ランキング乗っててビビりました。
誰が喋ってるか分かりにくいところがあるかもしれませんが、その辺は別に誰の言葉か重要じゃないんで適当にお願いします。いちいち「男Aがこう言った。するとBがこう返した」みたいなの書くとテンポ悪いのでね。
ちゃんと喋る人決めたいときには分かるようにします。
「ふっかぁぁぁぁぁつ!!!」
烈海王ばりの復活を叫んだ俺、ライ・レインバック。
昨日一日寝込んでしまったが、ようやく完全復活を遂げた。
「ったくよ。今日は頼むぞ」
「マジ任せろ」
いや、ほんとに。
ゴライアス討伐の報酬は多めにもらえたがそれでも無駄遣いには違いない。
さすがに笑えないレベルの迷惑をかけたので、マジのガチで頑張る。
Lv4の力、見せちゃりますよ!
ダンジョン24階層。
ここまでが18階層より続く大樹の迷宮だが、この次の25階層からは大きく環境が変化する。
25階層以下は分類としては下層になり、危険度も跳ね上がる。
それこそ、例えLv4だろうと一人では死ぬレベルだ。
今回、俺たちはたった4人のパーティ。
下層を潜るには余りにも危険過ぎるため、ここまでが限界だ。
ここ24階層もLv2だけで潜るには危険なのだが、Lv4の俺がいれば探索は可能だ。もちろん、無理をすれば普通に死ぬから充分に警戒する必要はある。
「右からデッドリーホーネット!!」
「は!?またかよ!?」
「数は7…12…17!!」」
「17!?それは流石にキツい!」
「数をけずりながら下がるぞ!」
デッドリーホーネットは、22階層から24階層に出現する蜂型モンスターだ。『上級殺し』とも言われ、その恐ろしさは“数”。
全方向を取り囲まれれば全滅もあり得る恐ろしいモンスターだ。
そのため、囲まれないように位置どりながら数を減らすしかない。
また、耐久はそこまで高くないため、魔法などの広範囲攻撃で殲滅するのが常套手段となっている。
17という数はそこまで多くはないが、逆に言えばこれだけしかいないということはあり得ない。17匹を相手にしているうちに30、40と増えていくのが相場だ。
「これだけの数なら…近くにブラッディハイヴがあるのかもしれねぇな」
ブラッディハイヴとは、簡単に言えばデッドリーホーネットの巣のような設置型のモンスターだ。
希少種のモンスターではあるが、近づけば近づくほどデッドリーホーネットが増え続けるため、討伐は非常に困難となっている。
「ありえるな。さっきから続けて50匹ぐらいは倒した気がする」
「今回は絶対無理だ。大人しく離れよう」
「りょ……かい!」
下がる味方を殿で援護しながら着いて行く。
先輩達は流石ベテランだけあって、引き際の判断も早い。
デッドリーホーネットとの戦いは間違いなく長引くし、長引けば長引くほど他のモンスターの数も増えていく。だからなりふり構わず撤退が正解だ。
ただ立て続けの戦闘のせいで、一応金を稼ぎに来たのにろくにアイテムも魔石も拾えないのは悔しいものだ。これが中層以下の嫌なところでもある。そもそも敵が強いから魔石を避けて倒す余裕なんて無いし、魔石を残して倒せても次のモンスターが出てくるせいで魔石を拾う余裕が無い。
上層では魔石なんていくら拾ってもあんまり金にならないのに、いざ中層に来ると拾う余裕すら無いのだから悲しい話だ。
「ふぅ〜」
最後まで追って来たデッドリーホーネットを切り捨てて、ようやく一息がつけた。結局追って来たのは23体。あのまま留まっていればこの数では済まなかっただろう。
「なんとか凌いだか」
「いやーキツかった。流石にあの数の上級殺しは運が悪いとしか言えないだろ」
「それな」
「みんな怪我とかは無いな?」
「いや、全員無事だ」
「よし」
「また目的地遠くなったんじゃねぇか?」
「……いや、なんだかんだで後少しだ」
そう、俺たちは目的があって中層の一番下に来たのだ。
その目的地は宝石樹。
その名の通り、宝石を宿す木のことで、非常に希少価値の高いアイテムを手に入れることができる。
ただ、そう簡単にたどりつける場所ではない。
中層自体の難易度も当然としてもう一つ。
ダンジョン内のこうした貴重な素材やお宝のもとには番人が存在し、冒険者の行く手を阻む。
ここ24階層の宝石樹では、
階層主を除いて中層最強のモンスターであり、実質的にはちょこっと弱めの階層主のようなものと思ってもらえればいい。
ゴライアスと同じくフィジカルモンスターで、巨体と耐久、パワーが武器だ。ただまぁ、ゴライアスに比べればパワーも耐久も全然低いので全然弱い方だが、それでもLv2のみのパーティでは勝つことは難しいだろう。
ちなみに、外伝で出てきた
そんなわけで、みんなある程度物資や
温存の必要が無いのなら、さっきのも魔法で焼き払ってもらうことも可能だったが、木竜を相手にするならそうもいかなかった。
「んじゃ、とっとと行きますか。また戦闘するのはゴメンだしな」
「「「了解」」」
あれから4度ほどの戦闘を経て、俺たちは宝石樹へと辿り着いた。まあなぜか木竜が居ない…なんてこともなく、戦闘は避けられない。
「『
『グォォォォォ!!!』
首を鞭のようにしならせての頭でたたきつけてくる。
まともに当たれば死んでもおかしくない攻撃だが、俺からすればよける必要もない。むしろ攻撃としては『アタリ』の部類だ。
凄まじい音が響き、たたきつけをまともに食らったはずのライ。しかしパーティメンバーに動揺はかけらも見られない。
それもそうだった。なぜならライは吹き飛ぶどころかまるで
「効かねえんだよ!」
そのまま顎に剣を突き刺しそのまま切り裂いていく。
頭部を傷つけられ苦しむ木竜も、当然そのままでいるはずもない。暴れ回り、ライを潰さんとしてくる。
が、一切の痛痒も与えられない。
どころか攻撃した部位から斬りつけられ、いたずらに傷を増やすばかり。
なぜか。
それはライの魔法『
その効果は単純。
『
魔法、属性、
視覚効果としては光の鎧を纏っているように見え、時間がたつにつれて薄くなっていく。
この効果によって、魔法的な攻撃を持たないゴライアス、木竜などを
一見チート魔法ではあるが、当然それに見合う弱みも存在する。
その最たるものが、圧倒的な燃費の悪さだ。
まず、Lv4のステイタスでも3回しか打てない。つまり最大でも僅か9分間しか持続しないということだ。
これはダンジョン内においては致命的である。何時間も探索や戦闘を行うダンジョンでは3分×3回では到底足りるはずもなく、使いどころは非常に限られる。
しかも一度使えば、『途中で解除してその時間分の精神力を温存しよう!』なんてこともできない。たった一度の攻撃を防ぐために使っても、3分間は強制的に発動してしまうというわけだ。
物理攻撃完全無効ならば、ゴライアスもソロ討伐出来るんじゃ…と思うかもしれないが、そう簡単にはいかない。
あれだけの巨体と耐久を削るには9分では全く足りないのだ。それこそ、先日のゴライアス戦のように周りの援護があってようやく削り切ることができるぐらいだ。
しかし、一応何とか一人で倒す手段も無いこともない。ただ必要なだけのアビリティ…特に魔力があれば、ゴライアスの討伐も夢ではない……はずだ。
閑話休題。
今の現状。つまり3分間とはいえ実質無敵状態で、一方的に攻撃しつつヘイトも稼げる前衛のLv4と、Lv2中後衛3人という状態であれば問題なく勝てるというわけだ。
「……っし。ちょうど3分ってとこか」
『不落要塞』の効果を示す光の鎧が消えるのと同時、木竜も灰になった。
木竜が中後衛を狙い始めるようなことがあればもっと時間がかかったろうし、木竜のサイズまで考えると、3分クッキングは上々といえる。
「相変わらずデタラメな魔法だな」
「自分でもそう思うよ」
「最初の頃はめちゃくちゃビビりながら攻撃受けてたのにな」
いや、そらそうよ。
物理攻撃完全無効化って言われても、最初は仕様とか分からないから「コレ大丈夫だよな!?ホントに大丈夫だよな!?いっ…たくねぇ!!スゲェコレ!」ってビビりながら確かめていくのは当然だった。
最初は時間管理もガバガバだったが、体に3分を覚え込ませた。
おかげで今では誰よりも正確にカップヌードルを作れる自信がある。
「さて。んじゃあ、お待ちかねの…」
「本命の宝石樹、頂いて帰るとしよう」
「「「かんぱーい!!」」」
「……乾杯」
18階層に帰ってきた俺たちは、今回の成果を祝っていた。
中層のモンスターの魔石も結構取れたし、ドロップ素材やレアアイテムもいくつかゲットできた。
僅か4人だけであることを考えれば、山分けにしてもかなりの金額を稼ぐことができたというわけだ。
正直、お金のことだけを考えるなら今日中に地上に戻って
無駄使いは…というのももっともな意見だが、冒険者なんていつ死ぬかわからない職業なんだから宵越しの金は持たない方が良い、という考えの人は多い。今回に限っては俺のせいでの出費もあるし迷惑もかけたから文句も無いし、むしろ借りを返しているぐらいの気持ちだ。
ただ……。
「いいなぁ。楽しそうで……」
まさかつい昨日禁酒宣言をしたところなのに、昨日の今日で宴会になるとは思わなかった。
もちろん酒を飲まなくてもそれなりに楽しいのだが、酒を飲んで楽しむことを覚えてしまった俺はひどく物足りなさを感じてしまう。
「ライは飲んだらダメだぞぉ?」
「言われなくてもわかってるよ」
「いつまでだっけ?」
「Lv5になるまで」
「おぉ、大きくでたな」
全くだ。Lv5というのは現在のかの“剣姫”アイズ・ヴァレンシュタインに並ぶということを指す。
オラリオのトップクラスに並び立とうというのだから、本当に大口を叩いたものだ。
誰に聞いても、数年単位ではほぼ不可能だと答えるだろう。Lv5というのはそれだけの偉業であり、第一級冒険者というのは高みの存在なのだ。
しかし、俺はこれを数年以内に達成可能なことだと確信している。
手段としては『ゴライアスの単独撃破』だ。アイズが外伝で深層の階層主ウダイオスを倒してレベルアップを果たしたように、階層主の撃破というのは偉業として数えられる。
そしてこれは、俺にとってはそう難しくない。圧倒的に有利な魔法を持っているわけだし、ステータスが足りるようになれば単独の撃破は容易だと見ている。
全然数年…それこそ1、2年の間に行ける可能性すらあるはずだ。
細かい季節とか日にちは覚えていないから断言はできないが、ベルがオラリオに来て原作が開始するのがおそらく2年後とかのはずだから、上手くいけばそこまでにLv5に上がれるという目算である。
(ま、最悪原作イベに介入して“偉業”でも成し遂げれば上がるっしょ)
それこそ、黒いゴライアスとかに介入すればさすがに上がるだろう。
そんな甘い考えを決してダンジョンは、神々は許さないということを知るのは随分と後の話になる。
「はぁ~~~……」
ズルズルと、男3人を担ぎながら宿へと帰る俺。
酒が無いとそれほど気分も上がらなかったし、俺の代わりとばかりにこいつらは酔い潰れるしで、先日と状況が完全に逆転した。
上がらぬ気分を少しでも上げようと上を見上げれば、結晶が月のように美しい明りを放っており、実に幻想的な風景だ。
18階層には“
地上の時間と連動して、昼間は明るい光を放ち、夜は星空のような輝きを放つため、時間の指標にもなっている。
(アイシャに会いてぇなぁ…)
美しい景色を見て考えるのは、アイシャのことだった。
願わくば、アイシャも同じように地上の星空を眺めてはいないだろうか。
「…!!」
「あ、アイシャ?どういたの?いきなり空なんて見上げて」
「今、ライが呼んだ気がした」
「えぇ…」とドン引きするのはアイシャの同僚、レナだった。
先日からライとの逢瀬でファミリアの業務から外れていた影響で、アイシャの仕事はレナに元に回ってきた。
当然、また抜けられればレナの仕事は増える。のにこの女とくれば、また訳の分からないことを言い出した。
「ちょっとアイシャ?今日はダメだからね?ほんとに、今日こそはダメだからね!?」
さすがに普段から世話になっている姉貴分とはいえ、また仕事を増やすのは勘弁して欲しいという思いでいっぱいだった。
しかし、当の本人はレナの声が聞こえていないかのようである。
アイシャはオラリオ隅から隅まで見回したかと思えば鼻を鳴らして匂いを嗅ぎだした。
訳の分からない奇行に、レナはさらにドン引きした。
アイシャはしばらくそうした後、突然バベルの方へと振り向いたかと思えば、ジッとその根元のダンジョンを睨みつけた。
「あ、アイシャ?さっきから何してるの?」
「なるほどね、ライはダンジョンか。おそらくは中層……この時間なら18階層ってとこか」
「えっ?」
「なるほどね。おんなじように、美しい夜空を見上げようってハラかい。随分とロマンチストだねぇ…でも、悪くはない、か」
そういったアイシャは、ベランダに腰かけ、夜空を見上げ始めてしまった。
それはさながら、星に願いよ届けと祈る少女のようであった。
「え……えぇ………」
徹頭徹尾理解できないレナは、戸惑ったまま呆然としていたのだった。
これが!愛ん力だぁぁぁぁぁぁ!!!
一応解説しときます。
ゲーム的に言えばあくまで『無属性物理攻撃を無効化』で、属性が付いたりしたら普通に通る。
無敵じゃん!って思うかもしれないけど、対人だと時間稼がれたら終わりなので思ってるほど無敵じゃないです。