スキマに愛された大尉という人間について   作:回忌

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生き残り

人生とは波乱万丈である

人によってその物の捉え方はまた異なるが、さりとて違いはないと思う

 

誰にもぬるま湯に浸かるだけの人生は無く、逆に激温の湯に浸かるだけの人生は無い

 

常に人生は揺れ動き、変わっていくものなのだ

 

その大半は歴史だったり、自業自得だったり、環境に寄ったりする

 

 

 

 

 

 

私の場合は環境だと言えるだろう

 

死ぬために樹海に来れば、いつの間にか銃を握っていた

恩を返すために引き金を引いて幾つもの生命を奪っていた

 

仕方なかった、死にたくなかったから

 

組織の言い分なんて私からすればただの隠れ蓑だった

妖怪という化け物を絶滅させる、なんて名目の元に集まった訳じゃない

 

この幻想郷に誘われ、生きる為に入っただけなのだ

 

 

ありとあらゆる地獄に突入した

 

いつも、生きて帰るのは私だけだった

 

生きていたはずの中は誰もおらず、友と呼べるものも死んだ

笑顔で話し合っていたはずの友がいつの間にか物言わぬ死体と化しているのは恐怖を覚える

 

 

……ただ、私には愚かにも何回も仲間に話しかけた

 

いつか死ぬ、なんて思わずに……愚者のように笑顔で答えた

仲間を友と呼び…共に戦い、仲を深めていく……

 

しかし、誰も彼も死んでいく

 

やがて誰かが死神と呼んだ

生き残りすぎて、敵と疑われたりすることもあった

ただ……どうしようとも私は残される側だった

 

死神と呼ばれるのが嫌だった

RSI空挺部隊に招待されるのが嫌だった

ヴァルキリー部隊に招待されるのが嫌だった

 

だから私は何回か、名前を変えた

いちいち兵士の名前を覚えていたやつなんて居ないから、簡単だった

何回も失踪して、何度も死亡判定を作った

死んだ味方の顔を削り、ドッグタグだけを交換したこともあった

 

……私は、今人里に居る

荒んだ場所から離れ……平和の内側にいた

 

「アナタ?どうしたの?」

「いや、ただ考え事をしていただけだよ」

「とうさんのわるいくせ!」

 

妻も、子供もいる

あの頃とは全く違う風景である

 

無骨なライフルとコンクリートの建物はどこにも無い

タイムスリップしたような家に最高の伴侶と娘

 

あぁ、幸せだ

 

 

この幸せが老衰まで続けばいいのに

 

私はそう、切に祈った

 

 

幻想郷にある人里は幻想郷で最も安全な場所である

中に入れば妖怪に襲われる心配は無いし、惨めに死ぬことは無い

 

外来人で体力があれば、尚更死ぬことは無いだろう

人手は無いよりあった方がもしもの時に安心である

 

「兄ちゃん!いつもありがとな!」

「いえいえ、これしか取り柄は無いので……」

 

人里で主に力仕事を任されている彼が代表例だろう

"外の世界"で機械の義手したその腕はあらゆるものを運ぶことが出来る

時折河童のところに行って調整をしているらしい

 

能力と勘違いするものも居たが、今や人里の腕となっているようである

 

「また明日頼むぜ!」

「えぇ、もちろん」

 

笑顔で手を振り、彼は外来人が住まう家屋に帰ることにした

外来人用の家を大量に繋げたような場所があるのである

言ってしまえば寮生活、マンション(一階建て)のようなものである

 

彼は己の部屋に入り、ため息をついた

 

「慣れたもんだよなぁ」

 

キャリキャリと腕を回す

男なら憧れるロボットハンドである、羨ましいだろ

……といえば心地よいものの、現実は非情である

ここぞという時に壊れたらもう目も当てられない

わりかし雑に扱ってもそうそう壊れるものでは無い

 

 

"ジーニアス"と"ファイガ"に作ってもらった物だ、そうそう壊れない

 

 

戦闘以外でもキチンと役に立ってくれるあたり、彼らの技術力の高さが見て取れる……

そういう発明系は得意では無いのでよく分からないのだか

戦うことがもはや廃れている今じゃ、こういう地味な使い方の方がいいかもしれない

 

 

何かのために使う

 

 

軍用だったものが一般に使われることはよくある事だ

例えばGPS、あれは元は軍部の機密事項である

ものも使い方次第で平和にも、戦乱にも使えるのである

 

「……いやクソどうでも良いが」

 

結局今どう生きるか次第である

上記のような能書き垂れても死んでたらなんの意味もない

自分のやるべき事と科された役目を達するべきなのだ

 

 

……結局これに尽きる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、どう生きるべきか

 

 

 

 

 

見違えた物だ

 

椛は幻想郷全域に目をやり、そう思った

少し前な何処も彼処も血腥い殺し合いがあった

出かけた同僚が血まみれになってたり、人数が欠けていたりした

 

あの頃の血腥い幻想郷とは変わったのだと、心底思う

 

異変、スペルカードルール、博麗の巫女

全てが共存へと向かっていると思える

そのうち山にも人間が訪れることがあるのでは無いのだろうか

……それなりの理由がないと有り得ないか

 

共存反対派ももはや息して無いとしか言いようがないだろう

異変にて邪魔が入ったらしいが、致命的なものでは無かったらしい

 

 

 

……大尉も、衰えたのか

 

「はぁ」

 

平和というのは良い、仕事が楽になる

ただ、贅沢ではあるが暇すぎるのも良くない、暇だから

何も来ないのに常時目を光らせろと言われても……ねぇ?

 

上層部は必要以上にEEFを恐れている

 

……"シキガミ"

 

EEFの生き残りは少ないと言われているが、そもそも一人一人が大概なのである

基地を焼き払った報復に山を焼き払われるのではと必要以上に恐れているのだ

んだったら基地焼き払うなよと思うが、大天狗の会議は基本深夜テンションとその場の空気で決まる

 

これが上司か…?終わってない?

 

ノリで山の行く方向が決まると思うとヤバい(小並感)

例えれば帆船に舵が無いくらいヤバい、風の気分次第で行き先が決まる

 

早めに人里に籍を移した方がマシかもしれない

 

「……射命丸?」

「上司を呼び捨てとは、ダメでしょうに」

 

気配がしたので適当に言ってみると、当たっていた

声の方向に目を向けるとかなり焦っている様子の射命丸が居た

 

いつもはニタニタしている射命丸が、だ

 

「……面倒事ですか?」

 

こいつがこんな顔している時は面倒事か鬼……つまり面倒事じゃねぇか!

まぁ、なんだっていいや……

 

「えぇ、ちょっと……来て貰えると助かります」

「癪ですが」

 

仕方ないのでついて行くことにした

彼女の後をついて行くと、問題と場所に来た

 

私は、面倒事であると察した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…何も覚えていないと、言っている」

「嘘を吐くな!"インタビュアー"!貴様のせいでどれ程の同胞が……!」

「その…インタビュアーとか言う奴に言ってくれないか……」

 

そこに居たのは、背中から"鴉のような羽根"が生えたロングコートを来た男

傍から見れば外来人をなにかの勘違いで攻めているように見える

 

しかし、その肩には見覚えのあるエンブレムがあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────E.E.F.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかもEEFの中で最も怒りを買い、忌み嫌われている隊員……"インタビュアー"

 

え?どれくらい嫌われているかって?

 

 

 

 

ゴキブリくらい

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