ケチャがキートに飛び去ってから次の夜中、レイ・コリブリがインティワタナの上空でフェリアのいる牢をうかがっている。
「ふっ、安心しきっているようね。フェリアが心を許しているあの鷲女も飛び去っていったようだし。この仕事は簡単に終わりそうね。でもフェリアはタフだから、今回は足の一本も折っておくか。」
レイは、インティワタナ上空からフェリアの牢に音も立てずに着地した。
「鉄の部品のない蛮族の牢屋など、簡単に破れる。」
彼女はスコップのような鉄の小道具を出して、牢の屋根を壊し始めた。
「うー。」
眠っていたフェリアが物音に気づいた時には、目の前に黒い翼の少女がいた。
「!!レイ!?レイ・コリブリ?」
次の瞬間、フェリアは一瞬だけ意識を飛ばされた。レイが思い切りフェリアの顔面を蹴り上げたのだった。
「私が臨時の牢番よ。鷲女の代わりだ。覚悟しな。…本当はあんたをここで始末したいんだけど、私アタタルカ皇帝の密命、そしてピサロ閣下の密命帯びてるからさ。」
フェリアは手錠をかけられたままの手を支えに、痛みに耐えて立ち上がった。口の中に鉄の味がする。すぐさまレイを蹴り上げようとしたが、レイに足首をつかまれる。
「ぐうわぁあ!」
「あんた切り傷には驚異的な回復力持ってたけど。たしかこういう怪我はそうでもなかったよねえ。ここで足首を破壊するわ。」
レイはフェリアの足首を持ったまま反対側の足払いをして彼女を腹這いにひっくり返し、アンクルホールドで彼女の足首を締め上げる。
「ぎゃあぁぁ!」
「うるさいわね。とりあえず足が使えなければ逃げ出せないでしょ。」レイはフェリアの足首を徐々に可動域ギリギリまでねじあげていく。フェリアは激痛に苦しみ、身体を悶絶させる。
「うぅわぁぁ!」
フェリアが苦しまぎれに投げ出した反対の足先が、レイの顔面にヒットした。牢獄で伸びきった真っ黒な足の爪がレイの頬にかすかな切り傷を与えた。
「汚い爪で私の顔に触るな。」
レイはフランキスカを取り出し、彼女の腹部に当てて、袈裟がけに切り付けた。「っ!!」ほとばしる鮮血!フェリアの腹部が真っ赤に染まった。
「並の人間じゃないから、このぐらいで死ぬことはないよね。今度こそ」
レイは再びフェリアの足首をつかみ、思い切りねじ上げようとする。ひと思いに意識を奪おうとしないところがレイのフェリアに対する複雑な心境を示しているようだった。「うぐぐ・・」もう声にならない、フェリアは激痛に顔をしかめた。
その時、である。