打

 

 

 

「…ぅぅうう…うぅ」

 

体を丸めた

恐怖が己を支配していた

霊夢を追って、途中で変なやつを見かけたからちょっかいをかけただけなのに

 

…怖い

 

涙が止まらない

こうしている間にもアイツが狙っているかもしれない

そう思うと、逃げなければならないという気持ちが湧いてくる

 

 

 

 

 

…同時に、逃げてはならないという気持ちもだ

 

今まで感じたことの無い程の悔しさ

恐怖と悔しさが混じり合い、解読不能の感情となっていた

 

 

 

「…いや、そうだよ、な」

 

魔理沙は立ち上がった

血の混じった唾を吐く

 

こんな所で蹲っても意味は無い

 

「………帰らねぇよ」

 

魔理沙は歯ぎしりをした

この悔しさを忘れることは無いだろう

…凡夫と言われたことも忘れることは無い

 

…絶対に

 

「…うぅ」

 

しかし、こう吹っ切れても恐怖はある

全くまだ挫折しているのだ、直ぐに再起はできない

 

…ただ、相手はアレでは無いのだ

 

 

 

「絶対…倒すぜ─────"大尉"」

 

目標が決まる

それはある意味精神的な柱にもなり得る物である

今は絶対届かないものであろうと…いつか届く

 

その日の為に────────

 

 

「あんたが驚くほど異変はスムーズに進んでいた

 魔理沙と一悶着終わってから屋敷を見れば既に霊夢とレミリアが接触していたからな︎︎」

 

「あんたがこの異変の主犯?」

「はぁい、こんにちは博麗の巫女さん」

 

悪趣味な屋敷のD…時止めメイドをシバいた先

荘厳な両扉を開くと大聖堂のような所に辿り着いた

 

ただ、そこには長椅子と聖母像は無く、玉座がポツンとあったが

 

玉座には幼い子供のような奴が座っている

その背中には翼が生えているし、目やら髪には色がついているから人じゃない

 

そもそも人はこんな気が狂ったような館に居ない

 

「この霧を消して欲しいのだけど、洗濯物の邪魔

 ︎︎てかなんで霧なんて出したのよ」

「外を闊歩し、ここを支配する為…あと消すの無理よ」

 

ため息をついた

まぁこれで消してくれるならこの異変はそもそも起こってないか…

まぁ一種の希望と言うやつである…多分

 

「…今日も長い月になりそうね」

 

霊夢がそう言って、窓を見た

ここの窓は色付きで…入る光は全て赤い

目に悪くて視力が簡単に落ちていきそうだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そう思った時だった

 

 

 

 

 

音がした

 

…そう、例えるなら何かが破裂したような────

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ…月がこんなに紅いのだか…あら?今のは────」

「伏せて!」

「え─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…常人からすれば衝撃と音が5秒以上離れていると感じる程の遠距離

 次いでにレミリアは"狙撃は直ぐわかる"︎︎と高を括っていた

 あんたは"それ"じゃない、屋敷が米粒…いや砂粒に思える場所からの長距離狙撃

 

 多分レミリアには聞こえていたが狙撃とは思わなかったんだろうな︎︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 ︎そしてあんたの弾丸はキッカリ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"銀の光"を放つ弾丸は…吸血鬼の頭部を吹き飛ばした

 

赤いステンドグラスの破片を飛び散らしながら

次の小説

  • キヴォトスに霊夢が来る話
  • 幻想郷が現実世界に攻め込む話
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。