原神 アチーブメント『軌道は放り出ず、逆巻く』獲得RTA   作:底無ノどろ沼

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戦闘書くの楽しい。この小説の一番書きたかった場面です。

おそらくこれがこの小説内での最高峰の戦いです。拙いですが楽しんでください。


神と獣の戦い

廃墟と化した帰離原で一人佇む。

 

 ──また間に合わなかった

 

 

 

周囲の魔神が一斉に動き出し、大規模な戦闘が予想された。

帰離原を護るため、自分は西側で参戦し敵と戦っていた。

 

東側が突破されたらしく、余裕があった西側の自分が帰離原に戻ったが時すでに遅く

──帰離原は滅び、帰終様が逝去した。

 

民を逃し敵を殲滅することはできたが失ったものが大きすぎた。

 

帝君が南に民を移し、そこでの生活がやっと安定してきた。

帰終様の葬儀が行われ、人々は深く悲しんだ。

 

しかしそんな余裕は自分にはなかった。

弱っている時に攻めるのは争いにおいて定石である。

故郷と指導者の一人を失ったのを好機と見た敵が攻め入っており、自分はその相手をしていた。

 

敵を退けたと思ったら次は妖魔が現れ始めた。

戦って戦って戦って、戦う度に何かに蝕まれていく。

戦いが無くても休まるときがない。いや休めるわけがない。

 

失ったものが多過ぎて、もう何も失わないように戦い続けるしかない。

最近は戦っている最中の意識がない。

 

眠る度に悪夢を見るため、満足に寝られもしない。

怨嗟が、後悔が頭に響きおかしくなりそうだった。

 

父が、ヘウリア様が、帰終様が、戦友が、民が、自分を責める声が聞こえる。

 

 ──俺は、俺はどうすればいい?

 

もう幸せの記憶は思い出せなかった。

 

 

 

業障、それは魔神の残滓。

魔神の力と憎しみが沈泥化した執念そのもの。

 

璃月の魔神の多くはモラクスによって斃された。

その憎しみはモラクス、ひいてはその民に向いている。

 

業障にとって帆藻という存在は都合が良かった。

業障への耐性は高いが精神は弱い。強さも申し分ない。

だからこそ業障は身体を乗っ取りモラクスを殺そうと画策していた。

 

魔神の執念の計画は進んでいく。

全てはモラクスを殺すために──

 

 

 

 

 

 

多大な犠牲を出した魔神戦争がようやく終焉を迎えた。

帝君は神の心を手にし七神の一柱になった。

 

璃月港はお祭り騒ぎだった。

自分達の神が勝ち残り七神になったのだから当たり前のことである。

 

敗けた神のことなど気にする人間はいなかった。

 

ヘウリア様に戦争が終わったことを伝える。

墓は落ち葉が積もっていたため、誰も来ていなかったことが分かった。

 

あれから数百年、もうヘウリア様のことを覚えている人間はいないのかもしれない。

 

心の中の黒い何かが自分に囁く。

神の心、あれさえあればヘウリア様にもう一度会えるのではないか。

そうすれば許してくれるのではないか。

 

その考えが脳にこびりついて剥がれない。

寝ても覚めてもそのことだけを考える。

 

日に日に黒い何かの声が大きくなっていく。

 

『神の心を奪い取れ!』

 

『モラクスを殺せ!』

 

『殺せ、モラクスを殺せ!』

 

『殺せ、殺せ!殺せ!殺せッ!!!』

 

 ──帝君を…モラクスを殺す…!

 

いつの間にか黒い何かの声は自分の口から出ていった。

 

数百年間溜め込んだ業障に呑まれた一匹の獣が生まれた。

 

 

 

 

三日月が輝く夜、岩王帝君は孤雲閣にいた。

散っていった戦友を思い、一人空を眺めていた。

 

そこに帆藻がどこからともなく現れる。

 

他愛もない話をしながら月に近づいていく。

孤雲閣の頂上で帝君が璃月港を眺める。

その後ろで自分も同じように璃月港を眺める。

 

しばらく互いに黙って眺めていたが、不意に帆藻が口を開く。

 

 ──すみません、帝君

 

剣を抜き帝君の身体に突き刺す。

刺した感触がどこか心地良かった。

 

地面から岩柱が勢いよく飛び出る。

腕を挟み衝撃を散らすも遠く吹き飛ばされた。

 

岩王帝君は何も言わずこちらを見据える。

ほんの一瞬顔を顰めたが、殺戮の相を見せる。

 

破天の槍、斬山の刃、無工の剣が岩王帝君の周りに現れた。

破天の槍を手にとり石突で地面を叩くと金の障壁が岩王帝君を覆った。

 

剣を構え斬りかかろうと踏み込んだ瞬間、穂先を向けられた。

すると雨のように岩の槍が降りそそぐように襲ってくる。

 

足を止めて槍を斬り落とそうとすれば地面から岩柱が襲ってくる。

 

足を止めず降る槍を避け剣を振るう。

障壁に阻まれ岩王帝君には届かない。

 

斬山の刃に持ち換えた岩王帝君の突きを流しもう一度障壁を斬りつける。

瞬間、首めがけて振るわれる斬山の刃を何とか剣で受け止めようとする

が、膂力の差で吹き飛ばされる。

 

さらに月の光が遮られ──天から星が墜ちてきた。

横へ飛んで何とか躱すがそこへまた槍が降りそそぐ。

肉が削げ血が辺りを染めあげる。

 

これが岩王帝君の戦い方。

中・遠距離は槍の雨と岩柱、近距離は技量と膂力、さらには障壁でほぼ全ての攻撃が効かない。

そして天から星のような岩石を墜とす圧倒的火力。

 

魔神戦争に勝ち残った今こそが岩王帝君の全盛期。

数多の魔神を斃しさらに神の心を手に入れた岩王帝君の実力は今までとは格が違う。

 

しかしそんなことは最早関係ない。

 

腰の神の目が光る。

雷を纏い槍の雨を走り抜けそのまま突貫。

障壁に阻まれるのにも構わず剣戟を繰り返す。

 

今自分が岩王帝君に勝っているのは速度だけ。

ならば速度で押し切る。

 

鍔迫り合いとなりまた吹き飛ばされる。

元素と仙力を一気に高めていく。

雷が弓を象り、剣に力が集約される。

 

 ──もう一度ヘウリア様に…会うために

 

剣を雷の弓に番えて──放つ。

 

 神の心を寄越せ!モラクス──!!

 

地面から岩がせり出し盾とするがまるで紙のように貫かれ、放たれた剣は障壁を撃ち抜き破壊した。

モラクスの頬から血が流れる。

 

剣に瞬間移動してからの斬撃は受け止められたが、障壁を破ることができた。

 

また障壁が張られたが破れると分かった今なら恐れることはない。

モラクスを殺せる、それさえ分かればもう我慢しなくていい。

 

皮膚がひび割れ黒い煙霧が上がる。

力が、殺意が溢れる。

 

『ガァアアアァァァァッッッ!!!』

 

執念の顕現、獣が咆哮を上げた。

 

神はそれを目を細めて見据える。

 

神と獣の戦いは始まったばかりだった。

 

 

 

雷が岩を削り、岩が雷を切り裂く。

 

孤雲閣は雷と岩が降りしきる戦場と化した。

地が裂け天が割れ、憎悪の叫びが響き渡る。

 

ドス黒く染まった剣が障壁を引き剥がす。

金色に輝く岩の槍が獣を貫く。

 

貫かれようが獣は止まらない。止まれない。

 

剣を一振りして槍の雨を弾く。岩柱を雷で砕く。

墜ちてくる星を睨みつけ雷を纏った剣で一閃。

 

星が二つに割れ、一つは山に一つは海に落ちていく。

山に落ちたことで島が揺れ衝撃波が通り抜ける。

 

モラクスは斬山の刃から無工の剣に持ち換え、構え直す。

 

神の目が鈍く、だが強く輝き、獣も構える。

 

もう一つが海に落ちた瞬間、両者の中間地点でぶつかる。

無数の剣戟が繰り広げられ、互いに傷を増やしていく。

 

モラクスの横薙ぎを屈むように躱し、下からの刺突。

獣の刺突を身体を回転して躱し、その勢いのまま剣を叩きつける。

 

互いに直撃は避けているがかすり傷は増えていく。

速度は獣、技量はモラクス、そして膂力は互角。

実力は拮抗していた。

 

だが、先に膝をついたのは獣だった。

一瞬身体が硬直した隙に一撃を貰い吹き飛ばされる。

 

打ち上がった海水が落ちてくる。

ふらついて上手く立ち上がれない。

 

傷に塩水が沁みる。

ふらつきながら獣は剣を握り締める。

 

業障が心身を蝕み、体力を奪っていく。

身体の限界が近い。

 

だがまだ執念は晴れない。

憎しみは底をついていない。

黒い煙霧が周囲を覆うほど広がる。

 

空間が軋むほどの憎悪が溢れる。

剣に全ての憎悪、元素、仙力を込める。

 

モラクスは無工の剣を地面に突き刺し、周囲に結界を張る。

破天の槍を祈るように持つと天に溶けていく。

斬山の刃を取り出し切っ先を向ける。

 

今までの星よりも大きく鋭い岩の槍が放たれた。

 

獣の弓から放たれた黒い矢が槍とぶつかる。

衝撃で結界内の全てが破壊される。

結界の外でも海が波立ち、山が軋む。

結界がなければ被害は璃月港にも及んだだろう。

 

勝ったのは黒い矢だったが、獣は力を使い果たした。

 

モラクスが刃を獣の首に当てる。

 

「神の心は万能ではない、生死を操れるほどの力などない」

 

戦いの中初めて帝君が口を開く。

 

「お前の信仰は素晴らしい。だからこそすまなかった。もう少し気にかけていれば良かった、そうすれば──」

 

『ウルせェなァ…おマえヲコロせれバそレデいイ…!!』

 

獣は未だ死なず、満身創痍だろうが関係なく立ち上がる。

 

『モラクス、オマえ…ノセいダ──!!』

 

最後の力を降り絞って剣を突き刺す。

帝君は刺さった剣を握り、オレの肩に手を置く。

 

「よく耐えたな、すまなかった」

 

 オレのせい…です。…すみません、帝君

 

獣は息絶え、自分は倒れた。

神と獣の戦いは神の勝ちで幕を下ろした。

 

 

 

 

帝君の力と魔神の残滓を感じ取った仙人達は孤雲閣に集結した。

 

そこで見たのは戦闘で破壊された孤雲閣、さらにその中心を見て全員が目を疑った。

 

傷だらけの帝君の横に血だらけで帆藻が倒れていた。

 

全員がこの惨状が帝君と帆藻が戦ってできたものだと理解した。

帝君が帆藻を支えて何か話している。

 

仙人達が帝君と帆藻に近づいていく。

 

すると帆藻が満身創痍の身体で立ち上がり、よろよろと前に出てくる。

 

 ──この場にいる皆に告げる。我は帝君に叛逆し、璃月を危険に晒した。

 よって狍鴞大将と貪業大聖の名を返上し、契約に基づき岩喰いの刑を受ける。

 この場にいる者にその証人になることを願いたい。

 

「今の通りだ。俺からも皆に頼む」

 

仙人達は少し悩んだが、帆藻と帝君の覚悟を感じて証人となることを決めた。

 

しかし甘雨だけは瞳に涙を溜め帆藻のほうに手を伸ばす。

 

「そんな…私は貴方と…!」

 

そんな甘雨に帆藻は目を合わせて首を振る。

甘雨はその場で座りこんで肩を震わせて泣いてしまう。

 

甘雨に留雲借風真君が近寄り、後ろから抱き締めた。

頭を撫でて落ち着かせようとしている。

 

少し落ちついた甘雨は涙を堪え立ち上がり、帆藻を真っ直ぐ見つめ決意したようだった。

 

「私甘雨は岩喰いの刑の証人となります…!」

 

そうして岩喰いの刑が始まる。

 

身体の力が抜けていく。意識が薄れていく。

甘雨さんは涙を流しながらも決して目を背けなかった。

 

最後に見るのが貴方で良かった、だがどうせなら笑顔のほうが良かった。

貴方を悲しませるなと言われたはずなのに。

 

 ──すみません

 

最後の言葉も謝罪とは情けない。

誰との約束も守れなかった自分の報いだ。

 

 ──甘雨さん、貴方は幸せになってください。

 

何も感じなくなり、意識がなくなる。

 




文章拙すぎて何も分からんっていう人はFate UBW ギルガメッシュで検索してください。イメージはそれです。
てか主人公の剣を矢として撃つのもFateですね~

ちなむとFateもエアプです。
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