一夜の過ちから始まる   作:たーなひ

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感想、評価、誤字報告ありがとうございます!


評価コメントの方で、「ライくんを好きな少女って必要?」って意見がありました。私としては、ライくんの良い人アピというか、人に好かれる程度には良い男なんだぜ…的なのを出そうぐらいの感じでした。実際別にLv4ともなれば全然おかしい話でもないかな?みたいな。
ただ、確かに別にこれから名前をつけるほどのそこまで重要な役割を持つ訳ではないので、実質ただの噛ませというか、ただ可哀想な人になったというのは正にその通りだったと思います。
一応少なくとも後2回は出す予定なので、ここで使い捨てはしないです。

こんな感じで、「うわコレ答えてぇ」ってなったら答えとか書いていこうと思うので、どうしても気になれば聞いてもらっても大丈夫です!結構整合性とか、展開の正当性は大事にしてるので、大体の事には「こういう動機があるってことにしよう」みたいなのは考えてます。(それを貴方が納得出来るかは別ですが……)

先に答えておくと、アイシャ絡みの動機は「ムラっとしたから」「好きだから」「会いたくなっちゃった」「ギャグだから」「ムラっとしたから」「ムラムラしてやった。後悔はしていない」以外では殆ど無いので、返答にはあまり期待しないでください!


五話 リヴィラにて誓う

 

ダンジョン17階層。

 

一体どこまで続くのか不明なダンジョンにおいては、13〜24階層は中層と区分される。

上層とは比べ物にならない過酷さから最初の死線(ファーストライン)とも呼ばれており、適正がLv2へと跳ね上がる。

 

原作でベル一行は、Lv2のベル以外のヴェルフとリリがLv1という僅か三人の編成で18階層まで到達している。が、これは無謀と言わざるを得ない。

実際に自分が潜っているからこそわかるが、あんなのは自殺行為と言わざるを得ない。というか、あの状況になった時点で普通は詰みだ。

実際死に体でギリッギリでたどり着いたわけだが、一歩間違えれば死んでいただろう。アニメでもなかなかに絶望的な状況を表現できていたが、誰も死んでいない辺りベルのチート具合が伺える。

 

それでも、深層に比べればまだマシな状況だったともいえるのがベルのおかしい所だ。…いや、ホントに何であれで死なないんだよ。

 

 

とにかく、いきなりそんな感じでダンジョンっぽくなる中層ではあるが、今の俺にとってみれば上層とそう変わりはない。

なにせ俺のLvは4。中層ぐらいならステータスでのゴリ押しが十分可能だ。パーティの3人もLv2だし、中々のベテランのため油断とは無縁の存在である。

 

 

僅か5時間という時間で、俺たちは18階層の安全階層(セーフティポイント)を目前にしていた。

 

 

 

「……なんか、音聞こえないか?」

 

「音?」

 

 

Lvが上がるごとに鋭敏になる感覚器官が、異変を察知した。

 

「地響きと…雄叫び…かな?」

 

とにかく、普段のダンジョンでは経験がない異常事態(イレギュラー)であることは明確だ。

深層への遠征を経験した俺たちに慢心はない。

 

 

「どうする?」

 

「普通に考えれば蜻蛉帰りが安定ではあるが…」

 

「俺たちが出てきた意味を考えるとなぁ」

 

「「「それな」」」

 

 

そう、俺たちは本拠(ホーム)に居づらくなって出てきたのだ。

ここで蜻蛉帰りすれば針の筵に逆戻りとなる。

 

が、命よりも大事なものは無いというのも当然のこと。

 

 

「どうするよ、リーダー」

 

「言われてるぞリーダー」

 

誰の事言ってんのか知らねえけど任せたぞリーダー。

 

「いやお前のことだよLv4」

 

「え、いつの間に俺がリーダーになったんですか先輩」

 

「こういう時だけ敬語使ってんじゃねえよ」

 

「うえぇ…マジかよ」

 

うーん…。

正直、この階層なら俺は死なないだろう。単純にLvが高いし、切り札もある。

だが、この3人はLv2。信頼はもちろんあるが、“27階層の悪夢”ばりの状況になったとしたら守り切れるとは思えない。

 

でもなぁ……。

 

 

「な~んか大丈夫なやつの気がするんだよなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

17階層、嘆きの大壁。

18階層につながる連絡路があるそこには、極大の障害がある。

 

“ゴライアス”。

迷宮の孤王(モンスターレックス)と呼ばれる中層の階層主だ。

迷宮内に1体しか存在できず、一度倒すと復活までに2週間ほどのインターバルがあることが孤王と呼ばれる所以だ。

 

ギルドの推定ではLv4。

ただ正直このLvってあてになるの?って感じだ。別にLv4なら単独で倒せるってわけでもないしなぁ。いや、確かにリューさんなら倒せる気もするが、アレはLv4の最上位だから当てにならない。

ともかく、中層で出現していいような怪物(モンスター)ではないことは確かだ。

 

その強さは、要約すれば『デカい』『強い』『パワー!」『ヤー!!』だ。

7M(メドル)の巨体と、それに見合うパワーと耐久。特殊な攻撃は精々咆哮(ハウル)ぐらいのものだが、力と耐久のごり押しは充分に脅威だ。

 

しかし、普通の冒険者がゴライアスに遭遇することはあまりない。

ロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアが通る際に雑草感覚で刈り取られ。あるいは、18階層にある“リヴィラ”の冒険者総出で『邪魔じゃボケぇ!』と倒されるからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、良い所に来たな“銀騎士(シルヴァリエ)”!」

 

「ボールスさんか。なるほどね、こういうことだったのか」

 

リヴィラの元締めであるボールスが、俺たちに気付いて声をかけてきた。

 

そう。俺が聞いたあの音は、ゴライアスとリヴィラの冒険者による戦闘音だったようだ。

丁度その討伐のタイミングで出くわしたということだろう。

 

 

「後は頼んだぜLv4!援護“は”俺たちに任せろ!」

 

そう言うと、こちらの返事も聞かずに陣形を組み換えるために指示を飛ばし始めた。

 

 

「…いや、別にいいんだけどさ」

 

そりゃ、こうなっちまったらやるんだけど。人任せってのはなんか納得いかねえ。

 

確かにゴライアスは脅威だ。

リヴィラの冒険者は定期的に討伐しているため慣れてはいるだろうが、当然死傷者は出る。まともに食らえばLv4でも死にかねない攻撃を相手にしているのだから、当然と言えば当然。

ボールスとしても、元締めとして身内の死人が出るのを嫌っているのはわかる。

 

 

「でもさ…こう…言い方とか頼み方とかあるじゃんか…ねぇ?」

 

「「「良いから早く行けよLv4」」」

 

「…へいへい」

 

誰も味方は無しですか。そうですか。

てか、こいつら、絶大な信頼寄せすぎでしょ……。本気で援護全振りにしようとしてない?

 

(まあ、変に怪我とかされるよりはマシか)

 

 

どうやら冒険者たちの配置換えも完了したみたいだし、そろそろ行くとしますか。

 

 

 

剣を抜いて唱える。

 

 

「『不落要塞(シルヴァーグローリー)』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“銀騎士”の活躍に…カンパーーーイ!!!」

 

 

「「「「うおおおおおおおお!!!!」」」」

 

 

その日の夕方。

 

俺たちは討伐に関わった冒険者みんなとリヴィラの酒場で祝勝会をしていた。

 

 

 

 

「今日は死者0!これも”銀騎士”のおかげだな!!」

 

そう、今日は死者0。

毎度死傷者0とは中々いかないゴライアス討伐だが、俺のおかげでそれが少しでも減ったなら喜ばしいことだ。

だがもちろん、それはここのみんなの協力があってこそだ。

 

 

「いえいえ、俺なんてホント、若輩者で。勝てたのは皆さんのおかげですよ」

 

「「「ひゅ~!謙虚~!」」」

 

「よくわかってるじゃねぇか!今日勝ったのはこの俺様の指揮のおかげだ。なあ?」

 

「「「「………」」」」

 

ボールスが自信満々に入ってきたが、誰一人として反応を返さない。

あれ?と思うのもつかの間、俺は机にダン!と足をのせて立ち上がる。

 

 

「バカ言ってんじゃねぇよボールスこのやろお!」

 

「えっ」

 

突然のため口!基本的に丁寧な物腰のライの暴言に、ボールスは騒然とする。

 

 

「今日はこの俺!銀騎士、ライ・レインバック様のおかげにに決まってるらろうがぁぁぁぁぁ!!」

 

「「「「うおおおおおおお!!!!!」

 

 

「銀騎士!銀騎士!」と銀騎士コールが鳴り響く中、一気飲みで場を盛り上げていく。

 

 

 

「なあ、あいつ、ついさっきまで謙遜してたよな」「しかも呂律もちょっと怪しい」「あいつ飲みすぎじゃ…あ、倒れた」

 

つい先日の出来事もあって、少しお酒を自制しているディオニュソス・ファミリアの男三人。

倒れたライに大爆笑している冒険者達を尻目に、えっほえっほと宿泊地まで運び出していく。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、やべ。クッソ気持ち悪おえぇ」

 

「おいバカやめろきたねえな」

 

翌朝。

俺は原因不明()の吐き気にグロッキー状態だった。

一体ぜんたい、なんでなんだろー。さては毒!?おのれディオニュソス!!

 

 

「あ~死ぬ~…」

 

「コイツがこのざまだと探索なんてできないし、今日はリヴィラでゆっくりするぞ。明日はちょっと下に行って、もう一泊して帰るって感じで」

 

「「了解」」

 

「りょ~か~………うぷ」

 

全く。自由行動とは羨ましいものだ。

 

流石に地上ほどではないが、このリヴィラでは、少なくとも冒険者が欲しいと思うようなモノは大体揃う。まあ店を出しているのも冒険者だから、需要を把握しているというところはあるだろう。

ただし、やたらと高い。普通にぼったくりレベルで高い。

それでも買う人がいるのは、ダンジョン内で物資を補給することの困難さを表している。

 

 

ちなみにリヴィラとは何なのかを説明しておくと、“ダンジョン内の街”というのがわかりやすい表現だろうか。

ここ18階層では、新たな怪物は生み出されない。このような場所あるいは階層を、安全階層(セーフティポイント)と呼んでおり、ダンジョンの所々で発見されている。

とはいえダンジョンはダンジョン。異常事態は起こるし、どこかから怪物が侵入してくることもある。

そうして幾度となく壊滅した経験があるこのリヴィラだが、そのたびに作り直され、冒険者の街が出来上がる。

まあ、それだけの手間をかけてでも充分利益と需要が見込めるということだ。

 

 

出来る限りここで物資を買ったりはしない方がいいのだが、どうしようもない時もある。

 

そう、例えば二日酔いでグロッキーな俺のように。

 

 

「あ~…死ぬ~…」

 

「ほら、薬買ってきてやったから飲めよ」

 

「ありがと~…」

 

「ったくよ。いくらしたと思ってんだ」

 

「えー、500ヴァリスぐらい?」

 

「1万だよ!1万!」

 

(高っ!あと声でか!)

 

「ちょ、あの頭痛いんで…」

 

「しるかボケ!」

 

「ひぇ~…」

 

たかが1万ぽっちと思うかもしれないが、二日酔いの薬で1万だ。しかも1服用分。

これからある程度稼ぐつもりとはいえ、小さな出費でもない。

 

 

「大体てめぇが倒れるほど飲まなきゃ薬ももう一泊も必要なかったんだよ!」

 

「はい。おっしゃる通りです」

 

「大体ダンジョンの中で気緩めすぎなんだよ。お前もLv4なんだから、ファミリアの要としての自覚をだなぁ」

 

「はい。すんません。もうお酒やめます、はい」

 

「言ったな?酒やめるって」

 

「はい」

 

いやもう、ほんと頭痛いんで説教はもう勘弁してください。

お酒はもう飲まないんで…てかこんな苦しい思いをするぐらいなら酒をやめた方がマシだ。

 

「一生飲まないんだな?」

 

「いや、一生はちょっと話が違うじゃないですか!そんなの先輩だって出来るわけないでしょうが!」

 

前言撤回。

酒をやめるなんて出来るわけねえだろふざけんな!

いやさすがにしばらくは自粛するけどさ。

 

 

「なら、いつまで」

 

「えっと…一か月とか?」

 

「あ?少しは反省とかないのか?」

 

「ひえっ!じょ、冗談じゃないですか」

 

まっずい。いつになくガチだこの先輩。

全部俺のせいの自業自得とはいえ、さすがに何年間も酒を我慢出来る気がしない。

 

 

 

(なんかいい期間の目安…目標………ハッ!)

 

天啓。

 

 

「Lv5に上がるまで、禁酒します!!」ドン!(ワンピ感)




ライ君は酒自体は『普通に好き』レベルなので、毎日飲まなきゃやってらんないとかじゃないです。ただ、宴席とかではガンガンお酒を飲んで楽しむみたいなタイプ。なお別にそんなに強くはない。


魔法
『不落要塞(シルヴァーグローリー)』
・超短文
・?

効果としては1つだけ。元ネタはデュエマの『無敵城シルヴァーグローリー』とオバロの武技『不落要塞』。

多分雰囲気でチート臭くなるのを感じたかもですが、そんなに使い勝手よくないです。
安心してください。この作品はちゃんとほぼギャグです。

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