スキマに愛された大尉という人間について   作:回忌

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ヒットコール

「…」

 

双眼鏡を覗く

放った弾丸はキッカリ吸血鬼に命中したようだ

弾丸は41cmの"銀の弾丸"である…死んだ筈だ

吸血鬼にはニンニクは効くし銀も勿論効く

アーメン詠唱だけでは倒せない…聖水は普通に効くらしい

 

12年もの年月があれば吸血鬼の弱点くらい判明する

 

公的にはアーメンも効くらしいが…多分"逃げやすく"する為だろう

 

スコープを覗く

ボルトを操作し、空薬莢をはじき出す

次の弾を薬室に送り込み…息を整える

 

スコープの中には割れたガラスと薄暗い室内だけ

貫通したので向こう側のステンドグラスが割れているのが見える

にしても暗いな、外から入ってきた明かりのおかげで多少マシだが

 

「…ん」

 

窓際に人影が見えた

誰かと思ったが、どうやら今代の博麗巫女のようだ

恐らく狙撃地点でも探りに来たんだろうか?

 

まぁそこから何かができる訳でもない

超人と聞く博麗巫女もここまで針を投げられる訳では無い

 

…彼女も人間…の筈だからな

 

 

─────これ以上見ている必要も無いか

 

俺はアンツィオを背負い、帰路に着いた

帰ると言っても住処とは言えない、ボロ屋にだが

あそこは割と気に入っているのだ

 

懐からタバコを取り出し、火をつける

このクソみたいな仕事にはタバコの苦さが必須だ

 

これがないとやって行ける仕事じゃない

 

「ふぅ」

 

俺は煙を吹く

疲れたこの体にタバコは染みる

さっさと帰ってもう寝たいものである

 

次の任務はなんだろうか

 

 

いつの間にか霧は晴れ、太陽の光が覗くいつのもの幻想郷になっていた

 

 

 

 

「…大丈夫かしら」

 

目の前の死体に霊夢はそう言った

これから弾幕ごっこ、という所でこの吸血鬼は狙撃された

窓ガラスから弾丸が貫通し…吸血鬼の頭を吹っ飛ばした

 

「どのくらいの距離から?」

 

破壊された窓ガラスから外を覗く

見えるのは霧の湖と幻想郷の景色である

こちらの方向には妖怪の山は見えないようである

 

「…あら」

 

少しの間見ていると、キラリと銀の光が見えた

何かの反射光のようである…多分あれか?

3秒程輝いていたが見られたのを知られたか直ぐに消えてしまった

多分あれだろう、そのライフルの銃身か何かか知らないが…

 

 

「にしても」

 

 

 

─────遠すぎない?

 

霊夢は心の中で少しのため息をついた

 

多分あの狙撃手とは相手をする時が来るだろう

 

相手取る時には確定で相手の攻撃が先だろう

いつ狙撃してくるのか分からない、接近しても逃げられそうだ

用意周到か分からない…実際に戦ってみないと何も

 

そこで後ろから布切れが擦れる音がした

後ろを向かずに外の光景を見る

 

「…起きた?」

「…」

 

空気が通り抜けていくような声

…声と言うよりただの響く音と言ったところか…

 

数秒、ぐちゃぐちゃと肉がかき混ぜられるような音が響く

とても効いていて良い音では無い…それが"吸血鬼の体"から発せられているなら尚更である

 

音が止むと、くあーつと背伸びをするような声が聞こえた

 

「大した再生力ねぇ」

「ちょっとやりずらかったけどね」

 

レミリアは背を伸ばしながら霊夢にそう言った

狙撃されたのが嘘のような態度である

 

霊夢は当たり前のように聞いた

 

「なんで死んでないの?」

 

悪意がある訳でもない、本当に当たり前のように聞いた

事前情報として吸血鬼は銀に弱いと霊夢は効いている

先程の弾丸…もとい窓ガラスを突き抜け、反対のガラスも突き破って行った弾丸

 

あれは銀の光を持っていた

 

確実にこの吸血鬼は死んだと思っていた

 

レミリアはあー、と言った感じになった

 

「死ぬ程苦しんだわよ?頭が吹っ飛んで体が動かなかっただけで」

「ああそういう…」

 

そもそも動けなかったようである

多分耳が死ぬほどの絶叫でもしていたのだろうか

逆に動かなくて良かったのである、ありがとう狙撃の人

 

そのまま私は聞いた

 

「で?続きをするの?」

 

"何の"とは言わない

何を邪魔されたか相手も分かりきっていることだろう

吸血鬼は頭をぶっ飛ばされようとも覚えているようである

 

「霧も晴れちゃったし、もう寝るわ…お話はまた今度ね」

「負けたからにはそれなりの…いや私が手を下した訳じゃ無いんだけど…」

 

霊夢はため息をついた

何かの歯車が一気に狂った感じがする

特にあの狙撃の瞬間…あの時から全てが…

 

 

「…あら…来たのね」

 

「…来るに決まっているぞ、お前」

 

「何かあったのかしら?その様子だと」

 

「"何かあった"だと…?お前…何も分かってないのか?」

 

「あらあら、刀を抜かないでちょうだいよ…怖いわ」

 

「あれは…■■じゃない…あれは…あれは…!」

 

「んまぁ、長生きすればそのうち見られるわよ」

 

「あぁ?適当なこといいやがって…これだから妖怪は信じられない」

 

「ああ怖い、片手間で私を殺そうとするのね」

 

「少なくとも痛い目にはあってもらう…嘘をついたぶんな!このクソアマめ!」

 

 

「いい腕だ、大尉」

「ミギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

戻ると、"メディック"が居た

何かの薬剤を作っていた途中のようだ

偽装したボロ屋でよく薬剤なんて作れるものである

…俺は細かいのは出来るが、こんなところじゃ出来ない

 

かつての反対勢力の基地は天狗により破壊された

特定はもとよりされていた、タイミングが無かっただけだろう

報復もあってかほぼ更地と化してしまっている

一応建物は残っているが崩れたコンクリートと言ったところだ

 

いやはや妖怪を相手するのは怖い

 

「ヒッ…あっ…大尉さんか…ヨカッタ…」

「お前はビビりすぎだ…」

 

ほぼ涙目になった女の子…が居る

女の子といえど、舐めてはいけないのである

なぜなら、彼女…いや"彼"こそが反対勢力の要であったのだから

 

「"ベクター"、その癖は治らないのか?」

「む、むゅりぃ…」

 

ベクター…反対勢力にて武器や食料を運んでいた女の子…オトコの"娘"

彼がいなければ反対勢力は斧や鍬で戦う必要があるのだ

故に反対勢力ではかなり重宝されていたのである

 

…ビビりなのを除けば

 

この世で類をなさないレベルのビビり、これ以上を見たことが無い

戦闘なんて論外、彼は基地の奥でずっと縮こまっていた

初対面の時に目が合って「アギャアアアアアア(SAN値直葬)」と叫ばれてビビった

メディックから"変わり者"と聞いたが…まぁ確かに変わり者だ

 

…後彼は男である

見た目は幼女のような顔に158cm程の低身長であるが…男である

こんな可愛らしい見た目で"付いているのである"

1部の性癖が狂った、そこだけ死ねばいいと思う

 

「モウムリ寝る」

 

…尚俺が一番驚いたのはこの性格で"八雲"と話し合えていることである

能力は"ありとあらゆる物を運ぶ程度の能力"…まぁ予想通りじゃないか?

ありとあらゆる故に並行世界や過去未来…もう何でもアリだ

ただ負荷がそれなりにかかるのであまり能力は使いたくないらしい

 

何故八雲がこの能力に関係してくるかと言うと、八雲が使うスキマと同じ性質を持つのだ

厳密に言えばベクターが運送の際に開く"次元の狭間"だが…

こちらはあちらのリボンが付いたような空間の切れ目では無い

もう一文字に斬られた空間の切れ目である

 

…性質が似ているせいか何回か八雲と鉢合わせることがあったそうな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふー…これで今日は終わりかな…あー、生きてる…ヨカッ────』

『おや?こんな所に人が居るなんてね…君は一体─────』

『ブゥゥウル"ル"ル"ル"ル"ル"ル"ァァァァアアアアア!!!!イヤァアアアァアア!!!ヨウカイ!

 ︎︎アイェェエエ!!!アイェェエエヨウカイナンデ!?』

『ちょ!?きゅ、急にそんな驚かなくても…おーい大丈夫かい?』

『ゴボボー!!』

『ダメそう(諦観)』

 

 

 

 

「ヒイッ」

「慣れろよ、似たようなものなんだから」

「む、無理なものは無理なんです、1回ならまだしも…」

 

彼がそこまで言うと、ひっ、とまたか弱い少女のような声が出る

君そんな可愛らしい声出してるけどEEFの中じゃ一、二番を争う害悪だからな?(敵目線)

ヒステリー起こそうものならスゴイ=ヤッカイになるからな…

 

彼は窓のある方向を指差す

そしてもはや恐怖で原型を失った顔面

 

 

「あぁ…!!窓に!窓にィイイイイ!!!

 ︎︎アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

発狂(SAN値直葬)すると、彼はそのまま自分の部屋に走り込んだ

その走力とかをまた別の事に生かせないのか…

 

「大尉、気にするな。いつもの事だ」

「まぁその通りか…」

 

最初はもっと酷かった

仕事から戻ってドアを開けば叫び声がするのだ

1回それで妖怪にバレた、彼はしばいた

 

今後同じことがないように祈る




例えればベクター君はSAN値1しかありません
命綱無しの綱渡りどころじゃありません

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