呪いの世にて空を飛ぶ   作:権現

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なんとなくで書いたクロスオーバーです。
評価次第で続くかも。


博麗の君

 

 

 

 ■──博麗の社──■

 

 

 

 

 

 

 

「あ~…………これでどの位だっけ?」

 

 

 古ぼけた神社の境内にて、山のように積み重なった黒い影群。

 その上にて胡坐をかいて鎮座している少女が其処にはいた。その顔はうんざりしているようで、まるで疲労を感じさせない態度だ。

 その姿に淀みはなく、穢れはなく、汚れもなければ埃もない。……血生臭い黒い影群は別として。

 

 

「ざっと五十、後から来るだろう五十も合わせると半数だろうね」

「はぁ気怠(けだる)いわ……毎度毎度懲りないわよねぇ」

「本当だねぇ」

 

 

 袈裟姿で額に傷のある男は少女に心底同意するように言葉を吐き出した。

 男は心底嫌そうにしながら山となっている影群の()()を軽く蹴飛ばす。唸る影はその一撃で()()()()という音と共に潰れた。

 少女はその潰れた瞬間に飛び出た赤黒い液が境内に散らばったのを見て眉間に皺を寄せる。

 

 

「ちょっと、汚さないでくれる?何のために殺さないで置いたと思ってるのよ」

「ああ、ごめんごめん。後で洗うよ。ちょっと苛立ってしまってね」

「はぁ~これだから男どもは。私は自分の縄張りを汚されるのは嫌いなのよ。折角雑巾がけまでしたのに」

「ごめんってば、というか宿儺(すくな)と一緒にしないでくれるかい?私だって汚いよりは綺麗な方がいいんだよ」

「どうだか……まあ、それはいいとしてなんか用?羂索(けんじゃく)

「いや、また藤原連中が攻めてきたって聞いたから手伝いに……という建前は置いておいて暇潰しにだよ、博麗の君」

 

 

 幾多の呪と人の屍を積み上げて、余りに濃く禍々しい残穢があたりに漂っているというのに、白く清浄に保たれている少女────博麗の君へ向けて、羂索(けんじゃく)と呼ばれた男は微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■──清浄の地──■

 

 

 

 

 

 

 

 

───── 博麗の巫女 ─────

 

 

 京の都より離れた辺境の地───そこにある神社で一人巫女をしているという噂がそこかしこで流れたのはつい最近の事。

 

 その地は呪い蔓延るこの日ノ本で唯一()()()()()()()()()()()()()とされていた。そして、そこへたどり着いた人は山の頂上に居を構える神社の主、まだ女と呼べぬ少女へこの地へ住む許しを乞うたのだそうだ。

 少女はそれを気にした様子もなく、勝手に住みたければ住めばいいと気だるげに応え、人々がこの地へ住むことを許した。

 だが、呪いなき地とはいえ、呪いとは人から生ずるもの。忽ち呪いなき地とされた場は移民の僅かな不満が溜まりに溜まった末、呪いが生まれた。

 そして、その呪いは生み出した移民のみならず、山の頂に住む少女にまで手を伸ばさんとしたが、その少女を視界に入れた途端、姿形を保てなくなり消滅したそうな。

 やがてその地はまた少女一人が住む地となった。

 

 そういった話が風に乗って京の都にまで届いたのだそうだ。

 然らばそれほどの力を持った女を呪いを祓うことを使命とした術師どもが放っておくはずもなく、すぐさま兵どもをその地へ派遣した。

 だがしかし、呪いを持って呪いを祓う術師では少女の力の前では何の意味もなかった。

 少女は京の都の兵どもが都へと馳せ参じるよう命じた途端、面倒臭げに「断る」と率直に口にした。

 是非もなしにと無理やりにでも連れて行かんとした術師たち。思い思いにその力を開放せんとするも少女が発した力の前に敢え無く撃沈。

 逃げ帰る兵どもに少女はこう告げたそうな。

 

 

 「鼬ごっこを続ける馬鹿どもに力を貸す道理はない」

 

 

 それから、京の都では名を名乗られずとも神社の鳥居にかけられた名から、少女を「博麗の巫女」と呼称するようになったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ■──博麗の社──■

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、長い付き合いだし……そろそろ名前を教えてくれてもいいんじゃないかい?」

「いやよ、どうせ名乗ったらそれを種にまたぞろ悪巧みするつもりでしょ」

「いいじゃないか、どうせ君に()()は効かないのだし。私だって君ともっと仲良くしたいんだよ」

「仲良くったって、ぶっちゃけ私としては宿儺よりましってだけであんたも胡散臭いと思ってるんだけど」

「けどこうして話してくれる分には君との仲は浅くないと思ってるんだけど?」

「まあ、面白そうな話を聞かせてくれる分にはね。けどあんたの悪巧みには関わりたくはないわね」

「どうして?君だって面白いことには首を突っ込むじゃないか」

「私が部外者ならってのを忘れないでよね、当事者になったらどうせ私が後片付けに駆り出されるんだからやってらんないわ」

 

 

 和気藹々と、何もなくなった縁側で話す博麗と羂索(けんじゃく)

 その間には羂索(けんじゃく)がお裾分けとして持ってきた団子があり、両者ともに頬張りながら話していた。

 しばしの沈黙、やがて羂索(けんじゃく)は彼女へ話を切り出した。

 

 

「ところでさ、今また面白い試みをやってるんだ」

「お帰りはあちらで賽銭入れてってね」

「ちょっとちょっと、少しは話を聞いてくれよ、残りの団子はあげるからさ」

「前置きは良いわ、さっさと要点を話しなさい」

「相変わらず変わり身早いね……まあ、それは置いておいて」

 

 

 

── 博麗の君、千年先の世に興味はないかい? ──

 

 

 

 

 

 

 ■──現代──■

 

 

 

 

 

 

 時に、博麗の巫女の力の正体とは何だろうか。

 術師の呪術と呼ばれるものであるか。────違うだろう。

 呪術とは、呪いを持って呪いを祓う人の見出だした呪いへの対抗手段だ。

 故に、呪いを祓ったとしてもそこに術師の呪いは残ってしまう。

 だが、博麗の巫女の力は違った。

 彼女が住んでいた地───清浄の地と呼ばれていた地は呪いなど痕跡のかけらもなかったのだから。

 即ち───呪いならざる力を持っての除霊。

 

 

 話は変わるが呪術には反転術式と呼ばれるものが存在する。

 呪力と呪力を掛け合わせることによってそれとはまったくの逆転した力である正の力が生まれ、呪いとは真逆の効果を発揮する術のことだ。

 その力は呪いの塊である呪霊には滅法強く働き、即座に消滅させてしまう程の効力を発揮するのだ。

 

 話は戻るが、博麗の巫女。

 彼女の力の根源とは何か。千年前の平安から現代にいたるまで様々な形で伝承され、その力の根源を見出そうとしてきた術師たちは、その力は自分たちが使う反転術式こそがカギなのではないかと思い至ったのだ。

 即ち、()()()()()()()()()()()。反転の極み、陽の力。それこそが彼女の力の正体なのではないかと。

 

 日ノ本より離れ、弘原海を超えた先にある大陸の国ではこんな話がある。

 

 陰陽太極

 陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転ず

 

 この言葉がもしも術師の呪力と関係するのならば、その力こそが真の意味で呪いを祓うことの出来るのではないかと。

 術師たちはこの力のことを呪力とは異なる力、その力を振るう者が神に仕える巫女であることから、陰極まった末の反転した陽の力───巫力と名付けたそうだ。

 

 

 

「これだ………」

 

 

 現代───呪術高専の深く深層とも呼べる蔵にて、金髪の長い髪を靡かせながら、女はニィっと口元を歪ませた。

 

 

 

 




独自設定・用語解説

・呪力反転/巫力反転
呪力或いは巫力が自身の器つまるところ魂の限界を超えて、極みへと至ってしまった時に裏側まで突き抜けてしまうこと。その結果陰の力たる呪力は陽の力たる巫力へ、陽の力たる巫力は陰の力たる呪力へと反転する。コレは肉体を持つ現世の命を持つ生命しか当てはまらない。呪霊などの霊的存在は器という限界がないため、どこまで行っても陰は陰、陽は陽ということである。


本作主人公

博麗の巫女/霊夢

本作における呪術廻戦で生まれた特異点。
基本的に無害で怠惰。何をやるにも面倒くさいで片づける。
自身に敵意や害意を齎す存在は徹底的にぶちのめす。
尚道端で通行の邪魔だからぶちのめすこととかも平気でやる通り魔。
性格は現在最新作の霊夢ではなく、紅魔郷から永夜抄までのフランドール・スカーレット曰く全てを破壊する目を持った霊夢さん。
因みに名前に関しては平安の世も現代も含めて一名しか知られていない。
当然メロンパンは知らない。


備考Ⅰ
宿儺や裏梅と面識がある。故に当然(よろず)とも面識はある。
なんなら万には神社の境内とかの修理を依頼することもある。
従わなければ従うまでぶちのめす脳筋。

備考Ⅱ
実は羂索(けんじゃく)が一方的に思いを寄せている()。
博麗の方は面は良いと思っている。
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