人狼は不死者の王と共に異世界を謳歌したい   作:モノクロさん

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一難去ってまた一難ですね

 村長の家で話し合う事となった私とアインズさんは、エンリから得た知識の他にいくつか有用な情報を得る事が出来た。とはいえ、自分達がいる王国の位置から大まかな方角にどの国があるのか程度の情報であり、それ以外と言えば、この世界の通貨くらいなものだろう。

 

 因みに、ユグドラシルの通貨とこの世界の通貨は異なるらしく、美術品としての価値はあるが通貨としては使えないだろうとの事。物自体は良いけど手持ちの通貨が仕えないというのはある意味痛手だ。美術品として取引するのもありだが、それだと、他のユグドラシルプレイアーに気付かれるかもしれない。友好的な相手ならともかく、好戦的な相手であれば後手に回るのは危険だ。

 

 不幸中の幸いだったのが村を助けた対価として、金銭を得た事が大きいだろう。ただ、私もアインズさんもこの世界の通貨の価値を知らない。ついでに言うと文字も分からない。それでも言葉が分かるというのは不自然だったが、その答えはアインズさんが気付いてくれた。

 

 口の動きと発音が嚙み合っていない。相手が英語を話しているのに、私達の耳には日本語で翻訳されて聞かされているような感覚だ。これも、他のユグドラシルプレイアーの功績なのだろうか?

 

 お願い系のアイテムを使って、言葉を共有するよう改変させたか。それなら文字に関しても共有してもらいたかったが、そこも曖昧な形で叶えた故の失敗だったのだろう。それか、言葉だけ理解できればそれでいいと判断したか、後で気付いたが手持ちにお願い系のアイテムが残っていなかったかのどちらか……。

 

 まぁ、私達も、文字を共有する為だけにお願い系のアイテムを使用するつもりはないんだけど。

 

 さて、村長の話も粗方聞いた所で、アインズさんと私は、この村を襲った騎士達の事を思い返す。鎧に刻まれていた紋章から、村を襲ったのは帝国の騎士だと思っていたが、果たして本当だろうか?

 

「アインズさんはどう思いますか?」

 

「騎士達の鎧が帝国の物だとしても、それだけで帝国が黒とは考え辛い」

 

 毎年争っている両国だが、方や収穫の時期を狙って国力を削ぐ作戦を繰り返している帝国と、そうありながらも何の対策も取っていないであろう王国。小さな村々を襲撃しては働き手を削ぐやり方もなくはないと思うが、どうも違和感を感じる。そう思ったきっかけが、各国の国境である。帝国、王国そしてもう一つ、スレイン法国が隣接しているのだ。この国は人間至上主義を掲げている国と聞いている。王国と帝国、どちらも人間が治めている国だから、法国が関与する事はないと思っていたのだが、可能性の一つとして法国が両国に対し、何らかの干渉をしていてもおかしくない。

 

「法国が両国に干渉する事によって得られる利益は何だと思う?」

 

「例えばですけど、どちらか片方を潰すのではなく、争い合っている両国を一つに纏める為の裏工作の最中……というのは考えすぎでしょうか?」

 

 働き手の数を減らしつつ、いざそれがバレたとしても、帝国の騎士達の格好をしていれば、その罪を帝国に擦り付ける事が出来る。その事がきっかけで戦争が始まったとしても、帝国はまた収穫の時期を狙って戦争を始めると考えると、王国が一方的に国力を削がれる事になる。

 

「最悪、法国の欺瞞工作を視野に入れて考えてもよさそうだな。そうなると、生き残りを逃がしたのは失態だったな」

 

「まだ、この国が抱えている事情を知らなかったんです。仕方がないですよ」

 

 とはいえ、生き残った騎士に啖呵を切った以上、向こうからも何かしらのアプローチがあるのは明白。帝国、もしくは法国のどちらか、最悪、帝国と法国の両国を相手取る可能性もある。その時、他のユグドラシルプレイアーの横やりが入ってきた時の対策も取らなければならない。

 

「とはいえ、やる事は山積みです。一つずつ解決していきましょう」

 

「そうだな。暫くは村とナザリックの警戒を維持しつつ、守護者達の意見を取り入れる事も考えておいた方がよさそうだ」

 

 私もアインズさんもいってしまえば一般人だ。偶々私の設定のせいで魔法に関する知識が凄い事になってはいるが、魔法の知識だけで国家間の問題を解決できるほど優れているわけではない。出来るとしたら精々が同じ魔法詠唱者達に知恵を授ける事が出来る程度だろう……いや、これはこれで中々悪くないな。

 

 話は逸れたが、二人の知恵だけではどうする事も出来ない。という事だ。それなら知恵ある者を頼ればいい。確か設定ではアルベドやデミウルゴス……後は確か、アインズさんが創ったパンドラも知恵者設定だった筈だ。三人に助力を求めれば良い案を提示してくれるに違いない。

 

 話もある程度まとまってきたし、後は、騎士達の襲撃で亡くなった村人達の弔いとデス・ナイトによって殺された騎士達の亡骸と装備の回収……回収の方は終わっているな。後は何をすればいいだろう。

 

 そんな事を考えていると、扉を叩く音と共に表情を強張らせた村人が……おっと、いきなり問題発生か?

 

 村長と村人の話を聞くに、今度は戦士風の集団が此方に向かって来ているらしい。

 

「ジンクス、話は一端中断だ。所定の場所で待機せよ」

 

「了解です」

 

「村長、すまないが彼の事は口外しないでほしい。此方の戦力を把握されたくない」

 

「わ、分かりました。アインズ様は……」

 

「ご安心を。折角のご縁です。最後まで面倒を見ますよ。その代わり、村長は他の村人達と共に広場へ。私もすぐに行きます」

 

 アインズさんの言葉に、村長は表情を明るくし、そしてすぐに引き締めた表情に戻った。騎士達から自分達を守ったアインズさんがいるんだ。と、覚悟を決めた表情で村人達に広場に集まるよう指示を送っている。

 

「何かあっても、隠密に長けた配下が村の周囲に配置されているみたいですから、何かあったら彼等の力も頼りましょう」

 

「そうですね。出来ればそうならない事を祈るばかりです」

 

「ですね。では、私もそろそろ」

 

「はい、場所どりは肝心ですからね」

 

「PKの基本。分かっていますよ」

 

 気持ちを紛らわせる為の軽口、互いにフッと笑みを浮かべて、アインズさんは広場へ。そして私は、何が起こっても対処可能な位置へと移動する為に魔法で姿を消して村長の家を出た。

 




長期休暇のお陰で執筆が進みました。次の更新が遅くなるかもしれませんが、どうかご容赦を……

個人的にオーバーロードで好きな4名なので、作品に登場させる予定ですが、皆さんはこの中で誰が好きですか、参考までに教えて下さい。

  • アルシェ・イーブ・リイル・フルト
  • 番外席次
  • ニニャ
  • ネイア・バラハ
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