【悲報】私氏、小学生妹ちゃんのヒモになりそう 作:おねロリのおね
お姉ちゃんの御姿は天使そのものだ。
柔らかな翼でわたしを庇護してくれる。
わたしの守護天使。
わたしのお姉ちゃん。
神様のことは信じられないわたしも、お姉ちゃんという存在は信じられる。
メスガキは――、画面の中のロリサキュバスなわたしは天使なお姉ちゃんに包みこまれていた。
そのご尊顔が重ならないように、メスガキの少し上方に配置。ちょうど後ろから抱きしめられているような形にする。
魂はまだ入れていない。つまり、お姉ちゃんの動きに合わせてキャラが動く設定にはしておらず、ソシャゲのlive2Dのような、ふわふわした動きをしているのみだ。わたしに被ることで天使なお姉ちゃんの全身が見えなくなるのは少し残念だが、わたしは
そう。リアリティ。
リアルなイメージとでもいうだろうか。
あるいは虚構の現実と言ったほうがより正確かもしれない。
――そして、わたしは振り返る。
ぽにょん……。
ほっぺたが柔らかな山脈を擦りきるように低空飛行する。
ああ――――。
こんなにもすばらしいことがあるだろうか。
今後はなかなかにそんな機会には恵まれないかと思うが、わたしはお姉ちゃんと
端的に言えば、お姉ちゃんに座っていた。
ムチムチなふとももに小さく収まるようにして座っていた。
わたしは小柄だから、お姉ちゃんのお膝のうえにちょこんと収まることができる。
加えて、腕シートベルトも完備。ムチムチやわらかな太ももは不安定なんで、お姉ちゃんの両腕はわたしのおなかあたりにまわっている。えへ♡ わたし抱きしめられてる♡
ローテーブルに配置したノートパソコンゆえに、カメラの広角度的な限界で、そうしなければならなかったとお姉ちゃんに伝えてあるが、もちろん大嘘である。
お姉ちゃんが持っているノートパソコンに配信ソフトを入れて、お姉ちゃんはお姉ちゃんの自室で配信することもできたからな。だけど、
――演者の熱量って言うんですかねぇ。(上級者目線)
吐息が伝わる距離だからこそ、わたしがメスガキに賭ける想いも伝わるってなもんだ。
わたしとお姉ちゃんの身長差ゆえに、わたしの後頭部は必然的にお姉ちゃんのおっぱいにフィットする。わたしが振り返り動作をしたことで、脳みそをグチャグチャにかきまわすお姉ちゃんの匂いが肺のなかに満ち溢れる。これが天国の匂いですか!?
お姉ちゃんは困惑しながらもわたしと視線を合わせてくれた。
さきほどのメスガキムーブはそれなりにカルチャーショックだったらしく、お姉ちゃんはメスガキというキャラに翻弄されているようだ。
なにしろ、お姉ちゃん好き好きな小悪魔ちゃんって、インパクトあるだろうからね。
事前説明を受けているとはいえ、ビビりちらかしていてもしかたない。かわいいね♡
一方、わたしはというと、普段抑えているメスガキキャラを発揮できて、ゾクゾクとした快感をかんじていた。自分をさらけだす爽快感。露出狂の仄暗い喜び。
顔ナシのわたしは仮面を脱いでも
わたしってやっぱメスガキだわ♡
「お姉ちゃん始めていい?」
「……う、うん」
お姉ちゃんの了承を得て、わたしはキャラに命を吹きこんだ。
「あ……あの、皆さま初めまして……でいいのかな。スレではお世話になりました。イソラちゃんの姉にあたりますヒモ姉と申します」
『ふ、ふわ。しゃべったああああああ!』
『ヒモ姉がリアルタイムに話しかけてくるなんてことがあるとは』
『スレ民としては感慨深いものがあるな』
『なあ、さっきメスガキが振り返り動作しなかったか?』
『もしかしてイソラちゃん、お姉ちゃんといっしょのお部屋にいる?』
「うらやましいでしょ♡ わたしはお姉ちゃんのお膝のうえに乗りながら配信してるんだ♡ 雑魚のお兄さんたちは、自分の指でもくわえて見てろ♡」
『うううう、なんてもの見せつけるんだよ』
『姉妹百合てぇてぇ』
『天使と悪魔の饗宴』
『さっきからメスガキが妙にうれしそうだった理由ってこれか』
『しかしそうなると、メスガキの告白に関してもそばで見ていたことになるが。¥100』
『ヒモ姉はメスガキの配信を知っているから、そばだろうが関係なくね? ¥100』
「ね、ねえイソラちゃん。すごい勢いでコメントが流れていくんだけど」
「ん、大丈夫だよ。適当に聞き流してればいいから。雑魚お兄ちゃんたちの言うことなんて話半分で聞いてればいいんだよ。まあスパチャのコメントは目立つところに配置されるからわかりやすいけどね。多少長文でも読み取れるよ」
「そうなんだ。でも、スパチャにはお礼? とか言わないといけないんじゃ……」
「うんそうだね。じゃあ、お姉ちゃんに代わりに言ってもらおうかな」
「え、ええ!? お姉ちゃん自信ないよ」
「大丈夫だよ。わたしが見ててあげるから」
お姉ちゃんは恐る恐る――、しかしゆっくりと頭をさげる。
そのとき、……背中に背中にとても良い感触ががが♡
「盤面整理兄貴さんスパチャありがとうございます。その――、イソラちゃんが私のことを家族以上に好きだっていうのは、配信が始まる前に聞いてます。そのときはショックではありましたけど、私はイソラちゃんのことをちゃんと受けとめようって思ったんです」
『姉妹百合完成系?』
『ヒモ姉、堕ちちゃった?』
『妹の想いを否定しない姉。尊いはここにあった』
『……そうなのか。わかったよ。¥100』
『盤面整理兄貴、いぶかしげ』
ふふっ。
お姉ちゃんには演技指導が入ってるからな。
そんな簡単にわたしの策略がバレるわけもない。
※
わたしはお姉ちゃんにひとつだけアドバイスをしていた。
メスガキがお姉ちゃんにガチ恋しているという設定がスムーズに受け入れられるためには、お姉ちゃん側にも多少の演技が必要になる。細かいことを言うと、お姉ちゃんは混乱しちゃうから、たったひとつだけ。
それは、ごくありふれた物語。
みんながメスガキと同じくらい心の底で求めている幻想譚。すなわち、
――姉妹百合てぇてぇ。
である。
姉は妹のことが好きだし、妹は姉のことが好き。
この単純な構造は、メスガキが本心ではお兄ちゃんのことを好きという構造と対置される。
吊り天秤のように完璧に調和する。
まあ要するにだ。
お姉ちゃんには、姉妹が仲良しだということをみんなには意識して伝えてもらうようにした。
もちろん、お姉ちゃんは「演技なんてできるわけないよー」って絶望顔してたが、「お姉ちゃんとわたしは
いま、お姉ちゃんの中には姉妹百合てぇてぇという概念がインストールされているのだ。
小学生妹に言い寄られてあたふたしているのも装ってるはずだが、姉妹百合を匂わせるために、わたしたちが仲良しであることを印象づけようと努力しているはずだ。
結果として出力されるのは、お姉ちゃんは妹に堕とされかけているという状況。――のように見える状況だ。
わたしは合法的かつ合理的にお姉ちゃんに甘えることができる。普段の三倍増しでな。
完璧だ。完璧すぎる!
わたしってもしかして天才だった!?
※
そんな裏話があるなんて、リスナーのお兄ちゃんたちにはバレるはずもない。
まあ、バレてもいいんだけどね。お兄ちゃんたちはわたしに甘いから察してくれるだろう。
お姉ちゃんは続けて、スパチャを読みあげる。
「わからせマンさんスパチャありがとうございます。そばにいるのは、えっとパソコンの機材の関係とかで、よくわからないんですけど、いっしょのお部屋じゃないと無理みたいです」
『ふーん?』
『キャラデータ入れて配信ソフトいれるだけなんじゃ?』
『まあいろいろあるんだよ。いろいろ』
『メスガキのてのひらのうえ説』
『ヒモ姉なんだぞ。介護されないと配信なんかできるわけねえだろうがっ!? ¥100』
『そりゃねw』
『小学生に手とり足取り教えてもらわないとヒモ姉はダメダメだもんなw』
「えっと、盤面整理兄貴さんありがとうございます。わかっていただいて助かります。ムカチャッカ半島さんスパチャありがとうございます。はい、ダメダメな姉で申しわけありません」
お姉ちゃんは配信初心者にありがちな、スパチャを全部読みあげることをしちゃってる。
「お姉ちゃん全部のスパチャにお礼をしてたらお話の流れが止まっちゃうよ。適当にチョイスしていいからね」
「適当とは具体的にどういう判断基準なんでしょうか?」
画面の中もリアルでもお姉ちゃんはおろおろしている。
『妹に敬語w』
『あ、料理配信のときと同じだ』
『コミュ障に適当とか普通とかの曖昧な言葉は禁句』
『あーあ、これは妹ちゃんが悪いわ』
『メスガキって本当お姉ちゃんに対しては優しいな』
「自分が興味を惹かれた発言だけとりあげたらいいからね。あとでまとめてお礼の言葉を述べてもいいんだし、そこらへんはわたしがフォローするよ♡」
「ありがとうイソラちゃん」
「いえいえどういたしまして♡」
すでに報酬はいただいている。
ありがとうの言葉とともに抱きしめられる感触。
身近に感じられるお姉ちゃんの吐息。
解像度の高いお姉ちゃんのお顔。
百万じゃ足りませんかね? 一兆円くらい課金しちゃう?
『なんだよ。イチャイチャ配信かよ』
『すでにズボンは脱ぎました』
『姉監禁√じゃなくてよかったなw』
『おめでとう♡』
『ありがとう♡』
『ヒモ姉さんは、メスガキの想いを受け止めると言っていたが、具体的には今後どうするつもりなんだ。美大を卒業したあとは就職するだろうし、メスガキもいずれは自立できる年齢になるわけだが。¥1000』
「え、えっと、カフェ・オレ氏さんスパチャありがとうございます。そうですね……、どうだったかな」
「お姉ちゃんは卒業したら就職するつもりなんだよね?」
「う、うん。そうだよ」
「そのままわたしが卒業するまでお姉ちゃんのことを好きでい続けたら、そのときは改めて答えを返してくれるんだよね?」
「うん。そうするよ」
「約束したもんね♡」
「そう……だったね?」
危ない危ない。
お姉ちゃんはガチでわたしが恋しているとは思ってないから、将来についてなんて考えているはずもない。いちおう、お姉ちゃんには今後のことについて聞かれたら、今みたいに答えるようお願いしてはいたんだけど、そこまで細かく覚えてはいられなかったんだろう。
『ふうん。モラトリアム期間は確定されたわけか』
『マジでメスガキ大勝利じゃんw』
『当初の目標を完遂する小学生。末恐ろしい』
『なあ……今の発言。変じゃないか? ¥200』
『お?』
『MSGK泣かし隊兄貴、どうした?』
あ、バレちゃったくさい?
さすがMSGK泣かし隊兄貴だ。
兄貴って狩人みたいに狼に対する嗅覚が鋭いんだよなぁ。
まあ、面白いんでお手並み拝見といこうか。
『なあ、いまヒモ姉は「どうだったかな」と言ったよな。¥100』
「え、えと……なにか変でしたか?」
『日本語として変だな。「どうしようかな」ならわかるんだよ。将来については不確定なこと。心が定まっていないのであれば「どうしよう」となるのはわかる。そうではなく「どうだったかな」という発言は、既に起きたことに対する確認の意味合いだ。ヒモ姉の内心はヒモ姉自身知ってる。だからわざわざ確認する必要はない。じゃあ誰に確認したんだってことになる。¥100』
「ふ、ふええ……イソラちゃん」
お姉ちゃんはわたしをギュっと抱きしめてきてる。
ぬいぐるみみたいにわたしを抱っこすることで安心を求めているのかな。
もっといっぱい抱っこしていいよ♡
「続けて?」
わたしは不敵に笑う。
『その後のメスガキのフォローを考えると、その確認はまちがいなくメスガキによってもたらされたものだろう。ヒモ姉はメスガキから何かしらの教導を受け、その教導に基づいて発言していた。つまりヒモ姉の発言は「(設定は)どうだったかな」という意味合いだったんだよ。¥100』
「あわわ。えむえすじーけー兄貴さんスパチャありがとうございます。あわわ」
お姉ちゃんはテンパりながらも律儀に感謝の言葉を言っててかわいかった。
それにしてもお見事としか言いようがない。
たった一言の失言で正体見破られちゃったか。
残念だけど、お姉ちゃんの発言はコントロールできないからしょうがないね。
『悲報。ヒモ姉、妹ちゃんの洗脳を受けている』
『ヒモ姉は狼さんによって狂人化してたってこと?』
『どっちかというと村騙りだろ。許されざるよw』
『まさか……そんなことがありうるのかよ』
『め、メスガキおまえ……恐ろしい子w』
『どういうことなんか、いまだによくわからんのやが誰かわかりやすく解説してくれ』
『盤面整理するぞ。まず先ほどの流れで明らかになった事実だが、ヒモ姉はメスガキによってなんらかの設定を受けている。その設定とはおそらく「妹から愛の告白を受けた姉」というものだ。配信&スレでの狐騒ぎの後、メスガキが姉に対して家族愛を越えた想いを抱いていたことはほぼ透けてしまっていた。メスガキとしては、それでは都合が悪いので、その事実を覆い隠そうとした。たぶん「キャラ設定としてメスガキは姉を狂愛してる」とか言ってな。¥1000』
『続ける。この盤面での問題は、オレら視点でメスガキが狼だということはわかっているつもりだが、それを証明する手段はないってことだ。メスガキは「すべて演技でした。小学生にだまされちゃったの? お兄ちゃんたちざーこ♡」とでも言っておけばいいわけだからな。ヒモ姉に対して、あんた騙されてるぜと伝えたところで、騙されていたのはオレらということになる。くっそ、メスガキがよ。オレらをなめやがって。¥1000』
盤面整理乙。
さすがにここまでスッキリと説明されると痛快だな。
お姉ちゃんの腕に加わる力が、強くなったり弱くなったり。
わたしは画面のほうを向いているからわからないけど、お姉ちゃんの顔はいまどんなふうになっているんだろう。少し覗いてみたい。
『じゃあなにか? メスガキはオレらのことも騙そうとしていたってこと? ¥100』
『なんのために? ¥200』
『狐対策はあるだろうな。¥100』
『あー、妹の想いを勝手に晒しても、騙された無様なクソ雑魚扱いされるわけかw』
『でも、オレら視点で、メスガキは確実にお姉ちゃんのこと大好き勢だぜw』
『狼のために死ねと言われた狂人状態か、オレらw』
「え、ええと、みなさんどういうことなんですか。い、妹ちゃんはわたしを騙そうとしている?」
わたしをぬいぐるみみたいに抱きしめながらお姉ちゃんは言う。
そして、ふっと腕の力が緩む。わたしに対して狼疑惑を抱いちゃったかな。
でも判断が遅い♡
お姉ちゃんの腕をつかんで離さないわたし♡
腰をおろしているわたしをどけようとしても無駄♡
まあがんばってちょっと力をいれればすぐに逃げられるけどね。
ぜっーーーたいに逃がさないよ♡
わたしは振り返りながら無邪気に口を開く。
「騙してなんかないよ♡ お兄ちゃんたちが騙されてるだけ♡」
「ほんとに?」
「ほんとに♡」
『ひいいいいいい』
『メスガキおまえどこまで考えてこの盤面を創り出した』
『MSGK泣かし隊兄貴。早く来てくれ。間に合わなくなっても知らんぞ!』
『お姉ちゃん逃げられない。もうだめだ』
『いやまあ、それでもいい感じもするからなんともいえんよな』
『オレらを利用しようとしたのは、ちょっとばかり思うところはあるが、今回は狼に華を持たせてやるよ。まあメスガキがあえて続けるよう促したのも、オレらには知っておいて欲しかったんじゃないか。¥100』
――そうだね。
MSGK泣かし隊の兄貴が言うとおりだよ。
お兄ちゃんたちにはわたしの本心を伝えたかったんだ。
お姉ちゃんのことが一番なのは変わらないけど、お兄ちゃんたちのことも好きだからね。
でも、それをここで言ってしまうのも無粋かな。
『だめだ。MSGK泣かし隊兄貴も立派な狂人だったわw』
『お姉ちゃんも狂人だし、兄貴たちもほぼ全員狂人で構成されている。もうだめねこの村』
『素村いないとか、この村バグってんよw』
『いったい誰を吊ればいいんだよwww』
『狼でも吊っとけwww』
『黒特攻w』
『それこそまさに狂人の所業w』
狂人たちの狂乱は続く。
みんなが楽しそうでなにより♡
第一ゲームはそろそろ終わりそう