【悲報】私氏、小学生妹ちゃんのヒモになりそう 作:おねロリのおね
――という話だったのさ。
動画の再生が終わった。
わたしが妹価を見せつけられた淫猫フェスティバルの様子は、お兄ちゃんたちに伝わった。
それでみんなの感想は予想通り。
『バレてるやんけ』
『バレてるよな……』
『ちょっと小声だけど、イソラ言われているような』
『どこまでバレてるかが重要だよな』
『狼終了のお知らせ』
「いや、淫猫はとっさのことで言い間違っただけじゃない?」
わたしは反論を試みた。
あのときの違和感。
すべては虚偽と真実が入り時混じった空間での出来事だ。
実際に体験したわたしでないとわからないことも多いと思う。
『妹アニメ作らせるようなやつがか?』
『天才児の妹Ⅱが言い間違えるかぁ?』
『ギリギリ聞こえるか聞こえないかというのが逆にあやしいだろ』
『探偵というかエキストラ雇ってるようなヤツだぞ』
『これはもうバレてる前提で行動したほうがいい』
「うー、あの場はちょうど映画館みたいな感じだったんだよね。わたしと淫猫の距離は近くて、お豚さんたちがステージの下にいるような感じだったから、わたしと淫猫が何を話しているかは、たぶん知らなかったはず。そうだよね。カフェ・オレお兄ちゃん」
『なにか話してるなくらいしかわからなかったな。¥100』
「ほらね。だから、淫猫も油断してたんじゃない? なにしろ淫猫も小学生だし!」
『認めたくないんだなw』
『おまえも小学生だという事実を忘れるなw』
『妹バレしているとして、この配信はバレてんのかな』
『ヒモ姉スレッドのほうはどうなんだろうな』
『カフェオレみたいな特殊なやつがいない限りはそうそうバレないとは思うが』
「スゥ――、はぁ~~。やっぱりバレてると思う?」
わたしはリアルでねこぐるみをギュっと抱きしめた。
配信前からわたしが精神的にうちのめされていたのは、これバレてんじゃねと思ったからだ。
しかし、いったいどこでバレたんだろう。
いや、バレてるとしてどこまでバレている?
わたしが異空であることはほぼバレ確定。
わたしがブイやってることは不明。
お姉ちゃんに欲情しちゃってることは?
家族愛というカモフラージュがあるから、ここもまだ不確定部分があるはずだ。
『やっぱりメスガキのほうもバレたって思ってたw』
『配信前に力なかったのって敗北確信しちゃってたからか』
『これは雑魚狼さんですね』
『しかし、妹Ⅱの情報探査能力よ』
『いやでも、メスガキちゃんがイソラであることの証拠はないはずだ。¥1000』
「MSGK泣かし隊兄貴。スパチャありがとう。そうだよね。証拠はないはず」
『だが、ヒモ姉と生声をブレンドした例の声を聞かせちゃってるわけだよな。ということは、いずれバレるのは必至。あの場では証拠はなかったかもしれんが、ちょっと調べりゃすぐわかるんだから。¥100』
「そうだよね~~はぁ……失敗した」
わかりやすくわたしが落ちこんでいると、さらにスパチャが投げられた。
『手を止めるな。おまえの手はなんのためについている。勝利をつかむためだろうが。なぜバレたのか。いつバレたのか。バレたとしてどこまでバレてるのか。このあたりを議論すべきじゃないか? ¥100』
やはり、MSGK泣かし隊の兄貴はかっこいい。
『私は、妹Ⅱちゃんが本音を語ったのかに焦点を当てるべきだと思うわ。あのときイソラちゃんだとバレていたとすれば、それを知りながら妹アニメを見せたのかしら。¥500』
「おねロリのお姉ちゃん。ありがと♡ そうだよね。そこも大事かな」
『淫猫ちゃんがお姉ちゃんと呼ばれたい理由がわかる気がするわ♥ ¥30000』
『お姉ちゃん呼び一回三万円www』
『ついにおねロリのおねがお兄さん呼びじゃなくなったw』
『え、おねロリのおねっておっさんじゃねーの?』
『まあそこはわりとどうでもいいw』
『なんで妹バレたかってそりゃ妹Ⅱをなめすぎた結果なのでは?』
『バレ要素はわりと多いような気がするなぁ』
「盤面を整理するよ」
わたしは元気な声を出すように努める。
『お、オレの役割が……』
『悲報、盤面整理兄貴、仕事を奪われる』
『盤面整理というか議論の焦点だな』
『この配信も観察されているとしたら勝ち目なさげ』
『メスガキのはメンバー登録しただけで簡単に見れるプレミアム配信だからな』
「じゃあ、まず何を議論するかについてだけど、わたしがイソラバレしたのはどうしてかな」
『そりゃメスガキちゃんが目立ちすぎたからじゃね?』
『妹Ⅱのノーマル配信の時から探り入れてたんちゃうか』
『素のときのイソラと同じ口調』
『メスガキの家族構成が現実と同じ』
『メスガキとメスガキの仲間たちの暗躍』
『メスガキスキーとかわからせとか、それにまつわるスパチャが多かった』
『妹Ⅱのメンバー試験で、メスガキのアバターがイソラと同じ配色だった』
『抑えきれぬメスガキ臭』
「ま、まあ……考えてみれば、いろいろと尻尾出してたよね」
小学生だと思って油断してた面は否定できない。
『どうせメスガキもバレてもいいさって考えてたんだろ』
『淫猫お姉ちゃんのことも好きになりたくて、ついつい素がでちゃうんだよな』
『酔ってるヒモ姉が酔ってないって言うくらい確定的に明らか』
『かわいいね♥ メスガキ♥』
『もうさぁ。淫猫お姉ちゃんにごめんなさいして食われちゃえば?』
『狼が喰われるとかwwww』
お兄ちゃんたちが好き勝手言ってるが、わたしは負ける気はないぞ。
「これさぁ。いつバレたのかって話だよね。要素を積み上げていって徐々にって感じかな。メンバー試験前にはもうバレてたのかな」
『その時点ではメスガキはモブだろ?』
『高額スパチャを投げた点って、メスガキが妹ちゃんだという要素からは真逆』
『赤スパ五万円を投げるのは小学生では難しそうではあるはずなんだが……』
『妹Ⅱはメスガキの口座とかも調べているんだろうか』
『リアル方面で、そこまで探知されていたらもう無理よw』
「あー、赤スパしてもわたしだと思っていたことになると、連鎖的にブイしてるってことも知ってた可能性が高くなるのかもね。ちなみに、妹Ⅱはわたしの口座とかは調べてないと思うよ。プライバシーを侵害するようなお部屋の中の盗撮とかはなかったし」
エキストラさんたちも公道での出来事だ。
その理由もわたしがあまりにもかわいすぎて護衛しなきゃってことらしいし。
たぶん、わたしのことを調べるにしろ、家族としてのライン越えはしてないように思う。
『妹Ⅱに対する信頼が熱い』
『言うて護衛つき小学生……』
『ブイバレについては五分五分くらいじゃないか』
『五割も確率あったら激熱なんだよなぁ』
『レバブルしてるくらい超激熱だと思うが』
『ブイバレについては、メスガキにまつわるオレらが出張ってきたのが裏目ったか』
『メスガキで検索したら、メスガキ・イソラにもぶち当たりそうかな。¥100』
「そうかもね。それくらいはしそう……」
今になって思えば、もともとあるサブ垢『メスガキちゃん』ではなくて、他のサブ垢を作るべきだったかもしれない。後の祭りだが。
「じゃあ、いずれブイバレもするとしようか。そうだとしたら、わたしはどうしたらいい?」
『ブイバレしてたら、次に懸念すべきはこの配信がバレないかじゃないか?』
『淫猫のほうはメスガキ側がイソラバレを悟っているのを知らない可能性もある』
『淫猫みたいにメンバー登録を絞ったほうがよさげ』
『メンバー登録者には宝珠淫猫はいないんだよな?』
『ややこしいな。ひとつひとつ整理していけ』
『ば、盤面整理させて。¥1000』
「盤面整理兄貴。じゃあ、よろしくお願いします」
『ヨシ。じゃあ盤面整理するぞ!! ¥3000』
『よかったな。盤面整理w』
『まあ、盤面というかルートどりが難しくなってきてるからな』
『言うて、全バレしてたら意味はないが……』
『まあ、がんばれw』
水を得た魚とはこのこと♡
コメントからいそいそとした様子が伝わってくる。
『まず、メンバー登録者に宝珠淫猫はいないんだよな? ¥100』
「いないよ。メンバー登録者に淫猫はいないね」
『では、次に淫猫がサブ垢を作るような性格かということだが、これはどうだ? ¥100』
「たぶん、しないんじゃないかな。淫猫は確信犯と言ったらいいか、自分が正しいと考えているタイプだから、嘘をつくような子じゃないし、詐術を用いたりもしないと思う。そりゃサブ垢くらいは持ってるかもしれないけど」
『ここまでで、盤面整理できたことは、淫猫はメスガキのお姉ちゃん配信を見ているわけではないということだ。豚たちがまぎれこんでいる可能性もあるが、あっちのメンバーは少ないんだろ? ¥100』
「少なかったね。あの場でざっとカウントした感じだと76名だと思う。わたしも入れて77」
『メスガキ。おまえ数えてたのかよ』
『薄暗いVR空間でよく数えてたな』
『壇上から見下ろしてたとはいえ、すさまじすぎる』
『あ、でも動画で保存してたら後から数えることもできるか』
『77名だと、こっちに豚がいるかいないかは微妙な数字だなぁ』
『淫猫は浮気に厳しいんかな?』
『浮気に厳しいのはメスガキのほうだろw』
「わたしが嫉妬深いのはほっとけ♡ でもまあ、淫猫のほうはそんなに嫉妬深くはなさそうかな。女王様ってことで、お豚さんたちが勝手に浮気を戒めてる感じはするけど」
わたしみたいにゆるーい感じではなくて、わざわざ位階とかも作ってるくらいだからな。
なんか、アイドルに対するプチ宗教観と同じで、全体的にヤバい雰囲気があった。
『オレ氏がもらった豚の十戒には、浮気は厳禁ってあるわw ¥1000』
『オレ氏www』
『これ最終的に、メスガキと淫猫の両方に浮気を責められるパティーンw』
『姉妹百合の間に、カフェオレ氏挟まってんのかよ。これはケジメだな』
『なるほど豚の統制力が強いのが仇になってるのか』
『淫猫の思想だと、豚たちは判断材料にしかなってないんよ。あくまでブレインは自分ひとり』
『豚はいなさそうかなぁ。いたとしたらそいつ狐と同じポジなわけだろ?』
『豚狐がいたら、あの場でメスガキ断罪されてたんじゃね?』
『まあそうだよな。というか、その場合は既にゲーム終了』
「豚さんはいないだろうね。たぶんだけど」
そうだったら、既にわたしがお姉ちゃん好き好き状態なのがバレて……。
えっと、どうなるんだ。だからどうしたって感じになるんだろうか。
『盤面整理を続けよう。この配信に豚はいない。そう仮定する。つまり、メスガキのブイバレはしてるかもしれんが、狼だとはバレていないということになる。その場合、猫である妹Ⅱは、自分がメスガキちゃん=イソラだと知ってることを秘しておきたいか。¥100』
「これについては秘密にしておきたいんじゃないかな。だって、妹の気持ちが知りたいからって、わざわざお豚さんたちを集めたんでしょ? わたしに直接聞けばいいのにしなかったのは、わたしも防御するからで、わたしの情報を集めてることは伏せておきたいはず」
『それなー』
『妹Ⅱはメスガキがヒモ姉に欲情しているかどうかを確定させたいんじゃないか。¥100』
『ヒモ姉と切り離していきたいとか考えてたら、そうなるのかな』
『切り離すとかじゃなくて、メスガキの中のヒモ姉の重要度によって戦略を変える感じかも』
『高度な柔軟性をもって臨機応変に対処する』
『妹Ⅱは頭良すぎて、戦略家気質なんだろうよ』
『どっちも難しく考えすぎなんだよな。もうガバっと抱き着いてチューしろよ』
『小学生に小学生を襲わせるのは教唆行為でNG』
「猫としては狼がどこにいるかは知っておきたいよね。その要素取りはまだ続いてると思う」
『猫はメスガキが狼だろうがそうでなかろうがかまわず食っちまいそうだが』
『人狼で考えると、わけわからんくなる。だったらおまえがヒモ姉喰って終わりだろw』
『妹Ⅱが猫だと確定した時点で、狼勝利確定なのでは?』
『でも、人狼ゲームと違って、ヒモ姉は現時点で狼に食べられないスーパー村人だからなw』
『スーパー村人、なにそれ新しいw』
「現実という話をすると、夜時間がくるまで――つまり、わたしが大人になるまではお姉ちゃんは食べられないよ。それは前から変わってない。問題はそこに至るまでに、猫の横やりが入るかもしれないってこと」
『そういやそうだったな』
『モラトリアムの時間か』
『案外、今の状況も人狼ゲームしてたんだな』
『だったら、前みたく、猫だったら吊られに行くって可能性もあるんかねえ』
『猫ルーか。その線ってまだ残ってたんだな』
「吊られに行く――。それは淫猫がヒモ家から出ることを意味する。その際に、宝珠家の力を使って、お姉ちゃんを道連れにする。つまり、宝珠家のヒモにするというのは考えられるかもね」
『頭ン中こんがらがる』
『でもさー。猫としての本懐は、メスガキに喰われることだろ』
『選んでほしい言うてたからなぁ』
『吊られて猫ルー作戦は、ヒモ姉が酒におぼれるから棄却されましたw』
『そういや人狼に酔っ払いという状態もあったよなw』
いま、恵子がどう思っているかは知らないけど、鳳寿院に紐づけようとする流れは一旦止まっている。お姉ちゃんのナイスプレイによって、猫ルーの可能性は低くなった。と、思いたい。
『しかし、イソラバレをこちらに伏せておきたいんなら、どうしてわざわざ「イソラちゃん」とか言ったんだろうな。あれって意図的な失言じゃないか。¥1000』
「MSGK泣かし隊のお兄ちゃんの言う通り、ほとんどCOなんだよね」
『ん-。あーそうか』
『妹ちゃんがきてくれてうれしいってなってガチで失言したとか?』
『ここまでのレベルのプレイヤーが失言とかするかなぁ』
『やはり、そこが違和感の元か』
『だったら、イソラバレをこちらが知っていること上等ってこと?』
「猫が裸での殴り合いを希望なら応じるよ。でもあのときぽつりとつぶやいただけだし、正直よくわかんないんだよね。あ、バレたかなって一瞬思ったけど、もしかしたら違うかもしれないし」
『真偽不明で偽装するのが高等テクニックなんよ』
『淫猫としては猫バレしたって思ってるだろうから、実は焦ってるんじゃないか。¥100』
『そうかぁ? だったら、あの余裕たっぷりな態度はなんなんだよ』
『余裕な態度は、猫のスタイル』
『盤面整理兄貴。しっかりしてくれ。議論がちっともまとまってないぞ』
わたしにも迷いがあるからな。
盤面整理兄貴が整えた場を乱してしまった。
『すまんな。盤面整理を改めてしっかりしてみよう。淫猫はメスガキちゃんをイソラだと思っている可能性は高い。そしてその点を伏せておきたいかは微妙。淫猫のイソラ発言を最大限考慮すると、おそらく伏せておかなくてもよいと思っている。これは逆に言えば、淫猫は自分が猫だとバレてもかまわないと思っているということを指す。¥1000』
「そうなるね」
たっぷりナレーションで解説されたからな。
わたくしは猫ですってCOしまくっていた。
あれで猫じゃなければ、なにが猫だよって話になる。
『次に考えるべきは、イソラ発言の時に、ブイバレをしていたかどうか。証拠がなくても確信をしていたかについてだが、この点は、淫猫の普通配信のときの行動がどう見られているかによる。メスガキスキーやわからせマンの発言。ついでに言えば、「わおーん」のログを拾えば、なんらかのつながりが看破されたとみるべきか。¥100』
「わおーんは迂闊だったかもね。メンバー試験のときにはブイバレとは言わないまでも、わたしの関係者としてお兄ちゃんたちの存在は知られたかな」
『ここで猫の基本戦略を今一度考えてみると、まずヒモ姉がアル中になっちゃうから自分が吊られて猫ルーというのはない。だったら、狼に噛まれたいということになるが、猫だとバレれば普通は噛まれない。だからこれもありえない。ウーム。盤面整理してみてもよくわからんな……』
「盤面整理乙でした♡ そこまでで十分だよ。で……、妹Ⅱの戦略なんだけど、たぶん――」
――画面の端にポップアップ。
メスガキちゃんアカウントのほうからDMが入った。
それを開けて、わたしは確信する。
やっぱり、淫猫は。いや、恵子はまだわたしが狼だと確信していない。
恵子の戦略は、自分が猫であるとCOすることで、噛み筋から狼か否かを見極めることにある。
猫は自分が猫だとバレても特に問題がない役職だ。もちろん、伏せておくに越したことはないが、猫だと分かった瞬間に、村人側からは吊られることはほとんどなくなる。
要するに――、恵子が自分のことを猫だとお姉ちゃんに伝えたところで、それは恵子を追い出す要因にはなりえない。もう家族だからというのもあるけれど、猫は
猫はここにいる。それでお姉ちゃんは自身は村人であることを知っている。
だったら狼はどこにという話になって、消去法的にわたし狼が確定してしまう。
つまり、恵子はお姉ちゃんにわたしの想いを伝えてしまえばいい。
いや、伝えてほしくなければ、
恵子はお姉ちゃんを人質にして、わたしに噛むよう促しているんだ。
――メスガキ・イソラというブイチューバーをご存じありませんか?
DMにはそう書かれていた。
※
「あー、お兄ちゃんたち。いま淫猫のほうからメスガキちゃんアカウントにDMがきたよ」
わたしはメッセージを読み上げる。
拝啓。メスガキちゃん様。
メスガキ・イソラというブイチューバーをご存じありませんか?
いいえ、わずらわしい迂遠な言葉は排しましょう。
あなたはメスガキ・イソラちゃんではありませんか?
もしそうでしたら、わたくしとコラボ配信をしませんか。
議題はそう、お姉様についてなんていかがでしょう。
お姉様の今後のこと。家族の在り方。わたくしの家の力をどうするか。
語るべきことはいろいろとありますし、そろそろ決着しておくべき時間でしょう。
あなたにとっても有意義だと思いますよ。
色よいお返事をお待ちしております。草々。
『は、マジ?』
『やっぱブイバレしてたんか』
『どうするんだ。メスガキ』
『このコラボ配信は絶対に百億パーセント罠』
『すっとぼけるのはどうだろう』
『もう絶対確信されているじゃん。投了だ投了』
「コラボを受けるかどうかの前に、淫猫の戦略について思いついた点を述べておくね」
わたしはついさっき思いついた淫猫の戦略を伝えた。
現実と人狼がリンクしていてわかりづらいけど、わたしのクリティカルポイントはいつでもお姉ちゃんだからな。お姉ちゃんを人質にとられたら確実に負けてしまう。でも、勝ちの目が消えてないのは、わたしが狼だという点についてはまだ疑いが残っているということだ。
もし、わたしが狼――つまり、お姉ちゃんのことを性的に食べたい小学生妹だと知っていたら、恵子は部屋の前でベル鳴らして、わたしは直接選択を迫られていただろうから。
『なるほどねぇ……完璧に理解した(理解できていない)』
『投票の時間が近づいてきているのか』
『コラボ配信で家族について語るってなんなんwww』
『いやまあ、ここでも同じようなことしてるから、いまさらではあるが』
『オレ氏、まさか淫猫様の件からここまで大事になるとは思わず困惑。¥1000』
『オレ氏は裏切り者として、晒し豚になる可能性大よw』
『バブぅ(メスガキたすけて)¥100』
「カフェ・オレお兄ちゃんはおとなしくしておけば大丈夫じゃないかな」
こう言っちゃなんだけど、恵子はお豚さんたちのことをパートナーとは考えてないように思う。
眼中にないというか、データ取りのためのサンプルでしかない。
お豚さんたちに、どこまで事情を説明するかはわからないけど、わたしみたいに逐一報告と連絡と相談をしているかというと、そういうわけではないと思う。つまり、お豚さんたちはお兄ちゃんたちよりもずっと盤外の存在だ。
「さて、それで――このコラボだけど狼としては受けざるをえないよね」
『おお、受けるのか……』
『マジでどうなるんだ。いったい』
『そのコラボ配信で肝心のヒモ姉呼ばれなさそうでかわいそうw』
『最近のヒモ姉は自粛状態で、スレのほうにも顔出ししてないよw』
『やっぱ、ヒモ姉が一番かわいいわ』
「お姉ちゃんは誰にもやらないよ♡」
『いまのうちに自分の非狼要素と狼要素を洗い出してたほうがいいぞ。¥100』
『メスガキがノコノコ猫の配信に遠征したのは狼要素だよな』
『ニューお姉ちゃんのことが好きで、配信で見つけたーって線もなくはないから』
『いままでの経緯からすると、ヒモ姉ラブなところは完全に透けてると思うが……』
『しかし、欲情してるってのはさすがにバレることはないだろう』
『裸で抱き着いていかない限りはなww』
「コラボではどうなれば最高かな?」
自分の勝利条件を洗っておく。
まず、わたしはお姉ちゃんが好き。いつもここから始まる。
そして、そのためには、わたしがお姉ちゃんのことを好きなことは猫にバレてはいけない。
さらには、お姉ちゃんをヒモにする今の状態を維持。
鳳寿院家の介入を防ぐ。
恵子にはただの家族として、夜時間になるまでやきもきしてもらおう。
「ちょっと、淫猫には期待させるのがいいのかもね?」
『お姉ちゃんとして慕うってことをか?』
『姉妹百合してもいいかなぁって感じの態度をとるってこと?』
『それはそれで危険な気もする』
『狼の勝ち筋を残しているのが、ちょっと猫の策略っぽい気もするんだよなぁ。¥100』
『だったら部屋のベルを押さないのもわざとか? なんのために』
『だって、さでずむの女王じゃん。¥100』
「さでずむ、ねぇ……」
恵子は我が強いところがあるのは確かだが、嗜虐趣味はないように思う。
キュートアグレッションとか、いろいろ言っているが、その本質は――。
異質……。
ほんのちょっとの違和感。
人狼ゲームでレベルが上がってくると、ほんの些細なズレに気づく瞬間がある。
お兄ちゃんからもらったなにげないスパチャが、わたしの中で萌芽となった。
――猫を降すための一撃の。
みんな丸太は持ったな!! 行くぞぉ!!
(脳内ログなので整合性がなくても雰囲気で悟ってくださいの意)