スキマに愛された大尉という人間について   作:回忌

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あ、そうだ(唐突)
投稿ペースが週一に変わります

溜め込みは…全て……尽きました…ッ!


太陽燦々

こんな小さな基地で暮らすのも慣れたものである

前迄は悲鳴とため息が交差するむさっ苦しい所だった

 

今じゃ増築もされていい具合である

 

 

…良い具合とは、前よりマシってだけの話である

あまり変わってない…部屋が増えたな程度である

β隊の生き残りによるささやかな支援で成り立っているのだ

 

彼らが生き延びてなかったら未だにこの基地はボロ屋ON悲鳴であったはずである

協力を得られて助かった…

 

「今日も資材を?」

「じゃないと何も進まないだろ」

 

ド正論

実を言えば今の俺達にはあらゆるものが欠けているのだ

…本当にあらゆるものが、である

 

銃弾も、薬も 、資材も、何もかもがないのだ

 

泣きたい

八重も薬は材料がなければ作れない

無から有を作る便利な能力は存在しない、当たり前体操だ

 

俺や他の仲間が集めてくれている

今やかの反対勢力は細々と運営されているものだった

強大な妖怪の力加減や気分で安安消し飛ばされる

見つからないように、細々と…泥を舐めながら生きている

 

それが嫌で抜けたやつもいた

かの妖怪の山での戦闘でPTSDを患い、抜けたヤツも居た

死んだやつも居た

 

ただ、それだけだ

 

それだけで俺が止まる理由にはならない

今すぐにでもカチコミに行きたい所だ

 

…しかし、共倒れや道半ばで潰えるなど論外だ

 

 

まずは力を蓄えなければならない

かつての反対組織のように、とは言わない

ただ……妖怪に対抗する術さえあれば…それだけあれば

 

それだけあれば、妖怪と戦える

銃という不完全な攻撃手段ではなく、完璧な攻撃を

 

 

……すぐに

 

 

資材を集めるのは"ビルダー"である俺にとって簡単だ

両腕が機械による義手だから、簡単に資材を持ち運べる

それを使って建築するなんておちゃのこさいさいだ

 

……ただ

 

「……」

 

ただ、個人的に……手伝ってくれる"大尉"が怖い

怖いというより気まずいというか、なんというか

 

彼、ずっと無言なのだ

 

聞いていた大尉と違う、フレンドリーと聞いたんだが?

どこぞのスキマ妖怪の如く言葉遊びがえげっちい奴と聞いたが…

俺の問答にただ「イエス」or「はい」で答えるだけだ

 

……機械か?

 

噂で戦時中には機械に人の肌を貼り付けた人造兵器があったらしい

その肌は腐らず、定期的な栄養分の補給により再生するとか。

 

彼もそれなのだろうか

 

「これだけ集まればいいだろう」

「帰投か?」

 

彼はこちらを見ずにそう言った

双眼鏡で辺りを偵察しているようだ

 

集めた資材を大体纏め、担ぎあげる

今回はこういう物を集めに来るだけだから武器は持っていない

だからこそ"大尉"に護衛を頼んだのだ、死にたくないから

 

一応名目上は"人里の資材を集める"ことにしている

 

変に疑われたくないからな

 

俺は大尉に言う

 

「あぁ、帰る……どうした?」

「……」

 

大尉がハンドサインを示す

そのサインは明らかに"止まれ"を表すものだ

俺は静かに、彼の近くに歩を進める

 

大尉がこちらに双眼鏡を手渡し、指を指した

 

「天狗だ」

 

見てみると、二三人程の天狗か槍を持って巡回していた

距離はそう離れていないが、下手に動けば捕捉されるだろう

肉眼でこの距離を捉えるという……やはり妖怪だな、奴らは

 

「どうする?」

 

戦闘に入れば間違いなく俺が足でまといになる

資材を放置すれば妨害として破壊されるし、持ちながら戦闘は出来ない

大尉は対物ライフルを持っている……3人を同時にやれるか?

 

「やっぱり逃げ─────」

 

3回の轟音

あまりの轟音に耳が死にそうだった

轟音の正体は1つ、真横で対物ライフルをぶちかましやがった大尉だ

 

「……事前に言ってくれよ」

「逃げるぞ、追っ手が来る」

「無視かよ!?」

 

文句をしれっと流して退却を提案する大尉

あまりに身勝手で疲れるぜ旦那……

 

……大尉って、こんな仲間を荒く使うっけな

 

大尉を追いかけながら、そう思ってしまった

 

 

「……死にそう」

 

霊夢は呟いた、石畳に半身を埋めながら

経緯は簡単なことで先代がいきなり来て稽古を始めたのだ

 

それも割とマジな稽古である

……いや、こちらがマジでやらないと死ぬレベルだった

 

多分あれは八つ当たりだ、己の勘がそう言っている

…いや当たって欲しくないなそんな……八つ当たりって……

 

それはそうとこの状況割と博麗巫女のピンチである

石畳にぶっ刺すレベルの攻撃とは、先代は一体何をしたんだか……

 

「よいしょ」

 

足を使い、何とか抜け出す

乙女がしてはいけない体制だったが……気にしてはいけない

 

どうせ誰も見ていないのだから

 

そうして抜け出した後、霊夢は髪を整えた

 

 

そして、横を見る

 

 

 

 

 

 

 

「…お前って親と仲悪いのか?」

「あんたには言われたくない」

 

魔理沙が引いた顔で霊夢を見ていた

恐らく先代との稽古を途中から見ていたのだろう

 

……だったらスープレックスで埋められたのも見てたよなぁ……

 

「娘を埋めるとかヤバいぜ……?」

「そらそうでしょうよ」

 

そんな親いたら普通にヤバい

虐待どころじゃないだろう……え?あの人はそれをポンポンやってた?

 

知らんわそんな事

 

霊夢はため息をつきながら本殿に上がる

喉が渇いたし、お腹が減ったので食事と行きたい

 

「私は食事を作るから、さっさと帰りなさい」

「嫌だね、私も食べる」

 

…言うと思った

霊夢は溜息をつきながらエプロンを探しに行ったのだった

 

 

 

 

 

 

 

「いただきまァーすっ!」

「頂きます」

 

居間に元気な声と質素な声が響く

霊夢が今回作ったのは質素な和風料理だった

米と塩鮭、味噌汁に五番煎じのお茶……いつも通りだった

 

しかし、魔理沙は美味しそうに食っていた

 

「あんた元気ねぇ、吹っ切れたみたい」

 

霊夢はその様子を見ながらそう言った

異変の帰りに会ったのだが、凄まじく憔悴していた

服も戦闘していないはずなのにボロボロだった

 

途中、彼女が地下に行ったのは知っている

ただ…時止めメイドの部下達の話によれば"来た時から"ボロボロだったそうだ

その上で弾幕ごっこを知らないようなマスパの連射だったとか……

 

「……霊夢」

 

彼女はらしくなく、かたんと持っていた箸と食器を置いた

珍しい真剣さに霊夢は食べる手を止めた

 

「何?」

「EEF…?の大尉って男をしらないか?」

 

彼女はそう聞いてきた

しらないか?と聞いていても、興味無いのだが

にしても"大尉"…どこかで聞き覚えのある単語のような…

 

……あぁ、そうだ

 

「先代が言ってた気がするわ

 ︎︎……反対勢力の中で最も危険とされた男らしいわ」

「最も危険……」

 

お茶をすすった

全くお茶の味がしない、何番煎じだコレ

 

「まぁ定かじゃないわよ?その……EEFとかいう特殊部隊が本当にあるかすら不明なのよ

 ︎︎あったとしても壊滅しているでしょうね」

「なんで分かるんだぜ?」

 

彼女は首を傾けて聞いてきた

いや、聞かなくても分かることだろう

余程のことがあったのか……?まぁいいや

 

茶を啜る

 

「今日に至るまでEEFの噂を1回でも聞いた?」

「いや……」

「そういうことよ」

「どういうこ…あぁ……」

 

噂がない、それは根拠がないということだ

火のない所に煙は立たないというように、原因がないと結果は起きない

 

EEFの噂がひとつもないということは、それに関連する原因がないという訳だ

妖怪がまるまる姿を消したとか、妖怪が頂上的な動きをする人間に襲われたとか……

 

人間が妖怪を圧倒すれば、どこにでも噂は出る

かつての反対勢力の現れだとか、特殊部隊だとか……

 

今に至るまで、そんなことを聞いたことは無い

 

「あんたが"大尉"に襲われたとか知らないわ

 ︎︎そいつがただ名乗っているだけのニセモノかもしれない」

「……そう、そうだよ、な!だな!ははは!」

 

魔理沙は笑うと、食器に手を伸ばした

あまりに無理をしている顔だったから、私は何も言わないことにした

 

余程、その"大尉"にはボコボコにされたのだろう

スペルカードも無い、昔の戦い方だったのか……

 

可哀想に

 

霊夢は人知れず、そう思ったのだった

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