「はー」
ため息、圧倒的ため息
あたりから響くのは凄まじい俺に対する怨嗟の声
「殺してしまえ!」
「殺しても誰も何も言わん!」
「くたばりやがれ!」
前職が圧倒的に足を引き摺ってやがる
マジで過去の俺覚えておけよ、あったらぶっ殺してやる
天狗の山では数回「大会」というのが開かれる
名目としては実力を争うというものだが、リンチが普通にある辺りストレス発散みたいなもんだろう
俺みたいなやつが巻き込まれるのも致し方無し
俺は妖怪の山では一個小隊を持っている
これでも小隊長なのだ、偉いんだぜ
……隊員誰もおらんけど
階級上は中の下、小隊を持っている(隊員ゼロ)
なんとも酷い所である、さっさと人里に行きたい
「さぁて」
グルグルと錫杖を回す
俺の武器はこれと腰にあるSAA二丁のみである
俺の戦闘力がどれくらいか試してみたが、妖怪化しているのでかなり高い
知識が人間のままなので割と頭がおかしくなる
「vanitas vanitatum, et omnia vanitas……」
ブツブツと、どこかの本でみた単語を呟く
どこからともなくパラパラと雨が降り始める
「全ては虚しく、終わりは訪れる」
ああ、空を仰いで息を吐いた
とても面倒くさいことしか最近起きないな
そう思いながら、奴に走り込んだ
「死にに来たか!?」
相手から、そんな声が響く
そんなことをするわけないだろ
相手の得物は槍だ
届く範囲は危険、離れても直ぐに距離を詰められる
ならば先に詰めてしまえばいいだろう
相手は俺を簡単に刺せると思っているだろう
なら奴がするのはあの行動しかないだろう
「死ね!」
ほらな、突きしかない
そんなんで俺を簡単に殺せるかよ
「よいせ」
「あ?」
巴投とまでは行かないが、するりと錫杖で拘束し投げ飛ばす
相手は投げられたことにすら気づいていないようだ
なんとも無防備なことである
「」
「うっ!?」
素早く六連射
早打ちなら誰よりも早い自信がある…拳銃に限るが
このシングルアクションアーミーはとても俺に馴染む
多分記憶が無くなる前はとても上手く使っていたのだろう
ただ、銃でただ脅すだけならここまで嫌われない
余程ひっでぇことをしたんだろうな
「やるよ」
「うげっ」
投げ飛ばす時に奪った槍を突き刺す
チェックメイトと言うやつであろう
奴に戦闘する力は無い
「じゃあな」
「クソが…クソがクソがクソが!」
実力は俺に遠く及ばなかったらしい
この体は俺が動かしているのではなく、勝手に動いている
戦闘が得意だとか、そんな思い出は一切ないのだ
記憶した体が、反射のまま動いているだけ
今回呼ばれたのはこれっきり
というかこれから先こんな遊戯に参加する気は無い
〇
「…といいながら錫杖の練習はするんですね」
「誰だお前」
「え」
錫杖を振りまくっているとなんか変なのが現れた
しゃあしゃあとした態度の鴉天狗、キモイ(直球)
ろくに覚えていないので適当にそう返したら意外な反応をされた
そんなにショックかよ、おい
「わ、忘れました?私ですよ、私…射命丸文ですよ!」
「あぁ、【スキマ送りにされました】年処女で有名な射命丸か」
「ええそうですその射命丸…ってまてェェエエエい!!」
エッヘンという感じで言っていた射命丸が殴ろうしてきた
なんだコイツ、人を殴るなって人から教わらなかったのか?
「なんか問題あったか?俺は無いが」
「問題しかありませんよ?なんですかその噂!」
指を突きつけて彼女はそう言ってきた
もしかして【スキマ送りにされました】の事か?
いやなんですかと言われても…裏を見ても表を見ても事実ですが…
「い、いつから漏れて…いいですか!信じちゃダメですよ!」
「そうかい」
「…その暖かい目も止めてください!」
いや、なんというか…
妖怪とかいう種族にも"独身"って存在するんやなって
しかも【スキマ送りにre】年独身はやべーと思うぞ…
「妖怪ってモテないのか?それとも相手がいないだけか…」
「聞こえてますよ!」
「で、何の用だ」
錫杖を振るのをやめて射命丸を見た
そろそろ本題に付き合ってあげなければ可哀想である
「んん!…元EEFとしてのあなたに質問がありまして」
「そんな部隊は知らないし、記憶も無いぞ」
「いえいえ!もしかしたら単語で思い出すかもしれないじゃないですか!」
何を言っているんだこいつ
それはいわゆるフラッシュバックと言うやつだろうか
もし俺が元PTSDとかだったら割と嫌なんだが
なんで自らトラウマを思い出さなきゃならない
「…断る、嫌なことは思い出のままじっとしていて欲しい」
「うーん…そこをなんとか!」
「ん、帰れ」
「なんとか!」
錫杖を振る練習に戻る
こういうやつに関わるとろくなことにならない
「こんにちは」
そんな時、上から声が降ってくる
聞き覚えのある声だったのでそちらに目を向けた
「椛か、調子はどうだ」
「普通です、良いことも悪いこともありません」
「それは良かったな」
当たり前の、日常会話を繰り広げる
俺にとってはこれが普通である
「あれなんか扱い違う…」
「あ、射命丸か、何してるんだ」
「いや実はですね」
射命丸は事情を説明しようとする
俺は明日の天気を思い出したかのように椛に伝えた
「俺のない事あることでっち上げて晒しあげようとしてるらしい」
「へぇ…」
椛が大太刀を引き抜きながら射命丸に近づいていく
射命丸は手をブンブン振りながら弁明を図る
「待って!違う!私は彼の記憶を取り戻す手伝いをしようと!」
「殴っていいぞ」
「喜んで」
「いやぁああああ!?」
今日の山にも、烏天狗の間抜けな叫び声が響いた
霊夢がキヴォトスに行く小説書きたくなった
次回作そうしようかな…
もうひとつの幻想郷が外の世界に侵略するのも書きてえな…
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キヴォトスに霊夢が来る話
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