【悲報】私氏、小学生妹ちゃんのヒモになりそう 作:おねロリのおね
部屋の姿見の前で、わたしはくるりと一回転する。
うん! 今日もベリィグッドにかわいいぜ!
生まれ変わって10年も経過すると、さすがに女の子も板についてきたかな。
うん。
いったい誰に向けて喋ってるのかって話だが、わたし
一度目は社会人のニュービーまではいったんだが、なんやかんやあってあえなく昇天。いま流行りの神様転生ってわけでもなく、ふと気づいたらクソかわ女の子に生まれ変わっていた。
ちょっとかわいいとか、もしかしたらかわいいとか、そんなレベルじゃない。
もうアホかっていうくらいかわいい。
男の視線っていうのが少し残留しているのか、この異空ちゃんという個体は天使とか妖精とかいう言葉が似合う。色素薄い系女の子だ。
性転換少女の栄えある人気第一位の髪の色――白銀の髪。
身長が低いせいもあるが、腰のあたりまで伸びていて、少し毛先がピンク色に染まっている。
そして、エメラルドを思わせるような瞳。光の加減では宝石のように輝いて見える。
キズひとつない肌はなめらかで、幼いながらも色香をまとっているかのよう。
といっても赤ん坊の頃はよくわからなかったけどな。
どうも外国ぽかったし、母親は日本人とどこかの国籍とのハーフらしかったけど、わたしを生んでからすぐに亡くなったみたいだし。パッパのほうは純日本人だったわたしから見れば完璧に外国人だったわけで、状況を把握するのに必死だったというのが実情だ。
それで転機が訪れたのが五歳の頃。
うちのパッパが日本人の奥さんをゲットした。
もともとパッパは日本人に縁があったんだろうな。
そのあたりの事情はよくわからないが、片親で育てる限界のようなものを感じてたんだろう。
わたしも、できるだけ迷惑にならんように、パッパの言うことはすべて素直に聞く良い子ちゃんだったんだが、それがよくなかったのか、ワガママのひとつも言えない環境を強いているとか思っていたのかもしれない。
もちろん、愛はあったよ。それは断言できる。
両親たちはわたしが五歳の時から九歳になるくらいまで、本当に仲睦まじく暮らしていた。
事故は不運だった。そうとしか言いようがない。
たぶん、わたしがだいぶん育ってきて、一週間くらいなら大丈夫だと思ったのが理由だろうな。わたしがパッパの母国にいっしょに連れていかれなかったのは、遅かりし新婚旅行だったのかもしれない。
幸いなことにという言い方をするのはよくないかもしれないが、新婚旅行に行くと言い出したのは、両親たちからだった。それで、わたしたちは学校があるからという理由で、ほんのわずかな間だけお留守番することになったんだ。
誰も悪くない、と言い切れるのが幸いな理由だな。
ただ、不幸な因果があっただけだ。
正直、めっちゃ哀しかったのは事実だよ。
でもさ、
実際、わたしには両親の死よりも考えるべきことがあった。
葬儀のとき。両親を亡くして、小さく震えているお姉ちゃんを見て、
――あれ、これってエロゲ設定じゃね?
って、思ってしまったんだ。
エロゲではよくある設定なのだが、両親は不在であることが多い。しかも、両親を亡くした連れ子どうしというパターンもわりとありがちだ。親という良くも悪くも秩序をつかさどる存在がいなくなってしまい、より強い結びつきを求めて、劣情を燃えあがらせてしまうという仕組みなのだろう。
つまり、つまり……そう。
この状況はエロゲと近似する!
いやまあ、わたし小学生女児だけど、そこは考えても仕方ないところ。
わたしはお姉ちゃんとのふたり暮らしを夢想して、ひそかに興奮していたのである。
しかし、そのときはまだ、わたしとお姉ちゃんをつなぐ絆に自信がなかったのも事実だ。
過ごしてきた年月は嘘ではないが、血縁ではないからな。血は水よりも濃い。
このまま万が一にでもわたしが見限られたら、児童養護施設ルートまっしぐらだ。
いやまあ児童養護施設がダメってわけじゃないよ。前世も孤児だったし、そんなに悪くない生活なのは知ってる。だけど、生まれ変わって十年。わたしにも本当の家族ができて、それは得がたい経験だった。
――ありがたい。
という言葉の本質的な意味がわかったよ。
それに、お姉ちゃんが心細そうにしていて、なんとかその壊れそうな心を守らなきゃって思ったんだ。家族がいないという経験をしているわたしと違って、お姉ちゃんにとっては家族がいることが当たり前だったわけだからな。
人は最初から持ってないことには耐えられるが、一度手に入れたものを失うのは耐えがたい。
空っぽの世界に放り出されたような気分だったのではないかと推察できる。
なにか――、そう、なにか決定的な絆が欲しかった。
――ひとりぼっちはさみしいもんな。
とっさに指を伸ばしたわたし超ナイス!
お姉ちゃんの震えは止まって、わたしに向かって天使のほほえみを浮かべてくれた。視線は母親のように優しく、わたしは慈愛の聖母に守られている。そのとき、わたしとお姉ちゃんとの間に、本当の意味で家族の絆が生まれたように感じたんだ。
もうお姉ちゃんという存在が尊すぎて、わたしは脳汁がでまくっていたんだが、普通に考えて、親が死んでるのに『お姉ちゃんとふたり暮らしだヒャッホーイ』と喜んでいる小学生がいたらクレイジーガールであることは論をまたない。
いやなに。表情をコントロールするなんてたやすい。
こちとら生まれた時からほぼ演技しどおしの人生だからな。
わたしはしかめっ面をして、涙をこらえているふうを装いながら、お姉ちゃんのすべすべな指先を堪能していたのだった。
持論だが、百合とは指先でちゅっちゅするのが至高である。唇でちゅっちゅするなんて所詮は二流よ。まあ、唇が悪いとは言わんがな。キスしてると顔が見えないじゃん。
わたしは思ったんだ。
ああ、これからわたしというお荷物を抱えて生きていくことに重責を感じて、曇らせ顔をしているお姉ちゃんがマジかわいい、ってな。
――度し難い。
本当にマジ一回死んだほうがいいくらい度し難い。
あ、すでに一回死んでるか。
閻魔さまがいるのなら、お叱りはうけます。
来世にご案内された両親にも土下座して謝ります。
でも、言い訳をさせてもらえるなら、お姉ちゃんはわたしの推しだったんだよ。出逢った瞬間から推し活が始まったと言ってもいい。
お姉ちゃんと出逢ったのは、両親が再婚した時。
つまり今から五年前だ。
わたしは当たり前ながら、当時五歳児で、お姉ちゃんは十五歳のうら若き乙女だった。いまも乙女だけどな。断言してもいい。処女膜から声でてる。
そんなお姉ちゃんはわたしのことを最初は恐る恐る見ていたように思う。なんというか、未知の存在に対する恐怖というか、そのような感覚を受けた。お姉ちゃんはこわがりなのだ。わずか五歳の幼女に対しても、慣れてない子猫のように距離をとろうとする。そこがまたかわいいんだ。
わたしはお姉ちゃんのかわいいところを百以上あげることができるけど、一番かわいいのは、その心性――こころのかたちであると断言できる。
もちろんさ、身体も最高だよ。
最初の最初。いちばん始めに出逢った頃は、そのとき既に超高校生級にお育ちあそばれてたお胸様を見て、清楚系なゆるふわな感覚とは裏腹にホントはドスケベなんじゃないのと夢見たものだ。
いまでは立派に育ちきって、シャレになってないレベルでクッソエロい。
もう、このごろは見ているだけで猥褻物を眺めている気分だよ。
社会に対して申し訳なくないの?
おっぱいが自白してるだろ、オラッ!
と、言いたい気分だったが、わたしのキャラ的にどう考えてもあわないので、姉を慕う妹として、おっぱいに顔をうずめるにとどめている。卑猥なことは一切していない。
外形的に見れば、小学生の幼い妹が姉に甘えるのはむしろ推奨される行為といえるだろう。特に両親がいなくなったばかりでまだまだ幼い見た目のわたしは、誰かに甘えられていると見えることが重要なのである。それで、周りも安心する。つまり客観的かつ正当な理由があって、わたしはお姉ちゃんのその豊満なおっぱいを堪能できるって寸法だ。
もうね、人をダメにするおっぱいだよ。
必ず一日一回はおっぱいダイブを決めにいく。基本イク。
そんなわけで、お姉ちゃんは心も身体もわたし好み。
わたしに家族を与えてくれた神様に感謝の祈りを捧げながら、わたしは毎日誓っている。
お姉ちゃんのことは、ぜ~~~~~ったいに逃さないってね。
わたしは手に入れたいものは全存在を賭してでも手に入れる主義なんだ。
※
さて、そんなわけでお姉ちゃんと結婚することを決意したわたしだったが、難しい点がふたつほどあるのは誰にでもわかるよな。
そう、性別と年齢だ。
お姉ちゃんは性癖的にはたぶんノーマルだろうと思う。
ただ、わたしが幼いから今はいっしょに住んでいるだけかもしれない。
残された時間は、わたしが成人するまでと考えれば、あと八年かそこらか。
年齢っていうのは、わたしが幼すぎて本気だと思われない可能性だ。
しかし、これは逆に言えば、年齢を重ねれば重ねるほど払拭されていくともいえる。
タイムリミットが迫るに連れて、お姉ちゃんに告白が通る可能性も高まる。
泣いても笑ってもあと八年。だが、そこまで待つ必要もない。
わたしが高校生になるくらいで十分だろう。
JKは子どもと大人の中間存在だからな。
そのときこそは、わたしのお姉ちゃん攻略と、わたしの年齢が最も調律の取れる時と判断した。
それまでは雌伏の時。そう思っていたんだ。
お姉ちゃんが誰か男の人をひっつかまえてというのは、ちょっと考えにくいし、わたしというストッパーがあるため、誰かとつきあうのは確率的に低いだろう。
正直、お姉ちゃんの人生を破壊していることに罪悪感を覚えたりもするが、責任とるから! 絶対幸せにするから許して! と、内心で思いつつ、
――余裕かましていた。
言うまでもないが、わたしは毎日のようにお姉ちゃんに尽くしている。
朝に弱いお姉ちゃんを起こして、着替えを用意して、朝食をつくっておき、お昼のお弁当をもたせて、先に小学校から帰宅したわたしが買い物その他を済ませ、帰ってきたら軽くスキンシップ、おゆはんもつくって、いっしょにお風呂に入る。いっしょにお風呂入るのは五歳の頃から続けているので、惰性であるともいえるだろうか。
ともかく、わたしに躊躇というものはない。
常に全力全開。
どっろどろになるまで甘やかして、わたしに依存させるよう仕向けている。
お姉ちゃんが指一本動かさなくても、生活できるようにはしているつもりだ。
――それがよくなかったのだろうか。
お姉ちゃんが先日、「大学やめようかな」という旨の発言をしてきた。
どちらかといえば、石の下に隠れ住んでいるダンゴムシのような心性をもっているお姉ちゃんのことだ。
今までも、わたしに負担をかけているとでも思っていたのだろう。
いやいや、血もつながってないのに小学生といっしょに住むとか、それだけでも聖女様クラスだからね。
わたしも、それなりに絆ストックしてきたから、まあそこは妹と住むという選択もありえるところだと思っていたけど、普通に考えれば、依存しているのはこっちであって、お姉ちゃんじゃない。
それなのに、両親のお金を食いつぶしているとか考えちゃってたらしい。
正直なところ、わたしは混乱していた。
お姉ちゃんの聖女っぷりが、四の五の言わずにメチャクチャ好きって思ったのと同時に、同じくらい、わたしとは考え方が違うんだなって思ったから。
ともかくこのままだと、お姉ちゃんが大学をやめてしまう。
そうすると、その後はどうなるのかわからない。計画の練り直しが必要になる。
おそらくは、仕事を始める気だろうと考えた。
わたしといっしょに暮らさなくなるという線は「わたしのことが嫌になったの?」と聞いたら「違う」と言っていたから消えて、心底ほっとしたんだが、仕事を始めたらどうなるのかわからなかった。
お姉ちゃんが経済的に自立してしまう。
そうするとどうなるだろうか。
――わたしへの依存度が下がる。
そう考えたら、血の気がサァっと引いた。いやマジでサァって感じ。
脳みそから熱が奪われて、目の前がクラクラした。
無意識のレベルで取り繕える微笑を浮かべて、なんとかバレないですんだが、わたしは嵐のような混乱のさなかにあったんだ。
気づくと、わたしは次の日から数日かけてお金を引き出し、お姉ちゃんに差し出していた。
幸いなことにお金はあった。お姉ちゃんに課金したいという仄暗い欲望を満たせて、少しだけ下腹部がうずいた。
しかし、困惑するお姉ちゃんの顔を見て、さすがにまずったなとも思ったのも事実だ。
いくらわたしに依存心を抱くように仕向けていたとはいえ、やりすぎがよくないことはわかっていたはずだ。
人は誰かに甘やかされすぎると、逆に一念発起して、自立を目指す性質がある。
お姉ちゃんがそういうタイプだってことは、大学をやめようかな発言で気づいていたはずだ。
本当に迂闊だった。
幸いなことに、お姉ちゃんは押しに弱い。
わたしが聞くなという空気感を全開にすれば、あまり強くは聞いてこない。
でも、いずれは明らかにしないといけないんだろうな。
わたしがブイチューバーやってるってこと。